中間処理から最終処分まで解説|産業廃棄物処理施設の仕組みと利用ポイント

ojisan

事業活動で生じる産業廃棄物は、法律に則って適切に処理しなければなりません。そのプロセスは、排出、収集運搬、中間処理、そして最終処分へと続きます。この記事では、産業廃棄物の処理フローに沿って、特に中間処理と最終処分の仕組み、そして関連施設を利用する際のポイントを詳しく解説します。排出事業者の方が、自社の責任を理解し、適切な廃棄物処理を実践するための一助となれば幸いです。


産業廃棄物処理の全体像

産業廃棄物とは?

産業廃棄物とは、事業活動に伴って発生する廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められた20種類を指します。製造業から出る燃え殻や廃油、建設業から出るコンクリートがらなど、あらゆる業種から排出されるものが含まれます。

これらは、業種を問わず産業廃棄物となるもの(例:燃え殻、汚泥、廃油)と、特定の事業活動(例:建設業、出版業など)から排出された場合にのみ産業廃棄物となるもの(例:紙くず、木くず)に分類されます。

また、その中でも爆発性、毒性、感染性などがあり、人の健康や生活環境に被害を及ぼすおそれがあるものは「特別管理産業廃棄物」として区別され、より厳格な処理が求められます。

処理の基本的な流れ

産業廃棄物の処理は、主に以下の4ステップで進みます。

  1. 排出・分別・保管: 事業者が廃棄物を排出し、種類ごとに分別・保管します。
  2. 収集・運搬: 排出事業者自身、または許可を持つ収集運搬業者が、廃棄物を処理施設へ運びます。
  3. 中間処理: 廃棄物を安全化・安定化させ、量を減らす(減量化)ための処理や、リサイクルのための選別・加工を行います。
  4. 最終処分: 中間処理後も残ったものやリサイクルできないものを、埋立処分します。

この一連のプロセスにおいて、排出事業者は自らの責任で廃棄物が適正に処理されるよう管理する「排出事業者責任」を負います。

排出事業者の主な役割と責任

排出事業者の責任は、廃棄物を排出した時点で終わりではありません。最終処分が完了するまで、適正処理のために必要な措置を講じる義務があります。主な役割は以下の通りです。

  • 適正な処理の委託: 処理を委託する場合、許可を持つ適切な業者を選定し、書面で委託契約を締결する。
  • マニフェスト管理: 産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかを確認・管理する。マニフェストの控えは5年間保管する義務がある。

これらの義務を怠ると、法律に基づき厳しい罰則を科される可能性があります。


産業廃棄物の中間処理

中間処理は、収集運搬された産業廃棄物を最終処分する前に行う重要な工程です。

中間処理の目的

中間処理の目的は大きく3つあります。

  • 減量化: 焼却や脱水などで廃棄物の体積・重量を減らし、最終処分場の負荷を軽減します。中間処理により、廃棄物の量は半分近くまで削減されることもあります。
  • 無害化・安定化: 焼却や中和処理により、有害物質を取り除いたり、性状を安定させたりして、環境への影響をなくします。
  • 資源化(リサイクル): 廃棄物を選別・加工し、再び資源として利用できる状態にします。

主な中間処理方法

廃棄物の種類や性状に応じて、様々な処理方法が用いられます。

処理方法 概要 主な対象物
焼却 燃やして減量・無害化する。熱エネルギーを回収(サーマルリサイクル)することも。 可燃性の廃棄物全般
破砕 大きな廃棄物を細かく砕き、容積を減らす。 がれき類、廃プラスチック類
脱水 汚泥などから水分を除去し、減量化する。 汚泥
選別 手作業や機械で、リサイクル可能なものや異物を取り除く。 混合廃棄物、建設系廃棄物
中和 廃酸や廃アルカリを化学反応で中和し、無害化する。 廃酸、廃アルカリ
溶融 焼却灰などを高温で溶かし、スラグ(砂状の物質)にして再利用しやすくする。 焼却灰、汚泥

産業廃棄物の最終処分

中間処理を経ても残る廃棄物や、リサイクルが困難な廃棄物は、最終処分場で埋立処分されます。

最終処分の役割

最終処分は、廃棄物を生活環境から安全に隔離し、安定化させるための最後の工程です。再生利用(リサイクル)も最終処分の一環と見なされ、中間処理後に埋め立てる廃棄物がなく、全てリサイクルされた場合も「最終処分が完了した」と扱われます。

最終処分場の3つの種類

最終処分場は、埋め立てる廃棄物の有害性に応じて、以下の3種類に分類されます。

処分場の種類 概要と構造 主な埋立対象物
安定型最終処分場 性状が安定し、環境汚染の心配が少ない廃棄物を埋め立てる。遮水工などの大規模な汚染防止設備は原則不要。 廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず
管理型最終処分場 有害物質が基準以下の、比較的安定した廃棄物を埋め立てる。底面の遮水工や浸出水処理施設で、汚染水の流出を防ぐ。 燃え殻、汚泥、紙くず、木くずなど
遮断型最終処分場 有害物質が基準を超えて含まれる廃棄物を埋め立てる。コンクリートの壁や屋根で、外部から完全に隔離された構造を持つ。 有害物質を含む燃え殻、ばいじんなど

