
「専ら物」とは、正式には「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」を指し、廃棄物処理法において特別な扱いが認められている品目のことです。古紙や古繊維などがこれに該当します。この記事では、専ら物の定義や有価物との違い、具体的な品目、そして処分を業者に委託する際の注意点まで、事業者の廃棄物管理担当者が知っておくべき基本情報を網羅的に解説します。
目次
専ら物とは?
専ら物とは、廃棄物処理法において「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」として規定される特定の品目を指します。これらは一般の産業廃棄物とは異なり、その収集運搬や処分を専門的に行う業者は、廃棄物処理業の許可を必要としないという特例が設けられています。ただし、専ら物はあくまで産業廃棄物の一種であるため、排出事業者には処理責任が伴います。この制度は、再生利用が可能な資源の循環を促進する目的で設けられており、対象となる品目は古紙や金属くずなどに限定されています。事業活動によって生じる廃棄物の中でも、リサイクル価値が高いものが専ら物として扱われることになります。
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2024-06-19)
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」(入手日付2024-06-19)

有価物との違い
専ら物と有価物の最も大きな違いは、廃棄物処理法における「廃棄物」に該当するか否かという点です。専ら物は、再生利用を目的とした産業廃棄物であるため、法律上の廃棄物として扱われます。したがって、排出事業者は処理費用を支払い、適正な処理を委託する義務を負います。一方、有価物は他人に有償で売却できるものであり、廃棄物にはあたりません。例えば、企業が排出した金属くずを、業者がお金を払って買い取る場合は有価物となります。これに対して、排出側が処理費用を支払って引き取ってもらう場合は、たとえリサイクルされるとしても産業廃棄物(専ら物)として扱わなければなりません。
専ら物に該当するもの
専ら物として扱われる産業廃棄物は、廃棄物処理法の通知によって具体的に4つの品目が定められています。一つ目は「古紙」で、新聞紙や段ボール、雑誌などが該当します。二つ目は「くず鉄(古銅等を含む)」であり、鉄スクラップや非鉄金属スクラップといった金属類が含まれます。三つ目は「あきびん類」で、飲料や食品に使用されたガラス瓶が対象です。四つ目は「古繊維」で、衣類や布切れなどの繊維くずがこれにあたります。これらの4品目は、古くから専門のリサイクル業者が存在し、再生利用のルートが確立されているという共通点があります。そのため、一般の産業廃棄物とは異なる特別な扱いが認められています。
専ら物として取り扱うための条件
ある廃棄物を専ら物として取り扱うためには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、大前提として、廃棄物処理法で定められた「古紙」「くず鉄」「あきびん類」「古繊維」の4品目のいずれかに該当しなければなりません。これら以外の産業廃棄物は、たとえリサイクル可能であっても専ら物として扱うことはできません。加えて、その名の通り「専ら再生利用の目的」で処理されることが求められます。つまり、単に処分されるのではなく、リサイクルされ、新たな製品の原料などとして活用されるルートが確立されている必要があります。これらの条件を満たした上で、専門の業者によって収集運搬・処分されるものが、法律上の専ら物として認められます。
※参考:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について」(入手日付2024-05-14)
専ら物の処分方法
専ら物を処分する際は、排出事業者が自ら再生利用施設へ運搬する方法もありますが、一般的には専門の処理業者へ委託します。この専門業者は「専ら業者」と呼ばれ、専ら物のみの収集運搬や処分を事業としています。専ら物は産業廃棄物であるため、排出事業者は処理を他社に委託する場合、委託基準を遵守する責任を負います。具体的には、書面による委託契約の締結が必要です。また、原則として産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付も義務付けられていますが、再生利用業者へ直接運搬を委託する場合など、特定の条件下では交付が免除されるケースもあります。適正な処理を確保するためには、信頼できる専ら業者を選定し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。
専ら業者とは?
専ら業者とは、「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」である古紙、くず鉄、あきびん類、古繊維の4品目のみの収集運搬または処分を専門に行う事業者のことです。これらの業者は、廃棄物処理法第14条第1項および第6項の規定により、産業廃棄物処理業の許可を受ける必要がないと定められています。これは、専ら物が古くからリサイクルルートが確立されており、生活環境保全上の支障を生ずるおそれが少ないと判断されているためです。ただし、許可が不要であっても、委託基準の遵守や再委託基準の適用など、廃棄物処理法における他の規制は適用されます。したがって、排出事業者は専ら業者が許可を持たないことを理解しつつも、契約内容などをしっかり確認する必要があります。
専ら物を処理業者に委託する際の注意点
専ら物の処理を業者に委託する際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、専ら物は産業廃棄物であるため、排出事業者としての処理責任は免れません。処理を委託する際は、必ず書面で委託契約を締結する必要があります。この契約書には、委託する産業廃棄物の種類や数量、委託期間、処理料金などを明記しなければなりません。また、原則として産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が義務付けられています。ただし、専ら物のみの収集運搬を委託し、その業者が直接再生利用する場合など、特定の条件下ではマニフェストの交付が免除されることもあります。しかし、最終処分まで見届ける責任は排出事業者にあるため、処理が適切に行われたことを確認できる書類を保管しておくことが望ましいです。
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