
家電リサイクル法とは、特定の家電製品をリサイクルし廃棄物の削減や資源の有効活用を促進する法律です。法律に基づき正しい手順で処理するためには、何が該当するのか、具体的な処理方法などを正確に理解しておく必要があります。
本記事では、家電リサイクル法の概要や対象となる4つの製品の見分け方、処分方法を解説します。今後家電リサイクル法に追加される家電の有無や、処理を依頼する際の注意点などもご紹介するので併せて参考にしてください。
目次
家電リサイクル法とは?
家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)とは、一般家庭や事務所から排出される特定の家電製品をリサイクルし、廃棄物の排出量削減と資源の有効活用を図るために制定された法律です。
家電リサイクル法制定前は、使用済み家電製品の一部が金属回収されていたものの、その多くが適切にリサイクルされることなく、埋め立てられていました。
また最終処分場の残余容量が不足していることも問題視され、家電リサイクル法が1998年に制定、2001年に施行されています。
家電リサイクル法では後述する4品目について、以下の義務が定められています。
- 小売業者:使用済み家電の引き取り
- 製造業者・輸入業者:再商品化・リサイクル
- 消費者:家電4品目を廃棄する際の、収集運搬料金とリサイクル商品の支払い
詳しい仕組みを見ていきましょう。
※参考:環境省「家電リサイクル法の概要」(入手日付2024-07-15)

家電リサイクル法の4品目の見分け方
家電リサイクル法では、以下の4つの品目が対象です。
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
エアコン
エアコンには、地球温暖化の原因物質といわれるフロンガスが含まれています。二酸化炭素の数百倍から1万倍以上の強力な温室効果があります。
家電リサイクル法では、エアコンの総重量の80%以上をリサイクルし、フロンガスの回収および処理を実施しています。(※)
対象となるエアコンは以下を参考にしてください。
- 壁掛け型のセパレート型・ガスヒーターエアコン・ハイブリッドエアコン
- マルチエアコン
- 床置き型のセパレートエアコン・ハイブリッドエアコン
- ウィンド型エアコン
家庭用のエアコンであれば、事業用途で使用されているものも家電リサイクル法の対象となります。
以下に示す、業務用のエアコンは対象外です。
- 天井・壁埋め込み型エアコン
- 天吊り型・セパレート型エアコン
- 冷風機・冷風扇
- スポットエアコン
- ウィンドファン
- 除湿機
- パッケージエアコン
※参考:日本冷凍空調工業会「家電リサイクル法とエアコン」(入手日付2024-07-09)
※参考:環境省「地球環境とフロン」(入手日付2024-07-09)
テレビ
家電リサイクル法の対象となるテレビは、以下の通りです。
- ブラウン管式テレビ
- ブラウン管式VTR内蔵テレビ
- ラジカセ一体型テレビ
- 液晶・有機EL・プラズマ式テレビ
- HDD・DVD内蔵テレビ
- チューナー分離型テレビ
電池を除いたワイヤレスリモコンや着脱できる付属のスピーカー、その他商品の付属品も対象です。
一方で、以下に示す業務用テレビは対象外となります。
- 一次電池または蓄電池を使用する液晶式テレビ(車載・携帯用)
- ディスプレイモニター(テレビチューナー付きも含む)
- 建築物に組み込めるよう設計された液晶・有機EL式テレビ
- 病院・旅館などで使用されるコインボックス内蔵型テレビ
- プロジェクションテレビ
テレビ台やリモコン用電池も対象外なので注意しましょう。
冷蔵庫・冷凍庫品の洗濯がリサイクルの効率に大きな
冷蔵庫・冷凍庫は、以下が対象です。
- 冷蔵庫
- 冷凍冷蔵庫
- 保冷庫・冷温庫
- ワインセラー(ワイン庫)
- 冷凍庫(チェスト型・引き出し型・アップライト型)
- ペルチェ素子方式冷蔵庫(一部メーカーでは電子冷蔵庫と呼ばれる)
- 吸収式冷蔵庫
- ポータブル冷蔵庫(車載用・バッテリー式含む)
製氷皿や野菜かごなど、商品に内蔵されているものであれば、同様に引き取ってもらえます。
一方で、業務用の冷蔵庫・冷凍庫をはじめ、以下に挙げるものは対象外です。
- おしぼりクーラー
- 保冷米びつ
- 店舗用のショーケース
- 店舗用の冷凍ストッカー
- 課金型のホテル用システム冷蔵庫
- 冷水機・製氷機
- 化粧品専用の保冷庫
業者によっては業務用の冷蔵庫・冷凍庫しか製造していない場合があるので、該当しないかチェックしてみてください。
洗濯機・衣類乾燥機
洗濯機・衣類乾燥機は以下のタイプが対象となります。
- 洗濯乾燥機
- 全自動洗濯機
- 2槽式洗濯機
- 小型洗濯機(排水機能があるもの)
- 衣類乾燥機
洗濯機の中に入っている洗濯かごも、一緒に引き取ってもらえます。
一方で、以下のタイプは対象外となるので確認してください。
- 衣類乾燥機能付き布団乾燥機
- 衣類乾燥機能付きハンガー掛け
- 電動バケツ(排水機能がないもの)
- 衣類乾燥機付き換気扇・除湿機・ハンガー
- コインボックス内蔵式洗濯機・衣類乾燥機
- 脱水機
衣類乾燥機の置き台やコインボックス、カセットボンベも同様に対象外です。
なぜ家電リサイクル法の対象家電は4品目だけなのか
家電にはさまざまなものがありますが、家電リサイクル法の対象となるのは4品目だけです。「なぜこの4製品に限り対象となっているのだろうか」と疑問に感じる方もいるでしょう。
「エアコン」「テレビ」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」の4製品が対象となっているのは、これらをリサイクルすることが資源の効率的利用や廃棄物の削減、経済的負担の軽減につながるためです。これらの家電は、家電リサイクル法で定められた以下の4つの要件を満たしています。
- 自治体で解体処理できる施設がなく、リサイクルが困難で埋立処分されやすい
- 再利用価値のある資源が多く含まれており、回収コストや手間がかからない
- 設計や部品の選択がリサイクルの効率に大きな影響を与える
- 市場に多く出回っており、小売業者による回収を合理的に進められる
なお、4品目以外の多くの家電は、小型家電リサイクル法により再資源化が促進されています。
今後家電リサイクル法に追加される家電はある?
