
廃油とは不要になった油のことで、家庭から出る廃油と事業で出る廃油では処分方法が異なります。
家庭から出る廃油の代表的なものは、食用油や暖房に使用した灯油や自動車のエンジンオイルなどです。一方、事業で排出される廃油には、工場などで使われる切削油や鉱物性油などがあります。
本記事ではこれらの廃油の処分方法について解説します。処分費用の目安や処分する際の注意点もご紹介するので、不要になった油の処分にお困りの方は参考にしてみてください。
目次
産業廃棄物における「廃油」とは?
家庭から出た廃油は一般廃棄物に該当しますが、工場や飲食店経営などの事業によって出た廃油は、全て産業廃棄物として扱わなければなりません。
産業廃棄物とは事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められた20品目に該当する廃棄物のことを指し、廃油も20品目の中の一つです。
事業で排出された廃油は廃棄物処理法に従って、排出事業者が責任を持って処理する必要があります。自社での処分が難しい場合は、産業廃棄物の処理許可を持った業者に委託して処分してもらいましょう。
産業廃棄物となる廃油は、主に以下のようなものです。
- 動植物性油(菜種油・サラダ油・牛脂・ラードなど)
- 鉱物性油(潤滑油・エンジンオイル・重油など)
- 廃溶剤(石油・アルコール類・洗浄油など)
- 固形油(アスファルト・クレヨン・固形石けんなど)
- 揮発油類(ガソリン・灯油・軽油など)
- その他の廃油(インクかす・油紙くずなど)
廃油の中でも揮発油類・灯油類・軽油類(引火点70度未満の燃焼しやすいもの)は、特別管理産業廃棄物として扱う必要があります。
特別管理産業廃棄物とは「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境にかかる被害を生ずる恐れがある性状を有する廃棄物」のことで、処分には十分な注意が必要です。自社で処分できない場合は、特別管理産業廃棄物の取扱い許可を持った処理業者に委託しましょう。
※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(入手日付2023-10-02).
※参考:環境省「特別管理産業廃棄物の種類及び判定基準等」(入手日付2023-10-02).

廃油処分をする際の2つの注意点
事業で排出された廃油であっても家庭で出た廃油であっても、廃油を処分する際はここからご紹介する2点に注意しましょう。
排水口やトイレに流さない
廃油を排水口やトイレに流してはいけません。油は冷えると固まる性質があるため、排水口が目詰まりする原因となります。排出された水は、下水処理場で浄化されて河川に放流されるのが一般的です。そのため油を排水口に流すと、下水処理の負担が増えてしまうでしょう。
また下水処理設備が整っていない地域では、排水が直接川や海に流れ込むため、水質の低下を招く要因となってしまいます。
土に流さない
廃油を土に流したり、埋めたりするのも避けましょう。油は水を弾くため、油を土に撒くと土の保水力を低下させてしまいます。またガソリンや灯油などの鉱油類は、土壌を汚染する原因にもなります。
※参考:環境省「油汚染対策ガイドラインのご紹介」(入手日付2023-10-03).
廃油を不法投棄した場合に科せられる罰則
廃油に限らず廃棄物を不法投棄した場合、廃棄物処理法第25条・第32条に基づき、以下の罰則に問われます。
- 個人の場合:5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方
- 法人の場合:3億円以下の罰金
※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-10-02).
廃油処分に関するよくある質問
ここからは廃油処分に関するよくある質問をご紹介します。
廃油回収ボックスとは?
廃油はリサイクル可能な廃棄物です。そのため区役所や市民センターなどに廃油回収ボックスや資源回収ボックスを設けて、家庭から出る使用済みの食用油などを回収している自治体もあります。
お住まいの自治体に廃油回収ボックスがあるなら、持ち込める廃油の種類を確認して持ち込むとリサイクルに貢献できるでしょう。
廃油を無料で回収してくれるところは?
使用済みの食用油やエンジンオイルを無料で回収してくれる業者もあります。無料回収業者の多くは廃油をリサイクルして、再生燃料として売ることで利益を得ているため、無料での引き取りが可能です。無料回収業者を探している場合は、インターネットで「廃油 無料回収」などで検索してみましょう。
期限切れの食用廃油は回収してもらえる?
家庭で賞味期限切れとなった食用油は、新聞や布に染み込ませて可燃ゴミとして出せます。また市販の凝固剤を使用して固めた食用油も、燃えるゴミとして処分可能です。期限切れの食用油を回収している自治体もあります。
廃油はリサイクルできる?
廃油は再生液体燃料や再生潤滑油、軽油の代わりになるバイオディーゼル燃料や石鹸などにリサイクルができます。環境省が発表したデータによると、2021年度の廃油のリサイクル率は44.2%でした。
※参考:環境省「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」(入手日付2023-10-04).
自分の家の近くの廃油回収業者はどこ?
自宅近くの廃油回収業者を探すなら、インターネットで「お住まいの市区町村名 廃油回収業者」で検索してみましょう。個別の業者はもちろん、地域によっては回収業者を一覧表にまとめたWebサイトもあります。
産業廃棄物の場合は、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営しているWebサイト「さんぱいくん」で処理業者を探すことも可能です。
※参考:公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団「さんぱいくん」(入手日付2023-10-02).
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