古いガソリンの処分方法は?正しい捨て方と注意すべきことを紹介

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乗らなくなった車やバイク、発電機や除草機、トラクターなどにガソリンが残っている場合があります。ガソリンは長期間使っていないと劣化し、そのまま使用するとエンジンが故障する恐れもあるため、劣化したガソリンは処分しなければなりません。では、古くなったガソリンはどうやって処分すればよいのでしょうか。

本記事では古いガソリンの処分方法を解説します。ガソリンは揮発性が高く、発火点が低いことから消防法上の「危険物」に該当するため、正しく安全に処分するようにしてください。

ガソリンを捨てたい!不要なガソリンの処分方法

不要になったガソリンや古くなったガソリンは、原則として自治体にごみとして回収してもらえません。一般的な自治体では「処理困難物」に指定されているためです。

多くの自治体はガソリンを可燃ごみとして廃棄するのを禁じています。

自治体に出せないからといって川や下水道に流したり、地中に埋めて処分するのも厳禁です。もし流したり埋めたりすると環境に悪影響を与えるだけでなく、不法投棄の罪に問われる可能性もあります。

また下水道にガソリンを流して爆発事故などが起こった場合、下水道法第18条に基づき修復費用を請求される可能性があります。河川にガソリンが流出してしまった場合も、清掃費用の負担を命じられる恐れもあるため注意が必要です。

不要になったガソリンは、以下の方法のどれかで処分するようにしてください。

● ガソリンスタンドに持ち込む
● 産業廃棄物処理業者に処分を依頼する

それぞれの処分方法を詳しく見ていきましょう。

※参考:e-Gov法令検索.「下水道法」 「河川法」, (入手日付2023-11-06).

ガソリンスタンドに持ち込む

不要になったガソリンは、ガソリンスタンドで引き取ってもらえる場合があります。無料で引き取ってもらえる場合もあるため、近くのガソリンスタンドで確認しましょう。

ただし、どのガソリンスタンドでも引き取ってもらえるとは限りません。同じ系列店であってもガソリンを引き取っていないスタンドもあります。ガソリンスタンドによっては、当該スタンドで購入したことを証明できるレシートや領収書がなければ回収不可としている場合もあります。

一方、レシートや領収書がなくても、有料であれば引き取ってくれる場合もあるので事前に電話で確認するのがおすすめです。

なおガソリンスタンドまで運ぶ場合、後述するような容器に入れ、運搬基準に従って持ち運ぶ必要があります。

産業廃棄物処理業者に処分を依頼する

近くのガソリンスタンドで引き受けてもらえない場合や、自分でガソリンスタンドに持ち込めないケースでは、不用品の回収処理業者に処分を依頼するとよいでしょう。

回収処理業者なら自治体での回収が難しいごみも引き取ってくれます。自分の都合に合わせて回収日程を調整できるのも、回収処理業者に依頼するメリットです。

ただし、ガソリンはどの回収処理業者でも引き取り可能なわけではありません。ガソリンの処分ができるのは、特別管理産業廃棄物の廃油の許可を持っている処理業者だけです。

特別管理産業廃棄物とは「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずる恐れがある性状を有する廃棄物」のことを指します。

ガソリンも特別管理産業廃棄物に分類されます。従ってガソリンは自治体から許可を得た特別管理産業廃棄物処理業者でないと処理できません。

ガソリンの処理を業者に依頼する際は、特別管理産業廃棄物の収集運搬許可あるいは処分許可を自治体から得ているかどうか確認した上で選ぶようにしましょう。

処理・収集運搬の許可がない業者へ委託した場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金もしくはその両方が科せられるため注意してください。

なお、特別管理産業廃棄物の処理業者は以下で検索できます。

● 産業廃棄物処理事業振興財団:「産廃処理業者検索さんぱいくん」
● 産業廃棄物処理事業振興財団「産業廃棄物処理業許可行政情報検索システム」

どちらもエリアを指定して「特別管理産業廃棄物」の欄にチェックを入れて検索すると、近くの特別管理産業廃棄物業者が探せます。

※参考:環境省.「特別管理廃棄物規制の概要」, (入手日付2023-11-06).
※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」, (入手日付2023-11-06).


