日々の生活の中で必ず排出される「廃棄物」は、大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられます。産業廃棄物は一般廃棄物とは異なり、その定義や処理方法が法律で厳しく定められています。誤った処理を行うと環境汚染や法的責任につながる可能性もあるため、正しい知識を身につけることが不可欠です。本記事では、産業廃棄物の種類や一般廃棄物との違い、適切な処理方法をわかりやすく解説します。
目次
【図解】廃棄物の分類

廃棄物は主に、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」とに分けられます。
産業廃棄物とは、事業活動に伴い排出される廃棄物のことで、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)上で20種類に分けられています。また、爆発性や毒性があり、特に環境や人々の健康に与える被害が大きいものは、特別管理産業廃棄物と定義されます。
一般廃棄物は、家庭から排出されるごみなどが当てはまります。また、事業活動に伴い排出された廃棄物であっても、産業廃棄物に定義された20品目に当てはまらないものは一般廃棄物として定義されます。
産業廃棄物の定義
産業廃棄物とは、事業活動に伴って排出される廃棄物で、主に工場や事業所などから発生するものです。
量の規定はなく、個人事業主や小規模な企業から排出されたわずかな量でも、産業廃棄物と見なされます。
産業廃棄物は、あらゆる事業活動に伴うものと、排出する業種が限定されるものに分けられます。
あらゆる事業活動に伴い排出される産業廃棄物の一覧と具体例は、以下の表の通りです。
| 燃え殻 | 石炭がら、炉清掃掃出物、コークス灰など |
|---|---|
| 汚泥 | 下水汚泥、凝集沈でん汚泥、浄水場沈でん汚泥など |
| 廃油 | 潤滑油系廃油(冷凍機油、スピンドル油、ダイナモ油、タービン油、マシン油、グリース油、エンジン油)、切削油系廃油、廃溶剤類など |
| 廃酸 | 無機廃酸、有機廃酸、アルコール発酵廃液など |
| 廃アルカリ | 廃ソーダ液、石炭廃液、廃灰汁など |
| 廃プラスチック類 | 廃スチロール、廃ポリウレタン、廃農業用フィルムなど |
| ゴムくず | 切断くず、裁断くず、ゴム引布くずなど |
| 金属くず | 鉄くず(鉄スクラップ)、空き缶、古鉄など |
| ガラスくず、コンクリートくず、および陶磁器くず | ・ガラスくず ガラス粉、破損ガラス、アンプルロスなど ・コンクリートくず コンクリートブロックくず、石膏ボードくず、インターロッキングくずなど ・陶磁器くず 土器くず、せっ器くず、レンガくずなど |
| 鉱さい | 高炉、転炉、平炉など |
| がれき類 | アスファルト・コンクリート破片、レンガ破片、石類など |
| ばいじん | 電気集じん機捕集ダスト、サイクロン捕集ダスト、バグフィルター捕集ダストなど |
排出する業種が限定されるものは、以下の表の通りです。
該当の業種以外から排出されたものは、一般廃棄物として処理します。
| 種類 | 排出業種 | 具体例 |
|---|---|---|
| 紙くず | ・建設業 ・製紙業 ・出版業 |
印刷くず、裁断くず、旧ノーカーボン紙など |
| 木くず | ・建設業 ・パルプ製造業 ・木製品製造業 |
建設業関係の建物・橋・電柱・工事現場・飯場小屋の廃木材(現場で発生した伐採材や伐根を含む)など |
| 繊維くず | ・建設業 ・繊維工業 |
木綿くず、麻くず、糸くずなど |
| 動植物性残さ | ・食料品製造業 ・医薬品製造業 ・香料製造業 |
・動物性残さ 魚や獣の骨、皮、ボイルかすなど ・植物性残さ しょうゆかす、ソースかす、こうじかすなど |
| 動物系固形不要物 | ・畜産業 ・食肉処理業 |
と畜場で処分した獣畜、食鳥処理場で処理した食鳥 |
| 動物性ふん | ・畜産農業 | 牛、馬、めん羊などのふん尿など |
| 動物の死体 | ・畜産農業 | 馬、豚、牛および毛皮獣などの死体など |
