
タイヤは消耗品なので、いずれは使用できなくなり処分する必要があります。このとき、「廃タイヤはどのように処理すればよいのだろうか」「粗大ごみとして処分できるのだろうか」などと悩まれた方もいるのではないでしょうか。
廃タイヤを放置すると、周辺住民とのトラブルの原因になったり自然環境に悪影響を与える恐れがあります。場合によっては、不法投棄と見なされ懲役や罰金などの罰則が科される可能性もあるため、正しい知識を身に付けておくことが欠かせません。
そこで本記事では、廃タイヤは何ごみに分類されるのか、処分方法、リサイクル方法などを詳しくご紹介します。事業活動に伴い廃タイヤが排出される事業場に携わっている方は、ぜひ参考にしてください。
廃タイヤは何ごみに分類される?
廃タイヤは廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づき、発生源により一般廃棄物と産業廃棄物のいずれかに分類されます。日常生活で排出される廃タイヤは一般廃棄物、事業活動に伴い排出されるものは産業廃棄物です。
一般廃棄物は通常、市町村が処理を担当します。しかし廃タイヤは、全国で統一した適正な処理を実施するのが難しく、環境大臣により適正処理困難物に指定されています。これにより、廃タイヤの製造、販売元の事業者が当該タイヤの運搬、処分などを担うことができます。
なお、適正処理困難物には現在4つの品目が指定されており、廃タイヤ以外ではテレビ・冷蔵庫・スプリング入りマットレスが対象となっています。
産業廃棄物となる廃タイヤは、廃プラスチックに含まれます。一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA:Japan Automobile Tyre Manufacturers Association)の公表した資料によると、日本では年間100万トン程度が排出されています。このうち90%以上が安定的にリサイクルに利用されており、廃タイヤは有効活用が進んでいる廃棄物といえるでしょう。実際にどのようにリサイクルされているかは、後ほど詳しく解説します。
※参考:環境省「タイヤ業界におけるリサイクルへの取組み-2020年-一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)」 ,(入手日付2024-04-16).

廃タイヤの処分方法
廃タイヤの処分方法には、以下が挙げられます。
- タイヤ販売店で処分してもらう
- ガソリンスタンドに持ち込む
- 自動車整備工場に持ち込む
- カー用品店に依頼する
- 粗大ごみに出せるか自治体に確認する
- タイヤ専門買取業者へ依頼する
- 不用品回収業者に回収してもらう
- ディーラーで処分してもらえるか確認する
- リサイクルショップに持ち込んでみる
- フリーマーケットやオークションに出す
- 産業廃棄物処理業者へ依頼する
それぞれの処分方法の概要やメリット、注意点などを詳しく見ていきましょう。
1.タイヤ販売店で処分してもらう
タイヤ販売店では、タイヤ処分も引き受けています。
タイヤ販売店で廃タイヤを処分してもらう際の費用は、一般的に300円から500円程度です。詳細な料金設定は店舗により異なるので、複数の店舗を確認して利用するところを決めましょう。
タイヤ交換を行うついでに、古いタイヤを受け取ってもらうことも可能です。この場合、処分費用に加えて交換工賃も発生するので、事前に問い合わせてみましょう。
2.ガソリンスタンドに持ち込む
ガソリンスタンドでも、廃タイヤの処分が可能です。処分費用はタイヤ販売店とほぼ同じで、タイヤを車両から取り外す場合は、都度工賃が発生するので、詳細な費用はガソリンスタンドに確認してください。
なお廃タイヤの処分をガソリンスタンドで行う場合、全ての店舗がこのサービスを提供しているわけではない点は念頭に置いてください。セルフのガソリンスタンドではなく、基本的に車検やタイヤ交換などの整備サービスを提供している、スタッフ常駐のガソリンスタンドで実施されています。
3.自動車整備工場に持ち込む
自動車整備工場でも、廃タイヤの処分サービスを提供しているケースがあります。タイヤ販売店やガソリンスタンドで処分してもらうのと同様に一般的には費用がかかりますが、中には無料で引き取っている自動車整備工場もあります。
しかし、特に個人経営の自動車整備工場の場合、ホームページがないことが多いため、インターネットやSNS上で情報を探すのは困難かもしれません。車検に出したり修理を行ってもらったりした際に、廃タイヤの処分を引き受けているかを確認するとよいでしょう。
4.カー用品店に依頼する
多くのカー用品店でも、廃タイヤの処分サービスを提供しています。全国的にチェーン展開しているカー用品店が多く、提供サービスと料金設定が明確なので安心です。
店舗によって「持ち込み処分のみ」「タイヤ交換時にのみ引き取り」など条件が設定されていることもあるので、詳細は店舗に確認してください。タイヤのみを持ち込む場合は工賃はかかりませんが、取り外しも依頼する際は別途料金がかかります。
5.粗大ごみに出せるか自治体に確認する
「廃タイヤは何ごみに分類される?」の章でも述べた通り、廃タイヤは適正処理困難物に指定されるため、一般廃棄物と同じように収集運搬・処分することが難しいとされています。そのため、通常は粗大ごみとして取り扱うことができません。大阪市では、ホームページ上で明確に「大阪市で収集しない主な品目」として定めています。
しかし自治体によっては、廃タイヤを粗大ごみとして回収しているケースもあります。例えば岩手県一関市では、普通乗用車のものに限り廃タイヤを粗大ごみに出すことが可能です。埼玉県さいたま市では粗大ごみではなく、「特定適正処理困難物」というくくりで有料ではあるものの、戸別収集してもらえます。
※参考:大阪市.「大阪市で収集しないもの」 ,(入手日付2024-04-16).
