
産業廃棄物を処分する際はマニフェスト制度に従わなければなりません。そしてマニフェスト制度では、紙マニフェストとしてマニフェスト伝票を交付する必要があります。
本記事では紙マニフェストの入手方法や運用方法、電子マニフェストとの違いなどについて解説します。
目次
紙マニフェストとは

紙マニフェストとはマニフェスト制度で用いられるマニフェスト伝票です。紙マニフェストは直行用、積替保管用、建設系廃棄物用の3種類があり、それぞれ複写式で枚数は以下の通りです。
● 直行用、建設系廃棄物用:7枚複写式
● 積替保管用:8枚複写式
紙マニフェストは産業廃棄物の排出事業者が、委託先である収集運搬業者、処分業者に交付します。紙マニフェストは事業者ごとに取扱いが異なり、それぞれ以下の通り保管すべき伝票があります。
事業者 | 取扱い | 保管する伝票 |
---|---|---|
排出事業者 | 紙マニフェストに産業廃棄物の種類や数量を記載。収集運搬業者に産業廃棄物の引き渡しと同時に交付 | 収集運搬業者が所定箇所に記載後、A票を保管 |
収集運搬業者 | 産業廃棄物と併せて処分業者にマニフェストを引き渡す | 処分業者が所定箇所に記載後、B2票を排出事業者に返送。C2票を保管 |
処分業者 | 処分終了後に収集運搬業者にC票、排出事業者にE票を返送 | C1票を保管 |
紙マニフェストと電子マニフェストとの違い
マニフェスト制度では、紙マニフェスト以外にも電子マニフェストの使用も認められています。
紙マニフェストは紙の伝票でマニフェスト情報を管理していたのに対して、電子マニフェストはマニフェスト情報をデータ化して管理するものです。
紙マニフェストと電子マニフェストは伝票で管理するか、データで管理するか以外にも異なる点があります。
例えば紙マニフェストは伝票を5年間保管する義務があるのに対して、電子マニフェストは保管義務がありません。
また紙マニフェストは年に1回、マニフェスト伝票の交付状況について自治体に報告する義務があります。
一方で、電子マニフェストであれば自治体への報告義務は不要です。いずれも電子マニフェストを運用する公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が事業者に代わり、保管、報告を行ないます。

紙マニフェストの入手方法
紙マニフェストのうち直行用、積替保管用は産業廃棄物協会で、建設系廃棄物用は建設業協会で入手可能です。
単票は複写式のマニフェスト伝票が切り離されている伝票です。連続票はマニフェスト伝票がミシン線で上下がつながっています。
紙マニフェスト運用の流れ
紙マニフェストを運用する際は、最初に排出事業者が7枚の複写式伝票の必要箇所に記載が必要です。
A票に収集運搬業者のサインがほどこされたら、同票を保管して、それ以外の伝票を産業廃棄物とともに収集運搬業者に引き渡します。
排出事業者からマニフェスト伝票を受け取った収集運搬業者は、処分業者に産業廃棄物とあわせてマニフェスト伝票を引き渡す流れです。
処分業者はマニフェスト伝票のうち、B1票とB2票を収集運搬業者に返送して、収集運搬業者はB1票を保管、B2票を排出事業者に返送します。
処分業者は処分が完了したら所定欄に記載後、C1票を保管して収集運搬業者にC2票の送付が必要です。
また排出事業者にはD票、E票を送付します。
最終処分までを行なったのであればD票と併せてE票を排出事業者に送付する流れです。
最終処分を委託した場合は、最終処分終了後にE票を排出事業者に送付します。紙マニフェストでの各業者が保管すべき伝票は次の通りです。
事業者 | 保管する伝票 |
---|---|
排出事業者 | A票、B2票、D票、E票 |
収集運搬業者 | C2票 |
中間処分業者(処分受託の場合) | C1票 |
中間処分業者(処分委託の場合) | A票、B2票、D票、E票 |
最終処分業者 | C1票 |
紙マニフェストの書き方

