電子マニフェスト導入の流れや注意点を解説

電子マニフェスト導入の流れや注意点を解説

産業廃棄物の処分はマニフェスト制度に従って行う必要があります。マニフェスト制度の形式は紙マニフェストと電子マニフェストの2つです。
この2つのうち電子マニフェストを導入することで、産業廃棄物の処分にかかわる事業者はさまざまなメリットを得られます。

本記事では電子マニフェストと紙マニフェストとの違いや、電子マニフェスト導入の流れなどについて解説していきます。

電子マニフェストとは

電子マニフェストとは産業廃棄物の処分に用いるマニフェスト情報を電子化したものです。電子マニフェストは公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が運営するJWNETに、産業廃棄物の排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が登録して運用します。3者はJWNETを介してマニフェストの情報を確認可能です。

電子マニフェストは1998年12月から制度化され、2020年4月にはPCB廃棄物を除く特別管理産業廃棄物多量排出事業者を対象に、電子マニフェストの使用が義務化されました。

出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター.「目的」(入手日付2023-02-13)


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電子マニフェストを導入することで業務を効率化できる

電子マニフェストを導入することで、マニフェスト制度にかかわる事務業務の工数の大幅な軽減が可能です。
具体的には、以下の通り年間3,000時間も業務時間が削減できた、という例もJWセンターより発表されています。

紙マニフェスト運用の労務工程 電子マニフェスト運用の労務工程
業務 業務時間/年 業務 業務時間/年
紙マニフェストの発行業務 2,600 紙マニフェストの発行業務 250
紙マニフェストの管理業務 500 紙マニフェストの管理業務 150
紙マニフェスト交付等状況報告業務 300 紙マニフェスト交付等状況報告業務 0
合計 3,400 合計 400

また業務の効率化以外にも、マニフェスト情報の登録ミスが防げるため、法令を遵守したマニフェスト運用が可能です。

出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター「導入のメリット」(入手日付2024-06-04)

紙マニフェストとの違い

電子マニフェストと紙マニフェストでは、マニフェスト伝票の保管義務とマニフェスト伝票の交付状況の報告義務の有無で違いがあります。
次の通り、紙マニフェストは交付した伝票の保管義務、マニフェスト伝票の交付状況の報告義務があるのに対して、電子マニフェストはどちらも不要です。

紙マニフェスト 電子マニフェスト
マニフェスト伝票の保管義務 あり なし
マニフェスト伝票の交付状況の報告義務 あり なし

また紙マニフェストは事業者に応じた伝票を5年間保管する義務があります。さらに排出事業者は、1年間に交付した紙マニフェスト伝票の報告書を、事業所を管轄する自治体に提出しなければなりません。

一方で、電子マニフェストは運営しているJWセンターがマニフェストデータを保管する上に自治体に交付状況を報告してくれるので、事業者の手間がかかりません。

業務完了後の報告期限が異なる

マニフェスト制度は、産業廃棄物の排出事業者が「排出した産業廃棄物が適正に処分されているか」を把握することが目的です。そのため処分の委託先である収集運搬業者、処分業者は業務が完了したら該当するマニフェスト伝票を排出事業者に返送する必要があります。

返送期限はマニフェスト伝票の種類によって異なるものの、交付から60日、90日、180日と定められています。(※)ただし業務が完了した場合、紙マニフェストの場合、完了から10日以内に返送しなければなりません。

一方、電子マニフェストの場合、業務完了から3日以内にJWNETに登録する必要があります。また排出事業者は産業廃棄物を引き渡した日から3日以内にJWNETへの登録が必要です。

出典:公益社団法人 全国産業資源循環連合会「マニフェスト(マニフェストの管理運用)」(入手日付2023-02-14)
出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター「紙マニフェストとの運用比較」(入手日付2023-02-14)

電子マニフェスト導入の流れ

電子マニフェスト導入の流れ

電子マニフェスト導入の流れは、以下の通りです。

  • 取引先業者がJWNETに加入しているかを確認する
  • 加入単位を選択する
  • 料金プランを選択する
  • 運用方針を決定する
  • 加入手続きの実施

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

取引先業者がJWNETに加入しているかを確認する

電子マニフェストを導入する際に重要となるのは、取引先業者がJWNET(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター:Japan Waste Network)に加入しているかどうかです。まず、排出事業者は、自社の取引先である収集運搬業者や処分業者がJWNETに加入しているかどうかを調べましょう。JWNETは、電子マニフェストを利用するための唯一の公式システムであり、法令に基づいて産業廃棄物の処理を管理できるものです。

JWNETの公式Webサイトにて確認できます。2024年7月中旬時点で、排出事業者・収集運搬業者・処分業者を合わせて約30万人が加入しています。

Web上では、加入状況の公開を承諾した会社だけが確認可能です。加入が確認できない場合は、取引先業者に直接問い合わせてみましょう。

※参考:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)「加入者検索」(入手日付2024-07-24).