※参考:さいたま市.「粗大ごみ・特定適正処理困難物の出し方」 ,(入手日付2024-04-16).
※参考:一関築広域行政組合.「粗大ごみ」 ,(入手日付2024-04-16).
6.タイヤ専門買取業者へ依頼する
タイヤの販売・買取に特化したタイヤ専門買取業者へ依頼するのも、一つの選択肢です。タイヤ専門買取業者では、廃タイヤをリサイクルや再資源化のために回収しています。
この方法のメリットは、スタッドレスタイヤや低燃費タイヤなど状態が良好なものは売却できる点です。処分コストをかけず利益を上げられるので、なるべく費用をかけたくない場合や売却可能な廃タイヤがあれば、タイヤ販売店やカー用品店より店舗数は少ないですが検討してみてください。
7.不用品回収業者に回収してもらう
「廃タイヤの数が多く店舗まで運搬するのが困難」「廃タイヤ以外にもいくつか廃棄物がある」などの場合は、不用品回収業者に回収してもらうのがおすすめです。多くの場合、アポイントを取ると廃タイヤの保管場所まで回収しにきてくれるため、運搬する手間がかかりません。
一方で、他の方法と比較すると多少コストがかかる傾向にあります。コストよりも手間の少なさを重視する方は、検討してみてください。
8.ディーラーで処分してもらえるか確認する
ディーラーから購入した場合は、そこで処分してもらえるか確認してみてください。これまでに付き合いがある分、依頼しやすいでしょう。
正規販売店や大手ディーラーの場合、処分費用が高くなりがちなので、コストを抑えたい場合は中古車を専門で扱うディーラーや個人経営の店舗がおすすめです。
9.リサイクルショップに持ち込んでみる
状態が良好なタイヤは、リサイクルショップで売却できる場合があります。処分コストがかからず、利益も上げられるでしょう。
売却できるかはタイヤの状態によるので、以下に該当するか確認してみてください。
- タイヤの溝はすり減っていないか
- パンクしていないか
- 製造から年数が経過していないか
10.フリーマーケットやオークションに出す
フリーマーケットやオークションに出し、廃タイヤを処分することも可能です。この方法のメリットは、処分コストを抑えられる点に加えて、利用者自身が価格設定できる点です。
まだ使用可能なタイヤであれば、需要があるため、適正価格で買い手を見つけられるでしょう。ただし個人間の取引となるため、トラブルが発生するリスクがあります。適切にコミュニケーションを取り、トラブルを未然に防止しましょう。
11.産業廃棄物処理業者へ依頼する
産業廃棄物に該当する廃タイヤは、産業廃棄物処理業者へ依頼しましょう。業者を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしてください。
- 産業廃棄物処分業許可を取得しているか
- 優良認定制度を受けているか
- 過去に行政処分されたことはないか
- 電子マニフェストに対応しているか
特にチェックすべきなのは、業者が都道府県知事から産業廃棄物の処分業許可を取得しているかという点です。無許可業者に依頼した場合、その業者だけでなく依頼した側も廃棄物処理法第二十五条第六号の規定により、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されるため注意してください。
あわせて、優良認定制度を受けているか、過去に行政処分されたことはないかなども確認しましょう。両方を満たしている場合、信頼できる産業廃棄物処理業者だと判断できます。
また、電子マニフェストに対応しているかも重要なポイントです。通常の紙マニフェストは7〜8枚の複写式の用紙に排出事業者と収集運搬業者、処理業者が必要事項を記していきます。5年間の保管義務、年度末に行政に報告する義務などがあり、怠ると罰則が科されます。その点電子マニフェストなら、システム上で情報を管理するため、こうした義務はありません。手続きを簡易化できるため、依頼先が対応しているか確認してみましょう。
※参考:e-GOV法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 ,(入手日付2024-04-16).
廃棄されたタイヤは何にリサイクルされる?
廃棄されたタイヤは、以下の用途にリサイクルされます。
- タイヤチップ
- 道路・グラウンドの舗装材
- その他の製品
それぞれのリサイクル方法をご紹介します。
タイヤチップ
タイヤチップとは、廃タイヤを細かく切断したものです。セメント工場のボイラー燃料などの熱エネルギー源として、またはセメント・製紙・製鉄工場などでも利用されています。
石炭や石油に代わる熱エネルギー源となり得るタイヤチップは、環境負荷を低減させられる素材として注目されています。
道路・グラウンドの舗装材
廃タイヤの主なリサイクル方法は先述したタイヤチップですが、道路やグラウンドの舗装材にも用いられています。タイヤのゴム部分は衝撃吸収性が高いため、クッション性や柔軟性が求められる場面での使用に適しています。例えば、屋外の運動場や遊具の下に敷く床材などです。
その他の製品
廃タイヤから強化繊維やスチールコード、そして不純物を取り除き粉末状にしたものは、ホースや滑り止めマット、工業用ベルトなどにも用いられています。新幹線のレール下の路床材にも用いられており、騒音を低減する効果に期待できます。
その他、バッグや靴などさまざまな製品にリサイクルできるのが廃タイヤの特徴です。状態が良好なものは、表面を張り替え再度タイヤとして使用されています。
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