有価物の具体例とは?特徴や産業廃棄物との違いも解説

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事業活動に伴いさまざまな不要物が排出されますが、これらは大きく分けて廃棄物と有価物に分類されます。

廃棄物は占有者の意思に処理を任せると、放置され自然環境や健康状態に悪影響を及ぼす可能性が考えられるため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃棄物処理法)に基づき適切に処理する必要があります。

では、有価物の場合はどのように処理したら良いのでしょうか?

そこで本記事では、有価物の概要や特徴、主な具体例などをご紹介します。記事後半では産業廃棄物との違いや、処理する際の注意点なども解説するのでぜひ参考にしてください。

有価物とは何?

有価物の定義を定めた法令などはありませんが、一般的に「占有者が不要になった場合でも、何らかの価値を有している物」とされます。不要物であっても有価物と判断されるなら、廃棄物のように厳格に法令で処分方法が定められているわけではないため、他人に有償で譲渡することも可能です。

例えば、古くなり壊れて使用しなくなったパソコンやスマートフォンなどの電子機器は、占有者にとっては不要物かもしれません。しかし、再利用できるように修繕したり、分解して部品を取り出し他の製品の素材や材料として再利用したりできれば、まだ価値を持っているといえます。

有価物の主な具体例

有価物は以下に示すように、金属や石油製品に多く見られます。

● 金属くず
● 古紙類
● 樹脂類
● その他の有価物

それぞれの概要や特徴などをご紹介します。


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金属くず

金属くずは工場や小売店、病院、建設解体現場などの場面で排出され、主に以下の種類が挙げられます。

● 鉄くず ● 空かん ● 古鉄・スクラップ ● ブリキ ● とたんくず ● 箔くず ● 鉛管くず ● 銅線くず ● 鉄粉 ● バリ ● 切断くず ● 切削くず ● 研磨くず ● ダライ粉 ● 半田かす ● 溶接かす

金属くずは一般的に産業廃棄物に分類されますが、再利用やリサイクルにより新たな資源や製品の材料としても活用できる点が特徴です。金属くずの有価物は、主に以下の3つに分類できます。

● 鉄スクラップ:製鉄の材料となる。不純物が含まれているが、貴重な資源。
● アルミニウムスクラップ:アルミ地金の原料。ボーキサイトから精錬するよりもエネルギー効率が良い。
● 金スクラップ:金・銀・プラチナ・パラジウムなどの貴金属が含まれる。電子機器や医療用合金には欠かせない素材となる。

金属くずの種類や発生場面、処分方法などの詳細は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

参考:東京都環境局 「産業廃棄物の具体例」(入手日付2020-12-11)

古紙類

建設業やパルプ・紙製造業、印刷物加工業などで発生した紙くずは、通常であれば産業廃棄物として扱われます。
しかしダンボール、新聞紙、雑誌など再生利用が可能なものに関しては、古紙回収業者に有償で買い取ってもらうことができます。相場にもよりますが、加工や不純物が少なく、リサイクルしやすい紙ほど買取価格が高くなります。

樹脂類

有価物となる樹脂類には、ペットボトルや塩化ビニル管、樹脂パレット、包装用フィルム・ラミネートなどが挙げられます。大きく分けて、以下の3つのリサイクル方法があります。

● マテリアルリサイクル:廃プラスチックを原料にプラスチック製品を作る。
● ケミカルリサイクル:廃プラスチックに化学的な処理を施して分解し、再利用する。
● サーマルリサイクル:廃プラスチックをガス・油などの固形燃料にしたり、燃やして熱エネルギーとして利用したりする。

その他の有価物

ここまでに挙げた金属くずや古紙類、樹脂類以外にも、有価物はいくつかあります。活用事例と共にご紹介します。

● ガラスくず:溶解してガラス製品にする。建築資材に混ぜて強度を高める。
● 廃液:肥料・路盤材にする。セメントの原料にする。
● 廃酸・廃アルカリ:中和してから路盤材として利用する。
● 汚泥:セメントの原料にする。固化処理して再生砂・リサイクル土材などの再生土にする。
● 木くず:ボイラー燃料としてバイオマス発電や製紙会社で再利用する。
● 陶磁器くず:再生砂・再生路盤材にする。砕いて陶器の原料にする。
● 動植物性残渣:家畜の飼料にする。
● ばいじん:再生路盤材やセメントの原料にする。

