塩酸の正しい処理方法とは? 取り扱い注意の理由や処理に関する法律を解説

塩酸の正しい処理方法とは? 取り扱い注意の理由や処理に関する法律を解説

金属表面の清掃や化学合成の反応触媒など、産業や工業分野での需要が高い塩酸。人々の生活を支えている一方で、適切に処理しなければ人体や自然環境に悪影響を及ぼすため、注意しなければなりません。

そこで本記事では、塩酸の概要や使用される場面に加えて、正しく処理する方法をご紹介します。記事後半では、塩酸が取り扱い注意な理由や処理に関する法律も解説するので、塩酸を取り扱う方はぜひ参考にしてください。

塩酸とは?

塩酸とは、無色透明もしくは薄黄色の水溶液です。塩化水素(HCl)が水に溶けたもので、水素イオンと塩化物イオンに分離するため、非常に強い酸性を示します。強い刺激臭と腐食性があり、取り扱いには十分な注意が必要です。

塩化水素の濃度が25%以上のものは、塩化水素ガスや塩酸ガスなどの煙を放出します。

塩酸自体には引火性や爆発性はなく安定していますが、特定の金属と反応すると水素が生じ、この水素が大気と混ざり合うと爆発的な反応を起こす可能性があります。

塩酸が使用される場面

塩酸の産業・工業での用途は、多岐にわたります。以下は、その代表例です。

  • 金属表面の清掃
  • 化学触媒
  • 化学薬品の製造
  • 医薬品製造

塩酸は金属加工業で、サビの清掃や酸化皮膜の一種であるスケールの除去に用いられます。酸洗処理により、金属表面の不純物や酸化物を取り除くことが可能です。

塩酸は、特定の化学反応の反応速度を高める触媒としての役割があります。触媒は省エネルギーで化学製品を合成できるため、生活を支えていると言っても過言でありません。

塩酸は、化学薬品の製造にも用いられます。例えば、塩酸を原料とし、塩化ナトリウムを生産する場面などです。

さらに医薬品を製造する際にも、塩酸は欠かせません。結膜炎や角膜炎、鼻詰まりの治療薬であるナファゾリン塩酸塩や、下痢や過敏性腸症候群の治療に用いられるロペラミド塩酸塩などの成分に含まれています。


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塩酸を正しく処理する方法

塩酸を正しく処理する方法は、廃酸の処理方法に準じます。主な処理方法は、焼却・中和・リサイクルの3つです。

焼却は廃酸の一般的な処理方法です。焼却炉で処理するために、霧状にして噴霧しながら投入します。

中和とは、酸性物質にアルカリ性物質を加えて中性に近づける処理です。廃酸の場合は、廃アルカリを用いて中和処理を行います。汚泥や有毒ガスが発生する可能性があるため、専用の設備で実施する必要があります。

廃棄予定の塩酸の一部は、リサイクル可能です。廃アルカリの中和剤、金属回収などが主なリサイクル方法に挙げられます。

こうした処理の中には、排出事業者自身で実施することが難しいものも含まれています。専門的な処理が必要になるため、廃酸を処理できる産業廃棄物処理業者への依頼を検討してください。業者を選ぶ際は、「産業廃棄物の処理業許可を得ているか」「行政処分歴がないか」「電子マニフェストに対応しているか」などをチェックしてください。

塩酸が取り扱い注意な理由

工業分野で欠かせない塩酸は、そのままでは人体と自然環境の両方に悪影響を及ぼすため、取り扱いには注意しなければなりません。人体と自然環境のそれぞれに、どのような影響を及ぼすのか詳しく見ていきましょう。

人体に影響を及ぼす

塩酸は皮膚や眼、呼吸器などの粘膜への刺激が強く、障害作用があります。誤って気道や消化管に触れると生命に危険が及ぶ可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

長期または反復暴露により、呼吸器や歯にも障害が及ぶ可能性があります。

自然環境に影響を及ぼす

塩酸をはじめとする酸性物質は、河川や湖、土壌、植物に悪影響を及ぼします。塩酸が自然環境に直接流れ出ないように、使用する際は責任を持って処理する必要があります。

塩酸の処理に関する法律

塩酸の処理に関する法律には、以下が挙げられます。

  • 廃棄物処理法
  • 水質汚濁防止法
  • 下水道法

それぞれで、塩酸の処理をどのように定めているのかを詳しく見ていきましょう。

廃棄物処理法

廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)とは、廃棄物の収集運搬や処理、保管に関する規定を定めた法律です。

廃棄予定の塩酸は、廃棄物処理法上「廃酸」と定義されます。廃酸とは、廃硫酸・廃塩酸・写真定着廃液・各種の有機廃酸類などを含む、すべての酸性廃液です。

廃酸は産業廃棄物に該当するため、法律や政令に基づき適切に処理しなければなりません。また、著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸は特定管理産業廃棄物に分類され、特に厳格な基準が設けられています。

※参考:環境省「特別管理廃棄物規制の概要」 (入手日付2024-04-06).

水質汚濁防止法

水質汚濁防止法とは、公共用水や地下水の水質汚濁を防止し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することを目的に制定された法律です。公共用水域への汚染水排出を規制しており、特定の化学物質の排出基準を設けています。
一般排水基準では、許容限度が海域以外の公共用水域に排出されるものと海域に排出されるものがそれぞれ、5.8以上8.6以下、5.0以上9.0以下に定められています。(※) ※参考:環境省「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」(入手日付2024-04-06).

下水道法

下水道法とは、公衆衛生の向上や公共用水域の水質保全を目的に制定された法律です。

塩酸を含む廃酸を処理する際は、先述した水質汚濁防止法に加えて下水道法も遵守しなければなりません。

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