産業廃棄物処理施設の設置許可について解説!

産業廃棄物処理施設の設置許可について

産業廃棄物の中間処理を行う施設(中間処理施設)や埋立処分施設(最終処分場)を設置する際、処分する廃棄物の種類や施設の規模によっては、産業廃棄物の設置許可が必要となる場合があります。

この産業廃棄物処理施設の設置許可は、産業廃棄物処理業を行う許可とは別になるので整理して理解しておきましょう。

廃棄物処理法に規定される2つの許可

第14条
産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあっては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
産業廃棄物処理業を行う場合(他者物を扱う場合)に必要となる、いわゆる「業」の許可のことです。

第15条
産業廃棄物処理施設を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
施設が一定の種類や一定の規模の場合に必要となる設置許可であり、施設に対する許可です。(他者物の扱いに限らず、自者の排出の場合も含みます。広域認定の場合も免除されません。)

下記の対象施設に該当すると「設置許可対象施設(15条施設)」となり、第14条の許可を申請する前に、設置許可を取得しなければなりません。
多くの場合、建築基準法第51条但書許可(生活環境影響調査や都市計画審議会等)を経る必要があります。(一部、工業地域、工業専用地域の特例があります)

反対に、下記に該当しない小規模な処理施設の場合は、第15条許可の手続きが不要となり、環境アセスメントや都市計画審議会の手続を経ることはありませんので、許可までの時間が短くなります。

施設の種類 能力・規模
1 汚泥の脱水施設 10m3/日を超えるもの
2 汚泥の乾燥施設 10m3/日を超えるもの
汚泥の天日乾燥施設 100m3/日を超えるもの
3 汚泥の焼却施設 5m3/日を超えるもの
又は200kg/時以上のもの
又は火格子面積が2m2以上のもの
4 廃油の油水分離施設 10m3/日を超えるもの
5 廃油の焼却施設 1m3/日を超えるもの
又は200kg/時以上のもの
又は火格子面積が2m2以上のもの
6 廃酸又は廃アルカリの中和施設 50m3/日を超えるもの
7 廃プラスチック類の破砕施設 5t/日を超えるもの
8 廃プラスチック類の焼却施設 100kg/日を超えるもの
又は火格子面積が2m2 以上のもの
8の2 木くず又はがれき類の破砕施設 5t/日を超えるもの
9 有害物質を含む汚泥のコンクリート固型化施設 すべて
10 水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設 すべて
10の2 廃水銀等の硫化施設 すべて
11 汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設 すべて
11の2 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設 すべて
12 廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設 すべて
12の2 廃PCB等又はPCB処理物の分解施設 すべて
13 PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設又は分離施設 すべて
13の2 産業廃棄物の焼却施設
(汚泥、廃油、廃プラスチック類及び廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設を除く。)
200kg/時以上のもの
又は火格子面積が2m2 以上のもの
14 産業廃棄物の最終処分場 すべて

引用:埼玉県環境部「産業廃棄物処理施設 設置・変更許可申請等の手引


DXE株式会社資料DL

施設設置許可の申請

産業廃棄物処理業の許可については以前のコラムに記載していますが、「欠格事由に該当しないこと」「講習会を修了すること」「経理的基礎の要件を満たすこと」「運搬施設の要件を満たすこと」「事業計画の要件を満たすこと」が要件となっています。

収集運搬業のみであれば、自治体によって異なりますが概ね半年程度で許可証の取得が可能です。
(積替保管があるともう少し日数が必要になるケースもあります)

一方、一定規模の中間処理施設や最終処分場を持って処分業を行う場合は、環境アセスメントや都市計画審議会の手続を含む施設設置許可の取得が必要になります。もちろん並行して施設そのものの建設を行う必要がありますので、数年から十数年が必要になります。途中で計画を変更もしくは断念せざるを得ないリスクもあります。

申請手続のフローは下図のようになります。(埼玉県の例になります)
申請書の提出に先だって「産業廃棄物処理施設設置等計画書」及び「生活環境影響調査計画書」を作成して、事前協議もしくは事前相談と呼ばれる手続きに臨みます。目途が立った段階で「生活環境影響調査」を行うことになりますが、生活影響調査の内容についても事前協議の中で確認することになります。
本申請では「産業廃棄物処理施設設置許可申請書」と「生活環境影響調査結果」を提出します。審査が終わると許可対象施設の建設に着工しますが、このタイミングで利害関係者(近隣住民等)への説明を行います。
その状況もふまえて審査が行われ、使用前検査を経て使用することが可能になります。
もちろん他者の廃棄物を扱う場合は、業の許可を取得していることが前提となります。

産業廃棄物処理施設設置許可事務のフロー

引用:埼玉県環境部「産業廃棄物処理施設 設置・変更許可申請等の手引

産業廃棄物処理施設の設置にあたっては、廃棄物処理法、建築基準法、都市計画法、各環境関連法令、都道府県条例など広範囲の規制を受けることとなり行政窓口も複数に渡ります。根気よく手続きを進める必要があります。
工事や環境アセスメントは専門業者に委託するケースが多いと思いますので、うまく連携を図って対応する必要があります。

施設設置の状況

2022年4月1日現在の施設許可件数および2021年度の新規施設許可件数は下表のとおりです。

施設許可件数
2022/4/1現在
新規施設許可件数
2021年度
中間処理施設 19,413 505
汚泥の脱水施設 2,677 28
廃プラスチック類の破砕施設 2,283 116
木くず又はがれき類の破砕施設 10,695 282
最終処分場 1,568 11
遮蔽型処分場 22 0
安定型処分場 931 6
管理型処分場 615 5
合計 20,981 516

中間処理施設の設置許可件数は、全体で 19,413 件となっており、前年度との比較では1件(0.01%)増加となっています。内訳は、木くず又はがれき類の破砕施設が約 55.1%、汚泥の脱水施設が約 13.8%、廃プラスチック類の破砕施設が約 11.8%です。

木くず又はがれき類の破砕施設の新規設置許可件数は 282 件あり、新規許可件数の半分以上を占めています。廃プラスチック類の破砕施設116件を合わせると398件となり、破砕施設が約8割を占めています。
最終処分場の設置許可件数は、全体で 1,568 件となっており、前年度との比較では 32 件の減少となっています。内訳は、安定型931件、管理型615件、遮蔽型はわずか22件であり新設は0件です。

焼却施設の新規設置許可件数は 39 件であり、前年度と比べて 18 件増加となっています。

焼却施設の新規設置許可件数

最終処分場の新規設置許可件数は 11 件であり、前年度と比べて8件減少となっています。

最終処分場の新規設置許可件数

引用:環境省「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和3年度実績)」

最後に

一定規模の中間処理施設や最終処分場を持って処分業を行う場合、業の許可の他に施設設置許可が必要になります。特に焼却施設と最終処分場の設置はハードルが高く、許可の取得まで長い期間が必要になります。
これらの施設については公共施設であるとの認識を持ち、我々は廃棄物の減量化や分別に努め、運営者には適切な維持管理を行って頂くことで、寿命を全うできるようにしたいものです。


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