
薬品を含む廃液は、環境や人体への悪影響を最小限に押さえるため、適切に処理する必要があります。
そこで本記事では、薬品を含む廃液の廃棄方法を6つご紹介します。記事後半では薬品を含む廃液を廃棄する際に押さえておくべき注意も解説するので、廃液が排出される事業場に携わっている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
薬品などの廃液を廃棄する方法一覧
薬品が含まれる廃液を廃棄する方法は、主に以下の6つです。
- 焼却処分にする
- 中和する
- 油と水に分離する
- 水と固形物に分ける
- 有機物を分解する
- 再利用する
それぞれの廃棄方法の概要をご紹介します。

焼却処分にする
焼却処分とは、廃液を高温で燃焼させる処理方法です。主に、廃酸や廃アルカリなどの処理に用いられています。
こうした廃液は液状のまま焼却されるのではなく、噴霧する形で焼却炉に投入されます。有害物質を無害化するためには、850度以上の高温と十分な酸素が供給される環境が必要です。
ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属を含む廃液を焼却する場合、通常の焼却炉では灰分が溶融し炉の閉塞を引き起こす可能性があるため、液中燃焼装置が用いられることもあります。
中和する
中和とは、酸性物質とアルカリ性物質が反応し、水と塩(えん)ができる化学反応です。この過程で、酸性物質とアルカリ性物質が双方に打ち消し合います。
廃液の中和処理は、主に廃酸や廃アルカリなどを処理する際に用いられる手法です。中和処理に伴い有害なガスや化学物質が排出される可能性もあるため、中和処理に特化した特別な施設で実施されます。
油と水に分離する
廃液は「油水分離」により、油と水に分離できます。両者を分離すると、水質汚染の原因となる油分を取り除くことが可能です。
水と固形物に分ける
水と固形物を分別する「固液分離」は、廃棄や処分コストを削減できたり、リサイクルがしやすくなったりする他、浄化設備を効率化かつ最適化して運用できる点がメリットです。
有機物を分解する
有機物の含まれる廃液を、微生物や細菌を利用して分解する「活性汚泥法」と呼ばれる方法もあります。
活性汚泥法では廃液と好気性微生物(酸素下で生存できる微生物)を、酸素を供給しながら接触させることで、廃液中の有機物を分解し浄化します。
再利用する
含有廃油や廃酸、廃アルカリなどは、化学的前処理と活性汚泥処理を施し再利用することもできます。詳細な処理方法は廃液の種類により異なりますが、一般に処分するよりもコストがかからず環境にも優しい手法です。
薬品を含む廃液を廃棄する際の注意点
薬品を含む廃液を排出する際は、トラブルにならないよう以下の点に注意してください。
- 廃液処理ができる業者へ委託する
- 成分分析をしておく
- 薬品は密閉保管して他と混ぜない
それぞれの注意点を詳しくご紹介します。
廃液処理ができる業者へ委託する
事業活動に伴い薬品を含む廃液が排出される場合は、自社で処理する、もしくは専門業者に委託するなどの選択肢が考えられます。
事業者の多くは、自前で処理施設を有していないので、自ずと業者に委託することになるでしょう。
その際、まずは産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を得ているかを確認してください。
その上で、廃液処理ができる業者か否かを確認しておくことが重要です。排出事業者責任を果たすためにも、委託契約を締結する前に処理業者の情報をしっかり調べましょう。
成分分析をしておく
廃液の成分分析では、廃液の化学的組成や特性を特定します。これを基に、処分業者は自社で処理できるかを判定できます。
また成分分析は、下水道法や水質汚濁防止法で定められている基準を満たすためにも必要です。主に以下の項目が定められています。
- 水素イオン
- 生物化学的酸素要求量(BOD)
- 化学的酸素要求量(COD)
- 浮遊物質量(SS)
- フェノール類含有量
- カドミウムおよびその化合物
- シアン化合物
- 水銀およびアルキル水銀その他の水銀化合物
※参考:環境省「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」(入手日付2024-02-11)
薬品は密閉保管して他と混ぜない
薬品を廃棄する際は、密閉保管して他と混ぜないように注意しましょう。異なる薬品が混ざると化学反応が進み、有害物質が生じる可能性があります。
また薬品を密閉し区別して保管することで、業者に処分を委託する際に「分別する」という余計な作業が発生し、委託コストがかさむことも防げます。
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