
社会を動かすために事業活動を行っていると、感染性や毒性などが発生する恐れのある産業廃棄物の排出は避けられないでしょう。そうした中で重要になるのが、特別管理産業廃棄物管理責任者の存在です。特別管理産業廃棄物は、特別管理産業廃棄物管理責任者による指示や管理の下で、廃棄物処理法に従って適切に管理することが求められます。
本記事では特別管理産業廃棄物管理責任者の概要を押さえた上で、設置義務や資格要件、講習会の受講から修了証取得までの流れなどについて解説します。
<ご注意> 当コラムで紹介している内容の運営元は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)となります。弊社(DXE株式会社)とは別の団体となりますため、恐れ入りますが、詳細に関しては、運営団体へ直接お問い合わせいただきますようお願い致します。 |
目次
特別管理産業廃棄物管理責任者とは

特別管理産業廃棄物管理責任者(特管責任者)とは特別管理産業廃棄物の処理業務における責任者のことです。
特別管理産業廃棄物とは、廃棄物処理法に規定されている爆発性や毒性、感染性などといった人間の健康や生活環境に被害を与える恐れのある性状の産業廃棄物を指します。これらが事業活動から発生する場合、特別管理産業廃棄物管理責任者を事業場に選任することが、廃棄物処理法第十二条の二第8項によって定められています。
役割
特別管理産業廃棄物は人間の健康や生活環境に被害を及ぼす危険があることから、保管や処理の方法が明確に定められています。
特別管理産業廃棄物管理責任者の役割は、これらの管理全般を責任者として適正に行うことです。
環境省のWebサイトには特別管理産業廃棄物管理責任者の具体的な業務内容として以下の3つが挙げられています。
● 特別管理産業廃棄物の排出状況の把握
● 特別管理産業廃棄物処理計画の立案
● 適正な処理の確保(保管状況の確認、委託業者の選定や適正な委託の実施、マニフェストの交付や保管など)
出典:環境省.「特別管理廃棄物規制の概要」
また、特別管理産業廃棄物管理責任者の細かな役割は事業所によっても異なります。

特別管理産業廃棄物管理責任者の設置義務
廃棄物の処理、および清掃に関する法律(廃棄物処理法)法第十二条の二第八項では事業活動において特別管理産業廃棄物を発生させる事業場を設置している事業者に対し、特別管理産業廃棄物管理責任者を置くことが定められています。
特別管理産業廃棄物管理責任者を設置し、各事業場における特別管理産業廃棄物の処理業務を適切に行わなければなりません。
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格要件

特別管理産業廃棄物管理責任者になるためには、廃棄物処理法施行規則で定められている特定の資格を有している必要があります。必要となる資格は、感染性産業廃棄物を排出している事業場の場合と感染性産業廃棄物以外を排出している事業場の場合で異なります。
以下、それぞれの資格要件について確認していきましょう。
感染性産業廃棄物を排出している事業場の場合
感染性産業廃棄物を排出している事業場における特別管理産業廃棄物管理責任者の資格要件は以下です。
感染性産業廃棄物を生ずる事業場
資格(学校区分) | 課程 | 修了科目 | 要件(必要年数など) |
---|---|---|---|
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師、歯科衛生士 | ― | ― | ― |
環境衛生指導員 | ― | ― | 2年以上 |
大学、高専 | 医学、薬学、保健学、衛生学、獣医学 | ― | 卒業または同等以上の知識を有すると認められる者 |
出典:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター.「産廃知識 特別管理産業廃棄物管理責任者」
特定の職業に就いている人、もしくは大学・高専において特定の課程を修了した人が資格要件を満たすことになります。
感染性産業廃棄物以外を排出している事業場の場合
感染性産業廃棄物以外を排出している事業場における特別管理産業廃棄物管理責任者の資格要件は以下です。
資格・学歴 | 課程 | 修了した科目・学科 | 廃棄物の処理に関する技術上の実務経験 |
---|---|---|---|
環境衛生指導員 | ― | ― | 2年以上 |
大学 | 理学、薬学、工学、農学 | 衛生工学、化学工学 | 2年以上 |
理学、薬学、工学、農学 これらに相当する課程 | 衛生工学、化学工学以外 | 3年以上 | |
短大・高専 | 理学、薬学、工学、農学 | 衛生工学、化学工学 | 4年以上 |
理学、薬学、工学、農学 これらに相当する課程 | 衛生工学、化学工学以外 | 5年以上 | |
高校・旧制中学 | 土木科、化学科 これらに相当する学科 | 6年以上 | |
理学、農学、工学に関する科目 これらに相当する科目 | 7年以上 | ||
(学歴要件なし) | 10年以上 | ||
上記の者と同等以上の知識を有すると認められる者 |
出典:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター.「産廃知識 特別管理産業廃棄物管理責任者」
特定の職業に就いている人、もしくは大学・高専において特定の課程を修了した人が資格要件を満たすことになります。
講習会受講で特別管理産業廃棄物管理責任者の資格取得が可能

