事業系ごみとは?種類・分類や廃棄方法について解説

事業系ゴミとは?他の廃棄物との違いや廃棄方法について解説

排出されるゴミは、家庭から出される「家庭ゴミ」と、事業活動により発生する「事業系ゴミ」の2種類に大きく分けられます。

事業系ゴミは家庭ゴミと異なり、法律に従って処理する必要があるため、事業者は何が「事業系ゴミ」に当たるかを理解した上で、適切に廃棄しなければなりません。

本記事では事業系ゴミと、他のゴミとの違いや具体的な分類方法、廃棄の仕方を紹介します。事業系ゴミの分別の仕方や処分方法、廃棄の流れを知りたい方は参考にしてみてください。

事業系ゴミとは

事業系ゴミとは、事業活動によって発生したゴミのことを指します。事業活動は営利・非営利を問いません。オフィスや飲食店、商店などだけでなく、学校や病院、官公庁や社会福祉施設などから排出されるゴミも事業系ゴミと呼びます。

事業系ゴミは、家庭ゴミのように袋詰めにしてゴミ集積場に出すことはできません。事業者自らの責任による適正な処理が法律(※)によって義務づけられています。違反した場合、罰則が適用されるため注意してください。

「適正な処理」には、自ら処分する方法と、他人に委託して処分してもらう方法があります。処分を委託する場合はマニフェストの交付など、注意すべき点があるため、正しい知識を持って対応しましょう。

事業系ゴミは「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに大別されます。次にそれぞれを順番に説明していきます。

※参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理および清掃に関する法律第3条の1・第11条の1」(入手日付2023-09-04)

事業系一般廃棄物

事業系一般廃棄物とは、法律で産業廃棄物に指定されている20品目以外の廃棄物のことで、次のようなものが該当します。

可燃ゴミ 生ゴミ(調理くず・食べ残し)、紙くず・木くず(※1)
粗大ゴミ 大型の棚・机など、大きすぎて通常収集で対応できないもののうち、木製のもの(※2)
し尿 くみ取りし尿(トイレットペーパー類、綿類などを含む)
浄化槽の汚泥 浄化槽方式の槽に貯留した汚泥

※1:産業廃棄物に該当するものを除く
※2:金属・プラスチック製のものは産業廃棄物

事業系一般廃棄物の中には家庭ゴミと同じ種類のものがあります。しかし、一般のゴミ集積所に事業系一般廃棄物を出して発覚した場合、不法投棄に該当して罰則の対象になる恐れがあります。本記事の後半に紹介する方法で、適切な処理を心掛けてください。

※参考:山形県環境整備事業協同組合.「一般廃棄物の種類と具体例」(入手日付2023-09-04)

産業廃棄物

産業廃棄物とは事業活動に伴って排出される廃棄物のうち、廃棄物処理法第2条および施行令第2条に定められている20種類のゴミのことです。次に詳細を解説していきます。

※参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理および清掃に関する法律第2条」 (入手日付2023-09-04)
※参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第2条」(入手日付2023-09-04)


