
近年では、断熱材として経済性やリサイクル性に優れた「グラスウール」と呼ばれる素材が多くの用途に用いられています。ガラスを高温で溶かして製造した人工の断熱材で、安全で環境にも優しい素材です。
使用済みのグラスウールは、一般的に産業廃棄物に分類されるため、法律に基づいた適切な処理が求められます。
本記事では、グラスウールの概要やアスベストとの違い、捨て方などをご紹介します。記事後半では、グラスウールの処理方法やリサイクル方法なども解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
グラスウールとは?
グラスウールとは、ガラスを高温で溶かし、遠心力を使って細かい繊維状に加工した人工の断熱材です。優れた断熱性と吸音性を有しており、価格も安価なため、住宅や建築物の壁、天井、床、屋根など身の回りで広く使用されています。また、リサイクルしやすく環境にも優しい素材です。
グラスウールへの理解を深めるために、特徴や用途、アスベストとの違いを詳しく見ていきましょう。
グラスウールの特徴
グラスウールには、以下に挙げる特徴があります。
- 断熱性:熱伝導を防ぎ、暖房・冷房の効果を高める
- 吸音性:幅広い音域をカバーし、しっかりと吸音する
- 不燃性:ガラス素材で構成されているため、燃えにくい
- 耐久性:無機質素材であり、腐食や虫食いによるダメージが起きない
- 加工性:軽量で取り扱いやすく、施工しやすい
グラスウールの用途
グラスウールは、住宅や商業施設の壁、天井、床、屋根の断熱材として広く使用され、室内温度を一定に保ちエネルギー効率を向上させます。また、多孔質構造により高い吸音性能を持つため、音楽ホールやスタジオなどの防音対策としても有効です。
グラスウールとアスベストの違い
グラスウールと似た性質を持つ素材として、アスベストがあります。見た目や用途が似ていることから混同されることがありますが、両者はまったく違う物質です。
アスベストは、「石綿(いしわた・せきめん)」などと呼ばれる天然の繊維状鉱物です。グラスウールと同様に、断熱・耐火・防音効果に優れており、かつては吹付け石綿や石綿含有壁紙、石綿含有セメント円筒などの建築材料に用いられていました。
しかし、細かい繊維が器官に入り込むことで悪性中皮腫や肺線維症(じん肺)の原因となり、肺がんを引き起こす可能性が指摘されたことから、現在では使用・製造・輸入が禁止されています。
一方のグラスウールは、ガラスを加工して製造された非結晶繊維で、繊維の大きさはアスベストの数十倍~百倍ほどもあります。そのため体内に入り込みづらく、もし吸い込んだ際にも排出されやすいため、健康被害のリスクは低いと言えます。
グラスウールの捨て方
グラスウールは基本的に、産業廃棄物に分類されます。廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)上の分類は、「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」です。
産業廃棄物は、一般家庭から排出される一般廃棄物と同じ方法で捨てることはできません。自治体での回収もできないため、産業廃棄物処理業者に委託する必要があります。
委託先は、以下のポイントで選びましょう。
- 産業廃棄物処分業許可を得ているか
- 過去に行政処分された前歴がないか
- 優良認定制度を受けているか
上記のうち特に重要なポイントが、「産業廃棄物処分業許可を得ているか」です。無許可で営業している業者に委託した場合、廃棄物処理法第二十五条の規定により、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます(※)。
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付 2024-07-12)
グラスウールはどのように処理される?
グラスウールを処理する際は、専門の廃棄物処理業者への依頼が一般的です。その際、以下の方法で処理されます。
- 破砕
- 溶解・焼却
- 埋め立て処分
まず、グラスウールは中間処理場で破砕処理が施されます。このプロセスで、グラスウールを小さな断片に砕くことで、その後の処理を行いやすくすることが可能です。破砕されたグラスウールは、再利用可能な材料として選別され、リサイクルもしくは埋め立て処分に回されます。
グラスウールの一部は、溶解・焼却による処理が可能です。このプロセスで高温で溶解されたグラスウールは、異なる形状の資材に再利用されます。
再利用が困難なグラスウールに対しては、埋め立て処分を行います。「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」の一種であるグラスウールは、安定5品目の一種です。有害物質や有機物が付着していないものは、安定型最終処分場に埋め立て処分されます。
有害物質や有機物が付着しているものは、より厳重に管理される遮断型最終処分場や管理型最終処分場などで埋め立てられます。
グラスウールのリサイクル方法
とはいえ、処分場を圧迫してしまう埋め立て処分よりは、可能な限りリサイクルへ回したいものです。
グラスウールは時間が経過しても劣化が少なく、使用済みのものや端材も再利用することができます。また、もとの原料も多くが回収されたガラス瓶などのリサイクルガラスで構成されており、非常にサステナブルな素材です。各メーカーにおいても、広域認定制度などを利用した積極的なグラスウールのリサイクルが行われています。
(広域認定制度とは、自社製品の廃棄物に対する広域での処理が認められる制度で、地方公共団体ごとの収集運搬・処理業許可が不要になります)
もしグラスウールを廃棄する場合は、製造元のメーカーや、グラスウールの処分を得意とする廃棄物処理業者に処理を依頼することで、より適正な処理が行われやすくなります。
リサイクルされて新たなグラスウールに生まれ変わるのか、埋め立て処分が行われるのか。
どのような処理が行われていくかも含め委託先を検討することで、持続可能な社会の実現に繋げることができるでしょう。
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