前述の資格要件に該当しない人であっても日本産業廃棄物処理振興センターの講習会に参加し、試験に合格することで特別管理産業廃棄物管理責任者として勤務する資格を得ることができます。
以下、講習会の詳細について詳しく見ていきましょう。
講習会の受講対象者
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得されたい方などが対象となります。
学歴要件などは特にありません。
講習会の種類と受講料
特別管理産業廃棄物管理責任者の講習会は、一般の方向けと医療関係機関等を対象にしたものの2種類があります。受講スタイルはオンライン形式と対面形式から選択可能です。受講後に試験がありますが、オンライン形式の場合は受講した後に別日に会場で試験を受けます。対面形式の場合は会場で受講後にそのまま試験を受けます。
講習の種類ごとに以下に詳細をまとめますので確認しましょう。
課程名・開催者 | 対象者 | 講習会の内容 | 試験 | 受講料 |
---|---|---|---|---|
特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会 日本産業廃棄物処理振興センター |
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得したい方 | 廃棄物処理法概論(2.5時間) 廃棄物の処理と管理(3時間) |
講習を受講後に会場で試験を受ける | オンライン:13,200円(税込) 対面:13,750円(税込) |
医療関係機関等を対象にした特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会 日本医師会と日本産業廃棄物処理振興センター共催 |
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格者、ならびに必要な知識を修得しようとする方 | 1 廃棄物の関係法規(約2.5時間) 2 感染に関する基礎知識(約1時間) 3 廃棄物の処理と管理(約2時間) |
講習を受講後に会場で試験を受ける | オンライン:13,200円(税込) 対面:13,750円(税込) |
出典:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター.「特管責任者講習会」
出典:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター.「医療関係特管責任者講習会」
上記の表に記載のとおり、特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会は特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得したい方全員に門戸が開かれています。指定の講習会を受講した後、試験に合格すれば資格を取得できます。
一方で、医療関係機関等を対象にした同講習会は、日本医師会と日本産業廃棄物処理振興センターが共催するもので、対象者は医療関係機関等において資格を取得されたい方および知識を習得したい方です。
ただし、どちらの講習会も講習会修了者の取扱いは、都道府県・政令市によって若干異なる場合がありますので、詳細は問い合わせにて確認しましょう。
なお、医師や看護などの特定の職業にある方たちは講習会を受講しなくても特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を保有しています。
講習会の受講から修了証取得までの流れ
講習会を受講し、特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得するには講習会の受講後に修了試験を受ける必要があります。
試験時間は30分、問題数は20問となっており、70%以上の正解があると合格です。
合否は試験から7〜10日後にマイページ内で確認できます。
試験に合格した方には試験から約2~3週間後に修了証が届きます。
また不合格だった方には再試験の案内が届きますので、再試験について検討してみてください。
修了証取得までにかかる時間
修了証の取得までにかかる時間は6時間程度です。
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得するためには、講義を受講した後、30分の試験を受ける必要があります。
この資格を取得するポイントは講義の内容をしっかり聞き理解することです。
講師が講義において重要なポイントや箇所などを指摘してくれるため、ノートにメモしたり、下線を引いたりするなどしてその都度覚えていくようにしましょう。
