
産業廃棄物処理では、マニフェスト以外にも帳簿を付けることを義務付けられるケースがあります。義務を履行しない場合、法律により罰せられることがありますが、その具体的な内容や必要となるケースなどを正確に理解できているでしょうか。
そこで本記事では、産業廃棄物処理に関わる帳簿の概要や、付ける義務のある事業者、記載すべき内容や期限などをご紹介します。帳簿を付けなかったらどうなるのか、電子マニフェストでも帳簿は付けなければならないのかなどの疑問にも併せて回答するので、ぜひ参考にしてください。
目次
産業廃棄物処理に関わる帳簿とは?
産業廃棄物処理に関わる帳簿とは、産業廃棄物の収集運搬・処理、最終処分に関する詳細な記録を残すための重要な書類です。帳簿は廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)とその施行規則により、作成と保存が義務付けられています。
細かい記載事項は帳簿や産業廃棄物の種類により異なりますが、以下の点は必須です。
- 産業廃棄物の種類ごとに作成する
- 1年ごとに閉鎖し、閉鎖後5年間は事業場ごとに保存する
- 必要事項が記載されていれば様式は自由である(※)
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」(入手日付 2024-07-06)

産業廃棄物処理時に帳簿を付ける義務のある事業者
産業廃棄物処理時に帳簿を付ける義務のある事業者は、以下の通りです。
- 産業廃棄物処理施設設置者、または同施設以外の焼却施設設置者
- 産業廃棄物収集運搬業者および産業廃棄物処分業者
- 特別管理産業廃棄物収集運搬業者および特別管理産業廃棄物処分業者
- 特別管理産業廃棄物の排出事業者
- 事業場外で自ら産業廃棄物の処分または再生を行う事業者
- 有害使用済機器保管等業者
- 二以上の事業者による産業廃棄物処理の特例認定を受けた事業者
「二以上の事業者による産業廃棄物の処理に係る特例」とは、親子会社など複数の事業者が一体的な経営を行い、産業廃棄物の適正な処理を行える等の要件に適合する旨の都道府県知事の認定を受けた場合、当該親子会社は、産業廃棄物処理業の許可を得ることなく、相互に親子会社間で産業廃棄物の処理を実施できる制度です。
産業廃棄物処理の帳簿に記載する内容・期限
記載する内容や期限を、以下のパターン別にご紹介します。
- 産業廃棄物を収集運搬したとき
- 産業廃棄物を処分したとき
- 産業廃棄物の運搬を委託したとき(2次処理)
- 産業廃棄物の処分を委託したとき(2次処理)
産業廃棄物を収集運搬したとき
産業廃棄物を収集運搬したときは、以下の内容を記載します。
区分 | 記載事項 | 記載期限 |
---|---|---|
収集運搬を行う場合 | 収集運搬を行った年月日 | 翌月末まで |
交付された管理票ごとの記載事項 ・交付者の氏名又は名称 ・交付年月日 ・交付番号 |
交付から10日以内 | |
受入先ごとの受入量 | 翌月末まで | |
運搬方法及び運搬先ごとの運搬量 | 翌月末まで | |
積替え又は保管の場所ごとの搬出量(積替え又は保管を行う場合) | 翌月末まで |
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」(入手日付 2024-07-06)
産業廃棄物を処分したとき
産業廃棄物を処分したときは、以下の内容を記載します。
区分 | 記載事項 | 記載期限 |
---|---|---|
処分を行う場合 | 受入又は処分した年月日 | 翌月末まで |
交付(回付)された管理票ごとの記載事項 ・交付者の氏名又は名称 ・交付年月日 ・交付番号 |
交付(回付)から10日以内 | |
受入先ごとの受入量 | 翌月末まで | |
処分方法ごとの処分量 | 翌月末まで | |
処分後の産業廃棄物に関する記載事項 ・処分後の産業廃棄物の種類 ・持出先ごとの持出量 |
翌月末まで |
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」 ,(入手日付 2024-07-06)
産業廃棄物の運搬を委託したとき(2次処理)
産業廃棄物の運搬を委託したとき(2次処理)は、以下の内容を記載します。
区分 | 記載事項 | 記載期限 |
---|---|---|
運搬の委託を行う場合 | 委託年月日 | 翌月末まで |
受託者に関する記載事項 ・受託者の氏名又は名称 ・受託者の住所 ・受託者の許可番号 |
翌月末まで | |
交付した管理票ごとの記載事項 ・交付年月日 ・交付番号 |
廃棄物の引渡しまで | |
運搬委託に関する記載事項 ・運搬先 ・運搬委託量 |
翌月末まで |
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」(入手日付 2024-07-06)
産業廃棄物の処分を委託したとき(2次処理)
産業廃棄物の処分を委託したとき(2次処理)は、以下の内容を記載します。
区分 | 記載事項 | 記載期限 |
---|---|---|
処分の委託を行う場合 | 委託年月日 | 毎月末まで |
受託者に関する事項 ・受託者の氏名又は名称 ・受託者の住所 ・受託者の許可番号 |
毎月末まで | |
交付した管理票ごとの記載事項 ・交付年月日 ・交付番号 |
引渡し日まで | |
交付した管理票ごとの、交付又は回付された受け入れた産業廃棄物に係る管理票の記載事項 ・管理票交付者の氏名又は名称 ・交付年月日 ・交付番号 |
引渡し日まで | |
交付した管理票ごとの、受け入れた産業廃棄物に係る第八条の三十一の五第三号の規定による通知に係る処分を委託した者に関する記載事項 ・氏名又は名称 ・登録番号 |
引渡し日まで | |
情報処理センターへの登録ごとの、交付又は回付された受け入れた産業廃棄物に係る管理票の記載事項 ・管理票交付者の氏名又は名称 ・交付年月日 ・交付番号 |
引渡し日まで | |
情報処理センターへの登録ごとの、受け入れた産業廃棄物に係る第八条の三十一の五第三号の規定による通知に係る処分を委託した者に関する記載事項 ・氏名又は名称 ・登録番号 |
引渡し日まで | |
受託者ごとの委託の内容及び委託量 | 毎月末まで |
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」,(入手日付 2024-07-06)
帳簿を付けなかったらどうなる?
帳簿の発行義務がある事業者がその義務を果たさなかった場合、廃棄物処理法第三十条の規定に基づき、30万円以下の罰金に処されます。帳簿に虚偽の記載をした、または保存義務を怠った場合も同様の罰則が科されます(※)。
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 ,(入手日付 2024-07-06)
電子マニフェストでも帳簿は付けなければならない?
電子マニフェストを作成した場合でも、帳簿の作成および保存義務は免除されません。電子マニフェストを使用した場合に免除されるのはマニフェストの保管義務であり、この点は勘違いしやすいので、注意してください。
電子マニフェストの受渡確認票を活用すれば、帳簿作成自体は効率化することが可能です。ただし、マニフェストによっては不足する項目があるため、注意しましょう。
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