上記に加えて、「その他」に該当する産業廃棄物もあります。これは、産業廃棄物を処理するために処理した廃棄物であり、第13号廃棄物とも呼ばれます。ばいじんや汚泥などをコンクリートで固める中間処理(固化)したものが代表例です。

※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
特別管理産業廃棄物とは
特別管理産業廃棄物とは、産業廃棄物の中でも、爆発性、毒性、感染性があるなど、人の健康や生活環境に被害を生じる恐れがあるものです。これらの廃棄物は、通常の産業廃棄物よりも厳しい基準で処理する必要があります。
具体的には、一定の基準値を超えた廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥、感染性産業廃棄物、廃PCB類、PCB汚染物、PCB処理物、廃水銀等、指定下水汚泥、鉱さい、廃石綿等(アスベスト)、燃え殻、ばいじんなどが特別管理産業廃棄物に分類されます。
さらに、有害物質の含有量や濃度、排出環境などにより、さらに危険な特定有害産業廃棄物として分類されるものもあります。
これらの廃棄物を処理する際は、特別管理産業廃棄物管理責任者の配置や、自社で処理する際の帳簿作成、多量排出事業者の電子マニフェスト運用などの決まりごとを遵守する必要があります。特別管理産業廃棄物は、その危険性から取り扱いが厳格に定められており、排出事業者にはより一層の注意が求められます。
一般廃棄物との違い
一般廃棄物は、大きく分けて「事業系一般廃棄物」「家庭廃棄物」「特別管理一般廃棄物」の3つに分類されます。事業系一般廃棄物とは、事業活動によって発生した廃棄物のうち、産業廃棄物に該当しないものを指します。原則として一般廃棄物の処理責任は市区町村にありますが、事業系一般廃棄物の場合は、例外的に排出事業者自身に処理責任があります。
家庭廃棄物、いわゆる家庭ごみは、一般家庭の日常生活から排出される廃棄物で、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ、粗大ごみ、有害ごみなどが含まれます。これらの廃棄物は、各自治体のルールに従って分別・排出されます。
特別管理一般廃棄物は、一般廃棄物の中でも爆発性、毒性、感染性を持つなど、環境や人の健康に被害を及ぼす可能性のあるものです。これらは通常の一般廃棄物よりも厳重な注意と適切な処理が求められます。
一般廃棄物には例外として「家電4品目」と呼ばれる、特別な処理が必要なものがあります。
家電4品目とは、家庭用エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機のことで、家電リサイクル法に基づいてリサイクルをすることが義務付けられています。これらの品目は、大型であったり非常に固い部品が含まれているため、通常の粗大ごみとして処分することが困難です。そのため、販売店に引き取りを依頼するか、指定引取場所に持ち込むなど、法律で定められた方法で適正に処理する必要があります。

産業廃棄物の処理と法的責任
産業廃棄物を排出する上で重要となる考え方が、「排出事業者責任」と呼ばれるものです。
廃棄物処理法第三条第一項では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定められています。これは、収集運搬業者や処分業者に委託する場合でも変わらないため、排出事業者は産業廃棄物が最後まで適切に処理されているかを確認する責任があります。もし委託先で適切な処理が行われなかった場合、環境汚染や企業の信頼性への影響はもちろんのこと、法的罰則が科されることもあるため、各プロセスでの確認を徹底することが重要です。
産業廃棄物の処理は以下の流れで行うのが一般的です。

1.分別・保管
主に排出事業者が対応する。
2.収集・運搬
積替え保管の有無が存在する。
3.中間処理
減量化、安定化、無害化等を行う。再生されるものも存在する。
4.最終処分
基本的には埋立て。再生される場合もある
