交通事故や違反を防ぐには?車両運転のリスクについて考えよう

交通事故や違反を防ぐには?車両運転のリスクについて考えよう

収集運搬ドライバーを取り巻く代表的なリスクである車両運転。特に大型貨物車が事故を起こすと、重大事故になりやすい傾向があります。
このコラムでは、大型車が交通事故を起こしやすい状況や、身近な交通違反について解説しています。
事故や違反を未然に防ぐには何が大切か改めて考えていきましょう。

交通事故(加害)リスク

(1)追突事故

重い荷物を積載している大型車は、急ブレーキを掛けてもすぐには止まれません。普通自動車よりも制動距離(ブレーキを踏んでから止まるまでの距離)が長くなるため、常に前走車との車間距離に余裕を持つことが重要です。
適正な車間距離を維持する目安としては、目標物を決め、前走車が通過してから自車が通過するまでに「ゼロイチ、ゼロニ、ゼロサン」とカウントできるくらいの時間をキープするなどの方法があります。
また大型車は普通自動車よりも運転席が高い位置にあるため、前走車との距離感が遠く感じてしまい、結果として車間を詰めすぎる傾向にありますが、これは前走車に煽り運転されているというような印象を与えかねませんので注意が必要です。

車間距離注意
あおり運転

(2)接触事故

様々な収集運搬車両に乗務されるドライバーは、それぞれの車両の特性(車幅、貨物室を含めた車高、オーバーハング、内輪差、死角の範囲)に応じた運転操作が必要です。特に、排出事業者や運搬先の構内など、見通しが悪い、全体的に暗い場合は、いつも以上に慎重な運転操作が求められます。状況によっては、先方の作業者や同乗者に誘導してもらうといった対応も有効です。

大型車の死角(赤色の部分)
大型車の死角(赤色の部分)
駐車場からの発進時
リアオーバーハングによるはみ出し

出典「自動車安全運転センター」 (https://www.jsdc.or.jp/Portals/0/pdf/library/research/h18_3.pdf

(3)積載物の落下

特に廃棄物をバラ積みされるような場合、運搬中に積載物を落下/飛散/散逸させるなどにより、後続車両や周辺へ多大な影響を与えてしまうリスクがありますので、荷物の固定、シート・ネットやコボレーンの使用により、落下/飛散防止措置を取る必要があります。

(4)タイヤの脱落

近年、大型車両からのタイヤ脱落事故が増加傾向にあります。(下図参照)

年度別の大型車の車輪脱落事故の発生件数(過去10年間)

過去には、東名高速自動車道でホイール・ボルト折損により脱落したタイヤが対向してきたバスに衝突し、バスの運転者が死亡、乗客7名が負傷する事故が発生しています。国交省HPより、「ホイール・ボルト折損による大型車の車輪脱落事故」についてのまとめが公開されていますので、事業者の方や整備管理者の方は一読ください。
出典「国土交通省」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/tenken/t2/t2-1/

(5)あおり運転

大型車はドライバーのアイポイントが高いという特性から、前走車との距離が縮まり易いそうです。人によっては、車間を詰められていると感じることもありますので適切な車間距離を確保することが重要です。 強引に割り込んできた前走車との距離を詰め過ぎてしまうと、わざと急ブレーキを踏み、追突を誘発させるような運転をするドライバーもいますので、頭に来たとしても冷静に対処することが必要です。


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交通違反リスク

(1)飲酒、酒気帯び運転

アルコール分解能力に個人差はありますが、1時間で分解できるアルコール量の一般的な目安としては、体重60kg〜70kgの人の場合で約5gと考えられています。
一例を示しますと、日本酒1合orビール中瓶1本orダブルのウイスキー1杯を分解するために必要な時間は、約4時間だということがわかりますが、医学的にアルコールを早く抜く方法は無く、翌日早朝から運転に従事される方は、前日の飲酒を控えることが、リスク管理として求められます。
なお、2022年4月より白ナンバーについてもアルコールチェックが義務化されています。アルコール検知器の使用も必須となる予定です。

