建設廃棄物の定義って?分類や処理、リサイクルについて解説

建設廃棄物の定義って?分類や処理、リサイクルについて解説

建設廃棄物は一度に膨大な量の廃棄物が排出されます。また混合状態で排出されることが多くあります。
また、重層下請構造が存在するためコミュニケーションが取りづらく、責任の所在が曖昧になりがちです。
その前提を踏まえて、今回のコラムでは建設廃棄物の現状や法規制等について見て行きたいと思います。

建設副産物と建設廃棄物

「建設副産物」とは、建設工事に伴い副次的に得られた全ての物品であり、「建設廃棄物」、「建設発生土」及び「有価物」を含む概念です。
なお、「建設廃棄物」とは、廃棄物処理法に規定する廃棄物に該当するものをいい、一般廃棄物と産業廃棄物の両者を含む概念になります。 これをまとめたものが下図になります。

建設廃棄物の廃棄物処理法上の位置づけ

出典:一般社団法人産業環境管理協会「リサイクルデータブック2023

産業廃棄物は安定型産業廃棄物と管理型産業廃棄物に分かれており、前者は安定型最終処分場で埋立処分することが可能です。安定型最終処分場は管理型最終処分場に比べて構造が簡便なため安価であり、安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物を搬入しないよう、展開検査が義務付けられています。混ざらないように分別することが重要です。

安定型産業廃棄物

がれき類 工作物の新築、改築、除去に伴って生じたコンクリートの破片、その他これに類する不要物、コンクリート破片、アスファルト・コンクリート破片、レンガ破片 ※
廃プラスチック類 廃発泡スチロール等梱包材、廃ビニール、合成ゴムくず、廃タイヤ、廃シート類、廃塩化ビニル管、廃塩化ビニル継手
ゴムくず 天然ゴムくず
金属くず(鉛を含まないもの) 鉄骨鉄筋くず、金属加工くず、足場パイプ、保安塀くず
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く) ガラスくず、コンクリートくず、タイル衛生陶磁器くず、耐火レンガくず
(廃石膏ボードを除く)

※ 建設リサイクル法による特定建設資材廃棄物

出典:東京都環境局「建設廃棄物とは?

産業廃棄物の委託処理

廃棄物の処理を委託する場合は、委託契約書を締結した上でマニフェストを交付する必要があります。
マニフェストは「建設六団体副産物対策協議会」のものが一般的に使われます。
購入や記入方法はこちら「建設マニフェスト販売センター」をご確認ください。

産業廃棄物に占める建設廃棄物の割合

2020年度の業種別排出量は下図のとおりです。建設業は第3位で20.9%を占めています。
ちなみに上位5業種で全体の8割以上を占めており、前年度とほぼ同様の傾向になっています。

産業廃棄物の業種別排出量

出展:一般社団法人産業環境管理協会「リサイクルデータブック2023

建設廃棄物の推移は下図のとおりです。再資源化・減量化が進み最終処分量は減少傾向にあることが確認できます。
それでも2018年度の最終処分量の全体に占める割合は約23%となっています。

建設廃棄物の推移

出展:一般社団法人産業環境管理協会「リサイクルデータブック2023

不法投棄件数および投棄量に占める建設系廃棄物の割合は下表のとおりです。2021年度は少し極端な数字になっていますが、不法投棄の7割以上は建設系廃棄物が占めています。

2021年度 2020年度
不法投棄件数に占める建設系廃棄物 72.9% 70.5%
不法投棄量に占める建設系廃棄物 87.4% 74.0%

※出典:環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和3年度)について

建設廃棄物のリサイクルや適正処理が重要であることは理解頂けたものと思います。

リサイクルに係る法整備

1.資源有効利用促進法

2001年4月より施行されており、10業種・69品目(一般廃棄物及び産業廃棄物の約5割をカバー)を対象業種・対象製品として、事業者に対して3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取組を求めています。
建設業は「特定再利用業種」に指定されており、再生資源又は再生部品の利用に取り組むことが求められています。「土砂」「コンクリートの塊」「アスファルト・コンクリートの塊」「木材」は指定副産物となっており、再生資源としての利用の促進に取り組むことが求められています。
2023年1月以降に契約する工事においては、元請企業は一定規模以上の工事を施工する場合、「再生資源利用促進計画(建設副産物を搬出する際の計画)」「再生資源利用計画(再生資材を利用する際の計画)」を作成し、発注者へ提出・説明の上、公衆の見えやすい場所へ掲示することとなっています。また、竣工後には計画の実施状況を把握して記録し、工事完成後5年間保存することとなっています。

※出典:国土交通省「「資源有効利用促進法」を知っていますか?