再生は、廃棄物の全部もしくは一部が存在しなくなることから、最終処分の一つであると言えます。処理は、2.収集・運搬、3.中間処理、4.最終処分を含むものであり、処分という概念は、3.中間処理、4.最終処分を指すものとして使われています。
それぞれの工程について処理方法と一緒に詳しく解説していきます。
分別・保管
廃棄物の処理とは「廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分などの処理」と法で定められています。そのため、事業場において発生した廃棄物の処理は分別・保管することから始めます。
一般廃棄物の分類は燃えるゴミ、燃えないゴミ、プラスチックなどに分けていきますが、産業廃棄物は20品目の分類に基づいて紙くず、廃プラスチック類、金属くずといった種類で分けていくのが一般的です。
複数の素材が混ざっている廃棄物やどこに分類すべきなのか分からない廃棄物は、「混合廃棄物」として扱います。混合廃棄物の扱いは種類で分けた廃棄物とは異なります。
※出典:e-gove法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)」
収集・運搬
収集・運搬とは産業廃棄物を排出した事業者の保管場所から、専門の収集運搬業許可を持った事業者が廃棄物の収集を行い、処分する場所まで運搬するまでの流れのことです。
排出者が自ら排出した廃棄物の収集・運搬を行うのであれば許可を取得する必要はありません。しかし、他人が排出した産業廃棄物・一般廃棄物の収集・運搬に関しては必ず許可を得る必要があります。
収集運搬業の許可は都道府県や政令指定都市ごとの管轄となります。都道府県を超えて収集運搬を行う際には、荷積み地と荷卸し地の都道府県知事の許可が必要ですが、政令指定都市ごとの許可は原則として不要です。
積替・保管
積替・保管とは、収集運搬業者が集荷した産業廃棄物を、別の運搬車両に積み替えるまでの期間に一時的に保管することを指します。積替・保管は効率的な収集運搬を実現するために重要な役割を果たします。
例えば、遠隔地から収集した廃棄物を一度集約し、より大型の車両に積み替えることで、運搬回数を減らし、コストや環境負荷を低減できます。
積替・保管を行うためには、各自治体から収集運搬業許可に「積替・保管」の項目を含める形で許可が付与される必要があります。つまり、積替・保管単独での許可は取得できません。
積替・保管の許可を得るためには、適切な保管場所の確保や、廃棄物の飛散・流出防止、悪臭・騒音・振動対策など、廃棄物処理法で定められた厳しい保管基準を遵守することが求められます。具体的には、保管場所の周囲に囲いを設け、掲示板を設置し、汚水対策や害獣・害虫対策、飛散・流出防止措置を講じる必要があります。また、石綿含有産業廃棄物のような特別管理産業廃棄物を扱う場合は、他の廃棄物と混合しないように仕切りを設けるなどの追加措置が必要です。
積替・保管は安全かつ効率的な産業廃棄物処理を支える重要なプロセスなのです。
中間処理
発生した廃棄物のほとんどは中間処理場に運ばれ、「減量化」「安定化」「無害化」といった加工処理が行われます。
これらの処理には、焼却、破砕、脱水、中和といった多様な方法があり、廃棄物の種類や状態に応じて選択されます。
例えば、焼却処理は、廃棄物の量を大幅に減らすだけでなく、有害物質を分解し、衛生的かつ安定した状態で埋め立て処分を可能にします。また、焼却時に発生する熱はエネルギーとして回収され、発電などに利用されることもあります。
破砕処理は、廃棄物の体積を減らし、運搬効率を高めたり、その後の選別やリサイクルを容易にしたりする目的で行われます。汚泥などの水分を多く含む廃棄物に対しては、脱水処理が施され、固形分と水分を分離することで、廃棄物の重量を減らし、埋め立て処分場の負担を軽減します。
さらに、酸性やアルカリ性の廃液に対しては、中和処理が行われ、有害物質の除去や無害化が進められます。
中間処理施設に搬入された廃棄物は、まず受け入れ確認と計量が行われた後、荷下ろしされて処理場に運ばれます。
その後、展開検査や粗選別を経て一時保管され、ライン投入後に種類別に加工され、最終処分や再生利用のために出荷されます。
