
プラスチック資源循環促進法とは、プラスチックのライフサイクル全体を通して、プラスチック資源の循環利用の促進を目的とした法律です。プラスチックの使用量が増えたことにより、環境汚染や気候変動などさまざまな問題が生じたことを背景に施行されました。
プラスチックの製造や製品への使用など、何らかの形でプラスチックに関わる場合、プラスチック資源循環促進法の内容を把握しておくことが欠かせません。
そこで本記事では、プラスチック資源循環促進法の概要や施行の背景などをご紹介します。記事後半では、プラスチック資源循環促進法の対象者や5つの措置も解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
プラスチック資源循環促進法とは?
プラスチック資源循環促進法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)とは、2021年6月11日に公布、2022年4月1日に施行された法律です。
この法律は、プラスチックを使用した製品の設計から使用後の廃棄物の処理まで、プラスチックのライフサイクル全体を通して、プラスチック資源の循環利用の促進を目的としています。
詳しくは後述しますが、プラスチック製品の設計・製造・販売事業者は、環境配慮設計指針に基づき製品設計を行うことが必要です。自治体レベルでは、分別収集・再商品化の推進などが行われます。

プラスチック資源循環促進法の原則
プラスチック資源循環促進法の原則は「3R+Renewable」です。この原則は、以下の要素から構成されています。
- Reduce(リデュース):プラスチック製に使用する資源の量の削減や廃棄量削減・減量
- Reuse(リユース):プラスチック製品の再利用
- Recycle(リサイクル):プラスチック製品のリサイクル(新たな製品の原料にする・エネルギー源にする)
- Renewable(リニューアブル):紙・バイオマスプラスチックなど、再生可能資源の使用
3RにRenewable(リニューアブル)が加えられているのが特徴です。バイオマスプラスチックや再生素材など、環境負荷の小さい再生可能資源の使用を推進します。
プラスチック資源循環促進法ができたのはなぜ?
プラスチック資源循環促進法ができた背景には、以下が挙げられます。
- 環境問題の深刻化
- 国際的な動向
- サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行
プラスチックに起因した環境問題には、さまざまなものがあります。プラスチックは海や河川に流されると、分解されずに長期間残存するため、自然環境に悪影響を及ぼします。こうした環境問題は深刻化しており、解決するためにプラスチックの使用量削減と適正な処理が必要となるのです。
また、プラスチックに関する国際的な動向に対応する目的もあります。日本はプラスチック廃棄物を発展途上国に輸出していましたが、中国をはじめとするアジア諸国が輸入規制を強化しました。これにより、日本国内でプラスチック廃棄物の処理と再資源化を進める重要性が高まっています。
さらにプラスチック資源循環促進法には、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を推進する目的もあります。サーキュラーエコノミーとは、資源を効率的に循環させ、持続可能な社会を実現する経済モデルです。従来のリニアエコノミー(Linear economy:直線型経済)に変わる経済モデルであり、不要になった製品をそのまま捨てるのではなく、リサイクルやリユースを促進していくことで、資源の消費を押さえつつ廃棄物の排出量を削減できます。
プラスチック資源循環促進法の対象者
プラスチック資源循環促進法は、プラスチックを使用した製品の設計から使用後の廃棄物の処理まで、プラスチックのライフサイクル全体で資源を循環させるための法律です。そのため対象者は、プラスチック製品の製造者から消費者向けに商品を提供する小売業者・サービス業者、プラスチック廃棄物の分別とリサイクルを行う自治体および処理業者、産業用プラスチックを排出する事業者など多岐にわたります。
もちろん事業者や自治体だけでなく、消費者にもプラスチック資源を循環させるための取り組みが求められます。社会全体でリサイクル資源を効率的に循環させるには、消費者レベルでマイバッグやマイ箸、マイタンブラーを使用したり、レジ袋をはじめとするプラスチック製品が不要な場合は提供を断ったりするなどが重要です。
プラスチック資源循環促進法の5つの措置
プラスチック資源循環促進法では、以下の5つの措置が取られます。
- 環境配慮設計指針の策定
- ワンウェイプラスチックの使用の合理化
- 市区町村の分別収集・再商品化の促進
- 製造・販売事業者などのプラスチック自主回収の促進
- 排出事業者のプラスチック排出抑制・再資源化の促進
それぞれの措置を詳しく見ていきましょう。
環境配慮設計指針の策定
プラスチック製品の製造事業者は、環境配慮設計指針の策定に努める必要があります。プラスチック使用製品設計指針には、プラスチック使用製品製造事業者が取り組むべき事項や配慮すべき事項が定められており、構造・材料に関しては以下の内容から構成されています。
- 減量化
- 包装の簡素化
- 長期使用化・長寿命化
- 再使用が容易な部品の使用または部品の再使用
- 単一素材化
- 分解・分別の容易化
- 収集・運搬の容易化
- 破砕・焼却の容易化
- プラスチック以外の素材への代替
- 再生利用が容易な材料の使用
- 再生プラスチックの利用
- バイオプラスチックの利用
また企業のホームページや取扱説明書欄に、製品の構造や部品の取り外し方法、修理方法、破砕・焼却方法、収集・運搬方法などの記載が求められています。
ワンウェイプラスチックの使用の合理化
ワンウェイプラスチックとは、一度切りの使用が想定されたプラスチック製品です。例えば、フォーク・スプーンなどのカトラリー、ヘアブラシ・クシ・カミソリ・歯ブラシなどのホテルアメニティなどです。利便性が高い一方で使用後は即廃棄となるため、環境問題や廃棄物の排出量増加などさまざまな問題を引き起こします。
プラスチック資源循環促進法では、小売・サービス事業者などのワンウェイプラスチックの提供事業者が取り組むべき判断基準が策定されています。対象商品は有償で提供する、消費者の意思を確認してから提供する、繰り返し使用することを促すなどが取り組み例です。
市区町村の分別収集・再商品化の促進
プラスチック資源循環促進法では、プラスチック資源の分別収集を促進するために、従来は燃えるごみとして処理されていたプラスチック廃棄物を再商品化する新たなシステムが導入されました。これに基づき、市区町村は以下の2つの方法により再商品化できます。
- 容器包装リサイクル法に規定する指定法人(公益財団法人日本容器包装リサイクル協会)に委託し、再商品化する
- 市区町村と再商品化事業者が連携して再商品化計画を作成する(主務大臣が認定した場合に限り、選別・梱包などの作業を省略可能)
製造・販売事業者などのプラスチック自主回収の促進
自主回収・再資源化計画を作成し国からの認定を受けることで、製造・販売事業者がプラスチック製品を自主回収できるようにもなっています。通常は産業廃棄物の収集運搬業の許可が必要ですが、この場合は不要です。
プラスチック使用製品の回収拠点が増えるため、消費者レベルで分別・回収しやすくなるような効果が期待されています。
排出事業者のプラスチック排出抑制・再資源化の促進
プラスチック資源循環促進法では、排出事業者のプラスチック排出抑制・再資源化も促進されています。全ての排出事業者(小規模企業者を除く)は、排出抑制に取り組む必要があるとされています。特に前年の排出量が250トンを超える多量排出事業者は、抑制の排出・再資源化に関する具体的な目標を設定し、計画的に実施していくことが必要です。
また本制度では、排出事業者が「再資源化事業計画」を作成した上で、国の認定を受けることで、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づく許可がなくても、再資源化事業を行うことができます。
参考:環境省「排出事業者による排出の抑制・再資源化等」,(入手日付2024-06-24)
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