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ガソリンは危険物!正しい取り扱い方法

ガソリンは消防法第2条第7項に定義される危険物(危険等級Ⅱ第4類危険物)に該当する文字どおり危険な物質です。危険物とは火災、爆発、中毒などを引き起こす危険性がある物質の総称です。

第4類危険物とは引火性液体(引火しやすい液体)のことで、ガソリンのような引火性液体が発生させた可燃性蒸気は、空気と混合した際に火気、火花、静電気、摩擦熱により引火や爆発を起こす危険性があります。

ガソリンの引火点(燃焼が始まる最低温度)はマイナス40度と軽油などと比べて低く、常温でも火を近づければ発火してしまいます。また蒸気を吸引すると頭痛、吐き気、耳鳴り、胸部熱感などの中毒症状が現れる可能性もあるため注意が必要です。

ガソリンは危険な物質なので、保管方法や運搬方法についても政令や条例で定められている通り適切に取り扱わなければなりません。ここからはガソリンの保管方法・運搬方法を解説します。

※参考:総務省消防庁.法令「危険物」とは?, (入手日付2023-11-06).

保管方法について

ガソリンは発火の危険性が極めて高い物質のため、もし火災が発生すると爆発的に延焼が拡大します。そのため貯蔵は、極力控えることが求められます。

保管する場合も灯油用プラスチック容器などに入れることは、消防法令で認められていません。安全に保管するためには、ガソリンにたまった静電気を逃せる金属製の携行缶を使用しましょう。

消防法令でガソリンを入れる容器として認められた容器で貯蔵する場合でも、ガソリンで合計40リットル以上貯蔵する場合、事前に管轄の消防機関に届け出なければなりません。また200リットル以上を保管する場合は、消防法による厳しい規制のもとで保管する必要性があります。

保管場所にも注意してください。ガソリンを入れた容器は金属製の棚や床面など、静電気を地面に逃せる場所に保管しましょう。ダンボールなどの絶縁体の上に置くと、ガソリンに静電気がたまり大変危険です。

さらにガソリンの保管場所には以下のような条件が求められます。

● 直射日光が当たるような高温になる場所に容器を置かない
● 周辺に火気がなく、通気や換気のよい場所を選ぶ
● 保管容器は密栓し、ガソリン蒸気が流出しないようにする
● 金属製の棚や床面など静電気を地面に逃せる場所に保管する

消防法に適合していない容器で保管した場合は、法律違反となり罰則が科される可能性もあるため注意しましょう。

※参考:北海道公式ホームページ.「ガソリン等の適正な取扱いについて」, (入手日付2023-11-06).
※参考:e-Gov法令検索.「消防法」 , (入手日付2023-11-06).

運搬方法について

乗用車でガソリンを運ぶ場合、容器がガソリン用としての性能試験をクリアした金属製で、最大容積が22リットル以下であれば運搬が可能です。灯油用ポリ容器や一斗缶、ペットボトルなどで運ぶことは消防法令で禁じられています。金属製の携行缶など消防法に適合した容器に入れて運びましょう。

消防法で定められた安全性能基準に適合している携行缶には「KHKマーク」や「UNマーク」が付されているため、購入時に確認するようにしてください。携行缶はホームセンターや自動車用品店、インターネット通信販売などで販売されています。

ガソリンを車で運搬するときの注意点は以下の通りです。

● きちんと密栓して、注入口を上向きにする
● 容器の外側に「ガソリン」および「火気厳禁」と分かりやすく記載する
● 1台で200リットル以上を運ぶ場合は「危」マークを表示して消火設備を設置する
● ガソリンの入った容器を車両に搬入・搬出するときはエンジンを切る
● 運搬中に容器が転倒したり破損したりしないように積載する
● 高圧ガスや酸化性物質と混載しない

ガソリンは危険物取扱者の資格がなくても車両で運搬できますが、指定数量(200リットル)以上の危険物を取り扱う場合には、危険物取扱者の資格が必要です。

ガソリンは爆発の恐れもある危険物です。もし保管・運搬について不明点や疑問点がある場合は、近隣の消防本署に問い合わせるようにしてください。

※参考:消防庁.「身近な危険物の注意点」, (入手日付2023-11-06).
※参考:甲府地区広域行政事務組合消防本部.「危険物(ガソリン等)の情報」, (入手日付2023-11-06).

