鉄くずとは?種類や正しい処分方法を徹底解説

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不要となった鉄鋼製品や鉄スクラップのことを鉄くずと呼びます。鉄くずは家庭から出る場合と事業に伴って出る場合があり、事業に伴って出た鉄くずは産業廃棄物の「金属くず」として処分しなければなりません。

「DIYで出た鉄くずをどう処分したらよいか分からない」「事業で出た大量の鉄くずを問題がないよう適正に処分したい」と考えている方もいるでしょう。

本記事では家庭や事業で出た鉄くずの処分方法について解説します。鉄くずの種類や4つの処分方法、処分する際の注意点についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

鉄くずとは?鉄くずの定義を解説

鉄くずとは「鉄でできたごみ」「不要になった鉄製品をスクラップしたもの」を指し、「鉄スクラップ」とも呼ばれます。代表的な鉄くずは以下のようなものです。

● プレス処理した後の廃車
● 鉄筋
● 橋げたなどの建築用鋼材
● 家電製品などから回収した鉄
● 飲み物のスチール缶など

事業に伴って排出された鉄くずは、20種類ある産業廃棄物の中の「金属くず」に分類されます。金属くずは再生資源として有効活用できる廃棄物です。環境省による「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書(令和3年度速報値)」によれば、金属くずのリサイクル率は95.9%と高く、溶解して再利用したり、海外に輸出したりされています。鉄くずは正しく処分してリサイクルできるようにしましょう。

なお、金属くず全般についての詳細は「産業廃棄物の金属くずとは?有価物として売却可能?処分方法も解説」も参考にしてみてください。

参考:環境省 「令和4年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」(入手日付2024-01-04)


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鉄くずの種類は?2つの分類方法を解説

鉄くずの分類方法として代表的なのは以下の2つです。

● 発生源ごとの分類
● 鉄の種類ごとの分類

それぞれの分類を詳しく見ていきましょう。

発生源ごとに分類

鉄くずは発生源ごとに分類でき、「自家発生スクラップ」と「市中スクラップ」の2つに分けられます。

自家発生スクラップとは、鉄鋼メーカーが製鋼や製品加工する工程で発生する鉄くずのことです。自家発生スクラップは主に鉄鋼メーカーで再利用が図られます。

一方、市中スクラップとは文字どおり市街の中に出回っている鉄くずのことです。市中スクラップはさらに2種類に細分化できます。

一つは自動車や機械などの製造工場で排出される「工場発生スクラップ」、もう一つは廃車や建築物、使用済みの鉄製品などの形で排出される「老廃スクラップ」です。

市中スクラップは回収業者によって集められ、加工業者によって圧縮やせん断、破砕加工などが施されて再利用されます。

鉄の種類ごとに分類

鉄くずは含まれる鉄の種類でも「銑(せん)くず」と「鋼(はがね)くず」の2種類に分けられます。それぞれの具体例は以下のとおりです。

銑くず 鋼くず
・上銑くず(機械や道具銑として利用)
・並銑くず(鍋・かま、ロストルに利用)
・可鍛鋳鉄銑くず
・炭素鋼くず
・定道炭素くず
・低りん、低硫、低銅炭素鋼くず
・合金鋼くず
・雑用鋼くず

銑くずと鋼くずの違いは、鉄に含まれる炭素の量にあります。銑くずは鉄鉱石を高炉などで溶かしたもので、含まれる炭素の量は2.1%以上です。その銑くずを製鋼炉で精錬し、炭素量を0.5〜2.1%に調整したものが鋼くずとなります。

鉄くずはどうやって捨てる?正しい処分方法を解説

鉄くずは正しく処分すると再生利用ができます。正しい処分方法は以下の4つです。

● 普通ごみとして捨てる
● 粗大ごみに出す
● 買取業者に売却する
● 不用品回収業者に依頼する

それぞれの処分方法を詳しく見ていきましょう。

普通ごみとして捨てる

家庭で使用していた鍋やアイロン、ガスコンロや炊飯器、ネジなどサイズが比較的小さい鉄くずは、普通ごみとして自治体で処分が可能です。

最も長い辺が30cm未満の大きさの鉄くずであれば、特別な手続きが必要ない自治体も多く、専用のごみ袋に入れるだけで、通常のごみ出しと同じように捨てられるため手間もかかりません。