DXE株式会社資料DL

産業廃棄物の種類・分類

20種類の産業廃棄物は「あらゆる事業活動に伴う産業廃棄物」と「業種が特定される産業廃棄物」に分類されます。次にそれぞれの詳細を紹介しましょう。

あらゆる事業活動に伴う産業廃棄物

業種にかかわらず、あらゆる事業活動で生じる産業廃棄物は、以下の12種類です。

種類 内容 主な具体例
燃えがら 事業活動に伴い生ずる焼却残灰、石炭がら、炉清掃掃出物など 石炭がら、廃棄物焼却灰、コークス灰など
汚泥 工場廃水などの処理後に残る泥状のもの・製造業の製造工程で排出する泥状のもので、有機性および無機性のもの ・有機性汚泥
製紙スラッジ、下水汚泥など
・無機性汚泥
浄水場沈でん汚泥、凝集沈でん汚泥など
廃油 鉱物性及び動植物性油脂にかかる全ての廃油 潤滑油系廃油、洗浄油系廃油など
廃酸 廃硫酸、廃塩酸、有機廃酸類などの全ての酸性廃液 無機廃酸(硫酸、ホウ酸など)、有機廃酸(酢酸、シュウ酸など)
廃アルカリ 廃ソーダ液をはじめとする全てのアルカリ性廃液 洗びん用廃アルカリ、アルカリ性めっき廃液など
廃プラスチック類 合成高分子系化合物にかかる固形状及び液状の全ての廃プラスチック類 廃ポリウレタン、廃スチロールなど
ゴムくず 天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラスチック類) 切断くず、裁断くず、エボナイトくずなど
金属くず 金属加工時に出たくずや金属製品のスクラップなど 鉄くず、スクラップなど
ガラスくず、 コンクリートくず及び陶磁器くず ・割れた窓ガラスや製造過程で排出されるガラスくず
・コンクリートくずは建築現場以外で出されたもの
・陶磁器くずは陶磁器製品の不良品や廃棄品など
1)ガラスくず
廃空ビン類、板ガラスくずなど
2)コンクリートくず
製造工程で排出されるコンクリートブロックくずなど
3)陶磁器くず
陶器くず、レンガくずなど
鉱さい 鉱物を精錬する際に生じる目的成分以外の溶融物資 高炉、転炉からの残さいなど
がれき類 工作物の新築、改築または除去に伴って生じた各種廃材 コンクリート破片、レンガ破片など
ばいじん ばい煙発生施設・焼却施設などの集じん施設で集められたもの 電気集じん機捕集ダスト、バグフィルター捕集ダストなど

※参考:東京都環境局. 「産業廃棄物の具体例」(入手日付2023-09-04)

業種が特定される産業廃棄物

特定の事業活動に伴って排出される事業系ゴミで、産業廃棄物に該当するのは以下の7種類です。

種類 内容 主な具体例
紙くず 1)建設業にかかるもの
2)パルプ、紙または紙加工品製造業、新聞業
3)出版業にかかるもの
4)製本業および印刷物加工業にかかるもの
5)PCBが塗布、または染み込んだもの
印刷くず、製本くず、建設現場から排出される紙くずなど
木くず 1)建設業にかかるもの
(新築、改築または除去に伴って生じたものに限る)
2)木材または木製品製造業にかかるもの
3)パルプ製造業
4)輸入木材の卸売業および物品賃貸業にかかるもの
5)貨物の流通のために使用したパレットにかかるもの
6)PCBが染み込んだもの
建設業関係の建物、電柱、木製品製造業の廃木材など
繊維くず 1) 建設業に係るもの
(新築、改築または除去に伴って生じたものに限る)
2) 繊維工業にかかる天然繊維くず (合成繊維は廃プラスチック類)
3) PCBが染みこんだもの
木綿くず、羊毛くず、布くず、ロープなど
動植物性残さ 食料品製造業・医薬品製造業・香料製造業で原料として使用した動植物にかかる固形状の不要物 ・動物性残さ
魚・獣の骨、皮、貝がらなど
・植物性残さ
しょうゆかす、酒かすなど
動物系固形不要物 と蓄場でとさつ、解体した獣蓄及び処理した食鳥にかかる固形状の不要物 と蓄場で処分した獣畜、食鳥処理場で処理した食鳥など
動物のふん尿 畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物のふん尿 牛、馬、豚、にわとり、毛皮獣などのふん尿
動物の死体 畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物の死体 牛、馬、豚、にわとり、毛皮獣などの死体

※参考:東京都環境局. 「産業廃棄物の具体例」(入手日付2023-09-04)

事業系ゴミの廃棄方法と流れ

次に事業系ゴミの廃棄方法と流れを紹介します。事業系ゴミは一般廃棄物と産業廃棄物で廃棄方法が異なります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

