建設残土とは?種類や正しい処分方法を解説

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建設工事や土木工事などではさまざまな副産物が排出されるのが一般的です。副産物の中でも掘削工事などで発生した土は、一般的に建設残土と呼ばれます。建設残土は工事現場などで発生した土を総称する言葉で、正式名称は建設発生土です。

建設残土にもさまざまな種類があり、特徴や混入物の有無などで処理方法が異なる場合もあるため取扱いに注意しなければなりません。本記事では建設残土の概要や種類、処理方法を解説します。工事現場などで出る残土の処理にお困りの方は参考にしてみてください。

建設残土(建設発生土)とは

建設現場での掘削工事や整地、埋設配管などの施工では多くの場合、余剰な土が出ます。掘削した土を埋め戻したとしても、埋設した構造物の分、土が余るためです。この余った土のことを建設残土(建設発生土)と呼びます。

建設発生土は、国土交通省が省令によって指定副産物に定めたものです。指定副産物とは再生資源として有効な利用を図る上で特に必要なもので、建設発生土も埋め立てや盛り土などでのリサイクル活用が積極的に推進されています。

※参考:e-Gov法令検索.「建設業に属する事業を行う者の指定副産物に係る再生資源の利用の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」, (入手日付2023-10-31).

建設残土は産業廃棄物ではない

建設残土そのものは指定副産物であり、産業廃棄物には該当しません。

ただし、残土に金属くずやコンクリートくず、木材や有害物質などが含まれている場合、産業廃棄物に分類されます。廃棄物が混じっている土は「廃棄物混じり土」と呼び、産業廃棄物として扱います。

建設現場から発生する土 処理方法
建設発生土 資源有効利用促進法に従って再利用
廃棄物混じり土 廃棄物処理法に従って処理

廃棄物混じり土でも産業廃棄物を取り除いたものは、建設発生土として資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律)に従って再利用が可能です。

分別できない廃棄物混じり土は、産業廃棄物として排出事業者の責任で最後まで適正に処理しなければなりません。廃棄物混じり土の処理を委託する場合も、産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を得ている業者への委託が必要です。

※参考:内閣府防災情報. 「建設現場から発生する土について」, (入手日付2023-10-31).


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建設残土の種類5つ

建設残土は、状態やコーン指数によって以下の5種類に分かれます。

● 第1種建設発生土
● 第2種建設発生土
● 第3種建設発生土
● 第4種建設発生土
● 泥土

コーン指数とは地盤の強さを表す指標の一種です。コーンぺネトロメーターと呼ばれる試験機器を用いて算出するもので、数字が小さいほど柔らかい土といえます。なおコーン指数の単位であるkN/㎡は「キロニュートン毎平方メートル」と読みます。

※参考:国土交通省.「発生土利用基準について」, (入手日付2023-10-31).

第1種建設発生土

第1種建設発生土とは主に砂や礫(れき)などのことです。土の強度であるコーン指数は特に定められていません。第1種建設発生土に分類される残土は、道路用地の盛り土や土木構造物の裏込め、土地造成、河川の高規格堤防の建設などに再利用されます。ただし、再利用する発生土には、一定以上の品質が確保されていなければなりません。

第2種建設発生土

第2種建設発生土も砂や礫を含みますが、コーン指数が800kN/㎡以上あるもので、砂をより多く含む砂質土や、礫の割合が多い礫質土が第2種に含まれます。第2種建設発生土の用途は主に土地の造成、道路用地の盛り土、河川築堤材料、工作物の埋め戻しなどです。これらには砂と同品質を確保できるものが使用されます。

第3種建設発生土

コーン指数が400kN/㎡以上の粘性土(粒子径が75㎛以下で土粒子が50%以上含まれる土質)で、工事での使用が容易なものは第3種建設発生土に分類されます。第3種建設発生土は堤防建設や土地の造成などへの使用が可能です。盛り土や工作物の埋め戻しに第3種建設発生土を使用するには、セメント系や石灰系の改良材などを混合して土質を改良する必要があります。

第4種建設発生土

粘性土の中でもコーン指数が低く(200kN/㎡以上)、第3種建設発生土に該当しないものは第4種建設発生土に分類されます。第4種建設発生土は柔らかいため水面の埋め戻しなどに使用されるのが一般的です。土木構造物の裏込めや道路用の盛り土、土地造成などに第4種建設発生土を使用する際は土質を改良する必要があります。

泥土

泥土とは、掘削工事などの際に排出される泥水状の土のことです。水分を多く含んでいるため、コーン指数が200kN/㎡未満と高くありません。泥土は土質を改良した後、水面の埋め立てに使用されるのが一般的です。

再利用できない泥土は産業廃棄物の一つである汚泥として処理します。汚泥に該当する場合は廃棄物処理法に従った処理が必要です。泥土か汚泥かをしっかり見極めて、適切に処理しましょう。

建設残土の処分方法3つ

建設残土を処分する方法には「再利用する」「処分場に持ち込む」「処分業者に依頼する」の3つがあります。それぞれについて詳細を見ていきましょう。

再利用する

建設発生土は指定副産物に該当するため、可能な限り再生資源として再利用するよう求められます。土木工事の埋め戻しや道路工事の盛り土などに活用して、なるべく現場内で再利用しましょう。もし現場内での再利用が難しい場合は、現場外での再利用が推奨されています。

処分場に持ち込む

現場内で再利用してもまだ建設残土がある場合は、残土処分場やストックヤードと呼ばれる残土仮置き場に持ち込みましょう。ストックヤードに持ち込むと、一時保管された後、有効利用されます。

ストックヤードの受け入れ基準は、自治体によって異なることもあるため注意が必要です。例えば東京都では「東京都建設発生土再利用センター」で第1種〜第3種の建設発生土の搬入を受け入れています。

※参考:東京都都市づくり公社.「東京都建設発生土再利用センターのご案内」, (入手日付2023-11-06).

