
木くずはさまざまな場面で排出される廃棄物ですが、中には20種類ある産業廃棄物に該当するものもあります。その場合は、法律に従った処理が必要です。
ただし、木くずは産業廃棄物と一般廃棄物の境界が曖昧なため、どのように処理するとよいのか迷う方もいるでしょう。
本記事では、一般廃棄物となる木くずと、産業廃棄物となる木くずとの違いや、産業廃棄物として扱う場合の処理方法やリサイクル方法などを解説していきます。木くずの処理について詳しく知りたい方は参考にしてください。
木くずとは?主に2つに分類される
木くずとは、原料となる木材から排出される廃棄物全般のことを指します。例えば、家屋の新築・改装・解体などで出る木片や、廃棄する木製家具、庭に生えている木を剪定して落ちた枝も全て木くずです。
ただし木くずは、産業廃棄物に該当するものと一般廃棄物に該当するものの2種類に分けられます。どちらに分類されるかは、排出する主体や条件によって変わってくるため注意が必要です。
もし、産業廃棄物に該当する木くずを一般廃棄物として扱ってしまうと、法律違反に問われるかもしれません。それぞれの違いを解説するので、しっかりと理解しておきましょう。
産業廃棄物:事業活動で発生した場合
産業廃棄物とは、法律が規定する20種類の廃棄物のことです。20種類の産業廃棄物は、あらゆる事業活動に伴うものと特定の事業活動に伴うものに分けられ、木くずは特定の事業活動で発生した場合にのみ、産業廃棄物に該当するとされています(※)。
産業廃棄物に該当するのは、木くずが下記の業種の事業活動に伴って生じた場合です。
● 建設業
● 木材または木製品製造業
● パルプ製造業
● 輸入木材の卸売業
具体的には建設業の工事で出る建築物の廃木材、木製品の製造業から排出されるおがくず、板きれ、廃チップ、梱包材くずなどが産業廃棄物に該当する木くずです。建設工事で伐採した木なども産業廃棄物に含まれます。
なお、貨物の流通のために使用したパレットは、業種にかかわらず全ての事業で産業廃棄物に該当します。
※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第2条の2)」(入手日付2023-10-19)
一般廃棄物:家庭で発生した場合
上記の条件に該当しない木くずは、一般廃棄物として扱われます。例えば、一般の人が自宅を増改築して出た廃材や庭木を剪定して出た枝も、事業活動で排出されたものには当たらないため一般廃棄物です。
事業活動に伴って排出された木くずでも、前項で紹介した特定の事業活動に該当しない業種で排出された場合、事業系一般廃棄物として扱います。
事業系一般廃棄物は、市区町村のルールに従っての処理が必要です。なお、環境省(※)は以下のようなものを、事業系一般廃棄物の例として挙げています。
● 剪定枝・伐採木
● 流木
● 木製製品(家具・木箱等)
● その他の木くず(梱包用木材・枕木など)
※参考:環境省.「木くずの現状について」(入手日付2023-10-19)
例外:PCBを含む木材や木くず
事業活動によって排出された木くずでPCBが染み込んだものは、どのような事業活動においても特定有害産業廃棄物に該当します(※)。特定有害産業廃棄物とは、特に有毒性の高い物質を含む産業廃棄物のことです。
特別管理産業廃棄物は事業者が法律で定められた処理基準に従って処理するか、特別管理産業廃棄物の取り扱い許可を自治体から得ている収集運搬業者や処分業者に処理を委託する必要があります。
※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理および清掃に関する法律(第2条の4の5)」(入手日付2023-10-19)

木くずのリサイクル方法3選
木くずは比較的リサイクル率の高い廃棄物の一つで、環境省が発表したデータ(※)によると、2021年度(令和3年度)には約85%が再利用されています。どのような形でリサイクルされているか、次に紹介します。
※参考:環境省「令和4年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」(入手日付2023-10-19)
チップ化する
木くずは、細かく粉砕してチップ化した上でリサイクルされるのが一般的です。チップ化したものは、製紙材料やファイバーボードの原料、ガーデニング用チップやコンポストで生ゴミを消臭・分解する際などにも活用されています。
堆肥化する
木くずは堆肥化の素材として活用されています。堆肥化とは、微生物を利用して生ごみや家畜のふん尿などの有機系廃棄物を分解・発酵させ、有機肥料を作ることです。木くずは粉砕して、生ごみ・家畜の糞尿などを堆肥化する際の水分調整剤として利用するのが一般的です。
また木くずは、米ぬかなどの有機物と混ぜて発酵・熟成させて作るパーク堆肥にも利用されています。
燃料化する
チップ化した木くずは、木質バイオマス燃料としても有効活用されています。バイオマス燃料として使うと、ガス化・熱利用・発電に再利用できます。
木くずの元となる樹木は、成長の過程で光合成により二酸化炭素を吸収するため、木質バイオマス燃料は、燃焼によって排出される二酸化炭素と相殺できるカーボンニュートラルな燃料です。
木材の処分方法を解説
リサイクルできなかった木くずは、埋立するか焼却するかして最終処分します。
埋立処理
埋立して最終処分するケースでは、埋立後に木くずから有害物質を出ないよう管理する管理型処分場で最終処分されます。
管理型処分場とは、地中に埋めた廃棄物が地下水などで流出して周辺の環境に悪影響を及ぼさないよう、厳重に管理された最終処分施設のことです。
焼却処理
リサイクルできなかったものは、埋立して最終処分するだけでなく焼却して処分する場合もあります。この際、燃やすことで発生した熱をエネルギーとして回収し、発電などに利用している処理施設もあります。
木くずに関するよくある質問
木くずに関する「よくある質問」に回答します。
伐採した木は産業廃棄物に入りますか?
環境省(※)は、伐採木、流木などのその他の木くずについては(中略)一般廃棄物として区分するのが適当であるとしています。ただし、建設工事や解体工事の際に、工事の都合で伐採した木については建設工事の際に出たものとして、産業廃棄物として扱うことが必要です。
※参考:環境省.「事業活動に伴って排出される一般廃棄物である木くずに係る廃棄物の区分について」(入手日付2023-10-19)
木くずの処分量はどれくらい?
環境省のデータによると、2021年度(令和3年度)に処分された木くずは749.1万トンでした。産業廃棄物全体に占める割合は2%です。
※参考:環境省「令和4年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」(入手日付2023-10-19)
木の枝は産業廃棄物になりますか?
伐採木や流木と同じく、原則として木の枝は産業廃棄物には該当しません。なお、園芸サービス業者が剪定して出た木の枝は一般廃棄物ですが、造園工事業社が出した木の枝は工事によって排出されるため、産業廃棄物に該当します。
木くずを無料で処分する方法は?
自治体によって異なりますが、多くの市町村ではDIYなどで出た木くずで、30cm以内の小さなものなら、可燃ゴミとして無料で処分できます。大きな木材を捨てる際には、切って30cm以内に収めるようにしましょう。
また自治体によっては、木材チップや剪定枝を資源ゴミとして回収している地域もあります。お住まいの自治体の公式サイトで確認しましょう。
木くずを処分する際に持ち込みはできる?
一般廃棄物にあたる木くずは、自分で処理施設に持ち込めます。自治体によって料金や処理施設の利用可能時間、搬入方法などが異なるため、市区町村の公式サイトで確認しましょう。
木くずの処分場はどこ?
再利用できない木くずは管理型処分場で最終処分されます。管理型処分場には、雨水流入防止側溝、遮水構造、汚水処理施設などがあり、周囲の環境に悪い影響を与えません。
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