事業系一般廃棄物の廃棄方法と流れ

事業系一般廃棄物の廃棄方法は以下の3つです。

● 清掃工場などに事業者自ら搬入する
● 許可を受けた業者に委託する
● 自治体に回収してもらう

それぞれを詳しく解説します。理解した上で自社に適した方法を選びましょう。

清掃工場などに事業者自ら搬入する

1つ目は事業系一般廃棄物を事業所のある地域の清掃工場などに、排出事業者が自ら持ち込む方法です。自治体によって手続きや、利用可能な時間や分別ルール、料金などが異なります。事前に自治体の公式サイトなどで搬入方法のルールをチェックしておきましょう。

許可を受けた業者に委託する

2つ目は処理業者に委託して、事業系ゴミを回収してもらう方法です。委託する場合は、業者に処理料金を支払う必要があります。

委託する場合、委託業者が自治体から一般廃棄物収集運搬業の許可を受けているかどうかの確認が必要です。業者の許可の有無は自治体の公式サイトで確認できます。

自治体に回収してもらう

東京都世田谷区(※)など、一部の自治体では事業系一般廃棄物の回収を行っています。事前の申し込みや有料チケットの購入などの利用条件がありますが、一般のゴミ集積所に事業系一般廃棄物を出すことが可能です。

事業所のある自治体が回収をしているかどうかは自治体の公式サイトで確認してみてください。

※参考:世田谷区 「事業系有料ごみ処理券について(券の種類・購入場所・払い戻し)」 (入手日付2023-09-04)

産業廃棄物の廃棄方法と流れ

産業廃棄物の廃棄方法と流れは「自社で処理する」か「業者に委託する」かで異なります。

自ら処理する場合

産業廃棄物を自ら処理する場合の流れは以下のとおり です。

  1. 産業廃棄物を保管する
  2. 産業廃棄物を収集運搬する
  3. 産業廃棄物を処分する

自社で処理する場合、責任を持って保管・収集運搬・処分をしなければなりません。また、自社で処理する際には処理基準を守る必要があります。

詳しい処理基準は東京都環境局の公式サイトを参考にしてみてください。

業者に委託する場合

産業廃棄物の廃棄を委託する場合は、都道府県知事が許可証を発行している処理業者に委託しなければなりません。

許可を得ている処理業者を探す場合、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が提供している「さんぱいくん」を利用すると、地域や許可情報から許可業者を検索できます。

許可を受けた業者に連絡すると、廃棄の流れを指示してもらえます。指示に従って廃棄しましょう。

専ら再生利用の目的となる産業廃棄物の廃棄方法と流れ

専ら(もっぱら)再生利用の目的となる産業廃棄物とは、産業廃棄物のうち「古紙」「くず鉄」「あきびん類」「古繊維」の4種類を指します。

「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物」が正式名称で、リサイクルが主な目的となる廃棄物のことを指す言葉です。略して「専ら物」とも呼ばれます。

専ら物は、廃棄物処理業の許可を受けていない業者にも処理の依頼が可能です。依頼する場合、マニフェストの交付は不要ですが、引き渡し伝票などで記録を残しておく必要があります。

※参考:東京都環境局. 「Q6 専(もっぱ)ら再生利用の目的となる産業廃棄物とは何ですか?」(入手日付2023-09-04)

産業廃棄物の処理を委託する際の注意点

産業廃棄物の処理を委託する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 都道府県・自治体から許可を得ている業者か確認する
  • 優良産廃処理業者の認定を受けているか確認する
  • 委託契約書・マニフェストを作成する

それぞれの注意点を詳しく見ていくので、実際に事業系ごみを委託する際の参考にしてください。

都道府県・自治体から許可を得ている業者か確認する

まずは、委託先の業者が都道府県・自治体から許可を得ているかを必ず確認しましょう。

産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を得ていない業者に委託した場合、その業者が罰せられるのはもちろん、排出事業者は委託基準違反に該当します。この場合、廃棄物処理法第二十五条の第六の規定により、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方の罪が科されます。

そのため、契約前に許可を得ているかをチェックすることが重要です。

許可を取得した業者でも、欠格要件に該当すると許可が取り消されるケースがあります。こうした情報は、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営する「産業廃棄物処理業・処理施設 許可取消処分情報」にてチェックしてください。

※参考:e-GOV 法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2024-09-05).

