無害化処理認定制度とは?認定要件から注意点まで解説

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石綿(アスベスト)やPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む廃棄物は、人体や環境への悪影響があることから、特別管理廃棄物に分類され、通常の廃棄物よりも厳しい規制が行われています。

合わせて、これらの物質の処理を業として行う事業者に向けて、該当する廃棄物を適正に処理する能力があると認める「無害化処理認定制度」という制度が定められています。

本記事では、無害化処理認定制度の定義や対象となる廃棄物、認定要件などをご紹介します。記事後半では、無害化処理認定を受けるまでの流れやメリット、注意点なども網羅的に解説するので、ぜひ参考にしてください。

無害化処理認定制度の定義とは?

環境省の定める無害化処理認定制度とは、石綿(アスベスト)を含む廃棄物や微量PCB汚染廃家電機器など、人体や環境に有害な物質の処理に適応される制度です。

従来、石綿は1,500度以上で熱して溶解すると無害化されるという知見から、1,500度以上で溶解することを無害化処理の条件としていました。

しかし、この条件は石綿の無害化処理に準拠して設定されているため、もし同施設で他の廃棄物の処理を行おうとした場合、無駄な熱エネルギーを消費することとなります。例えば、800度で無害化される廃棄物を、上記の無害化処理の基準に基づき1,500度で処理する場合などです。

こうした状況を踏まえ、石綿の不適切処理の防止および溶解以外の処理方法の促進を目的として、平成18年に無害化処理認定制度が設けられました。


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無害化処理認定制度を受けている施設

無害化処理認定制度は、廃棄物処理法や環境省令の定める基準に準拠した施設に対して適用されます。

廃棄物処理法第十五条の四の四の第一項に基づき無害化処理認定制度を受けた施設・事業所名は、環境省のWebサイトにて確認できます。

環境省「廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設」
環境省「廃棄物処理法に基づく石綿含有廃棄物等無害化処理認定施設」

なお施設によって「廃油のみ処理できる」「高濃度のPCB汚染廃棄物を処理できる」などの詳細は異なります。

無害化処理認定制度の対象になる廃棄物一覧

無害化処理認定制度の対象になる廃棄物一覧は、以下の通りです。

  • 廃石綿等
  • 石綿含有一般廃棄物(新築やリフォーム、解体、除去により生じる一般廃棄物で、石綿が全体の含有率0.1%を超えるもの)
  • 石綿含有産業廃棄物(建設やリフォーム、解体、除去により生じる産業廃棄物で、石綿が全体の含有率0.1%を超えるもの)
  • 微量PCB汚染廃家電機器等

参照:環境省「廃棄物処理法における廃石綿等の基準等について」

無害化処理認定制度の認定要件

無害化処理認定制度の認定要件は、以下のように定められています。

  • 当該無害化処理の内容が、「石綿含有廃棄物等」の迅速かつ安全な処理の確保に資するものとして環境省令で定める基準に適合すること。(処理内容(方法・技術)に関する要件)
  • 無害化処理を行い、行おうとする者が環境省令に定める基準に適合すること。(処理実施者に関する要件)
  • 設置し、設置しようとする当該無害化処理の用に供する施設が環境省令で定める基準に適合すること。(施設に関する要件)

処理内容(方法・技術)に関する要件、処理実施者に関する要件、施設に関する要件は「平成18年環境省告示第99号」に記載されています。

引用:環境省「無害化処理認定制度Q&A」(入手日付2023-01-03)

無害化処理認定を受けるまでの流れ

ここでは、無害化処理認定を受けるまでの流れをご紹介します。

  1. 制度説明、事前相談・調査:
    地方環境事務所にて、無害化処理認定制度の概要や趣旨などの説明を受けます。技術的な内容や詳細な事項も、環境省産業廃棄物課と協議・相談が必要です。
  2. 申請、申請書チェック、受理:
    地方環境事務所に無害化処理認定制度申請に関する書類を提出します。必要書類は無害化処理認定申請書や施設の図面・実証試験の結果を記した添付書類などです。求められる部数の書類を提出する必要があります。
  3. 環境本省での審査:
    大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課・産業廃棄物課にて審査されます。
  4. 告示、知事等への通知、縦覧:
    申請内容に関する告示と知事等へ通知がされます。縦覧は1カ月の期間が設けられています。
  5. 関係者からの意見書、知事等意見受理
  6. 5を踏まえた審査、有識者意見聴取
  7. 認定・認定拒否決定、審査結果通知、認定書交付(認定の場合):
    環境本省より、申請者に通知されます。
  8. 事後調査:認定後に地方環境事務所による事後調査があります。

なお申請書類には、以下の項目をまとめてください。

  • 氏名・名称、住所、法人の場合は代表者氏名
  • 無害化処理を行う施設の設置場所
  • 施設の種類・処理能力・維持管理に関する計画
  • 無害化処理を行う廃棄物の種類
  • 施設の位置、構造等の設置に関する計画
  • その他環境大臣が定める事項

またステップ2でご紹介した実証試験は、石綿を含む廃棄物やPCB汚染物の無害化が可能かどうかを証明するために必要です。主に以下のチェック項目が定められています。

  • 処理後物から石綿が検出されるか
  • 排ガスから石綿が検出されるか
  • 排水その他周辺環境への影響はないか
  • 溶融施設の場合は、炉内の温度がどのように推移しているか

処理内容によっては、他のチェック項目が追加される場合もあります。

参考:環境省「無害化処理認定制度Q&A」(入手日付2023-01-03)

無害化処理認定のメリット

先述した通り、無害化処理認定を受けるにはいくつかの要件を満たした上で、申請書類・添付書類を提出し審査を受ける必要があります。

こうした厳しい基準をクリアして無害化処理認定を取得することで、以下のメリットが得られます。

認定を受けた廃棄物に関わる許可が不要になる

無害化処理認定を受けると、認定を受けた廃棄物に関わる収集運搬・処分業および廃棄物処理施設の設置の許可が不要になります。認定を受けた時点で、各種許可を得ているのと同等の処理能力があるとみなされるためです。

本来、運搬や一時的な保管を行うには廃棄物収集運搬業、中間処理や最終処分を行う場合は廃棄物処分業の許可などを、それぞれ業務を行う地域を管轄する自治体から得る必要があります。

無害化処理認定を受けている場合は、これらの許可を別途取得する必要がないので、行政手続きの簡素化とコスト削減を実現できます。
ただし、認定を受けた廃棄物以外の処理を行う場合は、別途許可が必要になりますので注意が必要です。

無害化処理認定制度に関する注意点

無害化処理認定制度に関する注意点をご紹介します。

  • 毎年度、無害化処理に関わる報告書の提出が必要
  • マニフェストの交付・帳簿の記録・保存は免除されない

法令違反とならないためにも、それぞれ詳しく理解しましょう。

毎年度、無害化処理に関わる報告書の提出が必要

無害化処理認定を受けた場合、毎年度、以下の項目をまとめた報告書の提出が必要です。

  • 氏名または名称、住所、法人の場合は代表者氏名
  • 認定年月日および認定番号
  • 当該認定に関わる施設において無害化処理を行った廃棄物の種類と量
  • その他環境大臣が定める事項

上記をまとめた書類を、環境大臣宛てに提出します。
具体的な提出先は、施設を設置する地区を管轄する地方環境事務所です。

マニフェストの交付・帳簿の記録・保存は免除されない

無害化処理認定を受けた場合でも、マニフェストの交付・帳簿の記録・保存は通常通り義務付けられています。
健康や環境に影響を及ぼすおそれのある廃棄物を扱うことから、その処理の流れを把握することは極めて重要です。

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