
機密文書が処理された際に、処理業者から発行される廃棄証明書。廃棄証明書が必要となる理由や、産業廃棄物を処分する際に発行するマニフェストとの違いを、正確に理解できているでしょうか?
そこで本記事では、廃棄証明書が必要な理由やマニフェストとの違い、保管方法をご紹介します。機密文書を正しく処理しなかった場合のリスクも解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
廃棄証明書とは?
廃棄証明書とは、機密文書などの重要書類が適切に処理されたことを証明するための書類です。処理業者から委託元に対して発行されます。
廃棄証明書は、紙媒体もしくは電子媒体で発行されます。紙媒体の場合、郵送の手続きなどがあるため、発行が完了するまでには多少の時間が必要です。電子媒体の場合は、メールもしくは専用サイトにアップロードされたファイルをダウンロードすることにより入手できます。
廃棄証明書に記載する項目は、法律により定められているわけではありません。そのため、業者によりフォーマットは異なります。
廃棄証明書への理解を深めるために、必要な理由やマニフェストとの違いを具体的に見ていきましょう。

廃棄証明書が必要な理由
廃棄証明書が必要な理由は、主に以下の2つです。
- 経理処理の正確性を確保するため
- マイナンバー法に基づき個人情報を廃棄するため
1つ目の理由は、固定資産を廃棄する際の経理処理の正確性を証明するためです。
2つ目の理由は、マイナンバー法に基づき個人情報を廃棄するためです。マイナンバー法(正式名称:行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)とは、行政効率と国民の利便性の向上を目的に導入されたマイナンバーについて、その取り扱い基準を定めた法律です。同法律に基づくと、マイナンバーなどの個人データは復元不可能な手段で破棄し、記録する必要があります。廃棄証明書は、その証明となる書類です。
※参考:e-GOV法令検索「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(入手日付 2024-05-14)
廃棄証明書とマニフェストの違い
マニフェストと廃棄証明書は、混同しがちな書類です。これらは発行の目的や持つ意味合いが大きく異なるため、違いを把握しておくことが重要です。
両者の違いを理解するために、まずはマニフェストの概要を詳しく見ていきましょう。
マニフェストとは、産業廃棄物管理票とも呼ばれる書類です。産業廃棄物の排出事業者が収集運搬業者や処分業者に産業廃棄物の処分を委託する際に、排出事業者自身が交付します。
マニフェストには、産業廃棄物の種類や数量、運搬業者名、処分業者名、交付年月日などが記載されています。産業廃棄物が最後まで適切に処理されたかを証明するために重要な書類で、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づき発行することが義務づけられています。
また、マニフェストは保管すべき伝票も事業者ごとに定められています。
対して廃棄証明書は先述したとおり、依頼された機密文書を適切に廃棄したことを証明する書類であり、依頼を受けた処理業者が発行するものです。
このように両者は発行する目的や発行する事業者、発行されるタイミングなどがまったく異なる書類なので、混同しないように注意しましょう。
なお、一部の機密文書は産業廃棄物の「紙くず」に該当します。以下の業種から排出されたものは産業廃棄物として処理しなければならない点を、念頭に置いてください。
- 建設業
- パルプ製造業
- 製紙業
- 紙加工品製造業
- 新聞業
- 出版業
- 製本業
- 印刷物加工業
例えば建設業から廃棄される機密文書を処分する際は、マニフェストの発行が必要です。それ以外の業種からの機密文書は、一般廃棄物と見なされるためマニフェストの発行は不要です。
※参考:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター「措置命令と罰則」(入手日付 2024-03-16)
廃棄証明書の保管について
廃棄証明書を適切に保管するために、「保管期間」「保管方法」「保管期間が過ぎた廃棄証明書の処理方法」について見ていきましょう。
保管期間
一般的に廃棄証明書は5年、領収書として機能するものは7年間保管しなければならないとされています。いずれの場合でも、保管期間は長期にわたるので紛失しないよう適切に処理しなければなりません。
保管方法
廃棄証明書は紙媒体と電子媒体により、保管方法が異なります。
紙媒体の場合、管理を煩雑にしていると、さまざまな書類の中から必要な情報を探すのは難しくなるでしょう。時系列や処理内容に応じてナンバーをつけてファイリングするのがおすすめです。こうすれば、書類が増えても整理しやすく、検索性も高まります。
電子媒体の場合は、パソコン上に保存しフォルダに格納するか、印刷して紙媒体と同じように管理するとよいでしょう。
紙媒体と電子媒体が混在している場合は、情報の一元管理を図るために、いずれかに統一して整理すると管理しやすくなります。
保管期間が過ぎた廃棄証明書の処理方法
保管期間が過ぎた廃棄証明書は、可能な限り速やかに廃棄しましょう。紙媒体を処分し物理的スペースを空けたり、パソコン上の容量を削減したりするのも理由の一つですが、情報漏洩のリスクを防止するためです。
機密文書を正しく処理しなかった場合のリスク
機密文書を正しく処理しなかった場合、「個人情報保護法に違反する可能性がある」「損害賠償を請求される恐れがある」などのリスクが伴います。それぞれのリスクを具体的に見ていきましょう。
個人情報保護法に違反する可能性がある
機密文書を正しく処理しなかった場合、個人情報保護法(正式名称:個人情報の保護に関する法律)に抵触する可能性があります。個人情報保護法とは、個人情報の利活用を図る一方、個人の自由と権利を守ることを目的に、平成17年(2005年)4月に施行された法律です。2022年に改正され、より個人情報を厳格に保管・管理するように定められています。
例えば、個人情報が漏洩してしまった場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合1億円以下の罰金)が科されます。
こうした事態に陥らないよう、情報が流出しないように管理を徹底する他、復元できないように適切に処理を行うことが重要です。
※参考:政府広報オンライン「「個人情報保護法」をわかりやすく解説 個人情報の取扱いルールとは?」(入手日付 2024-03-16)
※参考:e-GOV法令検索「個人情報の保護に関する法律」(入手日付2024-03-16)
損害賠償を請求される恐れがある
機密情報を流出させてしまった場合、民事上の損害賠償を請求される恐れもあります。仮に個人一人当たりの請求額が小さくても、被害規模が大きい場合莫大な費用を請求される可能性があります。
実際、京都宇治市データ漏洩事件では約22万件の住民基本台帳データが流出し、請求者(原告)一人当たり1万円の慰謝料の支払いを命じる判決がくだされました。これは個人情報の基本4情報(氏名・住所・性別・生年月日)を漏洩した際の慰謝料の支払いが命じられた、初の判決です。
京都宇治市データ漏洩事件以外にも、企業が個人情報や顧客情報を流出させ損害賠償を命じられた事例はいくつかあります。顧客や取引先からの信頼を失うのはもちろん、金銭的な負担も重くのしかかるので、機密文書の取り扱いには十分注意してください。
※参考:「裁判例」(入手日付 2024-03-16)
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