自治体によって分別方法は異なりますが、小さな鉄くずは不燃ごみや金属ごみ、資源ごみとして出せるのが一般的です。住んでいる地域によって分別収集のルールが異なるため、市区町村のホームページなどでルールを調べておきましょう。

粗大ごみに出す

自治体指定のごみ袋に入らない大きな鉄くずは、粗大ごみとして処分しなければなりません。粗大ごみの回収は有料です。料金は自治体によって異なりますが、おおよそ500〜1,500円程度かかります。

また粗大ごみの回収は普通ごみと異なり、予約制となっているのが一般的です。予約した場合、早ければ1週間以内に回収してもらえますが、年末の大掃除シーズンなど混雑している場合は1カ月程度待つこともあります。

粗大ごみの定義は自治体によって異なりますが、一辺の長さが30cmを超えるごみを粗大ごみとして扱っている自治体が多い傾向です。

例えば東京都では縦・横・高さのいずれかが30cm以上の場合、粗大ごみとして取り扱う必要があります。また東京都では一辺が180cmを超える粗大ごみは収集していません。

粗大ごみに該当する場合は、自治体のルールに従って粗大ごみ専用のシール券をコンビニエンスストアやドラッグストアなどで購入し、指定日に指定の場所に運ぶのが一般的です。なお、事業者から出る粗大ごみは、原則として自治体で収集していません。

参考:東京都港区 「家庭から出る粗大ごみの出し方」(入手日付2024-01-05)

買取業者に売却する

事業所などで大量に鉄くずを排出した場合は、買取業者に売却が可能です。

鉄くずはリサイクルできるため、専門業者による買取が行われています。近くの買取業者に持ち込みできるかどうか確認してみましょう。近くに買取業者がない場合は、出張買取している事業者に依頼するとよいでしょう。

売却すると処分費用が不要なだけでなく、鉄くずを現金化できます。買取価格は事業者や相場によって変わりますが、1kg当たり20〜40円程度です。例えば400kgの鉄くずであれば8,000〜16,000円程度で売れる計算です。

ただし、持ち込みでなく回収を依頼する場合は、収集運搬費用が買取価格から差し引かれる場合もあるため、差し引きでいくらになるのか事業者に確認しておきましょう。

また産業廃棄物の金属くずに該当する場合、事業者が産業廃棄物の取り扱い許可を所持しているかどうかも要チェックです。許可を持たない事業者に依頼すると法律違反となり、罰則が科される可能性もあるため注意してください。

参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理および清掃に関する法律(第二十五条第一号)」(入手日付2024-01-05).

不用品回収業者に依頼する

不用品回収業者に鉄くずの回収を依頼するのも処分方法の一つです。

例えば「鉄くずだけでなく、プラスチックごみが混ざっている」「鉄くずだけでなく、他の不用品も処分してもらいたい」などのケースでは、不用品回収業者への依頼を検討するとよいでしょう。

不用品回収業者は鉄くずだけでなく、あらゆる種類の不用品を回収してくれます。依頼すると分別の必要もありません。収集から運搬までを不用品回収業者のスタッフに任せればよいため安心です。

ただし、買取と違って回収費用を支払う必要があります。回収費用は事業者によって異なるため無料見積もりをしてくれる回収業者に依頼するのがおすすめです。複数社の見積もりを比較して、納得できる料金で回収してもらえる事業者を見つけてください。

鉄くずを処分する際の注意点3つ

鉄くずの処分には注意すべきポイントもあります。主な注意点は以下の3つです。

● 危険性を確認して適切に処分する
● 家電リサイクル法対象の鉄くずは自分で処分できない
● 会社で出た鉄くずは産業廃棄物になる

それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。

危険性を確認して適切に処分する

鉄くずの中には適正に処分しないと危険が伴うものもあります。例えば以下のようなものです。

● カセットボンベ・スプレー缶
● 包丁・ハサミ・カミソリ・金串・刃物が付いた工具など
● 塗料缶・オイル缶

以前は家庭用カセットボンベやスプレー缶は、穴を開けてから処分するのが一般的でした。しかし、誤った方法で穴を開けると事故を招く恐れがある点から、環境省の通達により、近年は多くの自治体で処分方法が変更されています。

