
マニフェストは、産業廃棄物の処理を委託する際に排出事業者が発行する管理伝票です。排出事業者はマニフェストによって廃棄物を委託した業者の処理工程を確認しなければなりません。確認した上で日付を記入するのが、マニフェストの照合確認欄です。
中には照合確認欄の記入の仕方が分からない方もいるかもしれません。本記事では照合確認の概要や記入方法、照合確認の注意点などについて解説します。マニフェストの照合確認欄の書き方に迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
マニフェストにおける照合確認とは?
マニフェストを発行するのは、委託した産業廃棄物が適正に処理されたかどうかを確認するためです。産業廃棄物の排出事業者は「マニフェストが期限までに戻ってきているか」「戻ってきたマニフェストの記載内容に間違いがないか」などをチェックしなければなりません。
例えばマニフェストB2票・D票は交付日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)以内、E票は180日以内に返却されない場合、適切な措置を講じた上で報告書を各都道府県知事に提出しなければなりません。
期限内に返却されたことを確認・記録するために設けられているのが、紙マニフェストA票の照合確認欄です。公益社団法人全国産業資源循環連合会(全産連)のマニフェストの場合、照合確認欄は右下にあります。
照合確認欄への記入が必要なのはA票のみです。B票以降にも印刷されてはいますが、照合確認欄の裏側にはカーボンがないため、B票以降には複写されないようになっています。B票からは空欄にしておいて構いません。
※参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第12条の3の8)」(入手日付2023-10-10).
マニフェストにおける照合確認欄の記入方法
紙マニフェストの照合確認欄には、排出事業者の元にB2票〜E票が戻ってきた際に、各票が戻った日付を記入するのが一般的です。
マニフェストには直行用と積替用の2種類があり、直行用は処分業者が直接運搬する場合に使用し、積替用は処分業者に引き渡されるまでの間に積替(区間委託)がある場合に使用します。
直行用と積替用で照合確認する伝票が異なるため注意しましょう。公益社団法人全国産業資源循環連合会(全産連)のマニフェストの記載要領には、それぞれに確認が必要な伝票が記載されています。具体的には以下のとおりです。
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照合確認欄に日付を記入しておくと、A票を見るだけで各票の進捗状況が分かるようになります。
なお、日付を記入する前に「記載漏れがないか」「虚偽の記載がないか」「返送確認期日を過ぎていないか」を確認しておくことが必要です。例えば、マニフェストが期限までに戻ってこない場合は、処理状況を確認して都道府県知事に「措置内容等報告書」を提出する必要があります。報告書を提出するような事態にならないよう、マニフェストでしっかりと処理状況を把握しておきましょう。
※参考:公益社団法人全国産業資源循環連合会(入手日付2023-10-10).

マニフェストにおける照合確認の注意点
マニフェストに照合確認を記入する際の注意点をご紹介します。
法律上では照合確認の記載義務はない
紙マニフェストの照合確認は、廃棄物処理法で義務付けられている事項ではありません。記載する日付にも厳格なルールはなく、空欄のままでも不備を指摘されることはありません。
ただし照合確認欄へ日付を記載しておくと、委託した廃棄物の処理が完了したことを段階ごとに確認できるエビデンスとなります。「返送されてきたマニフェストを確認した日を記載する」などのルールを決めて運用するのがおすすめです。
またマニフェストは5年間の保存が義務付けられています。照合確認欄に日付を記入しておくと5年間の起点となる日が明確になるメリットもあります。
マニフェストには決まったテンプレートはない
排出事業者が交付する紙マニフェストは、7枚綴りの複写式となっています。このマニフェストには決まったテンプレートや様式はありません。例えばExcelシートで自作しても問題ありません。ただし、排出事業者が保持しておくA票には以下の事項を記載しておくことが必要です。
- ・管理票の交付年月日および交付番号
- ・管理票の交付を担当した者の氏名
- ・(排出事業者の)氏名または名称および住所
- ・産業廃棄物を排出した事業場の名称および所在地
- ・産業廃棄物の種類
- ・産業廃棄物の数量
- ・産業廃棄物の荷姿
- ・当該産業廃棄物にかかる最終処分を行う場所の所在地
- ・運搬を受託した者の氏名または名称および住所
- ・運搬先の事業場の名称および所在地
- ・処分を受託した者の氏名または名称および住所
- ・処分を受託した者が産業廃棄物の積み替えまたは保管を行う場合には、当該積み替えまたは保管を行う場所の所在地
- ・石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合はその数量
また法定記載事項ではありませんが、適正処理のために「処分方法」「廃棄物の名称」「有毒物質の有無」なども記載するのが望ましいとされています。
マニフェストの自作は可能ですが、自作の場合は複写の手間などがかかります。公益社団法人全国産業資源循環連合会などが配布している複写式の紙伝票を利用する方が、手間はかかりません。
また電子マニフェストなら、紙自体が必要なくオンライン上で全ての手続きが完了するので手軽です。その他にも電子マニフェストには産業廃棄物の処理状況をリアルタイムで確認できる、記入漏れや記載ミスなどヒューマンエラーが防げるなどさまざまなメリットもあります。
※参考:公益社団法人全国産業資源循環連合会(入手日付2023-10-10).
