2025年4月に環境省から公布された廃棄物処理法施行規則の改正により、実務担当者は新たな対応を迫られています。
今回の改正は、廃棄物に含まれる化学物質情報の伝達強化と、電子マニフェストによる処理情報の透明化が主な柱です。
特に2026年1月からは一部の規定がすでに施行されており、対応が漏れていると法令違反になるリスクがあります。
本記事では、2026年3月現在において事業者が確認すべき義務と、2027年に向けて準備すべき事項を整理しました。
目次
【2025年4月公布】廃棄物処理法施行規則における2つの主要な改正点
2025年(令和7年)4月22日、環境省は廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令を公布しました。
この改正は、化学物質の適正な管理と廃棄物処理プロセスの透明性を高めることを目的としています。
改正のポイントは大きく分けて、委託契約書への記載事項追加と電子マニフェストの報告項目追加の2点です。
これらは同時に始まるわけではなく、2026年1月と2027年4月の2段階に分けて施行されます。
公布から施行までの準備期間が設けられていますが、実務への影響が大きいため、それぞれの期日を正確に把握し、計画的に対応を進めることが求められます。
改正点①:委託契約書における特定化学物質に関する情報伝達の義務化

今回の改正により、排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際、委託契約書へ特定の化学物質に関する情報を記載することが義務化されました。具体的には、化管法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)で定められた第一種指定化学物質の名前や含有量などを、契約書の中に明記しなければなりません。
対象となる物質(例)は以下の通りです。
・ベンゼン
・トルエン
・キシレン
・カドミウムおよびその化合物
・鉛およびその化合物 など
このルールは2026年1月1日からすでに施行されており、対象となる物質を含む廃棄物を扱う場合は対応が必須です。これまでは情報の提供が推奨される程度でしたが、現在は法的な義務へと格上げされています。記載漏れは法令違反となるため、速やかに契約内容を確認してください。
改正点②:電子マニフェストで報告が必須となる項目の追加

2つ目の改正点は、電子マニフェストシステムにおける報告内容の拡充です。
具体的には、廃棄物の処分を受託した業者が最終処分の終了報告を行う際、これまでの項目に加えて、最終処分に至るまでの全ての処分工程における「処分方法」「処分量」「処分後の廃棄物の種類および量」などを報告することが義務付けられます。
この変更は2027年4月1日から施行される予定です。
排出事業者にとっては、自社の廃棄物がどのように処理されたかをより詳細に追跡できるようになる一方、処理業者はシステムへの入力項目が増えるため、事前の運用体制の見直しが必要になります。
なお、これらは電子化における処理フローを可視化することを目的とした改正であり、紙マニフェストの様式変更については触れられていません。
自社は対象?今回の法改正で対応が求められる事業者の条件
今回の改正ですべての事業者が一律に対応を迫られるわけではありません。
委託契約書の記載義務については、主に製造業など化学物質を取り扱う事業者が影響を受けます。
具体的には、化管法の第一種指定化学物質等取扱事業者に該当し、かつ委託する産業廃棄物に第一種指定化学物質が含まれている、もしくは付着している場合が対象です。
一方で、電子マニフェストの改正については、産業廃棄物処分業者が直接的な入力義務を負いますが、排出事業者も登録された詳細情報を確認する役割を担います。
自社がどの規制の対象になるか、取り扱う廃棄物の成分や業種区分を改めて確認しておくことが重要です。
いつまでに対応すべき?具体的なスケジュール
今回の改正対応は、内容によって期限が異なるため注意が必要です。
まず、化学物質の情報を契約書に記載する義務は、2026年1月1日からすでに施行されています。対象となる廃棄物を扱っている場合は、今すぐ契約内容を確認し、不備があれば速やかに修正しなければなりません。
一方、電子マニフェストに関する報告項目の追加については、2027年4月1日から施行される予定です。すでにシステムの入力画面には新しい項目が反映されていますが、法的な報告義務が発生するのは2027年4月からとなります。こちらは運用ルールの変更を伴うため、施行日に向けて段階的に準備を進める形となります。
法改正の「交付日」と「施行日」の違い