新たなルールではスプレー缶や家庭用カセットボンベに穴を開けず、中身が見える袋に入れて「危険」と表示した上で集積所に出す方法が一般的です。自治体によってルールが異なるため、お住まいの市区町村のルールを確認しておきましょう。

包丁やカミソリ、刃の付いた工具などは、刃がむき出しの状態で袋に入れると、ごみの収集作業員がけがを負う危険性があります。新聞紙などで鋭利な部分を覆った上で「危険」と表示して出してください。

また塗料缶・オイル缶は、缶に残った塗料やオイルを雑巾や新聞紙、市販されている油吸着マットなどに吸わせて、燃えるごみとして捨てる方法があります。エンジンオイルなどは購入したガソリンスタンドで回収してくれるケースもあるので問い合わせてみましょう。

参考:環境省「廃エアゾール製品等の排出時の事故防止について(通知)」(入手日付2024-01-05).

家電リサイクル法対象の鉄くずは自分で処分できない

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)は、家庭や事業所から排出された特定家庭用機器廃棄物から、再利用できる材料や部品をリサイクルして、資源の有効利用を推進するための法律です。

家電リサイクル法の対象となる以下の4種類の家電は、鉄くずとして処分できません。

● エアコン
● テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)
● 冷蔵庫・冷凍庫
● 洗濯機・衣類乾燥機

上記4種類に該当する家電を処分したい場合は、購入した店や許可を得ている不用品回収業者に回収してもらいましょう。

購入した店が分からない場合は、住んでいる市区町村のルールに従って処分します。ルールは市区町村によって異なるため、お住まいの市区町村のホームページなどで確認してください。

参考:経済産業省 「家電4品目の「正しい処分」早わかり!|家電リサイクル法」(入手日付2024-01-05)

会社で出た鉄くずは産業廃棄物になる

会社で不要になったデスクや椅子、パソコンや金属製の棚などの鉄くずは、産業廃棄物の金属くずに該当します。産業廃棄物は家庭ごみのように自治体に出して処分してもらえません。

会社で排出した鉄くずを処分する際は、都道府県・政令市から産業廃棄物処理の認可を受けている収集運搬業者や処分業者に依頼する必要があります。

また不要になったデスクや椅子、パソコンや金属製の棚などは、オフィス家具の買取業者が買い取ってくれるケースもあります。売却したい場合は、近くの買取業者に問い合わせてみましょう。

鉄くずに関するよくある質問3つ

最後に鉄くずの処分に関して、よく寄せられる質問に回答しましょう。

鉄くずを売却する買取業者の選び方は?

鉄くずの買取業者を選ぶ際にチェックしておきたいポイントは以下のとおりです。

● 会社の情報をホームページに明記している
● これまでにも鉄くずを多く買い取ってきた
● 問い合わせした際の対応が丁寧である

会社の情報をホームページに明記している事業者なら、安心して買取を依頼できるでしょう。万が一トラブルになったときも責任の所在が明確です。

鉄くずの買取実績が豊富で専門知識の蓄積がある事業者や、問い合わせしたときの対応が丁寧な事業者もおすすめです。また事業者を選ぶ際には実績や口コミにも目を通しておくとよいでしょう。

鉄くずは無料回収してもらえる?

鉄くずは再生利用できるため、無料回収や売却も可能です。ただし、鉄以外の不純物が多く混ざっている場合には、廃棄物と見なされてしまう可能性もあるため注意してください。廃棄物と見なされた場合には、売却や無料回収ではなく、処理費用を負担しなければならないこともあります。

鉄くず1キロの買取価格は?

鉄くず1kg当たりの買取価格の相場は20〜40円程度なのが一般的です。ただし地域や業者、不純物の割合によって買取価格が異なるため、インターネットなどで調べて費用を比較するのがおすすめです。同時に複数の買取業者から見積もりを取って、条件や価格などを比較してもよいでしょう。

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