優良産廃処理業者の認定を受けているか確認する

委託先が優良産廃処理業者認定制度の認定を受けているかも、併せて確認しましょう。

優良産廃処理業者認定制度とは、通常の許可取得基準よりも厳格な基準を満たした優良な業者を、都道府県・政令市が審査して認定する制度です。以下の基準を全て満たすことが条件となっています。

  • 遵法性
  • 事業の透明性
  • 環境配慮の取組
  • 電子マニフェスト
  • 財務体質の健全性

優良産廃業者に認定されると、許可証に「優良」の文字が付与されます。インターネット上では、「さんぱいくん」や「優良産廃ナビ」などで確認できるのでチェックしてみましょう。

ただし、認定を受けていない業者でも、適正な業務運営をしているところは多くあります。認定の有無は、あくまでも参考程度にしておきましょう。

※参考:環境省「優良産廃処理業者認定制度」(入手日付2024-09-05).

委託契約書・マニフェストを作成する

産業廃棄物の処理を委託する際は、処理業者と事前に書面にて委託契約を結ぶ必要があります。委託契約は、収集運搬と処分を委託する業者それぞれと締結しましょう。

委託契約書には、以下の内容などを記載します。

  • 産業廃棄物の種類および数量
  • 委託契約の有効期間
  • 受託者(処理業者)に支払う料金
  • 受託者(処理業者)の事業範囲
  • 産業廃棄物に関する情報

また、併せてマニフェストも作成してください。マニフェストは、産業廃棄物の処理を委託する際に用いられる伝票で、産業廃棄物を引き渡す際に交付します。

以下に該当する場合、廃棄物処理法第二十七の二に基づき、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

  • マニフェストを交付しなかった場合(排出管理票交付義務違反)
  • 記載すべき事項を記載せずマニフェストを交付した場合(記載義務違反)
  • 虚偽を記載してマニフェストを交付した場合(虚偽記載)

※参考:e-GOV 法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2024-09-05).

事業系ごみの処理責任

事業系ごみの処理責任は、基本的に排出事業者にあります。

廃棄物処理法では、「排出事業者の責任において適正に処理しなければならない」と定めています。これは排出事業者自らが処理する「自己処理」、業者に委託して処理する「委託処理」でも同様です。

事業系ごみの廃棄に関する罰則

事業系ごみの廃棄に関する罰則や、罰則が科されるようになった背景を詳しく見ていきましょう。

家庭ごみに出すと不法投棄と見なされる

事業系ごみと、一般家庭の日常生活で排出される廃棄物は異なるものです。家庭ごみの処理責任は市区町村にあります。

一方で事業系ごみは先述したように、排出事業者自身で処理する必要があります。事業系ごみを家庭ごみに出すと、不法投棄と見なされるので注意してください。

不法投棄とは、廃棄物処理法の規定に違反して適切に処理せず、山林や河川敷、海などに不法に投棄する行為です。環境への負荷や健康被害を引き起こすため、法律で固く禁じられています。

不法投棄をした場合、廃棄物処理法第二十五条の第十四に基づき、排出事業者は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。法人に科せられる罰金は最大3億円であり、未遂でも罰則が科されるので注意してください。

※参考:e-GOV 法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」,(入手日付2024-09-05).

罰則が科されるようになった背景

廃棄物処理に関して罰則が科されるようになった背景は、高度経済成長期の生活の変化にあります。

国民の生活が豊かになるとともに、人工物のプラスチックや合成樹脂、廃油、建築廃材などが大量に排出されたり、人口が都市に集中してし尿処理が追い付かなくなったりしました。当時の法律では適切に処理しきれず、廃油の不適切処理による水質汚濁、汚水やし尿の処理が引き起こす公衆衛生の問題などが顕在化します。

廃棄物の不適切処理は環境汚染を通じて、人々の健康や暮らしに大きな悪影響を及ぼすため、これを防止する目的で廃棄物処理に関して罰則が強化されました。

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