ガソリン処分の費用相場

ガソリンを処分する際にかかる費用相場について解説します。

処分方法によっても費用相場は異なりますが、処分費用が安いのはガソリンスタンドに引き取ってもらう方法です。量によって料金は異なる場合がありますが、引き取り可能なガソリンスタンドでは無料〜500円程度が目安です。ただし、引き取りをしていないガソリンスタンドもあるため、事前に問い合わせて確認してください。

回収業者に依頼した場合、業者によって引き取り料金は変わります。大まかな目安として1kg当たり40〜80円程度と考えておくとよいでしょう。これに出張料や車両費が発生する場合もあります。

地域によっても料金が異なってくるため、事前に複数業者に相見積もりを取ってみると、地域の相場が分かります。

ガソリン処分に関する6つのよくある質問

最後にガソリン処分に関してよく寄せられる質問に回答します。よくある質問は以下の6つです。

● ガソリンの処分は消防署でもできる?
● ガソリン処分する際に処理剤で処理しても良い?
● 少量のガソリンなら自分で処理できる?
● ホームセンターでガソリンの引き取りはしてもらえる?
● ガソリンに引き取り義務はないの?
● ガソリンを固める方法は?

該当するものがあれば参考にしてみてください。

ガソリンの処分は消防署でもできる?

消防署でのガソリンの処分は実施していません。ガソリンスタンドや産業廃棄物処理業者と相談して処分するようにしましょう。また地域の消防署に相談すると、ガソリンの処分方法をアドバイスしてくれることもあります。

※参考:豊中市.「古い灯油やガソリンを処分したいのですがどうすればよいですか」, (入手日付2023-11-07).

ガソリンを処分する際に処理剤で処理しても良い?

路上に流出したガソリンなどの油を吸着する流出油処理剤も市販されていますが、引火の危険性は完全には排除できません。処理剤を使用して自分で処理するのは危険です。ガソリンは危険物であるため、ガソリンスタンドに引き取ってもらうか、産業廃棄物処理業者に処理してもらいましょう。

※参考:東京消防庁.「流出消防技術安全所報 46号(平成21年) 処理剤に関する検証」, (入手日付2023-11-07).

少量のガソリンなら自分で処理できる?

少量のガソリンであれば、回収を行っている自治体もありますが、ほとんどの自治体では可燃ごみとしてガソリンを出すことを禁止しています。たとえ少量であっても発火や爆発の危険のある物質であることを念頭に置き、ガソリンスタンドや産業廃棄物処理業者に相談することを推奨します。

ホームセンターでガソリンの引き取りはしてもらえる?

ホームセンターではガソリンの引き取りをしていないのが一般的です。

ただし灯油やエンジンオイルの場合、引き取りをしているホームセンターもあります。当該店舗で購入した場合のみ、引き取り可としているホームセンターもあるため、購入時のレシートなどを準備しておくとよいでしょう。

ホームセンターで引き取りをしていない場合は、ガソリンスタンドまたは許可を得ている産業廃棄物処理業者に相談してみてください。

ガソリンに引き取り義務はないの?

販売したガソリンスタンドに法的な引き取り義務はありません。受け入れてくれるガソリンスタンドはあくまで任意のサービスとして引き取っています。

産業廃棄物の処理業者もビジネスとして回収を請け負っているのであり、引き取り義務はありません。従って利益が出ない場合、受け入れを断ることもできます。

ガソリンスタンドや特別管理産業廃棄物の処理業者に引き取ってもらいたい場合は、事前に引き取り可能かどうか、料金はいくらかなどを確認しておくのがおすすめです。

ガソリンを固める方法は?

使用済みの食用油を固めて「燃えるごみ」として廃棄する廃油凝固剤は市販されていますが、食用油の凝固剤はガソリンには使用できません。

食用油の凝固剤は温めた油に薬剤を溶かし、廃油を固める仕組みです。しかしガソリンは温めると引火してしまいます。重大事故を引き起こす恐れもあるため、温めるのは厳禁です。また常温のままでもガソリンを固める効果はありません。

ガソリンは危険物です。個人で処理しようとせず、ガソリンスタンドや特別管理産業廃棄物の処理業者に依頼するようにしてください。

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