
コンクリートガラは20種類ある産業廃棄物の一つで、コンクリートガラの処理は廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に従って行う必要があります。ではコンクリートガラとは、どのような排出物を指すのでしょうか。
本記事ではコンクリートガラの概要や、よく似たコンクリートくずとの違い、処分方法を解説します。処分にかかる費用の目安も紹介しているので、建設現場などで廃棄物の処理に関わる方は参考にしてみてください。
目次
コンクリートガラとは ?
コンクリートガラとは、建物の建築や解体などで生じたコンクリートのがれきのことで、法律の条文では「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物(施行令第2条の9)」と記載されています。
条文どおりの名称では長すぎるため、「がれき類」と呼ばれるのが一般的です。公的な環境省の通知や自治体の許可証などでも「がれき類」の名称が使用されています。また略して「コンガラ」と呼ばれることもあります。
なお、がれき類とは、あくまでも産業廃棄物の分類上の名称であり、災害で発生するがれきとは別物です。使用する際には意味を理解した上で使い分けましょう。
具体例としては、家屋やビルなどの新築・改築・解体時に排出されるコンクリートやレンガの破片、道路の改修工事などで出るアスファルトなどが、コンガラ・がれき類に該当します。
※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第2条の9)」(入手日付2023-10-13)

コンクリートガラとコンクリートくず、がら混じり残土の違い
名称が似ている産業廃棄物に「コンクリートくず(ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず)」「がら混じり残土」と呼ばれるものがあります。これら3つは異なる種類の産業廃棄物として扱わなければなりません。何がどう異なるのか、それぞれを詳しく見ていきましょう。
コンクリートガラ(がれき類)
一般的に「がれき類」と呼ばれるコンクリートガラは前述したように、工作物の新築、改築又は除去に伴って出たコンクリートを中心とした排出物のことです。
つまり、建設現場で排出されたものだけがコンガラに該当するため、その他の場所で排出されたものは、次に解説するコンクリートくずとして扱う必要があります。
※参考:日本産業廃棄物処理振興センター.「廃棄物の分類と産業廃棄物の種類等」(入手日付2023-10-13)
コンクリートくず (ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず)
法律でコンクリートくずは、ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くずに分類されます(施行例第2条の7)。
条文に「工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く」と明記されているように、建設現場以外で排出されたもの、つまりコンクリートガラ(がれき類)に分類されないものがコンクリートくずです。
例えば、製品の製造過程で排出されたブロックの破片や不良品は、コンクリートくずに該当します。
※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第2条の7)」(入手日付2023-10-13)
がら混じり残土
がら混じり残土とは、建設現場で発生するコンクリート破片などのがれき類や残土が混ざったものです。残土には金属くずや紙くず、廃プラスチック類、ガラスくずおよび陶磁器くず、ゴムくずなど多くの産業廃棄物が含まれているため、産業廃棄物に分類されます。
がら混じり残土を処分する際は、基本的にがれき類と残土を分別する必要があります。分別が難しい場合は、がら混じり残土そのものを産業廃棄物として処理しましょう。
コンクリートガラの処分方法
環境省が発表したデータ(※)によると、2021年度(令和3年度)のがれき類(コンクリートがら)の排出量は5.734万トンで、産業廃棄物全体の15.5%を占めます。
そのうちの96.4%は再生利用され、埋立などの最終処分に回されるのはわずかです。コンガラを再生利用するためには、以下のような処理が施されます。
● コンガラを重機で粗く砕き、鉄筋などを取り除く
● 粗く砕いたコンクリートガラを細かく粉砕する
● 磁力選別機で細かな金属類を取り除き、ふるいで粒度を整える
粒度を整えたコンガラは、次の項目で挙げるような用途で再生利用されます。
※参考:環境省.「令和4年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」(入手日付2023-09-20)
コンクリートガラの活用法を解説
建設現場などから排出されたコンクリートガラの96.4%は、以下のような用途で再生利用されます。
再生骨材として再利用する
細かく粉砕されたコンガラは、新たにアスファルトやコンクリートを作る際に利用されます。骨材とは、コンクリートやモルタル、アスファルトを作る際、セメントや水と一緒に混ぜ合わる砂利や砂などの総称です。
