
ステンレスはさびにくく強度が高いため、食器や建築材料、航空機器部品、医療器具など身の回りで使用されています。事業活動に伴い発生したステンレスの廃棄物は、法律上金属くずに分類され、適切に処理する必要があります。ステンレスを取り扱う場合は、その廃棄物の処理方法も把握しておくことが欠かせません。
そこで本記事では、ステンレスの概要や使用用途、産業廃棄物としての処理方法などを網羅的に解説します。記事後半では、ステンレスの正しい処理方法や処理時の注意点などもご紹介するので、廃棄にお困りの方はぜひ参考にしてください。
目次
ステンレスとは?
ステンレスは、正式名称はステンレス鋼といい、stainless stealを略した言葉です。鉄(Fe)にクロム(Cr)という金属を添加し、製造されます。
ステンレスには、以下のような特徴があります。
- 耐食性:表面に不動態被膜が形成されているため、酸化や腐食に強い
- 耐熱性:熱伝導率が低いため、耐熱性や保温性に優れている
- 強度:強度や硬度が高い

ステンレスの使用用途
ステンレスには先述した優れた特徴があり、以下に挙げるようにさまざまなところで使用されています。
- 食器
- 洗濯機・冷蔵庫・電子オーブンレンジなどの家電
- ゴルフ・スキー・釣具などのレジャー用品
- ナイフ・鍋・流し台などの厨房用具
- 屋根材・内装・外装・構造材・配管
- 航空機部品
- 医療機器部品
- 鉄道・自動車・自転車などの輸送機器
ステンレスは産業廃棄物の何に分類される?
事業活動に伴い発生した廃棄されるステンレスは、産業廃棄物です。その種類は廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)上、金属くずに該当します。金属くずの具体例は以下の通りです。
- 鉄くず
- 空き缶
- 古鉄・スクラップ
- ブリキ
- とたんくず
- 箔くず
- 鉛管くず
- 銅線くず
- 鉄粉
- バリ
- 切断くず
- 切削くず
- 研磨くず
- ダライ粉
- 半田かす
- 溶接かす等
金属くずは、リサイクルや再加工により新たな製品の材料や原料になるなど、用途があれば有価物として有償で売却することも可能です。
※参考:東京都環境局. 「産業廃棄物の具体例」,(入手日付2024-06-22)
金属くずの種類
金属くずにはアルミニウムや金なども含まれますが、その大半は鉄くずです。鉄くずには、2つの分類方法があるので、簡単にご紹介します。
1つ目の分類方法が、発生源によるものです。鉄鋼生産時に発生するものが「自家発生スクラップ」、市場に出回った後に発生するものが「市中スクラップ」です。市中スクラップはさらに細分化され、工場発生スクラップ、老廃スクラップに分けられます。
2つ目の分類方法は、鉄の種類によるものです。上銑くずや並銑くずなどの「銑(せん)くず」と、炭素鋼くずや低銅炭素くずなどの「鋼(はがね)くず」に分類されます。
ステンレスの処理方法
ステンレスの処理方法には、以下が挙げられます。
- リサイクル
- 埋め立て処理
それぞれの処理方法を詳しく見ていきましょう。
リサイクル
ステンレスをはじめとする金属くずは、産業廃棄物の中でもリサイクル率が高く、再び資源として利用できる点が特徴です。環境省の公表した資料「産業廃棄物の排出及び処理状況(令和4年度速報値)」によると、令和4年度の金属くずの再生利用量は96%に上ります。これは、がれき類とともに全産業廃棄物の中で最も高い水準です。
ほとんどが再生利用されますが、廃棄物の中には不純物が多いため、まずはそれらを取り除くための処理が行われます。リサイクルに伴い必要となる不純物処理は、金属回収と金属精錬の2つです。
金属回収とは、金属くずからリサイクル可能な金属類を取り出す手法です。ステンレスが含まれている金属くずから、ステンレスが取り除かれます。
金属精錬とは、金属に含まれる不純物を取り除き、高純度の金属を得る方法です。液体を用いる温式精錬と、高温で溶かす乾式精錬、電気分解を利用する電解精錬など、細かい分類があります。
※参考:環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課.「令和5年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値(概要版)」 ,(入手日付2024-06-22).
埋め立て処理
リサイクルできないステンレスを含む金属くずの一部は、埋め立て処理されます。有害物質や有機物が混入・付着していない金属くずは、雨水による化学的・物理的変化に起因する有害事象が生じるリスクが少なく、安定型産業廃棄物に分類されます。この場合、埋め立てられるのは安定型最終処分場です。
有害物質を含む場合は、遮断型最終処分場または管理型最終処分場で埋め立てられます。
ステンレスを処理する際の注意点
ステンレスを処理する際、以下の点に注意してください。
- 産業廃物として処理を委託する際、許可を得ている業者に頼む必要がある
- 含まれる素材によっては、処理コストがかさむことがある
- 売却する場合、買取価格は相場により変動する
- 不純物が多い場合は、買取対象外となるケースがある
注意点はいくつかありますが、特にポイントとなるのは産業廃棄物の収集運搬・処理の許可を得ている業者に依頼する必要があるという点です。
また、有価物として売却する場合、都道府県によっては、古物商とは別に金属くず商許可が必要になるケースがあるので、忘れずに確認しましょう。
※参考:e-GOV法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 ,(入手日付2024-06-22).
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