加入単位を選択する

取引先業者がJWNETに加入しているか確認できたら、加入単位を選択しましょう。加入単位は、事業者の規模や業務内容によって異なるので、最適な単位を選ぶのが重要です。

加入単位は、以下の通りです。

事業者別 加入単位
排出事業者 加入単位は任意。排出事業者単位、本社や支店、営業所などで加入できる。ただし、複数の法人をまとめて1加入とするのは不可能。
収集運搬業者 加入単位は任意。業者単位、支店などで加入できる。ただし、複数の法人をまとめて1加入とするのは不可能。
処分業者 処分事業場単位。同一敷地内に中間処理施設および最終処分施設がある場合、1事業場とカウントできる。

なお、加入は委託契約している事業場ごとに行う必要はありません。同じ加入者番号で複数の事業者をカバーできます。

料金プランを選択する

電子マニフェストを導入するに当たって、料金プランも選択する必要があります。料金は利用する件数に応じて異なるため、自社の利用頻度に最適なプランを選ぶことで、コスト効率を高められるでしょう。年間のマニフェスト登録件数を見積もり、以下の表を参考に最適なプランを選んでください。

排出事業者料金表

料金区分 A料金 B料金 C料金
(団体加入料金)
基本料(1年間) 26,400円 1,980円 110円
使用料(1件当たり) 11円 90件まで無料
91件から22円
5件まで無料
6件から22円
料金設定の参考となる年間登録件数 2,401件以上 2,400件以下

収集運搬業者・処分業者 料金表

料金区分 収集運搬業者 処分業者
①処分 ②処分(報告機能+2次登録機能)
(報告機能のみ) A料金 B料金
基本料(1年間) 13,200円 13,200円 26,400円 13,200円
使用料(1件当たり) 11円 90件まで無料
91件から22円
料金設定の参考となる年間登録件数 1,381件以上 1,380件以下

処分業者には処分報告機能のみのプランと、2次マニフェスト登録機能を含むプランが用意されており、後者の方が値段は高めです。

※参考:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)(入手日付2024-07-24).

運用方針を決定する

電子マニフェストの導入時は、運用方針を決定しておくことも重要です。その際、以下の点を意識しましょう。

  • 受渡確認票はどうするか
  • 引き渡しから何日後に登録するか
  • 誰が数量確定をするか

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

受渡確認票はどうするか

電子マニフェストを運用する際、任意ですが補助的な書類に受渡確認票が用いられます。これは、マニフェストに記載される廃棄物の種類・数量などの情報を排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者間で共有するために必要です。

受渡確認票の書式は任意ですが、一般的に以下の項目を記入します。

  • 運搬する産業廃棄物を積載した日付
  • 産業廃棄物の種類や数量
  • 運搬受託者の氏名や名称
  • 積載した事業場の名称や所在地、連絡先
  • 運搬先の事業場の名称や所在地、連絡先

JWNETにマニフェストを登録すれば、受渡確認票の印刷が可能になります。独自の受渡確認票を使用するのか、JWNETから印刷するのかなどのルールをあらかじめ決めておきましょう。

引き渡しから何日後に登録するか

引き渡しから何日後に登録するのか、タイミングを決めておく必要もあります。原則、産業廃棄物の3日以内に登録しなければなりません。

予約登録機能を活用すれば、排出予定の段階で登録しておくことで、実際の排出時に本登録が自動的に行われます。マニフェストの登録が排出事業者によって実行されないと、収集運搬業者と処理業者は終了報告を完了できないので、その点は留意してください。

誰が数量確定をするか

マニフェストでは、紙媒体・電子媒体問わず排出する産業廃棄物の数量を記入します。基本的に排出事業者で計測しますが、正確な計量が難しい場合は、収集運搬業者・処分業者への依頼も可能です。

加入手続きの実施

電子マニフェストは、加入手続き後に利用できます。JWNETの公式ホームページにアクセスして、以下のステップに従って進めてください。

  1. 仮申込をする
  2. 本登録を行う
  3. 利用を開始する

仮登録では、担当者氏名とメールアドレスを登録します。本登録用のログインURL、申込用仮ユーザーID、申込用仮パスワードがメールで届きます。本登録用ページにログインし、加入区分や会社名、住所を登録し、加入申込申請ボタンをクリックしてください。数字7桁の加入者番号と仮パスワードを用いてJWNETにログインして、利用を開始します。

