汚泥の処理方法は?正しい処分方法や注意点を詳しく解説

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汚泥とは事業活動で排出する泥状の物質の総称です。汚泥は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)で定められた産業廃棄物に分類されるため、法律に従った処理が必要です。違法な処理をすると、処罰の対象にもなるため注意しましょう。

では、汚泥はどのように処分したらよいのでしょうか。本記事では、汚泥の種類や正しい処理方法、処理する際の注意点などについて解説します。汚泥の排出事業者の方や処理に関わる方はぜひ参考にしてみてください。

産業廃棄物における「汚泥」とは?

汚泥とは事業活動で生じた排水を処理する過程などで発生する泥状の廃棄物のことで、産業廃棄物として扱わなければなりません。

具体的には工場からの廃水など処理後の泥や、製造業の製造工程で排出された泥状の物質、カーバイドかすやビルピット汚泥、建設汚泥やベントナイト汚泥、洗車場汚泥などのことを指します。

産業廃棄物は20種類ありますが、中で最も排出量が多いのが汚泥です。汚泥は再生利用率が7.2%と低く、多くは脱水や焼却などで減容化した上で埋め立て処分などの最終処分がなされます。

また汚泥の中でも、重金属やダイオキシン類などの有害物質を含んでいて有毒性が強い汚泥は、一般的な産業廃棄物でなく特別管理産業廃棄物に分類されるため、取り扱いには十分注意しなければなりません。

※参考:公益法人財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類」 (入手日付2023-10-04).

※参考:環境省「令和4年度 事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」(入手日付2023-10-04).


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汚泥の種類を2つ紹介

大きく分けると汚泥には「無機性汚泥」と「有機性汚泥」の2種類があります。無機性汚泥と有機性汚泥の区別は法律で厳密に決められているわけではありません。しかし有機性汚泥か、無機性汚泥かで扱える処理業者が異なる場合もあるため注意が必要です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

有機性汚泥

有機性汚泥とは下水処理場や食品工場、動物の飼育場などの施設から排出される、有機汚染された排水を含む汚泥のことです。

具体的には主に以下のようなものが有機性汚泥に該当します。

  • パルプ廃液から生じる汚泥
  • 活性汚泥法による処理後の汚泥
  • ビルピット汚泥(し尿を含むものを除く)
  • 動植物性原料を使用する各種製造業の廃水処理後に生ずる汚泥

有機性汚泥の中には適切に処理すれば再資源化が可能なものもあります。再資源化が可能なものについても含まれる成分によって処理方法が異なってくるため、正確な分別が必要です。

※参考:環境省. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について」(入手日付2023-10-06).

無機性汚泥

無機性汚泥とは、土木工事現場や金属工場などから排出される、土砂や金属成分などの無機物を多く含む汚泥のことです。

代表的な無機性汚泥としては以下のようなものがあります。

  • 腐白土
  • 赤泥
  • 珪藻土かす
  • 炭酸カルシウムかす
  • 浄水場の沈殿池から生じる汚泥

また無機性汚泥はその性状と対象排水によって、以下の5つに分類されます。

  • 石炭・石灰・石膏など:鉱石の洗浄排水・集積排水
  • 酸化金属粉末:鉄鋼排水・集塵排水
  • 重金属水酸化物:酸排水・メッキ排水
  • 含油凝集汚泥:機械工場排水・冷延排水
  • 凝集汚泥:懸濁水処理

汚泥は細かく分類されるため、分類が分かりにくい場合は行政に相談してみましょう。

※参考:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について」(入手日付2023-10-06).

汚泥処理における産業廃棄物税

汚泥のような産業廃棄物を処理する場合、中間処理業者が最終処分場に搬入する際に産業廃棄物税を納める必要があります。産業廃棄物税とは、焼却施設または最終処分場への搬入に対して課税される地方税です。

地方公共団体によって異なる場合もありますが、通常の産業廃棄物は1トン当たり1,000円の産業廃棄物税を納めるのが一般的です。

ただし水分を多く含む汚泥は、正確な重量を量るのが困難な場合もあります。

そこで換算係数(トン/立方メートル)を乗じて重さを求める「比重換算」が行われる場合もあります。汚泥の換算係数は1.1です。つまり汚泥が1立方メートルの場合であれば、1.1を掛けた1.1トンとして計算します。

なお、汚泥の焼却灰を肥料やセメント原料などに再利用したり、成分の有機分解によって生じるメタンガスをエネルギーとして有効活用したりする場合には、産業廃棄物税は課税されません。

※参考:日本産業廃棄物処理振興センター「産業廃棄物の種類ごとの集計単位と重量換算係数 Ver.1.5」(入手日付2023-10-06).

