
SDGsは、豊かで活力ある未来を創り、今ある資源を次世代に残していくために定められた開発目標です。実は、産業廃棄物処理との関係も深いことをご存知でしょうか。
事業活動に伴い産業廃棄物が発生する事業を営んでいる方は、責任を持って処理する必要があるため、SDGsの概要を抑えておく必要があります。
本記事では、SDGsの17目標や産業廃棄物処理との関係などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
SDGsとは
SDGs(エスディージーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略称で、格差と環境問題を無くし、世界中の人々が豊かに生きられることを目指した持続可能な開発目標です。2001年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継となる世界共通の目標として、2015年9月の国連サミットで採択されました。発展途上国から先進国まで世界中の国々が協力し、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」をモットーとしています。
SDGsには全部で、17の目標とそれに付随する具体的な数値が定められた169個のターゲットと231個の指標が設定されています。次章でSDGsの掲げる17の目標を見ていきましょう。
SDGs17の目標
SDGsの17の目標は、以下のとおりです。
1.貧困をなくす
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
目標1から6までは主に、発展途上国における生活やインフラの基盤を整えようとする取り組みです。目標7から12までは、先進国に対する責任を定めた目標が多くなっています。包括的な目標が定められている目標13から17は、各国間同士の協力を促し、将来の世代にも今ある資源を残そうとする取り組みを推進している点が特徴です。
国際的な目標の達成に向けて、日本でもさまざまな取り組みが実施されています。例えば、中間年となる2023年には、SDGs達成に向けた取り組みを加速させるために「SDGsアクションプラン2023」が発表されました。
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」と廃棄物
廃棄物と関係があるSDGsの目標は、目標12の「つくる責任 つかう責任」です。この目標では、全部で11のターゲットが定められており、特に廃棄物と関係するのは以下の4つです。
● 【12.2】2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
● 【12.3】2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
● 【12.4】2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
● 【12.5】2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
【12.2】は、今ある資源を将来にわたって効率的に利用するためのターゲットです。限られた資源を無駄なく、そして有効活用するには産業廃棄物を適切に処理し、再利用できるものは積極的に活用することが欠かせません。
【12.3】のターゲットは主に、消費者や食品加工業者に向けて定められています。食品廃棄量を減らし、適切な場所に再分配することは目標2の「飢餓をゼロに」を達成するためにも重要です。
【12.3】【12.4】は、特に産業廃棄物と関わりの深いターゲットです。産業廃棄物の排出量を削減し、環境に与える影響を少なくすることが定められています。
※出典:農林水産省. 「SDGsの目標とターゲット:農林水産省」(入手日付2023-10-20)
目標達成に向けてできること
SDGsの目標12の達成に向けて、取り組める対策はいくつかあります。そのうちの一つに、3Rがあげられます。
3Rとは、Reduce(ごみを減らす)・Reuse(再利用する)・Recycle(リサイクルする)の頭文字を取った造語です。そもそも無駄なものを買わない、再利用してできるだけゴミを出さない、ゴミを出す際は正しく分別してリサイクルするなどの対策があげられます。企業から消費者までが3Rを意識すれば、無駄な廃棄物を減らせる効果があると期待されています。
後述する食品ロス問題を解決するために、消費者レベルでは食べられる分だけ購入する、社会全体ではフードバンクに寄付するなどの対策ができるでしょう。
産業廃棄物の現状と問題点
SDGsでは廃棄物に関して目標が定められていますが、現状、以下にあげるような問題点を抱えています。
● 膨大な総排出量
● 食品ロス
● リサイクルによる循環
それぞれ詳しく解説します。
膨大な総排出量
人間が生活する中でさまざまなものが排出されますが、その量をご存知でしょうか。環境省の発表によれば、令和2年度の全国の産業廃棄物の総排出量は3億7,382万トンです。
企業や個人レベルでの努力も見られ、前年度に比べ1,200万トン(約3.1%)減少しています。
このうち、53.2%にあたる1億9,902万トンは再利用され、最終処分量は2.4%分の909万トンとこちらも減少傾向にあります。
しかしながら、そもそもの総排出量が多いため最終処分量は決して少ないものだとはいえません。特に最終処分量の割合が高い、燃え殻(21.5%)、ゴムくず(19.0%)、廃プラスチ
ック類(15.7%)、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(15.4%)、繊維くず(13.1%)などの処分量を減らしたり、有効活用したりするための対策が求められます。
また、「電気・ガス・熱供給・水道業」「農業・林業」「建設業」「パルプ・紙・紙加工品製造業」の4業種で総排出量の8割を占めており、これらをいかに減らすかが重要です。
※参考:環境省. 「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度実績)について | 報道発表資料 | 環境省」 (入手日付2023-10-20)
※参考:環境省. 「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和2年度実績)」 (入手日付2023-10-20)
食品ロス
食品ロスは、本来食べられるのに捨てられる食品のことです。日本では年間523万トンの食品ロスが発生し、一人あたり年間42キロ排出されています。
世界的にも食品ロスは問題視されています。WWF(世界自然保護基金)とイギリスを拠点に事業を展開する小売事業者のTesco(テスコ)が発表した資料によると、生産された全ての食料のうち40%にあたる25億トンが廃棄されていることが判明しました。
発展途上国では、主な収穫物であるイモ類の貯蔵が難しいため、流通や加工での排出割合が高くなっています。一方で先進国は、消費者レベルでの排出量が多く、簡単に食品を廃棄する傾向が見られます。
食品ロスを焼却して処理する際に発生する大量の二酸化炭素は、地球温暖化を促進する一つの因子にもなっています。
※参考:農林水産省. 「食品ロスとは:農林水産省」(入手日付2023-10-20)
※参考:WWF「Driven to Waste Global Food Loss on Farms | WWF」(入手日付2023-10-20)
リサイクルによる循環
産業廃棄物や食品ロスを減らすために重要なのは、適切にリサイクルして循環させることです。日本では、廃棄物に対して個別で定められた法律があります。
例えば、容器包装リサイクル法は、商品の包装や容器に使われる缶・びん・レジ袋などのリサイクルを促す目的で制定されました。
その他、家電リサイクル法や食品リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法、小型家電リサイクル法などがあり、持続可能な循環型社会の実現に向けた取り組みを支えています。
SDGs目標達成には産業廃棄物の適切な処理が重要
SDGsの目標達成には、消費者から企業と社会全体で取り組む必要があります。そのうち企業に求められるのは、産業廃棄物の適切な処理です。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、事業者の責務として「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と定められています。
マニフェストを発行し、自社の排出した産業廃棄物が適切に処理されているか確認しましょう。
※参考::e-GOV. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-10-20)
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