石膏ボードを廃棄するには?正しい処分方法を徹底解説

イメージ画像

石膏ボードは住宅やオフィスビルなどの内装に多く使用されている建材です。ホームセンターで気軽に購入できるため、DIYなどにも多く利用されています。

石膏ボードは簡単に購入や加工できますが、廃棄処分する際にはいくつかの条件があり、取り扱いに注意が必要な建材です。また屋外などに放置しておくと有害物質が出る危険性もあるため、適切な処分方法を知っておきましょう。

本記事では石膏ボードの正しい処分方法を解説します。業者に依頼する際の費用や自分で処分する方法もご紹介するので、処分方法が分からない方は参考にしてみてください。

石膏ボードは産業廃棄物として処分する!燃えるごみはNG

石膏ボードは産業廃棄物に分類されるため、一般ごみとして処分できません。

産業廃棄物とは事業活動によって生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で定義された20種類の廃棄物のことです。石膏ボードは20種類の産業廃棄物のうち、「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に該当します。

産業廃棄物である石膏ボードは家庭から出た場合でも、燃えるごみや不燃ごみとして自治体には出せません。また屋外に放置して置いていたり、土中に埋めたりするのも厳禁です。

なぜなら石膏ボードは雨水などの水分で化学反応を起こし、有毒ガスの硫化水素を発生させる恐れがあるためです。硫化水素は吸い込むと頭痛やめまい、腹痛を引き起こす可能性があります。基準を超えると死に至ることもあるでしょう。

また石膏ボードにはアスベストやヒ素、カドミウムなどの有害物質が含まれていることもあります。そのため建築業者が排出した場合だけでなく、家庭で不要になった石膏ボードも全て産業廃棄物として適正に処理する必要があります。

※参考:国土交通省.「廃石膏ボード現場分別解体マニュアル」, (入手日付2023-11-04).


DXE株式会社資料DL

間違った処理は罰則の対象になる

産業廃棄物である石膏ボードをごみ集積場に出したり、地中に埋めたりすると不法投棄の罪に問われる可能性があります。不法投棄をすると廃棄物処理法第25条により、5年以下の懲役または1,000万円以下(法人3億円以下)の罰金、もしくはその両方が科せられるため注意が必要です。

※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」, (入手日付2023-11-04).

石膏ボードの状態によって処分費用が異なる

石膏ボードは中間処理施設で適切に処理すると、石膏ボードの原材料や建設工事現場の土質改良に用いる固化材などにリサイクルできます。そのためキロ当たりの処分費用もリサイクルしやすい状態の方が安くなります。

リサイクルしやすいかどうかの基準は、主に以下の通りです。

【リサイクルしやすい状態のもの】

● 新しいもの
● 乾いた状態のもの
● 紙クロスが貼られているもの

【リサイクルしにくい状態のもの】

● ミンチ状のもの
● ビニールなど別の素材が貼られているもの
● 水に濡れているもの
● カビが生えているもの
● 他の廃棄物と混ざっているもの

石膏ボードは状態によって処分費用が異なるため、処分業者に依頼して処分する際にはあらかじめ状態を確認しておきましょう。

石膏ボードを廃棄する方法は?正しい処分方法2つ

石膏ボードは有害物質を発生させる恐れがあるため、適切に処分しなければなりません。廃棄方法は産業廃棄物処分業許可を持つ処理業者に依頼するか、処分場へ持ち込むかのどちらかです。それぞれを詳しく見ていきましょう。

委託する場合:「産業廃棄物処分業許可」を有する業者に依頼

石膏ボードの処分は収集運搬業者や処理業者に委託できます。ただし産業廃棄物に該当するため、産業廃棄物収集運搬業または処分業の許可を都道府県知事(政令指定都市は市長)から取得している業者に委託する必要があります。

石膏ボードを処理できるのは許可を得ている業者だけです。もし許可のない業者に委託してしまった場合は、依頼した側も5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、あるいは両方を科されてしまうため注意してください。

業者に委託するメリットは、依頼した側は石膏ボードの引き渡しとマニフェストの運用の手間だけで済むことです。個人で処分するには産業廃棄物処理法にのっとり、複数の工程を乗り越えなければなりませんが委託をすれば工数を省略できます。

一方、委託するデメリットは業者に支払う処理費用が発生する点です。

※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」, (入手日付2023-11-04).

個人で捨てる場合:最終処分場への持ち込み

個人が自分自身で石膏ボードを最終処分場へ持ち込むこともできます。不要になった石膏ボードを自分で最終処分場へ持ち込むと、業者に支払う費用は発生しません。

ただし最終処分場で産業廃棄物を処分してもらうためには、マニフェストの発行が必要です。マニフェストとは産業廃棄物が問題なく処理されているかどうかを確認するための伝票で、産業廃棄物管理表とも呼ばれます。

マニフェストに慣れていない場合、記入方法や提出方法で戸惑うかもしれません。また石膏ボードを運ぶ車両には、表示義務や書類携帯義務もあります。これらの用意が面倒であるなら、費用はかかりますが専門業者に依頼する方が確実に処理できるでしょう。

石膏ボードとは?使用するメリット・デメリットを解説

石膏ボードの石膏は、天然に存在する硫酸石灰(カルシウムを含んだ硫酸塩)の鉱物名で、白や無色で柔らかいのが特徴です。チョークやグラウンドの白線、彫刻の材料にも使われます。石膏ボードは石膏を心材として、両面を石膏ボード用の原紙で覆い板状に成型したものです。建築物の壁や天井の下地材などとして広く利用されており、通常の石膏ボードの他、防水性能があるシージング石膏ボードや、吸音性能のある吸音石膏ボードなども内装材として幅広い用途で用いられています。

