産業廃棄物の現地確認とは?事例や現地確認を行う際のポイントを解説!

産業廃棄物の現地確認とは? 事例や現地確認を行う際のポイントを解説!

産業廃棄物が適正に処理されたか否かの責任を負うのは、排出事業者です。法律により、排出事業者はその活動に伴い排出された廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければならないと定められています。

委託から最終処分に至るまでの一連の工程を、実際に現地を視察して確認するのが、努力義務化されている「現地確認」です。一部の都道府県では、条例にて義務化されているところもあるので、排出事業者はその内容を正しく理解しておく必要があります。

そこで本記事では、産業廃棄物の現地確認の概要や義務化されている例をご紹介します。記事後半では、産業廃棄物の現地確認を行う際のポイントも解説するので、実施する際の参考にしてください。

産業廃棄物の現地確認とは?

産業廃棄物の現地確認とは、産業廃棄物の排出事業者や中間処理業者が収集運搬・処分を委託する外部企業を実際に訪問し、法令や契約に基づき適切に処理しているかを確認することです。

現地確認に関する規定は、廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の第十二条第七項で定められています。産業廃棄物の収集運搬・処分を委託する際は、当該産業廃棄物の状況を確認し、委託から最終処分が終了するまで一連の工程が正しく実施されるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。現地確認の実施により、不法投棄や不適切処理を未然に防ぐことが可能です。

参考サイト:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2024-05-14).

産業廃棄物の現地確認が義務化されている例

廃棄物処理法では現地確認は努力義務ですが、一部の都道府県では義務化されています。産業廃棄物の現地確認が義務化されている、新潟県と愛知県の一例を見ていきましょう。

新潟県の場合

新潟県では、「新潟県産業廃棄物等の適正な処理の促進に関する条例」とその施行規則にて現地確認が義務化されています。

同条例第八条第一項では、「排出事業者・中間処理業者は処分を委託する者が設置している施設の処理状況を確認し、施行規則で定めた事項を記録しなければならない」と定められています。施行規則第二条で定められている事項は、以下の通りです。

  • 確認した年月日
  • 確認した者の氏名
  • 確認の方法
  • 委託に係る産業廃棄物の処理施設の処分の状況
  • 委託に係る産業廃棄物の保管場所の状況

これらの事項を記した記録は排出事業者の事務所などの備え置き、確認した日から5年間保存する必要があります。

現地確認を義務化した条例ですが、電話やその他の通信手段を用いた確認も可能です。

※参考:新潟県産業廃棄物等の適正な処理の促進に関する条例施行規則 ,(入手日付2024-05-14).

※参考:新潟県産業廃棄物等の適正な処理の促進に関する条例,(入手日付2024-05-14).

愛知県の場合

愛知県で廃棄物の適正処理を実施すべく定められているのが、「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例」です。同条例第七条では、「排出事業者・中間処理業者は委託先が産業廃棄物を処理する能力を備えていることを確認しなければならない」としています。

同条例に基づき、委託先の処理施設や保管場所の状況を確認します。主な確認事項は、以下の通りです。

  • 許可証の許可期限は切れていないか
  • 処理方法が最新の許可証に記載されているか
  • 許可証の内容と業務形態が一致しているか
  • 使用している車両は収集運搬に適したものか
  • 決められた場所で積替え保管を実施しているか

これらの確認事項を登録した書類は、5年間の保存義務があります。

確認方法は、基本的には現地調査です。ビデオ電話でも可能ですが、委託契約者の代表者が処理施設を実際に訪問し、廃棄物処理が適正に実施されているかの確認を周辺環境の確認やスタッフへの聞き取り調査で実施する他、悪臭・騒音の計測データや対策の実施状況もチェックする必要があります。

ここでは新潟県と愛知県の条例を参考に解説しましたが、都道府県によって細かい規則は異なるので、詳しくは地域を管轄する自治体に確認してください。

※参考:愛知県「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例のあらまし」 ,(入手日付2024-05-14).