紙マニフェストのうち、A票には法定記載事項があります。マニフェスト伝票を交付する際は、以下の法定記載事項を漏れなく記載するようにしましょう。
- 管理票を交付した年月日と交付番号
- 運搬もしくは処分を委託した業者の氏名もしくは名称、住所
- 産業廃棄物を排出した事業場の名称もしくは所在地
- マニフェスト伝票を交付した担当者の氏名
- 産業廃棄物の種類
- 運搬もしくは処分を受託した業者の住所
- 運搬先の事業場の名称と所在地、運搬を受託した業者が産業廃棄物の積替えもしくは保管する場合は、積替えもしくは保管を行う場所の所在地
- 産業廃棄物の荷姿
- 産業廃棄物の最終処分を行う場所の所在地
- 中間処理業者(排出事業者が紙マニフェストを使用している場合)は、交付もしくは回付された産業廃棄物についての管理票を交付した業者の氏名もしくは名称、管理票の交付番号
- 中間処理業者(排出事業者が電子マニフェストを使用している場合)は、産業廃棄物について処分を委託した業者の氏名もしくは名称、登録番号
- 産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物もしくは水銀含有ばいじんなどが含まれていれば数量
A票には斜線欄、中間処理産業廃棄物についての欄が設けられています。排出事業者はこれらの欄の記入は不要で、収集運搬業者、処分業者が記載します。
紙マニフェストから電子マニフェストに変更が推奨されている事業者
マニフェスト制度は紙マニフェストから運用がスタートしました。そして1998年には電子マニフェストがスタートしています。紙マニフェストから電子マニフェストに移行すればさまざまなメリットを得ることが可能です。
環境省およびJWセンターは、排出事業者および処理業者に対して、電子化を推進するためのさまざまな施策を講じてきました。今後も電子化の流れが継続することは間違いありません。
多量排出事業者
特別管理産業廃棄物の多量排出事業者は、2020年4月より電子マニフェストの使用が義務化されました。対象となる多量排出事業者は以下のような事業者です。
● 前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50トン以上である事業場を運営している事業者
上記に当てはまらない事業者であっても多量に産業廃棄物を排出しているのであれば、電子マニフェストに変更すれば事務処理費用の削減やマニフェスト伝票の交付状況報告の不要など、マニフェストの管理で発生していた大量の費用や業務量を削減できます。
少量排出事業者
産業廃棄物を大量に排出している業者と異なり、マニフェスト交付の機会が少ない少量排出事業者は電子マニフェストへの変更で得られるメリットが少ない傾向にありました。このような状況に対して、電子マニフェスト利用にかかる使用料の値下げが行なわれています。少量排出事業者であっても、電子マニフェストへ移行することでメリットを感じられるようになってきていると言えるでしょう。
また、JWNETに現場登録支援機能を追加し、排出事業者が収集運搬業者の支援を得て電子マニフェストを現場で登録することが可能になりました。
これを進化させたのがDXEサービスの代行起票機能になります。排出事業者の負担を限りなくゼロにして、入口で間違いのないデータを登録することが可能です。
処理業者
電子マニフェストを運用するには、排出事業者、収集運搬業者、処分業者全てがJWNETに加入する必要があります。そのため処分業者が電子マニフェストに加入することで、排出事業者の電子マニフェスト加入を促すことが可能です。
また処分業者にとって電子マニフェストに加入しているかどうかは、優良な処理業者の基準の一部を満たすことになり、事業の拡大につながります。具体的には以下の要件、項目です。
● 優良認定制度の要件
● 産業廃棄物の処理にかかわる契約の入札参加資格を付与する際の評価項目
処理業者の場合、電子マニフェストによって業務が効率化するだけでなく、業者としての信頼性を確立することにつながります。
紙マニフェストについてよくある質問
紙マニフェストについてよくある質問として以下の3点が挙げられます。これらの質問について詳しく見ていきましょう。
● 紙マニフェストはどこで手に入れる?
● 紙マニフェストの運用方法は?
● 紙マニフェストの保管期間は?
紙マニフェストはどこで手に入れる?
紙マニフェストは各都道府県の産業廃棄物協会、建設業協会で入手可能です。
産業廃棄物協会、建設業協会が発行している紙マニフェストであれば、交付番号が既に記載されているため使用しやすいです。
なお、一般的に排出事業者側が紙マニフェストを購入して交付します。
紙マニフェストの運用方法は?
紙マニフェストは一般的に7枚の複写式伝票が用いられます。産業廃棄物の排出事業者は産業廃棄物を委託先に引き渡す際に、紙マニフェストを交付します。
排出事業者から紙マニフェストを受け取った収集運搬業者、処分業者はそれぞれ作業が完了したら、マニフェスト伝票を排出事業者に返送することで、排出事業者は産業廃棄物の処分が確認可能です。
紙マニフェストの保管期間は?
紙マニフェストは5年間の保管義務が設けられています。保管期間は紙マニフェストを交付、受け取った日から5年間です。A票であれば交付から5年、B票~E票は受け取った日から5年間保管します。
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