これらの過程を通じて、廃棄物の最終処分量を減らし、環境負荷を低減する役割を中間処理が担っています。
再生・リサイクル
再生とは、廃棄物を単に捨てるのではなく、もう一度資源として活用できるように加工する取り組みを指します。
再生には主に「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つの方法があります。
マテリアルリサイクルは、廃棄物を製品の原料として直接再利用する方法です。例えば、ペットボトルを回収して新しいペットボトルや衣料品の繊維にしたり、廃プラスチックを溶解・成形して新たなプラスチック製品に生まれ変わらせたりする事例が挙げられます。この方法は、廃棄物をそのままの形で再利用するため、環境負荷が比較的低いというメリットがあります。
ケミカルリサイクルは、廃棄物を化学的な処理によって分解し、化学原料として再利用する方法です。廃プラスチックを熱分解してモノマーに戻し、再びプラスチックの原料として利用したり、廃タイヤを熱分解して油やカーボンブラックを回収したりするケースがあります。この方法は、汚れたり複数の素材が混ざっていたりする廃棄物にも適用できるため、リサイクルできる範囲が広いのが特徴です。
サーマルリサイクルは、廃棄物を焼却する際に発生する熱エネルギーを回収し、電力や熱源として利用する方法です。ごみ焼却施設で発電を行うのが代表例で、温水プールや地域の冷暖房施設への熱供給にも活用されます。原材料への再利用が難しい廃棄物でもエネルギーとして有効活用できるため、最終処分量の削減にも貢献しています。これらのリサイクルは、廃棄物の有効活用を通じて資源の節約と環境負荷の低減を目指す重要な取り組みです。
最終処分
日本における産業廃棄物の最終処分は、主に埋め立てが主流であり、廃棄物の種類や性状に応じて、「安定型」「管理型」「遮断型」の3種類に分類された最終処分場で適切に処理されています。
安定型最終処分場では、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、がれき類といった、有害物質や有機物が含まれていない、環境への影響が少ない廃棄物が処分されます。これらの廃棄物は、雨水にさらされても性状が変化しないため、シンプルな構造の処分場で埋め立てられます。
管理型最終処分場は、安定型処分場で処分できない、焼却灰や汚泥など、有害物質や有機物が微量に含まれる廃棄物を処分するための施設です。ここでは、有害物質が外部に漏れ出さないよう、遮水シートや浸出水処理設備が設けられ、厳重な管理体制の下で埋め立てが行われます。
遮断型最終処分場は、特定有害産業廃棄物や感染性産業廃棄物など、有害物質の溶出や飛散の恐れがある特に危険性の高い廃棄物を処分するために設けられた、最も厳重な施設です。地下水などから完全に遮断された構造となっており、二重の遮水シートや分厚い遮水層によって、環境への影響を最大限に防ぐための対策が講じられています。
近年では近隣住民からの反対運動などにより、新たな最終処分場の確保が年々困難になってきています。最終処分場で処理できる量には限りがあるため、埋め立て量の削減が喫緊の課題として挙げられます。実際、環境省の「環境白書(令和3年版)」によると、最終処分場の残余年数は全国平均で17.4年とされており、このままのペースで廃棄物が発生し続ければ、20年以内に現在の最終処分場が満杯になる可能性が指摘されています。このような状況を受け、日本では廃棄物の再生利用(リサイクル)が積極的に推進されており、近年は再生利用量が増加傾向にあるものの、埋め立て残余量は横ばい状態が続いています。限りある最終処分場の容量を有効活用するためにも、リサイクルや中間処理による減量化をさらに進めることが重要です。
産業廃棄物処理基準とは

産業廃棄物処理の各工程には、細かくルール(処理基準)が設けられています。
産業廃棄物の収集・運搬基準
産業廃棄物の処分・再生基準
産業廃棄物の保管基準
埋立処分の基準
海洋投入処分基準
産業廃棄物処理の委託基準