法令用語における「公布日」と「施行日」の違いを正しく理解しておくことは、実務担当者にとって不可欠です。
まず「公布日」とは、改正された法律の内容が国民に広く知らされる日のことです。
これに対し、「施行日」とは、実際にその法律の効力が発生し、ルールとして守らなければならなくなる日を指します。
公布から施行までの期間は周知期間や準備期間として設けられており、この間にシステム改修や契約書のひな形修正などの準備を整えておく必要があります。
法改正の対応漏れによる罰則や事業上のリスクとは
改正内容への対応を怠ると、廃棄物処理法違反として厳しい罰則を受けることになります。特に注意すべきは、委託契約書に法律で決められた事項を記載しなかったり、虚偽の内容を記載したりした場合です。この場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される恐れがあります。
また、電子マニフェストについても同様に注意が必要です。虚偽の報告を行った場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則規定が設けられています。
これらの刑事罰に加え、法令違反による社名の公表や行政処分は、企業の社会的信用を大きく損なう致命的なリスクとなります。最悪の場合、事業の継続が困難になることもあるため、改正法への適合は重要な経営課題として優先的に取り組まなくてはなりません。
廃棄物処理法の改正に関するよくある質問
今回の改正に関して、実務担当者から多く寄せられる疑問をQ&A形式で整理しました。
自社の対応に不備がないか、最終確認に役立ててください。
今回の改正で、すべての事業者が契約書を見直す必要がありますか?
今回の改正において、すべての事業者が一律に契約書を見直す必要はありません。
契約書の修正が必要になるのは、化管法で定められた「第一種指定化学物質等取扱事業者」に該当し、かつ対象の化学物質を含む産業廃棄物の処理を外部へ委託する場合のみです。対象外の物質を扱う際や、該当しない事業者であれば、契約書に関する直接的な変更対応は不要となります。
また、電子マニフェストの改正については、産業廃棄物の処分業者に新たな報告義務が生じます。具体的には、最終処分を終えた際、途中のすべての処分工程における方法や量などをシステムへ入力しなければなりません。排出事業者もこれらの詳細な報告内容を確認する役割を担うため、運用の変更点を把握しておくことが求められます。
委託契約書の具体的な記載例やひな形はありますか?
はい、環境省や産業資源循環連合会などが公開している最新のモデル契約書やガイドラインが参考になります。
また、WDS(廃棄物データシート)を活用して契約書の一部として添付する方法も有効です。
もし対応が遅れた場合、どのような罰則が科される可能性がありますか?
今回の改正内容を守らなかった場合、廃棄物処理法に基づいた厳しい罰則を受けるリスクがあります。特に委託契約書への記載義務違反は重く、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。これは法人のみならず、実行した担当者個人も処罰の対象になる非常に重いものです。
また、電子マニフェストの運用についても注意が必要です。義務化された項目を正しく入力しなかったり、事実と異なる内容を報告したりする「虚偽報告」を行った場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される規定があります。
これらの刑事罰に加え、行政からの改善命令や事業停止、最悪の場合は処理業の許可取り消しといった処分を受ける可能性も否定できません。法令遵守を怠ることは、企業の社会的信用を失うだけでなく、事業継続そのものを危うくする大きな経営リスクにつながります。早急に社内の体制を整え、漏れのない対応を進めることが不可欠です。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の廃棄物処理法の改正は、単なる事務作業の追加ではなく、廃棄物の管理責任と処理プロセスの透明化をこれまで以上に厳格に求めるものです。
法令遵守を疎かにすれば、罰則だけでなく排出事業者からの信頼失墜や許可の取り消しといった、事業継続を揺るがす致命的な事態を招きかねません。まずは直近の義務化事項から優先的に着手し、確実なコンプライアンス体制を構築すべきでしょう。最新の情報を正しく把握し、スピード感を持って対応を完了させることが、変化の激しい業界で生き残るための鍵となります。
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