
グリストラップの清掃によって発生する油や汚泥、その他の油脂分を含む廃棄物は、廃棄物処理法に基づき適切に処理する必要があります。特に油や汚泥は産業廃棄物に該当するため、自治体の許可を得た専門業者に処理を委託することが義務付けられています。一般廃棄物として扱えるのは、第1槽のバスケットに溜まる生ごみなどに限られます。廃棄物の種類を正しく把握し、適切な方法で処理を行いましょう。不適切な処理は法律違反となる可能性があります。
目次
グリストラップとは
グリストラップは、厨房排水に含まれる油や生ごみが下水道に流れ込むのを防ぐ設備です。主に飲食店などに設置されており、水質汚濁防止や排水管の詰まり予防に役立っています。グリストラップには設置場所によって屋内床置型、屋内埋設型、屋外埋設型といった種類があります。また、素材もFRP製やステンレス製などがあり、それぞれ特徴が異なります。施設の規模や構造に適した種類を選び、定期的な清掃を行うことが重要です。
グリストラップの構造
グリストラップは主に3つの槽で構成されています。最初の第1槽では、バスケットが大きな生ごみや残飯を受け止め、排水から分離します。次に第2槽で、水面に浮上した油や油脂分と、底部に沈殿した汚泥を物理的に分けます。最後の第3槽では、さらに残った油分や汚泥を取り除き、処理された水を下水道へ排出する仕組みになっています。
グリストラップの役割
グリストラップの主な役割は、厨房から排出される排水に含まれる油や汚泥、その他の油脂分や固形物が下水道へ直接流れ込むのを防ぐことです。これにより、下水道管の詰まりや公共用水域の水質汚濁を未然に防ぎます。グリストラップが適切に機能することで、排水が環境に与える負荷を減らし、衛生的な状態を保つことに繋がります。定期的な清掃と管理は、その役割を維持するために非常に重要です。
グリストラップ設置の必要性
多くの自治体では、業務用厨房へのグリストラップ設置を条例で義務付けています。これは、水質汚濁防止法や下水道法といった法律に基づき、事業活動から排出される排水が環境基準を満たす必要があるためです。特に「ノルマルヘキサン抽出物」と呼ばれる油脂類の含有量は、多くの自治体で1リットルあたり30ミリグラム以下という厳しい排水基準が定められています。グリストラップを設置することで、これらの法律や条例が定める排水基準を遵守し、適切な廃棄物処理を行うことが可能となります。設置しない場合、排水管の詰まりや悪臭の発生、さらには法律違反による罰金や懲役といった罰則が科されるリスクがあります。事業者は、法令遵守だけでなく、環境保護や衛生管理の観点からもグリストラップの適切な設置と管理を行う必要があります。
グリストラップの清掃方法
グリストラップの清掃は、悪臭や害虫の発生、排水管の詰まりを防ぐために非常に重要です。日常的には第1槽のバスケットに溜まった生ごみを取り除きます。定期的な清掃として、週に1回程度、第2槽に浮いた油(廃油)をすくい取り、月に1回程度、底部に沈んだ汚泥を取り除く必要があります。これらの清掃を怠ると、グリストラップの機能が低下し、様々な問題が発生します。
日常的な清掃
グリストラップの清掃の中でも、日常的に行うべき清掃があります。これは主に、厨房からの排水に含まれる大きな固形物を受け止める第1槽のバスケットに溜まった生ごみなどを毎日取り除く清掃です。生ごみや残飯を放置すると腐敗が進み、悪臭の原因となったり、その後の槽への水の流れを阻害したりする可能性があります。 バケットに専用のネットを装着しておくと、溜まったゴミの回収がより手軽になります。
この日常的な清掃は、グリストラップの機能を維持し、その後に続く定期的な清掃の負担を軽減するためにも重要です。日々の少しずつの清掃の積み重ねが、悪臭や排水詰まりといったトラブルの予防に繋がります。また、衛生的な厨房環境を保つためにも、この日常的な清掃を習慣化することが推奨されます。
定期的な清掃
グリストラップの機能維持には、日常清掃に加えて定期的な清掃が不可欠です。定期的な清掃では、第2槽の水面に浮いた油(廃油)や、第2槽および第3槽の底部に溜まった汚泥を除去します。廃油は週に一度、汚泥は月に一度を目安に清掃を行います。清掃頻度は業種や油の使用量によって調整が必要です。適切な清掃を行うことで、グリストラップの性能を保ち、悪臭や配管詰まりを防ぐことができます。