2024年7月上旬時点では4品目が対象ですが、これまでに追加された事例があるので、今後追加される可能性もあります。
2009年4月以前は、家電リサイクル法の対象機器は「ブラウン管テレビ」「エアコン」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機」の4つでした。2009年4月1日からは法改正により、携帯テレビやカーテレビを除く液晶テレビ・プラズマテレビ、衣類乾燥機が新たに加わっています。また2024年4月1日より、有機ELテレビも対象となりました(※)。
こうした状況を顧みると、先述した4つの要件を満たした製品が新たに対象の家電に加えられる可能性はあります。
しかし収集・運搬や処理など新たに特別な工数がかかる場合、リサイクル料金が増加する可能性も考えられるでしょう。そのため、十分な排出量があるのかも、重要な要素です。
※参考:経済産業省「家電リサイクル法の対象機器が追加されます!」(入手日付2024-07-09)
※参考:経済産業省「「特定家庭用機器再商品化法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました」(入手日付2024-07-09)
家電リサイクル法の対象家電の処分方法
家電リサイクル法の対象となる家電を処分する際は、まず対象品目に当たるか確認してください。その後引き取り・持ち込みにより処分しましょう。それぞれのステップを解説します。
対象品目に当たるか確認する
まずは、対象品目に当たるかどうかを確認しましょう。「エアコン」「テレビ」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」の4製品が対象品目であることはここまで述べている通りですが、製造メーカーによってリサイクル料金が異なるケースがあるので、併せて製造メーカー名もチェックしてください。
引き取り・持ち込みする
続いて、回収方法を確認してください。主な回収方法は、「引き取り」と「持ち込み」の2つです。
同じ製品を買い替える場合、メーカーや販売店に引き取りを依頼できる場合があります。具体的な条件や方法は異なるので、詳細は確認してみてください。
買い替えるケース以外でも、購入した店舗なら処分してもらえる場合があります。これも店舗ごとに条件や方法が異なるので、確認が必要です。
また指定引取場所へ持ち込み、処分することもできます。地域ごとに指定引取場所があるので、指定引取場所検索より確認してください。
引き取りの場合は家電リサイクル券に記入する
家電リサイクル券とは、使用済み家電製品のリサイクル料金を支払うための券です。この券により、家電のリサイクルの管理と料金の支払いを円滑に実施できます。
家電リサイクル法の対象となる家電製品に関する家電リサイクル券には、料金販売店回収方式の券と料金郵便局振込方式の券の2つがあります。
料金販売店回収方式とは、小売業者やメーカーを通じてリサイクルする方式です。小売業者に引き渡す際に、小売業者から発行されます。家電の排出者はリサイクル料金を支払い、家電リサイクル券を対象物に貼り付けます。その後は、小売業者が受け取った家電を指定引取場所にまで運搬する流れです。
料金郵便局振込方式では、消費者自身で指定引取場所へ持ち込みます。郵便局に備え付けられている料金郵便局振込方式の家電リサイクル券に、製造業者等名コードや品目、リサイクル料金(税込)、住所、氏名などの必要な情報を記入します。続いて、郵便局・ゆうちょ銀行窓口で手続きするか、ATMを利用して料金を支払ってください。
証明書もしくは明細票をもらうので製品に貼り付け、指定引取場所まで持ち込むか収集運搬を依頼して引き渡しましょう。なおこの方式では、消費者自身で手続きを進めるので、品目やメーカー名が対象となるかを事前にチェックすることが重要です。
家電リサイクル法の対象家電を処分する際の注意点
家電リサイクル法の対象家電を処分する際、一般廃棄物処理業の許可を自治体から得ているかを確認してください。無料回収をうたう業者の中には、無許可で営業している場合があります。適切な処理がされないことで、不法投棄や不適正処理・管理により環境汚染や火災が引き起こされるリスクが高まります。
また、高額請求トラブルも発生しているので注意してください。無料回収をうたい消費者に近づき、荷物を積み込んだ後に高額な請求をしてくる悪徳業者もいます。
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