日本と海外のゴミ処理事情を比較!日本は複雑って本当?

日本と海外のゴミ処理事情を比較!日本は複雑って本当?

日本の家庭ゴミの分別は、海外と比べて複雑だと言われることがありますが、それはなぜかわかりますか?分別の項目が多かったり、曜日ごとに出し分けなければいけなかったり…という事情も当然ありますが、それ以外に「日本ならでは」の事情があるようです。

本記事では、日本のゴミ処理事情を解説した上で、海外事情と比較します。

日本のゴミの分別方法

まずは、日本のゴミの分別方法の特徴について見ていきましょう。主な特徴としては「種類ごとに分ける」「曜日ごとに出せる種類が異なる」「住む地域によって回収ルールが異なる」の3つが挙げられます。

種類ごとに細かく分別する必要がある

日本のゴミは、主に以下のように分別されています。

  • 燃えるゴミ(燃やせるゴミ)
  • 燃えないゴミ(不燃ゴミ)
  • 古紙
  • びん
  • ペットボトル
  • プラスチック製容器包装

この中で、プラスチック製容器包装の分別に関しては、1997(平成9)年に本格施行された「容器包装リサイクル法」に伴って設定され始めた、比較的新しい分別です。今後もプラスチック関連の分別はより厳格化されていくと見られています。

また、自治体によってはさらに細かく分類されている場合もある他、ゴミの出し方も細かく指定されているケースがあります。「ペットボトルの蓋とラベルは分けて捨てる」「古紙は紙の種類ごとに分けてひもで縛って捨てる」などの分別は、日常の中で実際に行っている方も多いのではないでしょうか。
このように捨てる際に「市民がひと手間かける必要がある」のが、日本の分別が複雑と言われる原因の一つかもしれません。

曜日ごとに出せる種類が異なる

日本では、1週間の中で各曜日ごとに出せるゴミの種類が指定されています。
このスケジュールは、近辺の交通量や、処理施設の許容量などを考慮した上で自治体によって決められています。それ以外の曜日だと収集所にゴミを置いていても回収されません。
また、回収スケジュールは住所ごとに細かく定められており、道路をひとつ挟むだけでまったく異なる回収日程になってしまうのも、日本の複雑なルールの一つです。

住む地域によって回収ルールが異なる

日本のゴミの分別が複雑と言われるゆえんの一つは、住む地域によって分別のルールが異なるという点です。ある自治体では「使い切ったスプレー缶は穴を開けてから捨てる」とされていても、別の自治体では「危険なので穴は開けない」とされている場合もあります。
家庭ごみ(一般廃棄物)の処分は自治体ごとに運用が定められているため、異なる自治体に引っ越しをすると、ゴミ出しのルールも大きく変わってしまうのです。

面倒なようですが、ルールを守らずにゴミを出すとカラスや猫などの動物に荒らされ衛生状況や景観が悪化したり、周辺住民とトラブルに発展したりする場合もあります。各自治体のルールを確認し、適切にゴミを捨てることが重要です。


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海外のゴミの分別方法

さて、日本のゴミ処理事情と比較して、海外の分別方法はどうなっているのでしょうか。
今回は下記の3国の分別事情について見ていきます。

  • アメリカ
  • 韓国
  • ドイツ

アメリカ

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アメリカのゴミ回収は、日本と比較するとそれほど厳密ではありません。地域ごとに異なる場合もありますが、主に以下の種類に分別されています。

  • リサイクルゴミ
    リサイクル可能な紙類やプラスチック類、缶、ガラス類などは、リサイクルゴミとして分別します。日本のように市民が種類ごとに分ける必要はなく、「リサイクル用のゴミ箱」にまとめて捨てることができます。回収されたゴミは分別をする専用の工場に運ばれ、再生利用が進められていきます。

  • コンポストゴミ
    コンポストとは、「堆肥(compost)」や「堆肥をつくる容器(composter)」のことを指します。アメリカでは、生ゴミなどの堆肥としての再利用が進められており、分別項目のひとつとなっています。生ゴミのほか、落ち葉、枯れ葉、庭の植物なども対象となります。
    ただし、排泄物、衛生用品などの汚物は、再生堆肥が使用された後の農作物の品質低下を招く可能性があるため、入れることができません。

  • その他のゴミ
    上記以外のゴミはすべてまとめて一つのゴミ箱に捨てることができます。
    可燃や不燃の区別などはなく、まとめて埋め立て処理が行われます。

ゴミの出し方は、家の前に専用の蓋つきゴミ箱(有料)を設置しておくと、ゴミ収集車が一軒ごとに回収してくれます。
回収日は地域ごとに決められており、すべてのゴミがその日にまとめて回収されます。「明日は何のゴミの日か」などを毎日考えなくてはいけない日本と比べると、楽にも思えます。しかし、間違った日にゴミを出したり、壊れたゴミ箱や蓋のついていないゴミ箱を使用するなど、ルールを破ると罰金が科される場合があるため注意が必要です。