※参考:愛知県「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例 第7条に関するガイドライン(排出事業者用)」 ,p3,p19,p27,(入手日付2024-05-14).

産業廃棄物の現地確認を行う際のポイント

産業廃棄物の現地確認を行う際のポイントは、以下の通りです。

  • 契約書・マニフェスト・帳簿を確認する
  • 許可証と許可看板の内容を照らし合わせる
  • 敷地内の清掃が行き届いているか確認する
  • 作業員の身だしなみ・態度を確認する
  • 安全管理ができているか確認する
  • チェックリストを持参していく

それぞれのポイントを詳しく解説します。

契約書・マニフェスト・帳簿を確認する

まずは、契約書・マニフェスト・帳簿の保管状況を確認しましょう。産業廃棄物の処理が法律や契約条件に則り、適切に実施されているかを確認できます。

委託契約書は、委託する産業廃棄物の種類や数量、産業廃棄物の処理に関連する具体的な条件(業務範囲・料金)などを記した書類です。2005年に施行されたe-文書法(正式名称:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)により電子化も可能となっていますが、紙ベースが主流となっています。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、産業廃棄物を収集運搬・処分する際に用いられる伝票です。産業廃棄物の流れを追跡し、適正な処理が行われているかを確認する役割があります。

マニフェストには産業廃棄物の種類や数量、収集運搬・処分業者名を記載します。紙マニフェストと電子マニフェストがありますが、前者の場合は保存義務期間が設定されている他、管理が煩雑になるので、委託先に協力を仰いで電子マニフェストに統一するのもよいでしょう。

契約書・マニフェストと併せて、産業廃棄物の種類や収集運搬日時、受入先ごとの受入量を記した帳簿の保管状況もチェックしておいてください。

許可証と許可看板の内容を照らし合わせる

現地確認を実施する際は、委託先の産業廃棄物収集運搬・処理業者の許可証の写しを持参して、許可看板の内容と照らし合わせて内容に相違がないかを確認しましょう。

許可証は委託先のホームページなどからダウンロード可能です。

許可看板は、産業廃棄物の保管場所に設置されています。以下の内容が記載されているので、ダウンロードした許可証と併せてチェックしてください。

  • 産業廃棄物の保管施設であること
  • 産業廃棄物の種類と数量
  • 管理者の氏名や名称、および連絡先
  • 最大保管の高さ

敷地内の清掃が行き届いているか確認する

実際に委託先の敷地内を視察して、清掃が行き届いているかも確認しましょう。

整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5Sを徹底している事業所は、作業員の働くモチベーションも高く責任感を持って仕事に取り組んでいるので、安心して任せられます。

作業員の身だしなみ・態度を確認する

そこで働く作業員のプロ意識や安全意識、教育水準は、作業員自身の身だしなみや態度に現れます。現地確認の際は、施設の設備や安全管理対策だけでなく、作業員にも着目しましょう。

ヘルメットや安全器具を着用し真剣に業務に当たっているかをチェックし、安心して産業廃棄物の処分を委託できる事業所か判断してください。

安全管理ができているか確認する

産業廃棄物の収集運搬・処分では、時折危険を伴う作業もあります。例えば、鋭利な金属くずを取り扱ったり、腐食性のある廃酸・廃アルカリを処理したりするケースなどです。

これらの作業に対し、安全管理対策がしっかり施されているかを現地で確認しましょう。具体的なチェック項目は、日頃の作業で危機管理対策ができているか、緊急事態が発生した場合のフローチャートは充実しているか、注意喚起の内容は最新の状態になっているかなどです。

チェックリストを持参していく

現地確認は多くても年に数回、基本的には一回程度しか実施しません。委託先が遠方にあるケースもあるので、なるべく一回の現地確認でより多くの項目をチェックしましょう。

そのために、確認事項をまとめたチェックリストを持参していくのがおすすめです。公益社団法人全国産業廃棄物連合会や都道府県のホームページで現地確認のチェックリストが公開されているので、参考にしてみてください。

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