清掃を怠ると起こる問題
グリストラップの清掃を怠ると、悪臭の発生や排水管の詰まりなど、様々な問題が起こります。特に厨房から出る油や汚泥、その他の油脂分がグリストラップ内に溜まり続けると、腐敗して不快な臭いを放ち、従業員の作業効率や顧客満足度に悪影響を与えかねません。さらに、溜まった油や固形物が排水管の内部に付着・蓄積し、管を狭めることで排水不良や逆流を引き起こす可能性があります。これは営業停止にも繋がりかねない深刻な問題です。
また、グリストラップの不衛生な状態は、ゴキブリやハエ、ネズミといった害虫・害獣の発生源となります。これらの害虫は見た目の不快さだけでなく、食中毒の原因となる病原菌を媒介するリスクも高めます。清掃不足による汚泥や油脂の蓄積は、単に不快なだけでなく、施設の衛生状態を著しく悪化させ、最悪の場合、食中毒の発生や法律違反による罰則など、事業継続に関わる重大なリスクを引き起こす可能性があります。定期的な清掃は、これらの問題を未然に防ぎ、衛生的な環境を保つために不可欠です。
グリストラップから出る廃棄物
グリストラップの清掃で発生する廃棄物は、その種類によって廃棄物処理法における区分が異なります。第1槽のバスケットで捕集された生ごみは一般廃棄物に分類されます。一方、第2槽や第3槽に溜まる油分や汚泥は産業廃棄物となります。これらの産業廃棄物の処理は、法律に基づき適切に行う必要があります。
一般廃棄物について
グリストラップの第1槽にあるバスケットで受け止められる生ごみや残飯などは、一般廃棄物として扱われます。これは、家庭から出る生ごみと同様の種類の廃棄物とみなされるためです。これらの廃棄物処理については、各自治体が定めるルールに従って適切に行う必要があります。
産業廃棄物について
グリストラップの清掃によって発生する廃棄物は、その種類によって「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されます。第1槽のバスケットに溜まる野菜くずや残飯などの生ごみは一般廃棄物として扱われます。これは家庭から出る生ごみと同様の性質を持つためです。一方、第2槽や第3槽に溜まる廃油や汚泥は、事業活動に伴って発生した汚泥や廃油として産業廃棄物に該当します。これらの産業廃棄物の処理は、廃棄物処理法に基づいて適切に行う必要があり、許可を得た専門業者に委託することが義務付けられています。無許可の業者への委託や不法投棄は法律で固く禁じられており、違反した場合には厳しい罰則が科せられます。グリストラップから発生する廃棄物の種類を正しく理解し、適切な廃棄物処理を行うことが重要です。
汚泥と廃油の適切な処理
グリストラップから発生する汚泥や廃油は産業廃棄物として、廃棄物処理法に基づいた適正な処理が義務付けられています。これらは一般廃棄物として扱うことは法律で禁止されています。処理を委託する際は、汚泥や油の処理許可を持つ産業廃棄物処理業者に依頼する必要があり、その際にはマニフェストを交付し、適切に処理されているか確認する責任が排出事業者にあります。不適切な処理や無許可業者への委託は、法律違反となり罰則の対象となります。
法律に基づく処理の義務
グリストラップから発生する汚泥や廃油は、廃棄物処理法によって産業廃棄物に指定されています。このため、これらの廃棄物を排出する事業者は、法律に基づいた適切な処理を行う義務があります。具体的には、都道府県知事などの許可を得た産業廃棄物処理業者に処理を委託する必要があり、無許可の業者への委託や不適切な処理は法律違反となります。違反した場合、罰金や懲役といった罰則が科せられる可能性があります。排出事業者には、委託した産業廃棄物が適切に処理されているかを確認する責任もあります。
不法投棄による罰則