最終処分場の設置場所

最終処分場は、周辺環境への影響を最小限に抑えるため、人里離れた山間部や臨海部に設置されることがほとんどです。設置にあたっては、住宅地や水源からの距離、地盤の安定性、自然環境の保全など、法律や自治体の条例に基づく厳しい基準を満たす必要があります。


産業廃棄物処理施設と許可制度

産業廃棄物の処理施設(中間処理施設、最終処分場)を設置・運営するには、法律に基づく許可が必要です。

施設の設置には許可が必須

廃棄物処理法では、処理能力が一定規模(例:廃プラスチック類の破砕施設で日量5トン超)を超える中間処理施設や、全ての最終処分場を設置する際に、都道府県知事などの許可が必要と定められています。

許可申請には、施設の構造や維持管理計画に加え、周辺の生活環境への影響を評価する「生活環境影響調査」の結果報告が求められます。

建築基準法との関連

都市計画区域内に処理施設を建設する場合、廃棄物処理法の許可とは別に、建築基準法第51条の規制を受けます。原則として、都市計画であらかじめ定められた場所でなければ建設できません。

しかし、実際には「ただし書き」規定の適用により、特定行政庁が都市計画審議会の議を経て「都市計画上支障がない」と認めて許可した場合に建設されるケースがほとんどです。この手続きは複雑で、行政との綿密な協議が不可欠となります。


産業廃棄物のリサイクル

リサイクルは、持続可能な社会を築く上で極めて重要な取り組みです。

リサイクルの重要性

  • 資源の有効活用: 限りある天然資源の消費を抑え、廃棄物を新たな製品の原料やエネルギーとして再生します。
  • 最終処分場の延命: 埋め立てる廃棄物の量を減らし、最終処分場の容量を長持ちさせます。
  • 環境負荷の低減: 不適切な処理による土壌汚染や水質汚濁のリスクを減らします。
  • 企業価値の向上: 環境への配慮(CSR活動)は、企業の社会的評価やブランドイメージを高めます。

リサイクルの主な手法

リサイクルは、その手法によって大きく3つに分類されます。

  • マテリアルリサイクル: 廃棄物を製品の「原料」として再利用します。(例:廃プラスチックをペレット化し、新たなプラスチック製品を作る)
  • ケミカルリサイクル: 化学的に分解し、化学製品の原料として再利用します。(例:廃プラスチックを油化して燃料にする)
  • サーマルリサイクル: 焼却時の「熱エネルギー」を回収し、発電や温水供給に利用します。

リサイクルの具体例

  • 木くず: チップ化して製紙原料やバイオマス燃料に。
  • 金属くず: 精錬して再び金属製品の原料に。
  • 食品廃棄物: 飼料や肥料に加工したり、発酵させてバイオガス発電に利用したりする。
  • 廃プラスチック類: 衣類、カーペット、土木資材などに再生。
  • 石炭灰、汚泥など: セメントの原料や燃料として活用。

産業廃棄物処理の委託

自社で処理できない廃棄物は、許可を持つ専門業者に処理を委託します。その際は、排出事業者の責任として、法律で定められたルールを厳守しなければなりません。

委託基準の遵守

処理を委託する際は、以下の基準を守る必要があります。

  • 委託先の業者が、処理に必要な許可を持っているか確認する。
  • 処理の委託は、必ず書面で契約を締結する。
  • 委託契約書や許可証の写しは、契約終了後5年間保存する。
  • 処理施設を現地確認するなど、適正処理が行われるよう努める。

委託契約の締結

排出事業者と収集運搬業者、および処分業者の間で、それぞれ二者間契約を締結します。契約書には、廃棄物の種類・数量、委託料金といった基本情報に加え、運搬先の所在地や処分方法など、法律で定められた事項を漏れなく記載し、許可証の写しを添付する必要があります。

マニフェストによる管理

マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、委託した廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかを確認するための伝票です。排出事業者はマニフェストを交付し、各処理工程が完了するごとに業者から返送される伝票で、処理状況を把握・管理します。

  • 紙マニフェストと、PC上で管理する電子マニフェストがある。
  • 返送されたマニフェストは5年間の保管義務がある(電子マニフェストの場合は不要)。
  • 交付状況を年1回、都道府県知事などに報告する義務がある。

まとめ

事業活動で生じる産業廃棄物は、収集運搬、中間処理、最終処分という工程を経て、環境に影響を与えないよう適正に処理されます。排出事業者には、このプロセス全体を管理する重い責任が課せられています。

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