それぞれの処理基準を詳しく見ていきましょう。
産業廃棄物の収集・運搬基準
産業廃棄物の収集・運搬は、排出事業者から処分場まで廃棄物を安全かつ効率的に移動させる重要な工程であり、廃棄物処理法によって厳格な基準が定められています。
まず、収集・運搬を行う際には、産業廃棄物が飛散したり流出したりしないように、車両や容器に適切な措置を講じる必要があります。具体的には、密閉性のある容器を使用したり、シートで覆ったりすることが求められます。
また、運搬中に発生する悪臭、騒音、振動が生活環境に支障をきたさないよう、防臭対策や防振対策を徹底することも義務付けられています。
石綿(アスベスト)を0.1%以上含む廃棄物を収集・運搬する際には、他の廃棄物と混合しないよう破砕以外の方法で分離し、専用の容器で運搬するなど、一層の注意が必要です。
運搬車両に関しては、産業廃棄物の種類や性状に応じて適切なものを選定し、定期的な点検と整備を行うことが重要です。また、車両には産業廃棄物運搬車であることを示す表示や、緊急連絡先を明記することが義務付けられています。
これらの基準を遵守することで、産業廃棄物の不適切な処理による環境汚染や健康被害を防ぎ、安全で持続可能な廃棄物処理システムを構築することができます。
産業廃棄物の処分・再生基準
産業廃棄物の処分・再生基準は、廃棄物が環境へ悪影響を及ぼさないよう、廃棄物処理法によって細かく定められています。
中間処理を行う際は、産業廃棄物が飛散・流出しないように適切な措置を講じることが重要です。また、悪臭、騒音、振動によって生活環境に支障が出ないよう、対策を徹底する必要があります。
中間処理施設を設置する際には、周囲に囲いを設けたり、見やすい場所に掲示板を設置したりするなど、生活環境の保全に配慮した措置が求められます。
焼却設備においては、燃焼ガスを800度以上の温度で処理し、設備内と外気が接しない構造にすることが必須です。加えて、焼却室内の燃焼ガスの温度を測定する装置や、燃焼ガスの温度を一定に保つための助燃装置の設置も義務付けられています。煙突の先端以外から燃焼ガスが排出されないように焼却し、火炎や黒煙、焼却灰や未燃物が飛散しないように管理することも重要です。
これらの基準を遵守することで、環境汚染のリスクを最小限に抑え、安全かつ適正な産業廃棄物の処分・再生が実現されます。
産業廃棄物の保管基準
産業廃棄物の保管基準は、廃棄物が飛散・流出したり、生活環境に悪影響を及ぼしたりすることを防ぐために不可欠です。
まず、保管場所の周囲には囲いを設ける必要があり、廃棄物の荷重がかかる場合は構造耐力上安全な設計でなければなりません。また、保管場所には、必要な事項を記載した掲示板を見やすい場所に設置することが義務付けられています。掲示板には、産業廃棄物の種類、保管責任者の氏名または名称、連絡先などを明記し、関係者が一目で情報を把握できるようにします。
さらに、発生した汚水が公共水域や地下水を汚染しないよう、排水溝の設置や底面を不浸透性材料で覆うなどの対策が必要です。これにより、有害物質が外部に漏れ出すことを防ぎ、周辺環境への影響を最小限に抑えます。容器を用いずに屋外で保管する場合は、積み上げられた産業廃棄物が規定の高さを超えないように管理しなければなりません。これは、崩落による事故や飛散を防ぐ目的があります。害獣・害虫の発生を防止するためには、清掃や消毒、防虫対策を定期的に実施し、衛生的な状態を維持することが重要です。
飛散・流出防止のためには、シートで覆う、梱包するなどの措置を講じる必要があります。特に風雨の影響を受けやすい屋外保管では、これらの対策が徹底されなければなりません。
石綿含有産業廃棄物のような特別管理産業廃棄物を扱う場合は、他の廃棄物と混合しないよう仕切りを設けるなど、追加的な措置が求められます。これは、石綿の飛散による健康被害を防止するために極めて重要な項目です。これらの保管基準は、一時的に廃棄物を留め置く「積替保管」を行う場合にも同様に適用されます。
埋立処分の基準