グリストラップから発生した産業廃棄物を不法投棄した場合、法律で定められた廃棄物処理法に違反することになります。これには厳しい罰則があり、個人には5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。また、法人の場合は3億円以下の罰金となることもあります。不法投棄は環境汚染や景観悪化を招くだけでなく、こうした重い罰則を受けるリスクがあるため、産業廃棄物は必ず法律に従って適切に処理する必要があります。
排出事業者の責任
排出事業者、つまりグリストラップの設置者は、排出された産業廃棄物を自らの責任で適切に処理する義務があります。専門業者に処理を委託した場合でも、最終的な処理責任は排出事業者にあります。不適切な処理は法律違反となり、重い罰則が科される可能性があります。信頼できる産業廃棄物処理業者に委託し、マニフェストなどで適切に処理されているか確認することが重要です。
マニフェストの役割
マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、産業廃棄物の適正な処理を目的とした重要な書類です。排出事業者は、産業廃棄物の処理を委託する際にマニフェストを交付し、廃棄物の種類や量、運搬業者、処分業者などを記載します。これにより、委託した産業廃棄物が最終処分まで適切に処理されているか追跡・確認できる仕組みになっています。最近では、情報の透明化と事務手続きの効率化を図るために電子マニフェストの利用も推奨されています。マニフェストは法律で定められた期間保管する義務があります。
処理業者の選び方
グリストラップから発生する汚泥や廃油は産業廃棄物に分類されるため、これらの廃棄物処理を委託できるのは、産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に限られます。業者選定時には、都道府県知事などの許可を得ているか、産業廃棄物収集運搬業許可証や処分業許可証を確認することが重要です。また、これまでの実績や清掃方法、料金体系の明確さなども確認し、信頼できる業者を選ぶことが、適正な処理と法遵守に繋がります。不適切な業者に委託すると、排出事業者も責任を問われる可能性があるため注意が必要です。
専門業者による清掃と処理
グリストラップの清掃とそこから発生する産業廃棄物の処理は、専門業者に依頼することで、適切な管理と法遵守を確実にすることができます。
業者依頼のメリット
専門業者にグリストラップの清掃と廃棄物処理を依頼することで、法令遵守に基づいた適切な処理が可能です。従業員による清掃の負担を軽減し、本来の業務に集中できるメリットもあります。 専門知識と専用機材を持つ業者に依頼することで、自分で行うよりもはるかに徹底した清掃ができ、悪臭や排水管の詰まり、害虫の発生リスクを低減し、衛生的な環境を維持できます。 清掃で発生した産業廃棄物の収集運搬から処分までを適切に行い、排出事業者としての責任を果たすためにも、許可を持った専門業者への依頼は有効な手段です。
処理の流れ
専門業者にグリストラップ清掃とそこから発生する廃棄物処理を依頼する際、一般的な流れがあります。まず業者へ問い合わせて、グリストラップの状況を伝え、見積もりを依頼します。その後、業者が現地確認を行い、正式な見積もりが提示されます。契約内容に合意すれば、清掃作業が実施されます。清掃で発生した汚泥や廃油は産業廃棄物として適切に収集運搬、処分されます。その際、排出事業者としてマニフェストの交付が必要となります。これらの処理の流れを理解しておくことが重要です。
まとめ
グリストラップから発生する産業廃棄物の処理は、排出事業者様の責任です。しかし、マニフェスト発行などの業務負担や、法改正への対応は容易ではありません。そこでおすすめしたいのが、収集運搬業者様向けの電子マニフェスト管理システム「DXE Station」です。 DXE Stationなら、収集運搬業者様が排出事業者様に代わってマニフェストの代行起票が可能です。これにより排出事業者様のマニフェスト作成・管理の負担を軽減し、処理状況の透明化も図れます。事務作業を効率化し、法令遵守もサポートできるDXE Stationの導入をぜひご検討ください。

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