マニフェストに記載不備があった場合は状況に応じて適切な措置をとる必要がある
マニフェストは排出事業者が発行して管理すべきものです。処理業者が記載ミスしていたとしても不備は排出事業者の責任になります。もし法定記載事項に不備や間違いがあった場合、状況に合わせてマニフェストの訂正や、当該廃棄物の回収などの必要な措置を講じることが必要です。
その上で排出事業者は措置内容等報告書(様式第4号)を返送期限から30日以内に都道府県知事などに提出しなければなりません。
もし不備があってもマニフェストの再交付はできません。マニフェストは本来、廃棄物の排出時に交付されるものであり、後日の交付は認められていないためです。
※参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第8条の29)」(入手日付2023-10-10).
紙マニフェストは5年間保存義務がある
紙マニフェストには、5年間の保存義務があると廃棄物処理法で定められています。
マニフェストの交付・回付・送付をした場合、それぞれ伝票を送付した日、もしくは送付されてきた日から5年間は保存しなければなりません。
※参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第12条の3の2)」(入手日付2023-10-10).
マニフェスト照合確認に関するよくある質問
ここからは、マニフェストの照合確認に関するよくある質問をご紹介します。
マニフェストの種類別の書き方は?
マニフェストは前述したとおり、大きく分けて直行用と積替用の2種類があります。直行用は直接処分業者に運搬される場合に使用し、積替用は処分業者に引き渡されるまでの間に積替(区間委託)がある場合に使用します。直行用ではB2票・D票・E票の送付を受けたときに日付を記載し、積替用ではB2票・B4票・B6票・D票・E票の送付を受けたときに、それぞれA票と照合した上で照合確認欄に日付を記入してください。
マニフェストの交付担当者のサインは必要?
法定記載事項として「管理票の交付を担当した者の氏名」は必須です。なお氏名を記入したら押印の必要はありません。また氏名が彫られた印鑑であれば押印のみでもよいとされています。ただし押印の場合はカーボンコピーされないため、7枚全てに押印が必要です。
※参考:公益社団法人全国産業資源循環連合会. 「記載要項・注意事項」(入手日付2023-10-10).
マニフェストの照合確認の記載期限は?
法律上、照合確認の記載義務はありません。しかし登録してから90日(特別管理産業廃棄物は60日)が経過しても処分業者から処分終了報告がない場合、排出事業者が処理状況を処分業者に確認するなどの対応が必要です。
※参考:公益法人日本産業廃棄物処理振興センター. 「よくある質問」(入手日付2023-10-10).
マニフェストは誰が保管すればよい?
マニフェストは排出事業者、委託を受けた運搬業者、処分業者の3者がそれぞれ5年間、手元に控えを保管する義務があります。無くさないようファイルやバインダーなどに入れて大切に保管しておきましょう。
なお電子マニフェストならデータは情報処理センターで保管・管理されるため、紙マニフェストのような保管義務はありません。
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