
畜場や食鳥処理場などから排出される皮・骨・内蔵・羽などは、産業廃棄物の一種である「動物系固形不要物」に分類されます。
本記事では、動物系固形不要物の概要や具体例、処理方法などを解説します。記事後半では、動物系固形不要物の排出量・処理比率の現状や、その他の動物に関する産業廃棄物などもご紹介するので、併せて参考にしてください。
目次
動物系固形不要物とは?
動物系固形不要物とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第二条の四の二において、「と畜場法(昭和二十八年法律第百十四号)第三条第二項に規定すると畜場においてとさつし、又は解体した同条第一項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七十号)第二条第六号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第一号に規定する食鳥に係る固形状の不要物」と定義されている産業廃棄物です。
施行令の文章だけを読むと分かりづらいですが、と畜場や食鳥処理場から排出される皮・骨・内蔵・羽などの固形物が該当します。固形物が対象のため、と畜や食鳥処理などの過程で発生する動物の血液は「酸・廃アルカリ」に分類されます。
また、食品加工工場から排出される動物の固形不要物は「動植物性残さ」に分類されるため注意が必要です。
性質やどこで排出されるかにより分類が異なるので、この点は念頭においてください。
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(参照 2024-04-02)

動物系固形不要物に分類されるものの具体例
動物系固形不要物に分類されるものの具体例には、以下が挙げられます。
- 皮
- 骨
- 内蔵
- 羽
- 毛皮
上記は動物の種類は問わず、牛・馬・豚・あひる・鶏・山羊・めん羊などが対象です。
動物系固形不要物の処理方法
動物系固形不要物の処理方法は、大きく分けて2つあります。焼却処理を施した後、その焼却灰を埋め立てる方法と、焼却灰をセメント原料や路盤材の原料としてリサイクルする方法です。
動物系固形不要物の排出量・処理比率の現状
環境省の公表した資料「産業廃棄物の排出及び処理状況等」によると、令和3年度の動物系固形不要物の排出量は、101千トンです。
このうち再生利用された量は全体の84.6%にあたる85千トンで、2.7%にあたる3千トンが最終処分されました。
全部で20種類ある産業廃棄物のうち、動物系固形不要物はリサイクルが進んでいる方です。がれき類の再生利用率は96.4%、金属くずは95.9%、動物のふん尿は95.0%、鉱さいは91.9%であり、動物系固形不要物はこれらに次ぐ水準でリサイクルされています。
※参考:環境省.「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」(参照 2024-04-02)
その他の動物に関する産業廃棄物
動物系固形不要物以外の、その他の動物に関する産業廃棄物には「動植物性残さ」や「動物のふん尿・死体」などが挙げられます。それぞれの概要を詳しく見ていきましょう。
動植物性残さ
動植物性残さとは特定の業種から排出される、動植物を原料とした固形状の廃棄物の総称です。
具体的には、食料品製造業・医薬品製造業・香料製造業などから排出されるあめかすやのりかす、醸造かす、発酵かす、魚・獣のあらな、骨・皮、貝殻、羽毛などが挙げられます。その他、医薬品製造業では植物からエキスを抽出した後の残りかすも、動植物性残さに該当します。
なお、飲食店からも動植物由来の固形状廃棄物(残飯など)が排出されますが、これらは産業廃棄物ではなく事業系一般廃棄物としての取り扱いを受けるため、両者は区別しましょう。
令和3年度の動植物性残さの排出量は、2,317千トンです。このうち全体の65.2%にあたる1,511千トンが再生利用され、2.0%にあたる46千トンが最終処分されています。
動植物性残さには、生物由来の栄養が多く含まれている点が特徴です。そのため、微生物に分解・発酵させたり、加工したりして肥料化・飼料化し、再生資源化されています。その他、微生物を用いたメタン発酵によりバイオマスエネルギーにも変換されており、環境保護の観点から注目を集めているエネルギーです。
再生利用できないものは、焼却処分や埋め立て処分により最終処分が行われます。動物系固形不要物と同様に、管理型最終処分場で埋め立てられます。
※参考:環境省.「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」 ,(参照 2024-04-02)
動物のふん尿・死体
動物のふん尿・死体とは、畜産農業から排出される牛・馬・豚・鶏・山羊・めん羊などのふん尿・死体です。
令和3年度の動物のふん尿の排出量は81,271千トンであり、このうち95%にあたる77,200千トンが再生利用され、0.1%分の43千トンが最終処分されています。数ある産業廃棄物のうち、その多くがリサイクルされているのが特徴です。
一方で動物の死体の排出量は168千トンで、再生利用量は50%未満に留まっています。
※参考:環境省.「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」 ,(参照 2024-04-02)
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