温室効果ガスとは? 排出される原因や環境・経済への影響、削減方法も解説

温室効果ガスは地表温度を一定に保つ効果がある一方で、過剰にあると地球温暖化の原因となります。カーボンニュートラルやSDGsが推進される中、温室効果ガスを削減する取り組みも注目されているため、何かしらに取り組んでみようと考えている方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、温室効果ガスの概要や排出による影響、種類などを解説します。記事後半では、温室効果ガスの削減のために企業や個人ができることなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

温室効果ガスとは?

温室効果ガスとは、地球の表面から放出される熱を吸収して温室効果を示す気体の総称です。太陽の熱が日中降り注ぐことで地表は温まりますが、その熱は宇宙空間へ放出されます。

この際、温室効果ガスが一部の熱を吸収することで、地表付近の温かさ、具体的には平均気温14度付近に保たれるという仕組みです。もし温室効果ガスがなければ、地球の平均気温は氷点下20度付近まで下がるといわれています。

地表付近の温度を一定に保つ上で欠かせない温室効果ガスですが、人間の生産活動が活発になるに連れて大量に排出される点が問題です。温室効果ガスは、地球温暖化の原因の一つとされており、個人・企業レベルで排出を削減する取り組みを行っていく必要があります。

詳しくは後述しますが、温室効果ガスには二酸化炭素(CO2)・メタン(CH4)・一酸化二窒素(N2O)・フロン類などがあります。

温室効果ガスが排出される原因

温室効果ガスは自然界からも排出されますが、その主な原因は人間の生産活動によるものです。2021年度における日本の部門別の二酸化炭素は、電気・熱配分後で以下のようになっています。

● 産業部門:35.1%
● 運輸部門:17.4%
● 業務その他部門:17.9%
● 家庭部門:14.7%
● エネルギー転換部門:7.9%
● 非エネルギー起源二酸化炭素:7.1%

また森林減少も、温室効果ガスが増えている要因の一つです。世界の森林面積は約40.3億ヘクタールですが、減少の一途を辿っており、2000年から2010年まで平均して毎年520万ヘクタールが減少しています。森林は大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する役割があるため、森林面積が減少するとそれだけ地球温暖化が進行します。

※参考:環境省「2021年度温室効果ガス排出・吸収量(確報値)」(入手日付2024-12-23)
※参考:環境省「世界の森林を守るために」(入手日付2024-12-23)

温室効果ガスの排出による影響

温室効果ガスの排出による影響を、環境と経済の面に分けて詳しく見ていきましょう。

環境への影響

温室効果ガスが多量に排出されると、宇宙空間に放出されるはずの熱エネルギーが地表付近にとどまります。地球全体の平均気温が上昇するため、猛暑や干ばつなどの異常気象が引き起こされます。地球温暖化が進むほど異常気象が発生する可能性は高いとされており、その影響は無視できません。

また極端な気温上昇は、生態系にも悪影響を及ぼします。気温上昇により北極付近の氷が溶けてホッキョクグマの生息地が狭くなる、竹林の減少によるジャイアントパンダの住処と食料が奪われるなどが具体例として挙げられます。

経済への影響

温室効果ガスは地球温暖化など環境面への影響だけでなく、経済面でも悪影響を及ぼします。

例えば異常気象により農作物が例年通りに育たなかった場合、国の経済は大きなダメージを受けます。また気候変動に起因する災害でインフラが破壊された場合、復旧に多大なコストもかかるでしょう。

多方面に影響が及ぶため、再生可能エネルギーの導入や新技術の活用により温室効果ガスの排出を削減していくことが急務です。

温室効果ガスの種類

温室効果ガスには、以下の種類があります。

● 二酸化炭素(CO2)
● メタン(CH4)
● 一酸化二窒素(N2O)
● フロン類

それぞれの温室効果ガスの種類を詳しく見ていきましょう。

二酸化炭素(CO2)

二酸化炭素(CO2)は、2つの酸素原子(O)と1つの炭素原子が結びついた化合物です。炭酸ガスとも呼ばれており、地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスだとされています。地球温暖化係数と呼ばれる指標があり、二酸化炭素がもたらす温室効果を1とします。

二酸化炭素は元々、自然界に存在する気体ですが人間の生産活動に伴い過剰に排出されているのが現状です。主に化石燃料の燃焼や森林破壊、工業プロセスなどにより排出されます。

二酸化炭素の過剰排出により地球の海水温が上昇する他、大気中の二酸化炭素が海洋中に溶け出すと酸性化します。これによりサンゴの白化現象を引き起こされ生態系が破壊されるため、削減していくことが重要です。

メタン(CH4)

メタン(CH4)とは、1つの炭素原子(C)1つと4つの水素原子(H)が結びついた化合物です。天然ガスの主成分であり、都市ガスとしても利用されています。

二酸化炭素に次いで地球温暖化への影響が大きいとされており、地球温暖化係数は約25です。

メタンは天然ガスの採掘や廃棄物処理などの人間の生産活動だけでなく、反芻動物(牛や羊)のげっぷ、沼地や水田での植物の分解、永久凍土の融解などでも発生します。

一酸化二窒素(N2O)

一酸化二窒素(N2O)は、1つの酸素原子(O)と2つの窒素原子(N)が結びついた化合物です。大気中で安定化して存在しており、分解されるまでに100年以上と年月を必要とします。人体や動植物に悪影響を及ぼす二酸化窒素(NO2)のような有害性はありませんが、地球温暖化係数は約300と、その影響は無視できません。

