
事業系一般廃棄物や専ら物は、語りつくされた感のあるテーマです。ただ、「プラスチック資源循環法」の施行など、循環経済(サーキュラー・エコノミー)への移行を見据え、分別およびリサイクルを強化する流れがあります。事業系一般廃棄物や専ら物について、このコラムであらためて整理していきましょう。
廃棄物の分類
廃棄物は、産業廃棄物と一般廃棄物に大別されます。産業廃棄物は事業活動に伴って生じる廃棄物でその種類は下表のとおりです。産業廃棄物以外の廃棄物が一般廃棄物です。
一部の種類の廃棄物については業種等が限定されているため、事業活動により生じたものでも一般廃棄物に該当する廃棄物が存在します。これが「事業系一般廃棄物」です。
ちなみに事業活動には非営利的なもの(財団法人・医療法人・宗教法人・NPOなど)も含まれます。
産業廃棄物の種類
あらゆる事業活動に伴うもの | 1 燃え殻 | 業種等が限定されるもの | 13 紙くず |
---|---|---|---|
2 汚泥 | 14 木くず | ||
3 廃油 | 15 繊維くず | ||
4 廃酸 | 16 動植物性残さ | ||
5 廃アルカリ | 17 動物系固形不要物 | ||
6 廃プラスチック類 | 18 動物のふん尿 | ||
7 ゴムくず | 19 動物の死体 | ||
8 金属くず | |||
9 ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | |||
10 鉱さい | |||
11 がれき類 | |||
12 ばいじん | |||
20 上記の産業廃棄物を処分するために処理したもの (13号廃棄物と呼ばれている。例えばコンクリート固形化物) |
上表の右側に記載されている「紙くず」「木くず」「動植物性残さ(食べ残し)」等は、メーカーなどに限定されています。
スーパー・コンビニ・オフィスなどから生じる「紙くず」「木くず」「動植物性残さ(食べ残し)」等は一般廃棄物になります。
ちなみに包装等に多く使われている「廃プラスチック類」は産業廃棄物になります。

産業廃棄物の処理に係る特例
専ら物などは産業廃棄物の処理に関する特例が適用され、廃棄物処理業の許可やマニフェストが免除されます。
該当業者であることを確認した上で契約を結ぶ必要はあるので注意が必要です。
専ら物も有価物でない限り、廃棄物であることには変わりありません。マニフェストは免除されていますが排出事業者責任はありますので、最終処分(再生)されるまで確認する努力義務は存在します。
ここまで「廃棄物の分類」と「処理に係る特例」について基本的な内容を確認頂きました。
以上をふまえて最近の動きを見てみましょう。
プラスチック資源循環法(2022年4月施行)の概要

【出典】環境省:プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の概要
上図のとおり、それぞれの段階において様々な取り組みが行われています。排出・回収・リサイクルの段階においては、一般廃棄物の分別収集およびリサイクルを推進する動きが顕著になっているように感じます。
スーパー・コンビニ・オフィスなどから生じる「廃プラスチック類」を分別すると産業廃棄物になります。これまでは不燃ごみとして市区町村の清掃工場で処理していたものが、産業廃棄物の許可業者にマニフェストを発行して処理を委託する必要があるのです。
都市部の行政が中心ですが、清掃工場への持ち込みを制限したり、一般廃棄物管理票(マニフェスト)を課す動きが進んでいます。この動きは継続強化されるものと思われます。
専ら物の取扱いについての通知(2023年2月)
専ら再生利用の目的となる廃棄物以外の廃棄物の処分等を主たる業として行っている者であっても、当該専ら再生利用の目的となる廃棄物(古紙・くず鉄など)の処分等については、廃棄物処理業の許可は要しない。
なお、各行政に対して、法に定められた規制を越える要綱等による運用については、必要な見直しを行うことにより適切に対応されたい。
【出展】環境省:専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて
簡単に言うと、産廃業者が古紙やくず鉄などを無料で引き取ってリサイクル業者に持ち込むことは、該当する許可がなくても、マニフェストを発行しないでも可能ですよ。各行政で独自の運用を行わないように。という内容です。
専ら物は4品目に限定されていますが、「使用済PETボトル」「洗浄後の食品トレー」なども同様の取扱いとするべきだという議論は以前からあります。このような同等品も可能とする業界紙の記事も出たようですが、それは環境省から訂正するよう申し入れがあったようですね。
【出展】環境省:「専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(通知)」に関する報道について
廃棄物処理法は本当にややこしい法律ですよね。そのうち分別した良質な廃プラが有価物になれば、廃棄物処理法の対象外になり、わかりやすくリサイクルも進みますね。大手スーパーなどではポイントを還元する動きもありますね。
最後に
廃棄物の分別およびリサイクルの動きが進む中で、事業活動から生じる廃棄物の処理を委託するには注意が必要です。産業廃棄物となる品目(特に廃プラ)については、許可業者と契約を結び、マニフェストを発行する必要があります。
スーパー・コンビニ・オフィスなど、これまで事業系一般廃棄物として処理していた場合、廃棄物処理法やマニフェストの理解から始める必要がありますね。
一般廃棄物業者の多くは産業廃棄物業者であるのでその場合は良いのですが、委託していた一般廃棄物業者が専業の場合は新たな産業廃棄物業者に委託する必要があります。(なんか回収効率は低下しCO2発生も増えるような気がするのですが)
いずれにしても、一般廃棄物も産業廃棄物も各種品目も一度に回収するのが効率的なのは間違いありません。
廃プラスチックを回収する産廃業者が紙くずも回収して再生業者に持ち込むようにというのが、「専ら物の取扱いについての通知」の趣旨なのかもしれません。

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