産業廃棄物における自社運搬の表示は義務!守るべき基準や注意点を解説

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排出事業者が産業廃棄物を自ら処分業者に運ぶ際には、収集運搬業許可証を取得する必要はありません。ただし、自社運搬の場合は運搬する車両に会社名などを表示する義務があります。

自社運搬の場合、車両にどのような表示をする必要があるのでしょうか。本記事では表示義務の概要や守るべき基準、注意点を解説します。自社で排出した廃棄物を、自ら運搬したいとお考えの方は参考にしてみてください。

産業廃棄物における自社運搬は車両への表示義務がある

収集運搬業者に委託するのではなく、排出事業者が自ら産業廃棄物を運搬する場合には、運搬車の両側面に以下の項目を表示しなければなりません。

● 産業廃棄物を収集または運搬中である旨の表示
● 排出事業者名

産業廃棄物を運搬中である旨の表示は「産業廃棄物運搬車」と表記するのが一般的です。また特別管理産業廃棄物を運搬する場合でも、単に「産業廃棄物」と表示しても問題ありません。ただし「ごみ収集車」など、産業廃棄物や特別管理産業廃棄物の運搬車と判別できない表記はNGです。

排出事業者名は「〇〇株式会社」などと表記してください。個人事業主の場合は、個人の氏名(フルネーム)を表示します。

表示する文字は「見やすいこと」「鮮明であること」「識別しやすい色」であることが必要です。また文字は原則として印刷されたもので、手描きの文字は認められない可能性があるため注意してください。

車両には両側面に表示が必要で、表示位置は左右で違っていても構いません。また荷台や被牽引車両に表示しても問題ありません。

※参考:環境省.産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務「表示義務について」, (入手日付2023-10-30).


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自社運搬に必要な車両表示

「産業廃棄物収集運搬車」の表示サイズは1文字の大きさが5cm(140ポイント)以上で、「排出事業者名」の表示は1文字が3cm(90ポイント)以上のサイズにする必要があります。

なお表示がなかったり、カバーやシートなどで表示が隠れていたりすると、表示義務違反に該当してしまいます。左右共にカバーなどで隠れない見えやすい位置に表示するようにしましょう。

表示義務違反とされた場合、改善命令など行政命令の対象となります。改善命令にも従わなかった場合、行政処分の対象となる可能性があります。改善命令違反の罰則は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科です。

※参考:環境省.産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務「その他の留意事項」, (入手日付2023-10-30).

許可証は不要だが必要事項を記載した書類も必要

収集運搬業者が運ぶ場合は、都道府県知事(政令市は市長)の発行する産業廃棄物収集運搬業許可証が必要ですが、自社で運搬する場合に許可証は不要です。ただし、以下の項目を記載した書類を運搬車に常に携帯しておく必要があります。

● 排出事業者の氏名または名称および住所
● 運搬する産業廃棄物の種類および数量
● 運搬する産業廃棄物を積載した日
● 積載した事業場の名称、所在地および連絡先
● 運搬先の事業場の名称、所在地および連絡先

排出事業者が自社運搬する場合、上記の記載事項が含まれていれば、書式は問われません。また自社の処分場以外の処分場に運搬する際には、マニフェストの運用が必要です。

※参考:環境省.産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務「書類の携帯義務について」, (入手日付2023-10-30).

自社運搬する場合は法律で定められた収集運搬基準を守る

排出事業者が自ら排出した産業廃棄物を運搬する場合には、法や条例に定められた運搬基準に従わなければなりません。例えば東京都の場合、主に以下のような運搬基準が示されています。

● 産業廃棄物が飛散、流出しないよう収集運搬する
● 収集運搬に当たり悪臭、騒音、振動で支障が生じないようにする
● 産業廃棄物の飛散、流出や悪臭が発散する恐れのない密閉容器、運搬車両を用いる
● 石綿含有産業廃棄物または水銀使用製品産業廃棄物を破砕せず、その他のものと混合するおそれのないよう区分して収集運搬する
  など

自治体の公式サイトなどで収集運搬基準を確認して守るようにしましょう。

※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」, (入手日付2023-10-30).
※参考:東京都環境局.「自ら処理する場合」, (入手日付2023-10-30).

産業廃棄物の「自社運搬」とは?

自社運搬とはその名の通り、自社で排出した産業廃棄物を自ら処分場まで運搬する方法のことです。子会社やグループ会社であっても、法人が異なる場合は自社の定義には当てはまりません。

具体的には以下のようなケースが自社運搬に該当します。

● 自社の保管場所から処分委託業者まで運ぶ
● 自社の排出現場から自社の保管場所まで運搬する
● 元請先の排出現場から自社の保管場所まで運ぶ
● 元請先の排出現場から委託先の処分場まで運搬する

注意したいのは、建設工事や解体工事に下請けとして入っている場合です。建設工事現場で発生した産業廃棄物は常に元請業者が排出事業者となります。下請け業者が元請業者の用意した保管場所まで運搬する場合でも自社運搬には該当しないため、運搬には許可が必要です。

産業廃棄物自社運搬に関する7つのよくある質問

産業廃棄物を自社運搬する際に寄せられる、以下のような「よくある質問」に回答します。

● 自社運搬の表示にマグネットやステッカーは利用できる?
● 産業廃棄物の自社運搬時に県外に移動したら違法?
● 下請け会社の車を運転させて自社運搬しても良い?
● 自社運搬にレンタカーは使える?
● 産業廃棄物の自社運搬時にマニフェストの交付は必要?

該当するものがあれば参考にしてください。

自社運搬の表示にマグネットやステッカーは利用できる?

環境省は車体表示について「マグネットシートなど着脱可能なもので問題ない」としています。

また東京都環境局は「車体に直接塗装するか、プレートを車体に鋲(びょう)で固定するのが望ましい」としながら、「やむを得ずステッカー、はめ込みプレート、マグネットにより着脱が可能な方法で表示を行う場合、ステッカー等の素材には風雨に耐えられるものを使用する」としています。

マグネットやステッカーを使用する場合、走行中に車体から外れたり、第三者によって容易に取り外されたりしないようにしておきましょう。

※参考:環境省.産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務「表示義務について」, (入手日付2023-10-30).
※参考:東京都環境局. 「収集運搬車両表示義務」, (入手日付2023-10-30).

産業廃棄物の自社運搬時に県外に移動したら違法?

自社運搬の基準を満たしていれば、県外に運搬しても問題はありません。自社運搬の基準を満たしていない場合は、収集場所の許可証と積み下ろし場所の許可証が必要になります。

下請け会社の車を運転させて自社運搬しても良い?

自社運搬に該当するのは排出事業者が自社車両を使用して、排出事業者の社員が運搬する場合です。従って下請け会社の車両で親会社の廃棄物を運んだ場合は、委託と見なされます。子会社が収集運搬業許可を持っていなければ、親会社も子会社も罰則の対象となる恐れがあります。

自社運搬にレンタカーは使える?

排出事業者が自らレンタカーを借りて運搬するのであれば問題はありません。ただし、自治体によってはレンタカーによる運搬が認められない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

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