産業廃棄物問題と削減のためにできることとは?現状とともに解説

産業廃棄物問題と削減のためにできることとは? 現状とともに解説

大量の産業廃棄物が排出される事業に携わっている方もいるでしょう。
産業廃棄物とは事業活動に伴って排出される、廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)と、関連する法令により定義される廃棄物の総称です。

産業廃棄物の排出量は長い期間で見ると減少傾向にあるものの、最終処分場のキャパシティを圧迫していることや不法投棄が問題視されている現状を踏まえると、いまだ課題が多いのも事実です。

そこで本記事では産業廃棄物にまつわる問題に加えて、産業廃棄物の削減が急がれる理由や削減のためにできることなどを解説します。産業廃棄物への現状理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

産業廃棄物にまつわる問題

産業廃棄物の削減活動を推進していくには、まずは産業廃棄物の排出量や処理状況の現状を押さえておくことが重要です。以下にて「排出量・処理状況の現状」と「不法投棄の現状」を詳しく見ていきましょう。

産業廃棄物の排出量・処理状況の現状

環境省の公表した資料「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度実績)について」によると、令和3年度の産業廃棄物の排出量は3億7,592万トンです。前年よりも約200万トン(約0.6%)増加しています。

排出量の多い上位5業種が全体の80%以上を占めており、産業廃棄物の種類は汚泥・動物のふん尿・がれき類の順で多くなっています。

産業廃棄物の主な処理方法は、再生利用・減量化・最終処分の3つ。令和3年度の処理量は以下の通りです。

  • 再生利用量:2億372万トン
  • 減量化量:1億6,337万トン
  • 最終処分量:883万トン

産業廃棄物の処理において、いかにして最終処分量を減らすかが重要ですが、令和3年度は前年度に比べて約26万トン(約2.9%)減少しています。

※参考:環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度実績)について」(参照 2024-05-14)

産業廃棄物の不法投棄の現状

適正な手順を経て、再生利用・減量化などの処理を行う産業廃棄物がある中で、一部は不法投棄されているのが現状です。

環境省の公表した資料「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和3年度)について」によると、令和3年度に新たに判明した不法投棄事案は107件であり、不法投棄量は3.7万トンとされています。

ピーク時の平成10年代前半と比べて顕著に減少しているものの、新たに悪質な不法投棄が明るみに出ており、依然として課題を抱えているのも事実です。残存件数は2,822件、残存量は1547.1万トンであり、周辺環境に支障をきたしているものもあるため、早急な対応が必要とされています。

※参考:環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和3年度)について」(参照 2024-05-14)


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産業廃棄物の削減が急がれる理由

産業廃棄物の削減が急がれる理由は、以下の通りです。

  • 環境問題の原因となっているため
  • 最終処分場の土地が足りなくなるため
  • 資源・エネルギー確保のため

それぞれの理由を詳しく解説します。

環境問題の原因となっているため

産業廃棄物は環境問題の原因となっているため、削減が急務とされています。代表例ともいえるのが、地球温暖化です。

産業廃棄物を焼却処理する際、大量の二酸化炭素が排出されます。二酸化炭素は温室効果ガスの一種であり、地球温暖化を招くだけでなく、大型台風や集中豪雨などの自然災害の原因ともなります。

また二酸化炭素は、酸性雨の原因物質です。酸性雨は河川や湖、土壌を酸性化し生態系に悪影響を与えるだけでなく、コンクリートの腐食や金属の錆びを引き起こし、建造物や文化財にも甚大な被害を及ぼしています。

最終処分場の土地が足りなくなるため

産業廃棄物は再生利用・減量化など、様々な方法で処理されますが、最終処分場で埋立処分されるケースもあります。いずれはこの最終処分場の容量が足りなくなると予想されており、そのために排出量の削減が求められているのです。

環境省の公表した資料「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度)について」によると、最終処分場の残余年数は令和3年度時点で23.5年とされています。

しかし、新たな最終処分場の設置は広大な土地を確保や、近隣住民の理解を得る必要があり、簡単に増やすことはできません。

※参考:環境省.「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度)について」,(参照 2024-05-14)

資源・エネルギー確保のため

石油・石炭・天然ガスなどのエネルギー資源には限りがあります。エネルギー資源を有効に活用していくには、産業廃棄物のリサイクルやリユースを推進することが重要です。
産業廃棄物も再生可能なリソースと捉えることで、資源・エネルギーを節約でき、結果的に環境保護にもつながります。

産業廃棄物を削減するためにできること

産業廃棄物を削減するためにできることには、何があるのでしょうか。企業レベルでは、以下の項目を実施してみてください。

  • 自社の産業廃棄物の種類と量を把握する
  • 産業廃棄物の削減目標を立てる
  • ごみの分別を徹底する
  • 目標の達成率・改善点を確認する

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

自社の産業廃棄物の種類と量を把握する

まずは、自社が排出している産業廃棄物の種類と量を把握することが重要です。
どのような事業活動に伴い、どこの部署から排出しているのかも併せて確認してください。聞き取り調査やアンケートを実施して現状を把握しましょう。

併せて、処理状況をチェックすることも大切です。適正な処理が行われているか確認しましょう。

産業廃棄物の削減目標を立てる

続いては、産業廃棄物の削減目標を立てます。
何の産業廃棄物をどれだけ減量できるのかを考えましょう。後になって効果を測定できるように、数値目標を定めておくのがポイントです。

削減目標を設定し、会社全体で取り組むためには、全体的なルール作りが重要となります。各部門担当者を巻き込んで、以下の検討事項を参考に現実的に達成可能な目標を設定してください。

  • どの部署で何の廃棄物がどれだけ排出されているのか
  • それは削減できるものか
  • 削減できない場合は、リサイクルはできないか
  • 何から優先的に取り組むべきか

ごみの分別を徹底する

廃棄物の徹底した分別も、重要なポイントです。リサイクル可能な廃棄物とそうでないものをきちんと分別すれば、最終処分量を減らすことに繋がります。

また徹底した分別には、処理コストを削減できるメリットもあります。産業廃棄物が混合している場合、処理コストの高い廃棄物をベースに費用が算出されてしまうことがあります。しっかり分別することで、一部のものは有価物として買い取ってもらえる可能性もあります。

目標の達成率・改善点を確認する

産業廃棄物の削減への取り組みを実施したら、定期的に振り返って目標の達成率を確認しましょう。目標を達成できていない場合は、何が問題なのか、どこを改善すればいいのかを明確にします。

問題点と課題点を抽出して改善を行い、その結果を検証するというサイクルを何度か繰り返して、理想の状態に近づけていきましょう。

こうした取り組みを外部に公表すれば、顧客からの信頼を獲得することにもなります。

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