
産業廃棄物の不法投棄は、環境汚染につながったり健康被害が引き起こされたりする他、罰則が科され、社会的信用を失う行為であるため絶対に行ってはいけません。
不法投棄は、ピーク時と比較してその数は減ってはいるものの、依然として不法投棄されているのが現状です。
本記事では、産業廃棄物の不法投棄の概要や現状、なぜ起こるのかを解説します。記事後半では、不法投棄するとどのような罰則が科せられるのかもご紹介するので、併せて参考にしてください。
目次
産業廃棄物の不法投棄とは?
産業廃棄物の不法投棄とは、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の規定に反し、産業廃棄物を適切に処理せず、山林や河川敷などの所定以外の場所に不法に投棄する行為です。環境汚染につながる他、人体の健康に悪影響を及ぼすため法律で固く禁じられています。

産業廃棄物の不法投棄の現状
産業廃棄物の不法投棄は依然として深刻な課題ですが、近年では減少傾向にあります。環境省の公表した資料「不法投棄件数及び投棄量(新規判明事案)」によると、投棄件数は1998年度の1,197件、投棄量は2003年度の74.5万トンがそれぞれの最大値です。
2021年度は投棄件数107件、投棄量3.7万トンと大幅に減少しています。件数と投棄量がそれぞれ減少している背景には、厳しい法的措置や地方自治体・排出事業者による管理体制の強化などが挙げられるでしょう。しかしながら、いまだに悪質な不法投棄が新規で発覚する事例もあり、より一層対策を強化する必要があります。
新たに判明した事案のうち、最も多い実行者は排出事業者で45件(42%)です。投棄量は許可業者が最も多く1.5万トン(41%)に達しています。また産業廃棄物の種類別では、がれき類が37件(35%)と最も多く、投棄量は木くず(建設系)が1.5万トン(40%)と最多でした。
※参考:環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和3年度)について」(入手日付2024-07-09)
産業廃棄物の不法投棄が起こるのはなぜ?
産業廃棄物の不法投棄は、「最終処分場が不足している」「処理業者が対応しきれない」などの問題を抱えているため発生すると考えられます。それぞれの原因を見ていきましょう。
最終処分場が不足している
再利用やリユースできない産業廃棄物は、安定型・遮断型・管理型のいずれかの最終処分場に埋め立てられます。日本では現状、最終処分場が不足しており、これが産業廃棄物の不法投棄が引き起こされる原因にもなっています。
2018年度の最終処分場の残余容量は1.59億立方メートル、現在使用されている処分場が満杯になるまでの推定期間である「残余年数」は、17.4年です。
これほどまでに不足している現状を踏まえて、「新たに最終処分場を増やせばいいのではないか」と考える方もいるでしょう。しかし、そう簡単に増やすことはできません。有害物質の埋め立て処分する際に十分な飛散・流出対策を講じても近隣住民の理解を得るのは難しく、加えて国土が狭いため新たな土地を見つけるのも難しいのが現状です。
※参考:環境省「環境省_令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第2部第3章第1節 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状」 ,(入手日付2024-07-09)
処理業者が対応しきれない
処理業者が対応しきれず、不法投棄につながることもあります。業者が売上を優先し、処理能力を超える産業廃棄物を受け入れた場合などです。
排出事業者は、処理できる施設や設備を有しているかを確認するために、委託先を現地視察するのもよいでしょう。
不法投棄するとどうなる?
不法投棄をした場合の、廃棄物処理業者・排出事業者の両者に科される罰則と、それぞれに科される罰則を詳しく見ていきましょう。
廃棄物処理業者・排出事業者に科される罰則
産業廃棄物の不法投棄をした場合、廃棄物処理法第二十五条の第十四に基づき、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。法人の場合は、罰金は3億円以下にまで跳ね上がります。未遂でも同様の罰が科されるので注意してください。
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付 2024-07-06)
廃棄物処理業者に科される罰則
廃棄物処理業者にのみ科される罰則もあります。産業廃棄物の処理業許可を取得せずに無許可で営業した場合、廃棄物処理法第二十五条第一項第一号の規定に基づき、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付 2024-07-06).
排出事業者に科される罰則
無許可営業を行っている業者に委託した場合、排出事業者は廃棄物処理法第二十五条第六項に基づき、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
また、排出事業者が産業廃棄物の収集運搬・処分を業者に委託する場合、マニフェストの発行が義務付けられています。不法投棄を行う場合、以下のケースに該当する可能性があります。
- マニフェストを交付しない(排出管理票交付義務違反)
- 記載すべき事項を記載せずマニフェストを交付する(記載義務違反)
- 虚偽の記載をしてマニフェストを交付する(虚偽記載)
この場合、同法律27条の第二により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるので注意が必要です。
「委託したから終わり」ではなく、排出事業者責任に基づき最後まで適切に処理されたかを確認する義務があるので、細心の注意を払って対応してください。
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付 2024-07-06)
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