汚泥の代表的な処理方法

汚泥は水分を多く含んでいるため、天日乾燥や加圧脱水機や遠心脱水機を使用して脱水するなどの中間処理をしてから最終処分や再利用するのが一般的です。中間処理を施した汚泥の主な処分方法には、以下のようなものがあります。

焼却

焼却は脱水処理をして乾燥させた汚泥を焼却炉で燃やす方法です。焼却する装置は処分業者によって異なりますが、高温焼却ができるため大量の汚泥を短時間で処理できます。

焼却した汚泥は、灰として埋め立てられる他、焼却時に発生する熱を発電に利用するケースも増えてきました。また汚泥の焼却灰を資源として、再利用する方法も研究・実用化されています。

埋め立て

焼却処分せず、そのまま埋め立てられる汚泥もあります。埋め立ての処分基準で、含水率85%以下の汚泥は埋め立てが可能とされているため、この条件をクリアした比較的水分の少ない汚泥はそのまま埋め立て処理が可能です。ただし容積が大きい場合は、その分処分費がかかる可能性もあります。

※参考:産業廃棄物処理事業振興財団(入手日付2023-10-06).

溶融処理

廃棄物が溶融するような高熱を加えることで、汚泥を減容化させるとともに含有成分の抽出・無害化する方法です。溶融処理で発生する溶融スラグは、土木・建設資材として有効利用されています。

セメント原料化

下水汚泥を焼却して発生した灰は、セメントやコンクリートの原料として活用できます。通常のセメントの原料には石灰石・珪石(ケイ石)・粘土類などを使用するのが一般的です。下水汚泥の成分が粘土類と似ているため、粘土の代替原料として石灰やケイ石などと焼却融合してセメント原料に活用できます。

堆肥化

堆肥化は下水処理場や食品工場などで発生する有機汚泥を脱水して発酵させることで、堆肥原料として再利用する方法です。

し尿を含む下水由来の汚泥は、植物の成長に必要なリンや窒素などの栄養分を豊富に含むため、堆肥としても活用できます。下水由来の堆肥はコストも安く、地球環境にもやさしいことから農業の持続性に貢献すると期待されています。

※参考:国土交通省「下水汚泥資源の肥料利用」(入手日付2023-10-06).

メタン発酵

メタン発酵とは、酸素のない環境でメタン菌と呼ばれる嫌気性微生物によって有機物を分解してメタンを作り出すことです。メタンは天然ガスの主成分なのでエネルギーとしての利用が可能であり、有機性汚泥の資源化技術として注目されています。メタン発酵処理によって再利用できると、本来は廃棄物の汚泥がバイオマス資源となり、カーボンニュートラルな燃料に変わります。

※参考:国立環境研究所「嫌気性排水処理(メタン発酵)技術の研究動向」(入手日付2023-10-06).

造粒固化

造粒固化とは無機性汚泥に特殊固化材などの薬剤を添加し、混練・撹拌(かくはん)させて粒状にする処理方法です。造粒固化物を盛土材や骨材として再利用すると、汚泥を有効活用できます。

油水分離

油水分離とは油と水が混ざり合った汚泥を分離装置にかけて、油分と水分に分離する処理のことです。油分は再生重油として再利用されることもあります。油分と水分に分離させると混ざり合った状態に比べると処分が容易になり、処理コストを安く抑えることも可能です。

汚泥処理に関するよくある質問

最後に汚泥処理に関する、よくある質問をご紹介します。

ヘドロの処理方法は?

ヘドロとは、流れの緩やかな河川や港湾などの底に存在する柔らかい泥のことです。自社敷地内の排水口などにたまったヘドロは産業廃棄物に該当する可能性もあります。産業廃棄物と見なされる場合、脱水・乾燥などの方法で減容化され、その後、最終処分されます。

汚泥の総排出量は?

環境省より発表された「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」によると、国内における令和3年度の汚泥の総排出量は約1億6,267万6,000トンで産業廃棄物全体の43.9%を占め、20種類の中で最も排出量が多い産業廃棄物となっています。

※参考:環境省「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」 (入手日付2023-10-04).

下水汚泥は産業廃棄物に該当する?

下水汚泥とは下水処理の過程で発生する汚泥のことです。下水道から除去した汚泥は、「産業廃棄物として取り扱うもの」と規定されています。

※参考:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について」 (入手日付2023-10-08).

汚泥処理におけるマニフェストの書き方は?

排出事業者が汚泥の処理を委託する場合、マニフェストを自らの手で交付する必要があります。紙マニフェストの基礎知識や書き方の基本を知りたい方は、「紙マニフェストの入手方法・運用の流れ・書き方をやさしく解説」を参考にしてみてください。なお電子マニフェストであれば、より効率的な運用が可能です。

汚泥処理施設とは?

汚泥処理施設とは汚泥を回収して、産業廃棄物として処分するための施設のことです。汚泥を放置すると腐敗して悪臭を放つ他、病原菌の発生源になるため、腐敗する前に汚泥処理施設で処分されます。

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