なお、壁材などに石膏ボードが使用されているかどうかは簡単に分かります。画びょうを刺してみて針に付いていたら、石膏ボードで間違いありません。

なぜ石膏ボードが多く使用されているのか、ここからは石膏ボードを使用するメリットとデメリットを見ていきましょう。

石膏ボードを使用する際のメリット

石膏ボードは価格が安く、木材やコンクリートなどの壁材と比較してもコストパフォーマンスがよい点がメリットです。900mm×1800mmのベーシックな石膏ボードは、ホームセンターなどで1枚当たり500円以下で購入できます。

耐火性・断熱性に優れているのもメリットです。石膏ボードは火災などの際も、一定温度以上に上昇しません。石膏ボードには結晶水が含まれており、高温になると熱分解を起こし水蒸気となって放出されるためです。

石膏ボードは遮音性にも優れています。音を遮るのは石膏ボードの内側に空間があり、音を通しにくい性質があるからです。そのためオーディオルームやレコーディングルームなどでも使用されています。

また特殊な工具を使わなくても加工しやすいため、DIYでもよく使用されている建材です。DIYの加工時間や手間を省けるでしょう。

石膏ボードを使用する際のデメリット

石膏ボードにはデメリットもあります。石膏ボードは「面」の衝撃に強い一方、「点」の衝撃に弱いのが特徴です。釘など先端が鋭いものによる打ち込みに弱く、尖ったものがぶつかると穴が開いてしまうこともあります。

また石膏に紙を巻いて作るため、耐水性が低く、キッチンや洗面所、トイレなどの水回りの壁には不向きです。浴室など湿度の高い空間の使用にも向きません。水回りで石膏ボードを使用するのであれば、防水性や耐水性の高いシージング石膏ボードを使用しましょう。

石膏ボード廃棄に関するよくある質問

最後に石膏ボードに関してよく寄せられる質問に回答していきます。

石膏ボードは1枚から処分できる?

回収業者によって判断の基準は異なりますが、家庭向けサービスを提供している業者であれば、1枚から回収を請け負っているところもあります。

石膏ボードを無料で回収してもらえるところはある?

産業廃棄物である石膏ボードは市区町村でほとんど回収していないため、無料での回収はできません。費用を安く抑えたいなら、自分で最終処分場に持ち込みましょう。

例えば神奈川県であれば持ち込みの場合、10kgの石膏ボードを262円の手数料で処分できます。また新品であれば、引き取ってくれる工務店もあるかもしれません。

※参考:神奈川県.「産業廃棄物 利用案内」, (入手日付2023-11-04).

石膏ボードは何に分類される?

石膏ボードは20種類の産業廃棄物のうち、「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に分類されます。かつて住宅の解体で出た石膏ボードは「がれき類」に指定されていました。しかし現在は「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」として廃棄しなければなりません。

石膏ボードを土に埋めるのはNG?

前述したように石膏ボードは雨水などに触れると、化学反応を起こして硫化水素を発生させる可能性があるため大変危険です。

過去には不法投棄されていた石膏ボードから硫化水素が発生するという事件も起きました。石膏ボードを地中に埋めるのは危険なだけでなく、不法投棄の罪にも問われます。決して土に埋めてはいけません。

廃石膏ボードを持ち込みできる場所は?

石膏ボードは、産業廃棄物最終処分場に持ち込めます。また収集運搬・処分を委託する場合は産業廃棄物収集運搬業または処分業の許可を都道府県知事(政令指定都市は市長)から取得している業者に委託する必要があります。

許可を取得している業者は以下で検索が可能です。

● 産業廃棄物処理事業振興財団:「産廃処理業者検索さんぱいくん」
● 産業廃棄物処理事業振興財団「産業廃棄物処理業許可行政情報検索システム」

それぞれ地域別に収集運搬業者や処分業者を探せます。例えば「東京」「神奈川」など自治体を選んでチェックを入れ、その他の条件を指定すると、自治体から提供を受けた情報や処理業者が自ら登録した情報が表示されます。

参考:環境省.「廃石膏ボードのリサイクルの推進に関する報告書」, (入手日付2023-11-06).
参考:国土交通省.「廃石膏ボード現場分別解体マニュアル」, (入手日付2023-11-06).

電子マニフェストの導入ならDXE Station

収集運搬業者・処分業者の方で「排出事業者がマニフェスト登録をなかなかしてくれない……」や「マニフェスト起票時のミスが多い……」といった悩みを持つご担当者の方はいませんか?
DXE Stationをご利用いただくと代行起票機能で、排出事業者の登録を待たずにJWNETへ予約登録することができ、電子化を推進できます。

また、かんたん受注登録機能で、廃棄物に関するすべての受注をクラウドで一元管理することが可能です。

「排出事業者に登録を催促するのはもうイヤ……」、「紙マニフェストから解放されたい!」という方の「産廃業務のDX化」をDXE株式会社が支援します。

収集運搬業者・処分業者向け事務業務軽減サービス「DXE Station」の詳しい機能・料金プランを見てみる


DXE株式会社資料DL

この記事をシェアする

収運業者のお客様向け

DXE Station 収運業者

受注データから電子マニフェストを代行起票

クラウドでマニフェスト管理や
請求業務を一元化!
電子マニフェスト代行起票で
業務を大幅に効率化!

収運・処分業者のお客様向け

DXE Station 収運・処分業者

収運業者と処分業者をワークフローでつなぐ

クラウドで収集運搬から
処分完了までの業務を一元化!
搬入予定の確認や、
二次マニフェストの
紐づけが簡単に!

閉じる