埋立処分は、産業廃棄物を最終的に処分するための方法であり、廃棄物の種類や有害性に応じて「安定型」「管理型」「遮断型」の3種類の最終処分場に分けられ、それぞれに異なる基準が適用されます。安定型最終処分場は、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、がれき類など、有害物質や有機物が含まれておらず、環境への影響が少ない廃棄物を処分します。これらの廃棄物は雨水にさらされても性状が変化しないため、シンプルな構造の処分場で埋め立てられます。 管理型最終処分場は、焼却灰や汚泥など、有害物質や有機物が微量に含まれる廃棄物を処分するための施設です。ここでは、有害物質が外部に漏れ出さないよう、遮水シートや浸出水処理設備が設けられ、厳重な管理体制の下で埋め立てが行われます。遮断型最終処分場は、特定有害産業廃棄物や感染性産業廃棄物など、特に危険性の高い廃棄物を処分するために設けられた、最も厳重な施設です。地下水などから完全に遮断された構造となっており、二重の遮水シートや分厚い遮水層によって、環境への影響を最大限に防ぐための対策が講じられています。 これらの処分場では、埋め立てられる廃棄物の飛散、流出、地下浸透を防ぐための措置が義務付けられています。具体的には、適切な覆土や、浸出水処理設備の設置などが含まれます。埋立処分場は、廃棄物処理法に基づき、許可を得た施設のみが運営でき、定期的なモニタリングが実施されます。
海洋投入処分基準
現在、海洋への廃棄物の投入は、環境汚染への影響を考慮し、原則として禁止されています。かつては海洋投入処分が認められていた時代もありましたが、国際的な枠組みである「ロンドン条約」や国内の廃棄物処理法において、その規制が強化されてきました。日本においても、廃棄物処理法に基づき、海洋への廃棄物投棄は厳しく制限されており、ごく一部の例外的な状況を除いて、許可されていません。例えば、自然災害などによる緊急事態や、国際条約で認められている特定の廃棄物に対しては、例外的な措置が講じられる場合がありますが、その場合でも厳格な基準と環境アセスメントが求められます。この規制の背景には、海洋環境が持つ生態系への影響や、有害物質の拡散による漁業への被害、ひいては人間の健康へのリスクが懸念されるためです。海洋は地球上の生命を支える重要な環境であり、その保全は喫緊の課題となっています。このような状況を踏まえ、排出事業者には、海洋投入処分に代わる適切な陸上での処理方法、例えばリサイクルや最終処分場の活用などが強く推奨されています。
産業廃棄物処理の委託基準
排出事業者が産業廃棄物の処理を外部処理業者に委託する際には、廃棄物処理法に基づき、いくつかの義務が課せられます。
まず、最も重要なのは、処理を委託する処理業者と書面で契約を締結することです。この委託契約書には、排出する産業廃棄物の種類や量、性状、収集運搬および処分方法、委託料金、契約期間などを具体的に明記し、双方の責任を明確にする必要があります。不法投棄などのトラブルを未然に防ぐためにも、委託契約書の内容は入念に確認することが大切です。
次に、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が義務付けられています。マニフェストは、排出事業者が交付する産業廃棄物の種類や量、運搬業者や処分業者の情報などを記載した伝票で、産業廃棄物が排出されてから最終処分されるまでの一連の流れを追跡し、適正な処理が行われたことを確認するための重要な書類です。
マニフェストには紙媒体と電子媒体があり、それぞれメリット・デメリットがあります。例えば、紙マニフェストは導入が容易ですが、控えの郵送や5年間の保管基期間があるなど管理に手間がかかります。電子マニフェストは電子化により事務効率の向上が期待できるものの、パソコンやそれを扱う人材を揃える必要があります。
排出事業者は処理を委託して終わりではなく、委託した産業廃棄物の処理状況を定期的に確認する義務があります。委託先の処分施設を実際に視察したり、処理状況報告書を提出させたりするなど、適切な方法で確認を行うことで自らの責任を果たし、環境負荷の低減に貢献することが求められます。
産業廃棄物についての現状と課題