産業廃棄物と有価物の違い

産業廃棄物は無償で引き取ってもらったり、放置したりすることはできず、マニフェストを発行して一定期間保存しなければならないなど、処分の一連の流れが厳格に定められています。産業廃棄物を収集・運搬する場合は産業廃棄物収集運搬の許可を、処分する場合は産業廃棄物処分業の許可を、地方自治体や政令市から得なければなりません。

一方の有価物はこうした許可は必要ありませんが、古物商許可や金属くず商許可などの取得が必要です。

なお産業廃棄物は廃棄物処理法で明確に定義されており、具体的には以下の20種類が挙げられます。
【あらゆる事業活動に伴うもの】
● 燃え殻 ● 汚泥 ● 廃油 ● 廃酸 ● 廃アルカリ ● 廃プラスチック類 
● ゴムくず ● 金属くず ● ガラス・コンクリート・陶磁器くず 
● 鉱さい ● がれき類 ● ばいじん

【特定の事業活動に伴うもの】
● 紙くず ● 木くず ● 繊維くず
● 動物系固形不要物 ● 動植物残渣 ● 動物のふん尿 ● 動物の死体

【上記の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの】
● 汚泥のコンクリート固形化物

上記の不要物は産業廃棄物に分類されますが、場合によっては有価物にもなり得ます。その際、以下に示す5つの要素に基づき、総合的に判断されます。

● 物の性状:十分な品質が保たれているか
● 排出の状況:需要に沿って計画的に排出されているか
● 通常の取り扱い形態:製品としての市場が形成されているか
● 取引価値の有無:占有者から取引相手に有償譲渡されているか
● 占有者の意思:占有者に有償譲渡する意思があるか

有価物と産業廃棄物のいずれに分類されるかは、以下の記事で詳しく解説しているので、適切に処分するためにもぜひ参考にしてください。

有価物にマニフェストは必要ないが一部例外あり

マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは、産業廃棄物が適切に処理されたかを確認するための書類です。産業廃棄物の排出事業者は、収集・運搬・処分を外部に委託する際に、マニフェストを交付しなければなりません。

一方、有価物の場合は産業廃棄物でないためマニフェストを交付する必要はありません。
ただし、有価物と産業廃棄物が混ざってしまっているような場合は、混合廃棄物としてマニフェストの交付が必要となります。

有価物を処理する際の注意点

有価物を処理する際は、以下の注意点を押さえてください。

● 産業廃棄物と有価物は誰が見ても分かるように分別する
● 有価物は他のものと混合しない
● 不要物の分類が曖昧な場合は自治体に相談する

産業廃棄物を有価物として処理すると、廃棄物処理法に基づき罰則が課せられる可能性もあるので、内容をしっかり把握しておきましょう。

産業廃棄物と有価物は誰が見ても分かるように分別する

産業廃棄物と有価物は、見た目では判断できないこともあります。両者が混同されて処分されると、自然環境や生活環境に悪影響を及ぼす恐れがあるので、誰が見ても分かるように分別しましょう。

例えば、樹脂類の中でも有価物は赤色の容器に、産業廃棄物は青色の容器に入れてラベリングするなどの方法が挙げられます。こうすれば、どこに廃棄すればよいのかが一目瞭然となります。

有価物は他のものと混合しない

有価物と産業廃棄物をしっかり区別して処分するためには、不要物の種類や性質を正確に理解し、適切なカテゴリに分類することが求められます。その上で、有価物は他のものと混合しないよう、注意して処分しましょう。

有価物の中に産業廃棄物が混合した状態で有償売却することは、廃棄物処理法に違反する行為です。
有価物として認められないのはもちろん、違法に産業廃棄物を処理したとして罰則が科される可能性があるので、両者が混合しないような処分体制を整えておきましょう。そうすれば、余計な分別処理費用がかかるのも防げます。

不要物の分類が曖昧な場合は自治体に相談する

事業活動に伴い排出された不要物が、産業廃棄物と有価物のどちらに分類されるかは「物の性状」「排出の状況」「通常の取り扱い形態」「取引価値の有無」「占有者の意思」により判断されることは、先述しました。しかし中には、判断が難しい場合もあります。

このようなケースでは、独断で決めるのではなく自治体に相談して判断を仰いでください。

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