2.建設リサイクル法

建設リサイクル法は、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等を目的に、2000年5月に公布され、解体工事業者の登録制度等については2001年5月から施行されており、その他の部分(分別解体等及び再資源化等の義務付け、工事の事前届出等)については2002年5月から施行されています。

その主な内容は、次の3点です。
① 建築物等に使用されている建設資材に係る分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の義務付け
② 発注者又は自主施工者による工事の事前届出、元請業者からの発注者への書面による報告の義務付け
③ 解体工事業者の登録制度や技術管理者による解体工事の監督

工事に着手する7日前までに、都道府県知事への届出が義務付けられています。

対象となる建設工事は以下のとおりです。
① 次の特定建設資材が使われている構造物で、

・コンクリート
・コンクリートと鉄から成る建設資材
・木材
・アスファルト・コンクリート

② 次の規模以上の工事

建築物の解体工事 床面積の合計 80㎡以上
建築物の新築・増築工事 床面積の合計 500㎡以上
建築物の修繕・模様替等工事(リフォーム等) 請負代金の額 1億円以上
建築物以外の工作物の工事(土木工事等) 請負代金の額 500万円以上

3.建設リサイクル推進計画2020

建設リサイクル法には、主務大臣(国土交通大臣)が基本方針を定めることが規定されており、現在「建設リサイクル推進計画2020」が推進されています。「質」を重視するリサイクルをテーマに掲げ、新たに廃プラスチックの分別・リサイクルの推進等に取り組むこととしています。

2018年度の目標値は概ねクリアとしており、2024年度の目標設定は下表のとおりとしています。

品目 指標 2018
目標値
2018
実績値
2024
達成基準
アスファルト・コンクリート塊 再資源化率 99%以上 99.5% 99%以上
コンクリート塊 再資源化率 99%以上 99.3% 99%以上
建設発生土木 再資源化・縮減率 95%以上 96.2% 97%以上
建設汚泥 再資源化・縮減率 90%以上 94.6% 95%以上
建設混合廃棄物 排出率※1 3.5%以下 3.1% 3.0%以下
建設廃棄物全体 再資源化・縮減率 96%以上 97.2% 98%以上
建設発生土 有効利用率※2 80%以上 79.8% 80%以上

※1:全建設廃棄物排出量に対する建設混合廃棄物排出量の割合
※2:建設発生土発生量に対する現場内利用およびこれまでの工事間利用等に適正に盛土された採石場跡地復旧や農地受入等を加えた有効利用量の割合

※出典:国土交通省「建設リサイクル推進計画2020 ~「質」を重視するリサイクルへ~ の概要①

建設廃棄物(建設副産物)のリサイクルが進んでいることを理解頂けたと思います。

廃棄物処理法の改正(2011年4月施行)

不法投棄等の不適正処理は減少傾向にあるものの、依然として多数発覚しており、建設廃棄物がその多くを占めています。建設廃棄物をターゲットとした改正が行われた部分について確認しましょう。

1.産業廃棄物の自社保管に関する届出制の創設

排出事業者は、建設工事に伴い生じる産業廃棄物を、排出した事業場の外において自ら保管を行おうとするときは、原則としてあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。
(違反した者には、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)

2.建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理責任について(廃棄物処理法 第21条の3 第1項)

建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理については、その建設工事の元請業者が廃棄物処理法上の排出事業者としての責任を有するという原則を確立

・元請業者が排出事業者として委託する必要がある。
・下請負人が廃棄物の運搬等を行う場合は、廃棄物処理業の許可が必要である。
・分離発注の場合は複数の元請業者がそれぞれ排出事業者となる。

例外としての 第2項~第4項

下請負人による建設工事現場内での保管(第2項)⇒ 下請負人もまた事業者とみなす。
(元請業者からの委託を受けずに)下請負人が行う委託(第4項)⇒ 下請負人を事業者とみなす。
下請負人による廃棄物の運搬(第3項)⇒ 環境省令に定める場合に限り、事業者とみなす。

下請負人が不適正な取扱いをしていた場合には、元請業者もその責任を負う(措置命令の対象となる)

第21条の3第3項の環境省令で定める廃棄物(下請負人が排出事業者として自己運搬できるケース)

1.次のいずれかに該当する建設工事に伴い生ずる廃棄物(特別管理廃棄物を除く)であるもの
①建設工事(建築物等の全部又は一部を解体する工事及び建築物等に係る新築又は増築の工事を除く。)であって、その請負代金の額が500万円以下であるもの
②引渡しがされた建築物等の瑕疵の修補に関する工事であって、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額が500万円以下であるもの

2.次のように運搬される廃棄物であるもの
①1回当たりに運搬される量が1立方メートル以下であることが明らかとなるよう区分して運搬されるもの
②当該廃棄物を生ずる事業場の所在地の属する都道府県又は当該都道府県に隣接する都道府県の区域内に存する施設に運搬されるもの
③当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないもの

出展:環境省「廃棄物処理法の改正について

重層下請構造が存在する建設現場における廃棄物処理責任が明確になったことで、建設廃棄物の不法投棄等の不適正処理が減少していくのかが注目されるところです。

おわりに

建設現場は、労働環境の整備が難しく、非定常業務が多く、それを重層下請構造の中で進めて行くため、労働災害等も非常に多く発生しています。

建設廃棄物については混合状態のものを分別する必要があり、また、飛散性アスベストや廃PCB等が発生する現場も存在します。

困難な状況の中で、リサイクルの推進等において着実に成果を上げており、マニフェストの電子化などITの活用が比較的進んでいる業界でもあります。

3K・5Kの中で社会インフラを支えているという意味では、廃棄物処理業界と共通する建設業界。お互い業界の地位を高めて労働力確保に努めて行きたいところです。


DXE株式会社資料DL

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