産業廃棄物の処理においては、持続可能な社会の実現に向けて解決すべき様々な課題が山積しています。
これらの課題は、産業廃棄物の排出事業者だけでなく、収集運搬業者や処分業者、そして行政機関を含む社会全体で取り組むべき課題です。詳しく見ていきましょう。
最終処分場の不足
日本において、産業廃棄物の最終処分場は深刻な不足に直面しています。環境省の「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」によると、2019年度末時点での産業廃棄物最終処分場の残余年数は全国平均で16.8年であり、このままのペースで廃棄物が発生し続けると、現在の処分場が満杯になる可能性が指摘されています。新たな処分場を確保することは、近隣住民からの反対運動などにより年々困難になっており、最終処分量の削減は社会全体の喫緊の課題となっています。
最終処分場の容量には限りがあるため、埋め立て量の削減が不可欠です。これに対応するため、日本では廃棄物の再生利用(リサイクル)が積極的に推進されていますが、埋め立て残余量は依然として横ばいの状態が続いています。限りある最終処分場の容量を有効活用するためには、リサイクルや中間処理による減量化をさらに進めることが重要です。例えば、中間処理施設では、焼却、破砕、脱水、中和といった多様な方法で廃棄物の減量化、安定化、無害化が行われています。これらの取り組みをさらに強化し、最終的に埋め立てられる廃棄物の量を減らすことが、最終処分場不足問題の解決につながります。
環境汚染につながる
産業廃棄物の不適切な処理は、環境汚染に直結する深刻な問題です。特に、焼却施設から排出される温室効果ガスやダイオキシン類は、地球温暖化を加速させ、人々の健康に悪影響を及ぼすリスクがあります。適切な処理が行われない場合、これらは大気中に放出され、広範囲にわたる環境汚染を引き起こす可能性があります。
また、不法投棄も環境汚染の大きな原因の一つです。新規の不法投棄事例は減少傾向にあるものの、依然として悪質なケースが発生しており、社会問題となっています。不法投棄された産業廃棄物には、有害物質が含まれていることが多く、雨水によってそれらの物質が土壌にしみ込んだり、河川や地下水に流れ込んだりすることで、土壌汚染や水質汚濁を引き起こします。これらの汚染は、生態系に深刻なダメージを与え、最終的には人間の健康にも影響を及ぼす可能性があります。例えば、有害物質が農作物に取り込まれたり、飲み水に混入したりすることで、間接的に健康被害をもたらすことも考えられます。
さらに、不法投棄された廃棄物が長期間放置されることで、景観の悪化や悪臭の発生、害虫の繁殖など、地域住民の生活環境にも悪影響を与えます。このような環境汚染を防ぐためには、排出事業者が廃棄物処理法を遵守し、適切な処理を行うことが不可欠です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
産業廃棄物の定義や種類、一般廃棄物との違い、そして適切な処理方法について詳しく解説しました。
産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される多種多様な廃棄物であり、その処理には環境汚染を防ぐための厳格な法的基準が設けられています。排出事業者には「排出事業者責任」が課せられ、最終処分まで責任を持って管理する義務があります。
最終処分場の不足や環境汚染のリスクといった課題は依然として存在しますが、私たちはこれらの課題に対し、リサイクルの推進や処理技術の向上、そして処理工程の厳格な管理を通じて、持続可能な未来を築くことができます。廃棄物を単なるゴミとしてではなく、再利用可能な資源として捉え、循環型社会の実現に向けて一歩一歩前進していくことが重要です。
未来を担う私たち一人ひとりが産業廃棄物に関する知識を深め、適切な処理を実践することで、地球環境の保全に貢献し、次世代へと豊かな自然を引き継いでいくことができるでしょう。
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