アメリカは世界で一番ゴミの排出量が多い国ですが、その半分以上が広大な国土に埋め立てられています。近年は堆肥可能な食器を使用したり、プラスチックを使用しないようにするなど、埋め立て量を減らす取り組みも進められています。

韓国

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お隣の国韓国では、下記のようにゴミの種類が細かく定められています。

  • 紙類
  • 缶・鉄くず類
  • ガラス・びん
  • プラスチック類
  • ビニール類
  • 生ゴミ
  • 一般ゴミ

一見日本と似た分別方法を行っているように見えますが、実は大きく異なる部分があります。
それは、「生ゴミ」の定義です。

韓国においての生ゴミとは、「家畜の食糧や堆肥になるゴミ」のことを指します。
そのため、家畜が飲み込むことのできないものは生ゴミとして捨てることができません。日本と同じ認識でいると間違った分別になってしまうため、韓国でゴミを捨てる際には注意が必要です。

生ゴミとして捨てられないもの
×ティーバッグ ×毛皮や骨 ×ネギの根 ×たまねぎやにんにくの皮 ×とうもろこしの茎 ×大きな種 ×卵の殻 ×コーヒーかす ×茶殻 ×つまようじ、など


また、生ゴミにならず、リサイクルもできないその他のゴミは一般ゴミとして捨てられます。排泄物や油で汚れた紙、木材、落ち葉など、日本でいう「生ゴミ」の多くはここに該当します。

韓国では過去に起きた環境汚染から生ゴミのリサイクルが進んでおり、その90%以上が再利用されています。しかし生ゴミの排出量そのものは減っておらず、今度はリサイクルによって作られた堆肥や飼料の過剰生産が問題となっています。

ドイツ

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最後に、ドイツのゴミの分別について見ていきましょう。
ドイツは世界トップの再生利用率を誇る、リサイクル大国です。分別は一般に以下のように行われます。

  • リサイクルゴミ
    アメリカと同じように、リサイクル可能なものはすべてリサイクル用のゴミ箱にひとまとめに入れることができます。分別は専門の分別工場で行われるため、住民側で分ける必要はありません。プラスチック製の食品容器、空き缶、ペットボトル、牛乳パックなどがここに該当します。

  • 古紙・段ボール
    再利用できる古紙の回収は、日本にもある分別です。ドイツでは紙専用のリサイクルゴミ箱が設置されているのでそこに捨てます。ただし、使用済みのティッシュや油のついた容器など、汚れている紙は出すことができません。

  • 生ゴミ
    有機物ゴミ、バイオゴミとも呼ばれます。アメリカのコンポストゴミと同様に、生ゴミや庭の落ち葉、枯れ葉、庭の植物などを、農業用の堆肥にする目的で分別します。

  • びん、ガラス類
    こちらも日本で比較的なじみのある分類ではないでしょうか。ドイツでは色(透明、緑、茶)によって分けて捨てる場合もあります。

  • 一般ゴミ
    上記に当てはまらず、さらにリサイクルできないものは一般ゴミのゴミ箱に捨てます。家庭廃棄物や、排泄物、汚れたもの、リサイクルできないプラスチックなどが対象です。

ドイツでは各家庭であらかじめ専用のコンテナをレンタル(有料)しておくことで、回収が行われます。住民による細かな分別が必要ないことに加えて、公共の場には別途リサイクル専用の回収ボックスが置かれており、ゴミの分別へのハードルは低いと言えるでしょう。

その他、ドイツで行われている先進的なリサイクル方法のひとつとして、ペットボトルや缶などの飲料容器にデポジットが導入されている点が挙げられます。飲み物を購入する際の金額にあらかじめ容器代が含まれており、空き容器を持っていくと返金される仕組みです。この仕組みは多くの企業の取り組みによってつくられました。
ドイツでは、リサイクル可能な飲料容器はそのままリサイクル用のゴミ箱に捨てることもできますが、このデポジット制によって効率的に容器の回収が進んでいるのです。

日本のゴミ分別ならではの特徴

さて、海外3国の分別の違いについて見てきました。国により様々な背景があり、異なる分別が行われていますが、「日本ならでは」のゴミ分別の特徴とはなんでしょうか?
それは、ゴミを「可燃」か「不燃」かで分ける点です。
意外かもしれませんが、これは海外ではあまり見られない分別方法です。

日本は国土の狭さから廃棄物の容積を減らす必要があるため、多くのゴミを焼却によって処理しています。焼却施設の数も世界トップな日本では、ゴミが「燃える」のか「燃えない」のかは非常に重要なポイントなのです。

一口にゴミの分別と言っても、焼却処理がメインな日本と、埋め立てがメインのアメリカでは分別方法が異なります。
今回は一部の国の家庭ゴミについて紹介しましたが、異なる国や、企業から発生する産業廃棄物などではまた様子が違うでしょう。世界のゴミ処理事情を知った上で、あらためて日本のゴミ処理に目を向けると、また違ったものが見えてくるかもしれません。


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