電子マニフェスト導入時の注意点

電子マニフェストを導入する際は、次の点に注意しましょう。

● 社内のフォロー体制を整える
● 報告期限に注意する
● 修正する場合は事業者に連絡する
● 自治体に提出される報告書は閲覧期限がある

社内のフォロー体制を整える

電子マニフェストを導入した際は、従業員にルールやJWNETの操作方法などを周知してください。
周知後も、質問が出てくることが考えられます。さまざまな質問に対して回答できるよう、フォロー体制を整えておかなければなりません。
フォロー体制が未整備だと、電子マニフェストが従業員に浸透しない恐れがあります。

報告期限に注意する

電子マニフェストでは、作業完了の報告期限が近いマニフェストを確認することが可能です。報告期限が迫ったマニフェストがあったら、事業者に状況を確認しましょう。
メール通知機能を活用することで、報告期限が迫ったマニフェストの情報が指定のメールアドレスに届きます。

また、報告期限が切れたマニフェストについても確認可能です。
報告期限が切れてしまったマニフェストがあった場合は、事業者に状況を確認した上で報告を完了してもらう必要があります。
また、期限切れになった日から30日以内に自治体に措置内容等報告書を提出しなければなりません。

修正する場合は事業者に連絡

排出事業者が電子マニフェストについて修正する場合は、報告を行った事業者の承認が必要です。
修正作業を終えたら事業者に連絡して承認してもらいましょう。ただし修正できる電子マニフェストは、登録状態になっているもののみです。
登録状態が確定情報となっている電子マニフェストは修正できませんのでご注意ください。

自治体に提出される報告書は閲覧期限がある

電子マニフェストは紙マニフェストと異なり、排出事業者の自治体へのマニフェスト伝票交付状況の報告義務はありません。
JWセンターが排出事業者に代わり、自治体へ報告を行います。
JWセンターが提出する報告書を閲覧することもできますが、閲覧期間は5月7日から翌年3月31日までに限られています。3月31日以降は閲覧できないため、閲覧可能期間中にダウンロードしておきましょう。

電子マニフェスト導入に関するよくある質問

電子マニフェスト導入に関して、よくある質問には以下が挙げられます。

  • 自社が電子マニフェストを導入しているだけでいいのですか?
  • マニフェストの新規登録と予約登録の違いは何ですか?
  • 排出した産業廃棄物を自社で運搬する場合、収集運搬業者として加入する必要はありますか?

それぞれの質問の回答をご紹介します。

自社が電子マニフェストを導入しているだけでいいのですか?

電子マニフェストは、排出事業者だけでなく収集運搬業者、そして処分業者の3者が導入していることが必須です。

自社だけが導入していても運用できないので、取引先がすでに電子マニフェストを導入しているのか、または導入を検討しているのかを確認しましょう。電子マニフェストを導入しているかどうかは、JWNETで確認できます。

導入する場合は、JWNETの公式ホームページから申し込んでください。

マニフェストの新規登録と予約登録の違いは何ですか?

マニフェストの新規登録とは、実際に産業廃棄物を収集運搬業者に引き渡した後に行う手続きです。引き渡した時点で、法で定める必須項目を全て入力し、マニフェストの登録を完了させます。新規登録は、産業廃棄物の引渡し当日以降にしか行えず、引渡し日を未来日として登録できません。

予約登録とは、産業廃棄物の排出前にあらかじめマニフェスト情報を事前に登録する手続きです。現時点で決まっている情報を入力して登録します。事前にマニフェスト番号が発番され、収集運搬業者や処分業者と情報を共有できます。また、JWNETから受渡確認票を事前に印刷することも可能です。

排出した産業廃棄物を自社で運搬する場合、収集運搬業者として加入する必要はありますか?

排出した産業廃棄物を自社で運搬し、処分のみを委託する場合、収集運搬業者としての加入は不要です。

ただしこの場合は、自己運搬のマニフェスト登録が必要となるのでこちらを参考に操作方法は把握しておきましょう。自己処分の場合も同様です。

参照:JWセンター よくあるご質問「Q.自己運搬(自己処分)の場合のマニフェスト登録はどのように操作したらよいですか。」

電子マニフェストでマニフェスト業務を効率化しよう

「紙の保存や行政報告から解放されたい」しかし、「JWNETの操作は自信がない…」という排出事業者のみなさん、また、そういったお客様をお持ちの収運会社のみなさん。
収運会社にDXE Stationを使って代行起票頂くことが最善の方法だと思います。
DXEシステムは関係者すべての業務効率化につながります。また、産廃業務に精通したスタッフがサポートします。


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