講習会の終了後には自由時間がありますので、そのときに講義内容を復習しておくと安心です。ただしそれだけでは不安に感じる方は、講義前にテキストをよく読んでおくとよいでしょう。
また修了証を取得するには講義と試験の時間以外にも、各種手続きや試験に出向くための時間が必要です。
講習会の日程と申込方法
講習会の開催日程および申込は日本産業廃棄物処理振興センターのサイトをご確認ください。なお、申込み窓口はWebのみとなっています。申し込みには本人確認用の顔写真データが必要です。
<ご注意> 当コラムで紹介している内容の運営元は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)となります。弊社(DXE株式会社)とは別の団体となりますため、恐れ入りますが、詳細に関しては、運営団体へ直接お問い合わせいただきますようお願い致します。 |
特別管理産業廃棄物管理責任者についてよくある質問
特別管理産業廃棄物管理責任者試験の合格率は?
例年、特別管理産業廃棄物管理責任者試験の合格率は90%以上となっています。
合格率が高い試験ですが、合格するためには講習会を真剣に受講することが前提となっています。義務教育で習う学問分野における知識があっても、講習会で習う内容を理解できなければ合格することは難しいでしょう。
特別管理産業廃棄物管理責任者の役割は?
特別管理産業廃棄物管理責任者には設置された事業場で特別管理産業廃棄物の管理全般に責任者として携わることが求められます。具体的な役割に関する明示はありませんが、特別管理産業廃棄物について事業場における排出量や排出状況の把握、処理方法、処理計画の立案、保管状況の確認、さらには委託業者の選定などを主に行います。
特別管理産業廃棄物管理責任者に選任されるのに必要な資格要件は?
特別管理産業廃棄物管理責任者に選任されるには医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師、歯科衛生士、環境衛生指導員など特定の職業に就いていること、もしくは大学、あるいは高専における特定の専攻課程(医学、薬学、保健学、衛生学、獣医学)を修了している必要があります。
これらに該当しない方は日本産業廃棄物処理振興センターの講習会に参加し、試験に合格しなければなりません。
2025年の講習会の開催日程はいつ?
2025年度の講習会は、2025年4月~2026年3月にかけて各地で開催されます。
詳しい場所や日程は、日本産業廃棄物処理振興センターのサイトよりご確認ください。
申込み開始は2025年3月26日9:00より、Webからの受付となっています。
<ご注意> 当コラムで紹介している内容の運営元は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)となります。弊社(DXE株式会社)とは別の団体となりますため、恐れ入りますが、詳細に関しては、運営団体へ直接お問い合わせいただきますようお願い致します。 |
おわりに
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得すると、事業場において特別管理産業廃棄物の管理全般に責任者として携わることができます。細かな役割は事業所によって異なるものの、事業場における排出量や排出状況の把握、処理方法、処理計画の立案、保管状況の確認、委託業者の選定などの業務に携わることができます。
産業廃棄物の適正処理は、排出事業者に課せられた大切な義務です。その義務を果たすために欠かせない特別管理産業廃棄物管理責任者は、社会にとってなくてはならない重要な存在です。
「DXE Station」なら、産廃処理業者も排出事業者もラクになります!
産業廃棄物の委託をする際に必要なのが、処理状況を管理するための「マニフェスト」です。マニフェストは「排出事業者」側が発行するよう、法律で義務付けられています。
しかし、廃棄物処理を専門としていない方には、法令遵守が求められるマニフェストの発行は難しいと感じる場合もあるでしょう。
DXE Stationは「産業廃棄物処理業者」向けの電子マニフェスト管理システムです。
廃棄物に詳しい処理業者側がマニフェストを作成することができる「代行起票」機能を採用。マニフェストに関わる業務負担や、修正対応によるタイムロスの防止、その他、両者の負担を軽減する便利な機能を多数揃えています。
産廃処理に関わる業務を楽にしたい方は、是非一度お問合せください!

収運業者のお客様向け

収運・処分業者のお客様向け

収運業者と処分業者をワークフローでつなぐ
クラウドで収集運搬から
処分完了までの業務を一元化!
搬入予定の確認や、
二次マニフェストの
紐づけが簡単に!