処分業者に依頼する

処分費用はかかりますが、建設残土を処分業者や回収業者に処分してもらう方法もあります。処分費用は車両のサイズによって異なります。また、廃棄物混じり土の処分費は、通常の残土処分費よりも割高となるのが一般的です。
なお、処分費用はお住まいの地域や処分業者によって異なります。依頼の際は、複数の処分業者から相見積もりを取って比較検討してみるとよいでしょう。

処理方法を誤ると産業廃棄物処理法に違反することも

金属くずやコンクリートくず、木材や有害物質などが含まれている廃棄物混じり土や汚泥は産業廃棄物としての処理が必要です。通常の建設残土として運搬したり投棄してしまうと、産業廃棄物処理法違反に問われる可能性があるため注意しましょう。

もし廃棄物混じり土や汚泥を通常の建設残土と考えて、産業廃棄物の処理許可を得ていない処理業者に収集運搬などを委託してしまうと、無許可業者への委託となります。

無許可業者への委託は廃棄物処理法違反となり、廃棄物処理法により3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科となります。

また建設残土を山林などに捨てて不法投棄扱いとなった場合も5年以下の懲役または1,000万円以下(法人は3億円まで)の罰金が科されるなど、厳しい罰則が設けられているため、判断を誤らないようにしてください。

※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」, (入手日付2023-10-30).

建設残土に関する8つのよくある質問

最後に建設残土に関して寄せられることが多い、以下の8つの質問に回答します。

● 建設残土に関する法律は?
● 建築残土の運搬は自治体の許可が必要?
● 建設残土における自由処分とは?
● 建設残土は埋め立てに利用できる?
● 建設残土の処分先一覧はある?
● 建設残土の仮置きに許可は必要?
● 建設残土と汚泥の違いは?
● 建設残土に関するトラブルはある?

該当するものがあれば参考にしてください。

建設残土に関する法律は?

建設残土は資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律)に基づき、再生資源としての活用が促進されています。

建設残土の不適正な処理によっては崩落や土砂災害などを招く危険もあり、これらの被害を防ぐためにも、建設関係者は法律の処理基準に則って適切に残土を扱わなければなりません。また廃棄物混じり土は廃棄物処理法に従って処理する必要があります。

※参考:e-Gov法令検索.「資源の有効な利用の促進に関する法律」, (入手日付2023-11-06).

建築残土の運搬は自治体の許可が必要?

建設残土そのものは廃棄物に該当しないため、自治体の許可を得なくても運搬が可能です。ただし、廃棄物混じり土は産業廃棄物に当たるため、運搬基準に従って自社で処分場まで運搬するか、自治体の許可を得ている収集運搬業者に委託する必要があります。

建設残土における自由処分とは?

自由処分とは建設残土の具体的な搬出先を発注者が指定せず、請負者が任意の場所に処分することを指します。この場合、発注者が搬出先を確認できません。一方、発注者が指定した場所で残土を処分するのを指定処分と呼びます。自由処分では責任の所在が曖昧となってしまうため、指定処分での処理が求められます。

建設残土は埋め立てに利用できる?

建設残土は埋め立てに利用できます。ただし、全ての残土が埋め立てに利用できるわけではありません。建設残土の中でも、埋め立てに使っても安全だと判断される場合だけ、自治体の条例に従って埋め立てに再利用できます。

建設残土の処分先一覧はある?

処分先の一覧を作成している自治体もあります。「処分先一覧表」と「都道府県名」で検索してみましょう。例えば広島県の場合、次のURLで一覧表をダウンロードできます。

広島県「建設発生土処分先一覧表の掲載申請及び審査要領について」

建設残土の仮置きに許可は必要?

仮置きとは土砂の利用を目的として、一時的に搬出または堆積することを指します。自治体によって条件が異なりますが、原則として建設残土の仮置きには許可が必要です。

建設残土と汚泥の違いは?

国土交通省は「建設工事にかかる掘削工事から生じる泥状の掘削物および泥水のうち、廃棄物処理法に規定する産業廃棄物として取り扱われるもの」を建設汚泥と呼ぶと定義しています。

建設工事で発生する汚泥は、廃棄物処理法上の産業廃棄物に該当するため、取扱いに注意してください。

汚泥は水分が多く、コーン指数は200kN/㎡以下です。汚泥を土砂と見分けるポイントは、「標準仕様ダンプに積載できず、その上を人が歩けない」「ダンプに積載できても、運搬中に泥状に変化する」などです。

※参考:国土交通省.「建設汚泥処理土利用技術基準」, (入手日付2023-10-31).

建設残土に関するトラブルはある?

建設残土は廃棄物処理法が定める産業廃棄物には当たらないため、処分の規制措置がありません。そのため山林への不法投棄が行われ、崩落が起きるなどして生活や自然環境に悪影響を及ぼしている例も見られます。

2021年7月3日に静岡県熱海市で発生した土石流災害は、大きな被害を出した一例です。土石流が起きた要因の一つは、残土による不正な盛り土だったとされています。こうした被害を未然に防ぐためにも、建設残土は有効活用などの適切な処理をしなければなりません。

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