セメントは固まる際に発熱したり固まった後に収縮したりする性質があるため、それらの反応を抑えるために骨材を混ぜます。コンガラはもともとセメントや石、砂利などの骨材で構成されているため骨材に適しており、廃棄物を利用するためコスト削減につながるのもメリットです。
再生砕石を作り出す
砕いたコンガラは、再生砕石としても再利用されます。砕石とは、建築物などの基礎として敷き詰める石の破片のことです。レンガ敷きの基礎や石畳、雑草よけとして庭などに敷き詰められることもあります。
砕石は天然の岩盤を破砕して、人工的に小さく砕いて作るのが一般的です。粒度を整えたコンガラは、わざわざ採石場で岩盤を砕く手間がないため、手軽に砕石として再利用できます。
再生路盤材として再利用する
路盤材とは道路を舗装する際、基礎部分に用いられる材料のことです。路盤材は基盤を強化するとともに、道路から伝わる交通荷重を分散する役目を果たします。
コンクリートやアスファルトを砕いたコンガラは、新たな道路舗装をする際の再生路盤材としても活躍しています。
コンクリートガラを処分するときの注意点
コンクリートガラを処分するときの注意点は、以下の通りです。
- 不法投棄にならないように気を付ける
- コンクリートがらを扱ったことのある業者・処理場か確認する
- 見積もりの内訳をしっかりと確認する
それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
不法投棄にならないように気を付ける
コンクリートがらは、廃棄物処理法上、産業廃棄物に該当します。この法律に基づき、排出事業者は産業廃棄物を自らの責任で適切に処理を行わなければなりません。
この義務を怠り、山林・海岸・空き地などに捨てると、不法投棄となります。詳しくは後述しますが、不法投棄は法律で厳しく罰せられます。未遂でも犯罪になる可能性があるので、不法投棄にならないよう細心の注意を払いましょう。
コンクリートがらの処理に対応している業者・処理場か確認する
コンクリートがら以外にも、産業廃棄物には廃プラスチック類や燃え殻、汚泥、金属くず、廃酸・廃アルカリなど多くの種類があります。それぞれ性質だけでなく処理プロセスも異なります。
一口に産業廃棄物処理業者といってもコンクリートがらの処分に対応していない可能性もあるため、取り扱い実績があるかを確認しましょう。
また、自社で処理場に持ち込む場合も同様です。コンクリートがらの処分に対応しているかをチェックしてください。
見積もりの内訳をしっかりと確認する
実際にコンクリートがらの処分を委託する場合は、見積もりの内訳をしっかりと確認しましょう。口頭で提示された料金をそのまま受け入れて委託すると、後に追加費用を請求される可能性があるため注意が必要です。
見積書を発行してもらい、書面で何の処理にどれくらいの費用がかかるのかを事前に把握しておきましょう。
見積もりに関して分からないところがあれば、契約前に疑問を解消しておくのがおすすめです。
コンクリートガラに関するよくある質問
コンクリートガラに関するよくある質問に回答します。
コンクリートガラとコンクリートくずの違いは何ですか?
コンクリートガラは建設現場から出たコンクリートのことで、コンクリートくずは工場における製品の製造工程など、建設現場以外の場所で出たコンクリートの廃棄物を指します。
日本産業廃棄物処理振興センターの分類表に照らし合わせた場合は、以下のとおりです。
● ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず=コンクリートくず
● がれき類=コンクリートガラ
※参考:日本産業廃棄物処理振興センター.「廃棄物の分類と産業廃棄物の種類等」(入手日付2023-10-13)
コンクリートガラを持ち込む際に注意することは?
コンクリートガラは、処分業者に持ち込んで処理を委託できます。ただし、処理を処分業者に委託する際は、廃棄物処理法で定められている処理委託契約書を処分業者と書面で締結する必要(※)があります。委託に当たって契約書を取り交わさなかった場合、罰則があるため注意が必要です。
※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第6条の2の4)」(入手日付2023-10-13)
産業廃棄物を不法投棄したらどうなる?
産業廃棄物は、法律に基づいた方法で処分しなければなりません。もし、不法投棄した場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下(法人の場合は3億円以下)の罰金、または併科に処すると定められています(※)。
※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第25条の1の14)」(入手日付2023-10-13)
コンクリートガラの処分場はどこがある?
コンクリートガラは、その大半が中間処理業者によって再生利用のため、再生砕石や再生骨材として再利用されます。従って処分場は、全国にある中間処理施設です。
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