(2)無免許運転

普通免許は取得時期により運転できる車両が異なります。また、2017年には準中型免許が新設されています。免許区分に応じた範囲で運転しないと無免許運転となるので注意が必要です。

免許区分 免許取得時期 車両総重量 重大積載量
①大型免許 11t以上 6.5t以上
②中型免許 11t未満 6.5t未満
③8t限定 中型免許 H19/6/1以前に取得した普通免許 8t未満 5t未満
④準中型免許 H29/3/12以降に取得した準中型免許 7.5t未満 4.5t未満
⑤5t限定準中型免許 H19/6/2~H29/3/11に取得した普通免許 5t未満 3t未満
⑥普通免許 H29/3/12以降に取得した普通免許 3.5t未満 2t未満

事業用自動車の運行管理者の方は、配車時の運転者の運転免許証とトラックの自動車検査証に記載されている車両総重量や最大積載量をきちんと照合するようにしてください。
トラックの運転手の方も、お持ちの運転免許証と運転するトラックの自動車検査証に記載されている車両総重量や最大積載量の確認をしっかりと行い、無免許運転とならないようくれぐれもご注意ください。 あわせて「うっかり失効」や「免停期間中の運転」にも注意が必要です。30日免停で29日の短縮講習を受講しても、当日の運転は無免許運転となります。

(3)携帯電話等利用

2019年の改正道路交通法により、運転中の携帯電話等利用に対する罰則が大幅に強化されています。

 ● 運転中にスマホ等を使用

改正前 改正後
罰則 5万円以下の罰金 6月以下の懲役又は
10万円以下の罰金
反則金(大型) 7千円 2万5千円
反則金(普通) 6千円 1万8千円
点数 1点 3点

 ● 運転中にスマホ等を使用し、さらに交通事故を起こした

改正前 改正後
罰則 3月以下の懲役又は
5万円以下の罰金
1年以下の懲役又は
30万円以下の罰金
反則金(大型) 1万2千円 反則金の制度の対象外となり、
すべて罰則の対象に
反則金(普通) 9千円
点数 2点 6点(免許停止)

運転中に携帯電話、スマートフォンで通話をしたり、タブレット端末、ナビゲーションシステムを注視する行為は、重大な交通事故につながる危険な行為ですので、絶対にやめましょう!

スマホながら運転

(4)過積載

過積載による運行は、「ブレーキの効きを低下させる」「燃費を悪化させる」のみならず、道路に与える影響(ダメージ)が大きく、老朽化した道路インフラに対して多大な影響を及ぼします。さらに交通事故に繋がりやすく、万が一事故が発生した場合に被害がより重大なものとなる危険性があります。

影響 重量超過車両による走行がもたらす2大悪
重量超過車両による道路橋の劣化への影響は、 重量 (軸重)の12乗に比例します。 左下図のように、軸重 が基準(10トン)の2倍超過して走行した場合、 特に道路橋に対しては、 たった1台が軸重10トン車の約4, 000台分以上の走行に相当し、老朽化した道路インフラに対して多大な影響を及ぼしています。 また、重量 超過車両の走行は、交通事故に繋がりやすく、道路交通への影響も甚大です。
【特殊車両の重大事故事例】
無許可のセミトレーラ横転により、積荷が落下。約12時間の 国道が通行止めとなった上、ガードレールや照明灯も損傷。

出典「国土交通省」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001371193.pdf

道路インフラは高度経済成長期に集中して建設され、老朽化が進行しています。2030年には全体の半数以上が建設後50年を経過することとなり、深刻な老朽化の時代を迎えています。
国民の財産である道路を安全かつ安心して利用するため、限りある財源の中で、適切に維持管理をしていくには、いかに道路を長寿命化させていくかが喫緊の課題となっています。


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