
太陽光パネルはクリーンエネルギーを生み出せるとして、日本各地でも設置が進んでいます。実際、太陽光パネルは国が指定する価格に基づき、電力事業者が一定期間買い取ることを義務付けたFIT制度(Feed-in Tariff:固定価格買取)により、事業者だけでなく一般家庭でも広がりを見せました。
太陽光パネルはいずれ寿命を迎えるため、適切なリサイクルや廃棄処理の準備をしておく必要があります。
そこで本記事では、太陽光パネルは何ごみに該当するのか、廃棄する方法などをご紹介します。
記事後半では、廃棄にかかる費用の相場や、太陽光パネルを撤去する際の注意点もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
太陽光パネルは何ごみ?
太陽光パネルを撤去する際に気になるのが、一般廃棄物と産業廃棄物のどちらに分類されるかという点です。
解体工事等の事業活動を行わずに一般家庭から太陽光パネルを排出する場合は、一般廃棄物に該当する場合がありますが、基本的に太陽光パネルは業者が取り外しを行うため、産業廃棄物に該当すると認識しておくと良いでしょう。
産業廃棄物となる場合、太陽光パネルは金属くず・ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず・廃プラスチック類などの混合物として処理されるのが一般的です。
太陽光パネルの廃棄が必要となる主なケースには、以下が挙げられます。
- 建物の取り壊しや屋根のメンテナンス
- パワーコンディショナーの不具合
- 災害により物理的ダメージを受けたとき
太陽光パネルが広がりを見せたのは、FIT制度(Feed-in Tariff:固定価格買取)が普及した2010年代前半です。一般に太陽光パネルの寿命は20年から30年程度とされています。
環境省の公表した資料「太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分に関する報告書」によると、2039年には775,085トンもの太陽光パネルが廃棄される見込みです。大量に廃棄されればそれだけ環境負荷が増大するので、リサイクルや適正な処理方法の検討が必要となるでしょう。
廃棄される太陽光パネルには再資源化できる素材も含まれているので、まずはリユース・リサイクルなどが検討されます。
※参考:環境省「太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分に関する報告書」(入手日付 2024-03-16)

太陽光パネルを廃棄する方法
太陽光パネルを廃棄する方法は、主に以下のとおりです。
- 産業廃棄物処理業者へ依頼する
- リサイクル・リユースする
- 自治体に回収を依頼する
それぞれの廃棄方法の特徴を見ていきましょう。
産業廃棄物処理業者へ依頼する
産業廃棄物に分類される太陽光パネルは、専門の許可を持つ産業廃棄物処理業者に処理委託すると適切に処理してもらえます。
産業廃棄物の処分には費用が発生し、業者によって料金形態が異なるので、複数の業者から相見積もりを取って最も信頼できる業者に依頼するのがおすすめです。
処理委託理委託する業者が産業廃棄物処理許可業を取得しているかだけでなく、許可品目や太陽光パネルの処理実績は豊富かなども併せて確認してください。
リサイクル・リユースする
廃棄された太陽光パネルは、リサイクルによって有用なガラスや金属を回収することが可能です。
また、廃棄する前に検討できることとして、「非常用電源として活用する」「家庭用の主電源として活用する」の2つがあります。それぞれの方法の特徴を見ていきましょう。
非常用電源として活用
廃棄される太陽光パネルは、非常用電源として活用できます。
非常用電源を備えておけば、万が一災害が起きた際も電気を使用することが可能です。被害を受けて電力供給がストップしても、家電製品の使用が可能なため、安心です。
また、電気自動車の充電も可能で、維持コストの削減にも寄与します。
家庭用の主電源として活用
FIT制度(Feed-in Tariff:固定価格買取)を使って売電しなくても、家庭用の主電源として活用すれば、電気代を大きく節約できるでしょう。
国際情勢の不安定化や物価高騰により、電気代は年々増加傾向にあります。
こうした状況下でも、太陽光パネルをリサイクル・リユースして主電源にすれば、発電量に応じて電気を無料で利用できます。
自治体に回収を依頼する
一部の自治体では、太陽光パネルを粗大ごみとして回収しているケースがあります。
しかし先述したように、太陽光パネルは基本的には産業廃棄物に該当するため、粗大ごみに分類して回収している自治体は多くはありません。自治体に回収を依頼する際は、ルールを確認し、太陽光パネルを回収してもらえるかを確認しましょう。。
太陽光パネルを撤去する際の注意点
太陽光パネルを撤去する際は、以下のポイントに注意してください。
- FIT制度(Feed-in Tariff:固定価格買取)の認定を受けている際には廃止届を提出する
- 補助金を返還する必要があるか確認する
- 屋根の防水処理をする
- 産業廃棄物として処理する場合はマニフェストを交付する
それぞれの注意点を解説します。
FIT制度(Feed-in Tariff:固定価格買取)の認定を受けている際には廃止届を提出する
FIT制度(Feed-in Tariff:固定価格買取)の認定を受けている場合は、廃棄に当たって廃止届を提出する必要があります。太陽光パネルを設置した際に申請を依頼した代行事業者に相談し、廃止届を提出しましょう。
制度申請をご自身で行った場合は、「再生可能エネルギー電子申請ホームページ」から手続きを行ってください。
補助金を返還する必要があるか確認する
廃棄に当たっては、補助金を返還する必要があるかも併せて確認しましょう。太陽光パネルを設置する際に補助金を受給した場合、太陽光発電設備の法定耐用年数(17年)未満で廃棄する際は、補助金を返済しなければならない可能性があります。
返還義務の発生する条件や具体的な内容は、自治体によって異なります。
自治体の補助金制度を詳しく調べ、返還義務があれば適切な手続きを踏みましょう。
屋根の防水処理をする
太陽光パネルを撤去する際は、屋根の防水処理が重要です。固定金具を屋根から取り外す際、雨漏りしないよう防水処理を施す必要があります。
取り外しは専門的な技術を要するため、設置を依頼した施工業者に相談してみましょう。
産業廃棄物として処理する場合はマニフェストを交付する
太陽光パネルを産業廃棄物として処理する場合は、マニフェストの交付が義務付けられています。
マニフェストとは産業廃棄物管理票とも呼ばれる伝票で、産業廃棄物が適切に処分されたかを示すものです。排出事業者は、収集運搬業者や処分業者に産業廃棄物を引き渡す際に、マニフェストを交付する必要があります。マニフェストには、以下の項目を記載します。
- 交付年月日
- 交付番号・整理番号
- 交付担当者名
- 排出事業場
- 産業廃棄物の種類や数量
- 中間処理産業廃棄物
- 最終処分場の場所
- 収集運搬業者・処分業者名
マニフェストの交付は廃棄物処理法により義務付けられているため、交付を怠ると罰則が科される点には注意してください。
加えて、産業廃棄物の排出事業者はマニフェストの交付状況を自治体に報告する義務もあります。
マニフェストに関わる手続きは多岐にわたり、かつ複雑になりがちなので、手続きを簡便化できる電子マニフェストに対応している産業廃棄物処理業者に依頼すると良いでしょう。
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