一酸化二窒素は化石燃料の燃焼や、工業プロセス、自動車の排気ガス、窒素肥料、家畜の堆肥製造などから排出されます。

フロン類

フロン類とは、フルオロカーボンの通称で、炭素とフッ素が結びついた化合物です。CFC(クロロフルオロカーボン)・HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)・、HFC(ハイドロフルオロカーボン)などさまざまな種類があり、塩素が結びついたものもあります。

フロン類は冷蔵庫やエアコンの冷媒や、断熱材の発泡剤、半導体の製造に用いられてきました。温室効果ガスも強力ですが、中でも特に問題とされているのがオゾン層の破壊です。オゾン層を破壊しない代替フロンへの置き換えが進められています。

温室効果ガスの削減のために企業や個人ができること

温室効果ガスの削減のために、企業や個人ができることには以下が挙げられます。

● 電気・ガスを意識して節約する
● 再生可能エネルギーを導入する
● 電気自動車を導入する
● エコドライブを心掛ける
● ごみの分別を徹底する
● 食品ロスを減らす

それぞれの方法の詳細を見ていきましょう。

電気・ガスを意識して節約する

温室効果ガス削減のために、企業・個人レベルでできる具体的な取り組みの一つとして挙げられるのが、電気を意識して節約することです。2022年度に家庭から排出される二酸化炭素量の内、電力が47.2%と大きな割合を占めています。

● 使用していない部屋の電気を消す
● テレビを見ないときは消す
● 部屋の明るさを調整する
● 冷蔵庫の開閉時間を短くする
● エアコンの温度を過度に低く、または高く設定しない

電気同様、ガスも以下のポイントを意識して節約しましょう。

● ガスコンロを小まめに掃除する
● 追い焚きの使用回数を減らす

※参考:全国地球温暖化防止活動推進センター.「4-06 家庭からの二酸化炭素排出量(2022年度)」(参照 2024-12-23)

再生可能エネルギーを導入する

再生可能エネルギーとは、太陽や風力、水力、地熱などの自然界に存在するエネルギーです。「枯渇しない」「環境に優しい」「二酸化炭素の排出量が少ない」などが特徴で、カーボンニュートラルやSDGsの実現には欠かせないとされています。主な再生可能エネルギーの一覧は、以下の通りです。

● 太陽光発電
● 風力発電
● 水力発電
● バイオマス発電
● 地熱発電

再生可能エネルギーを取り入れると、温室効果ガスの排出量を削減でき、環境に配慮した経営を実現できます。さまざまな電力会社があり、再生可能エネルギーを全面的に推進しているところもあります。こうした会社に切り替えることでも、温室効果ガスの削減に貢献できるでしょう。

電気自動車を導入する

従来の内燃機関車では、ガソリンやディーゼルなどをシリンダー内で燃焼させ、その際に発生する熱エネルギーを利用して動力を生み出します。効率よくエネルギーを生み出せる一方、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが排出される点がデメリットです。

そこで温室効果ガスの排出量を削減する取り組みとして注目されているのが、電気自動車の導入です。電気自動車は走行中に二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化への影響を軽減できます。

日本での導入割合はまだ数%程度ですが、徐々に導入は進んできています。個人ならガソリン車から電気自動車への乗り換えを、企業は営業者や社用車に電気自動車を導入してみましょう。

エコドライブを心掛ける

エコドライブを心掛けるのも、温室効果ガスの削減に有効です。エコドライブとは、燃費を向上させたり二酸化炭素排出量を削減したりして、地球温暖化防止につなげる運転技術を指します。具体的には、以下が挙げられます。

● 燃費を把握する
● 急発進・急加速を避ける
● 一定の速度で走行する
● アイドリングストップを行う
● 車間距離を適切に保ち、加速・減速を減らす
● タイヤの空気圧を適切に保つ
● 不要な荷物は降ろして車両総重量を軽くする

ささいなことですが上記を常日頃から意識することで、燃料代の節約や二酸化炭素の排出量削減につながります。

ごみの分別を徹底する

一見関係がないように感じられますが、ごみの分別を徹底するのも温室効果ガスを削減する上では重要です。

ごみを分別せずに捨てると、温室効果ガスの排出量増加につながります。例えば可燃ごみの中にプラスチックが含まれていると、燃焼により多量の温室効果ガスが排出されます。また温室効果ガスだけでなく、ダイオキシン類をはじめとする有毒なガスが発生する点も問題です。

個人と企業を問わず、徹底して自治体のごみ捨てルールを守るようにしましょう。

食品ロスを減らす

消費されなかった食品の多くは燃焼処理され、このプロセスで大量の二酸化炭素が排出されます。

先進国を中心に、食品ロス(フードロス)は二酸化炭素が発生する原因の一つであり、企業・個人レベルで食品ロスを削減していくことが重要です。日本における2022年の食品ロスは472万トンで、温室効果ガスの排出量は1,046万トンだとされています。

食品ロスを削減するために、以下のことに取り組んでみましょう。

● 家でも外食先でも極力残さない
● 食べられる分だけ購入する
● 野菜の皮や菊、葉など可食部分であれば消費する
● 消費できない分は捨てるのではなく、フードバンクなどに寄付する

※参考:消費者庁「食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量の推計結果」(入手日付2024-12-23)

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