リチウムイオン電池の廃棄方法をケース別に解説!処分する際の注意点も紹介

リチウムイオン電池の廃棄方法をケース別に解説!処分する際の注意点も紹介

小型で軽量、そして長寿命などさまざまなメリットがあるリチウムイオン電池は、電気自動車やスマートフォンのバッテリー、産業用のロボットなどさまざまな場面で用いられています。長期間使えるといっても、使用し続けると劣化し性能が落ちるため、いずれは処分しなければなりません。

リチウムイオン電池は誤った方法で処分すると、火災や発煙のリスクがあります。そのため、正確な処分方法を理解しておくことが必要です。

そこで本記事では、リチウムイオン電池の概要や具体例、処理に注意が必要な理由を解説します。記事後半では、小型・大型リチウムイオン電池の処分方法や、リチウムイオン電池を処分する際の注意点も解説するので、リチウムイオン電池の処分にお困りの方はぜひ参考にしてください。

リチウムイオン電池とは?

リチウムイオン電池とは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電・放電が行える二次電池です。リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度と長寿命の両方の性質を兼ね備えています。

一般的な乾電池(一次電池)との違いは、リチウムイオン電池が充電により再度利用できるのに対し、乾電池は使い切りである点です。鉛蓄電池はリチウムイオン電池と同じく充電可能ですが、後者の方が軽量で長持ちします。

リチウムイオン電池にはこうした特徴があるため、工業や産業、そして身の回りなどさまざまな場面で用いられています。

リチウムイオン電池の具体例

リチウムイオン電池は、以下に示すように多岐にわたる用途に用いられています。

  • 電気自動車(EV)
  • スマートフォンやノートパソコン
  • モバイルバッテリー
  • 電動シェーバー・電動歯ブラシ
  • 加熱式たばこ
  • 充電式のコードレス家電
  • 産業用ロボット
  • 通信基地やデータセンター
  • 再生可能エネルギー施設・設備

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リチウムイオン電池の処理に注意が必要な理由

リチウムイオン電池の処理に注意が必要な理由は、その内部構造と化学的特性にあります。

リチウムイオン電池は、外部からの強い衝撃により変形・破損を起こすと正極と負極がショートし、火災や発煙のリスクがあるため危険です。

またリチウムイオン電池を使用せず完全に放電した状態で保管すると、過放電になる可能性があります。この状態で再充電しようとしても、充電できない、電池が膨張するなどの問題が生じます。
による回収・リサイクルが実施されているので、こうしたサービスを利用するのもよいでしょう。このように劣化した電池は反応性が高まっており、ちょっとした衝撃や圧力で発煙や発火、最悪の場合は爆発することがあり注意が必要です。

小型リチウムイオン電池の処分方法

小型リチウムイオン電池の処分方法を、家庭ごみと事業ごみに分けて解説します。

家庭ごみの場合

家庭ごみに分類される小型リチウムイオン電池は、以下のように処分できます。

  • リサイクルに出す
  • 自治体に回収を依頼する収集運搬・処分は事業活動を行う区域を管轄する都道府県知事から

それぞれの方法の概要とメリットを詳しく見ていきましょう。

リサイクルに出す

まず挙げられるのが、リチウムイオン電池をリサイクルに出す方法です。電池メーカーやリサイクル業者、輸入事業者による回収・リサイクルが実施されているので、こうしたサービスを利用できます。

リチウムイオン電池のリサイクルに関しては、2001年4月に施行された資源有効利用促進法(正式名称:資源の有効な利用の促進に関する法律)にて、リチウムイオン電池の製造業者や輸入事業者は自主回収およびリサイクルするよう求められています。(※)

JBRC(Japan Portable Rechargeable Battery Recycling Center)が発足し、小型充電式電池のリサイクル活動が実施されているので、興味がある方はチェックしてみてください。

※参考:環境省「資源有効利用促進法の概要」(入手日付2024-04-15)

自治体に回収を依頼する

自治体に回収を依頼するのも一つの手です。多くの自治体では、リチウムイオン電池を始めとする小型充電式電池専用のボックスを設置し、回収しています。

例えば大阪市では、リチウムイオン電池のリサイクルを推進するために、家庭ごみとして排出されるものの拠点回収を開始しました。なおこれには、リチウムイオン電池が通常の一般ごみと共に排出されることに起因する火災事故を防ぐ目的もあります。
また品川区でも、専用のボックス・缶を設置し、リチウムイオン電池を含む小型充電式電池の回収を行っています(※)。

上記のように、小型のリチウムイオン電池は自治体で回収してもらえるので、詳しくはお住まいの自治体に確認してください。

※参考:大阪市「リチウムイオン電池等の拠点回収を環境事業センターで開始します」(入手日付2024-04-16)
※参考:品川区「小型充電式電池・ボタン電池の出し方」(入手日付2024-04-16)

事業ごみの場合

事業ごみに分類される小型リチウムイオン電池の場合、「産業廃棄物処理業者に依頼する」と「広域認定業者に委託する」の2つの方法があります。それぞれの方法を詳しく解説します。

