
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃棄物処理法)により、産業廃棄物の再委託は原則として禁止されています。違反すると懲役刑または罰金刑、もしくはその両方が科せられるので、産業廃棄物の再委託に関わる可能性のある収運業者と処分業者は十分注意しましょう。産業廃棄物を再委託するなら、基準を満たす必要があります。
しかし、産業廃棄物の再委託の基準や具体的な流れを把握できていない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、産業廃棄物を再委託できる基準や流れなどを解説します。再委託が禁止されている背景や再委託発生時の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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産業廃棄物の再委託は原則禁止!ただし例外あり
産業廃棄物の再委託は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により原則禁止されています。実際の条文は、以下のようになっています。
「産業廃棄物収集運搬業者は、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、産業廃棄物処分業者は、産業廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。」
もちろん特別管理産業廃棄物についても同様に再委託は原則禁止となっています。
※出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第三節 産業廃棄物処理業 (第十四条・16)(入手日付2023-04-05)
それぞれの条文には、再委託の基準を満たす場合はその限りではないとする旨の一文が添えられています。それについては、後述します。
続いては、産業廃棄物の再委託がなぜ禁止されているのか、また許可を得ず再委託した際にどうなるのかなどを見ていきましょう。
※出典:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-04-05)

再委託はなぜ禁止されている?

そもそも、産業廃棄物の再委託はなぜ禁止されているのでしょうか。
以下の、2つの理由が考えられます。
1つ目の理由は、産業廃棄物の許可制度の趣旨から逸れるためです。廃棄物処理法第三条(事業者の責務)では「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と定めています。この条文からは、処分を委託する場合は「処分フローは適切か」「処分業許可を得ているか」「処分実績は豊富か」などを踏まえ、業者を選択する必要があると分かります。
2つ目の理由は、再委託が繰り返されることで責任の所在が分からなくなるためです。責任の所在が不明になると、不適切な処理や不法投棄につながる恐れがあります。
※出典:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-04-05)
産業廃棄物の再委託違反をした場合の罰則
先述したような理由から、産業廃棄物の再委託は禁止されています。産業廃棄物の再委託をした場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこの両方が科せられます。
※出典:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-04-05)
【補足】一般廃棄物の再委託は例外なく禁止
産業廃棄物の場合は、基準を満たせば再委託が禁止されないケースがあることに触れましたが、一般廃棄物の再委託は例外なく禁止されています。一般廃棄物とは、事業活動に伴い生じた廃棄物のうち、産業廃棄物に分類されないもののことです。
一般廃棄物の再委託が禁止されている条文を見てみましょう。
「一般廃棄物収集運搬業者は、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、一般廃棄物処分業者は、一般廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。」
※出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第二節 一般廃棄物処理業 (第七条・14)(入手日付2023-04-05)
産業廃棄物と対応が異なるので、注意してください。
※出典:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-04-05)
産業廃棄物の再委託基準
先述したように、再委託は原則禁止されていますが、例外的に認められるケースもあります。その際、産業廃棄物の再委託基準を満たす必要があるので、実際に見ていきましょう。
- あらかじめ、排出事業者から委託を受けた者(受託者)は排出事業者に対して、再委託を受ける者(再受託者)の氏名・名称、及びその再委託が委託基準に適合していることを明らかにすること
- あらかじめ排出事業者の書面による承諾が必要であること
- その書面には次の事項を含まなければならないこと
1) 委託した産業廃棄物の種類及び数量
2) 受託者の氏名または名称、住所及び許可番号
3) 承諾の年月日
4) 再受託者の氏名または名称、住所及び許可番号 - 受託者は再受託者に対し委託契約書記載事項を記載した文書を交付すること
- その他、委託基準に適合していること(受託者・再受託者間の書面契約が必要)
- 排出事業者は、承諾書の写しを承諾日から5年間保存しなければならないこと
(以上、令第6条の2、令第6条の 12、規則第8条の4の4、規則第 10 条の6の3)
※出典:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」

再委託基準を踏襲した際の、具体的な手順を見ていきましょう。
まず、先述した再委託基準に沿って再委託が行われるのかを確認し、流れを進めていきます。再委託を請け負ったら、産業廃棄物と排出事業者が発行したマニフェストを引き継ぎます。マニフェストとは、産業廃棄物管理票のことで産業廃棄物が正しい手順で処理されているかを管理する書類です。
マニフェストには、以下の項目が正しく記載されているのか確認しましょう。
● 産業廃棄物の種類及び数量
● 運搬もしくは処分を引き継いだものの氏名または名称
● 環境省令で定められた事項
マニフェストは、5年の保存期間が設けられています。紛失すると原則として再発行できないので、管理体制を整えておきましょう。
【排出事業者向け】産業廃棄物の再委託発生時の対応法

産業廃棄物の委託後に、再委託が発生するケースもあります。その際、どのように対応すればいいのかを見ていきましょう。
初めに処理を依頼された受託者(処分業者)は、再委託先の処分業者の法人名・名称・再委託基準を満たしているかなどが記載された書類を発行し、依頼者(排出事業者)に再委託の承諾をもらいます。
依頼者は再委託先の法人名・名称・住所・許可番号に加えて、産業廃棄物の種類や数量などを確認します。再委託先とあらためて契約を締結すれば、産業廃棄物の再委託の流れは完了です。
承諾なしに再委託が行われていたことが判明した場合
承諾なしに再委託が行われていたことが判明した場合、再委託先と新たに契約を結ぶまで、取引を中止しましょう。その後処分業者と話し合い、原因究明や再発防止に取り組みます。
再委託が許可を得ず行われた場合、排出事業者が罪に問われることはありません。しかし法律で再委託が禁止されていることを考慮すると、収集運搬と処分の両方を対応できる優良業者に委託することが望ましいと言えます。契約や請求などの事務もスムーズに運びます。
産業廃棄物の再委託についてよくある質問
ここまでに産業廃棄物の再委託が可能な状況や基準、そして具体的な流れなどをご紹介しました。続いては、よくある質問に対する回答を見ていきます。
産業廃棄物(産廃)の再委託とは?
産業廃棄物(産廃)の再委託とは、産業廃棄物の排出事業者から処理を請け負った廃棄物処分業者が、それを再度、他の廃棄物処分業者に委託することです。産業廃棄物には、廃油や廃アルカリ、廃プラスチックなどが含まれています。
一般廃棄物の再委託とは?
一般廃棄物の再委託とは、排出事業者から委託された一般廃棄物の運搬や処分を他人に委託することです。一般廃棄物には、粗大ごみやふん尿など、産業廃棄物ではない廃棄物が含まれます。また、人の健康に害を及ぼす可能性のあるものは、特別管理一般廃棄物と分類されます。
なお、一般廃棄物の再委託は例外なく禁止されています。
産業廃棄物(産廃)再委託の手順はどうすればいい?
産業廃棄物の再委託の流れは、元の受託者(処分業者)が依頼者(排出事業者)に再委託の許可を取り、再委託先と再契約する形で進めていきます。その際、再委託基準を満たしているのかを十分に確認しましょう。
産業廃棄物の再委託は再委託基準に従えば可能
産業廃棄物の再委託は、原則として禁止されています。しかし、再委託基準を満たした上で書類作成などの手続きを踏めば、再委託が可能です。
再委託が承諾なしで行われることもあるので、排出事業者はあらためて再委託の流れを押さえておいてください。
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