産業廃棄物処理業者に依頼する

事業活動に伴い排出されるリチウムイオン電池は、産業廃棄物に分類されます。そのため、一般廃棄物と分けて処理しなければなりません。

収集運搬や処分を委託する場合、産業廃棄物処理業の許可を取得した業者に依頼する必要があります。
無許可業者に処理を委託すると、その業者だけでなく依頼側である排出事業者も廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第二十五条の六の規定により、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されるため注意してください。(※)

業者を選ぶ際は、処分許可業を取得していることに加えて以下のポイントもチェックしましょう。

  • 産業廃棄物の処理実績が豊富か
  • 過去に行政処分を受けていないか
  • 電子マニフェストに対応しているか
  • 優良認定制度を受けているか

※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2024-04-16)

広域認定業者に委託する

広域認定制度を受けた業者に依頼するのも、検討してみてください。広域認定制度とは、製品の製造事業者等が、廃棄物となった自社製品をユーザーから回収し、リサイクルや適正処理を目的とする制度です。
この制度は、環境大臣が認定することにより、廃棄物処理に関する地方公共団体ごとの許可が不要になります。

大型リチウムイオン電池の処分方法

大型リチウムイオン電池の処分方法を、以下の3つに分けて解説します。

  • 車載用バッテリー
  • 定置用蓄充電池
  • ポータブル電源

車載用バッテリー

車載用リチウムイオン電池は、危険物にあたるため、粗大ごみのように自治体に回収してもらうことができません。そのため、車を購入した店舗やガソリンスタンド、不用品回収業者に依頼して引き取ってもらいましょう。

回収された車載用リチウムイオン電池は主に、リユースもしくはリサイクルにより処分されます。それぞれの具体例を詳しく見ていきましょう。

リユースでは、使用済みの車載用バッテリーを回収し、異なる用途で再利用しています。例えば、フォーアールエナジー社では古い電気自動車のバッテリーを分解・整備し、使用可能なものを集めてリーズナブルに再製品化を行うプログラムを開始しました。街灯やキャリア型移動式蓄電池などに用いられています。

定置用蓄電池

住宅や病院、工場などで緊急時の電力供給源となる定置用蓄電池は、購入した店舗かメーカーに引き取ってもらいましょう。車載用バッテリーと同様に、自治体では回収してもらえません。

処分する前に、電気会社や販売店に依頼して、蓄電システムの電気の切り離し工事を済ませておきましょう。

ポータブル電源

ポータブル電源の処分に関する明確な規定は、実はありません。以下に挙げるいずれかの方法で処分してください。

  • 自治体に回収してもらう
  • メーカーに引き取ってもらう

ポータブル電源ほどのサイズであれば自治体に回収してもらえることもありますが、どのように処分するかは自治体ごとに異なるので、詳細は確認してください。

無料で引き取りを実施しているメーカーもあるので、処分コストを抑えたい方はメーカーの方針もチェックしてみましょう。

まだ使用可能で状態が良いものは、フリマアプリやリサイクル・リユースショップで売却する方法もあります。リチウムイオン電池を処分する際、自身で解体しないようにしてください。解体すると回収されない可能性が

リチウムイオン電池を処分する際の注意点

リチウムイオン電池を正しく処分しないと、火災リスクがあることは先述した通りです。実際にリチウムイオン電池を処分する際は、以下のポイントに注意してください。

  • 解体しない
  • 濡らさない
  • 出力端子を絶縁テープで覆う
  • 完全に梱包する

それぞれの注意点を解説します。

解体しない

リチウムイオン電池を処分する際、自身で解体しないようにしてください。解体すると回収されない可能性が高まります。

また、安全面の観点からも解体してはいけません。解体すると電池内部の正極と負極がショートするリスクが高まり、発火や発煙などの事故につながるため大変危険です。解体作業は専門的な知識と技術、そして適切な処理手順に基づき実行する必要があります。

濡らさない

リチウムイオン電池を廃棄する際は、濡らさないよう注意してください。

内部を水分にさらすと、化学反応を引き起こして発熱、発火、爆発のリスクが高まります。特にリチウムイオンが水分に触れると、組み込まれた保護回路がうまく作動しない可能性があります。

また定置用蓄電池やポータブル電源などの大型のリチウムイオン電池が水に濡れると、感電を引き起こすことがあり危険です。廃棄時は水に濡らすリスクをしっかり把握し、適切な対策を施してください。

出力端子を絶縁テープで覆う

廃棄する際は、出力端子を絶縁テープで覆ってください。これは、電池の出力端子が配線や金属部分に接触するのを防ぐために不可欠な対策です。

この対策を怠ったまま保管すると、ショートを引き起こして火災につながるケースがあるので注意してください。

完全に梱包する

廃棄予定のリチウムイオン電池を完全に梱包し、外部環境に触れない状態にしておくことも重要です。梱包すれば、水に濡れることや、配線・金属部分に接触することも防げます。

また、外部からの衝撃や圧力からも守れるでしょう。

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