
建設廃棄物の処理を業者に委託する場合、委託契約の締結が必須です。契約書に記載が必要な項目は法律で決まっています。また、注意を怠ると違法行為につながるので契約を交わす前に基本的な知識を入れなければなりません。
今回は建設廃棄物処理委託契約書の書き方や雛形、記入例を紹介します。本記事を読めば、建設廃棄物関連の事務に携わるのが初めての人でもスムーズに契約書を作成できるようになるでしょう。
目次
建設廃棄物を処理する方法は2種類
建設廃棄物とは建設工事に伴い副次的に得られた物品のうち廃棄物に該当するもので、建設発生土やコンクリートの塊、建設発生木材、紙くず、金属くずなどが代表例です。
建設廃棄物の処理方法は自ら運搬・処理を行うほか、業者に委託することが考えられます。それぞれの方法について、法律に基づいて決められたルールや基準を紹介します。
排出事業者が自ら処理する
産業廃棄物の排出事業者は自らの責任において、廃棄物を適正に処理しなければなりません。排出事業者自身が産業廃棄物を運搬し、処理施設に移動させて処分する場合は守るべき法律上の基準があります。
運搬車両の両側面に産業廃棄物の収集運搬車であることを示し、定められた書面を備えつける必要があります。また、収集運搬中は廃棄物の飛散や流出、騒音、振動、悪臭が漏れる危険がないように細心の注意を払いましょう。
処分施設は囲いを設ける、掲示板を掲げるといった一定の基準に従うルールがあります。施設に保管する廃棄物の量は通常の操業施設を基準に考えて、処理能力の14日分(再利用コンクリート片は28日、アスファルト片の場合は70日分が基準)を超えてはなりません。
※参考:環境省.「産業廃棄物を排出する事業者の方に」(入手日付2023-06-07)
専門業者に依頼する
自治体の許可を得た収集運搬処理業者であれば、廃棄物の処理を外部に委託できます。廃棄物の運搬・処分を他人に委託する場合、業者との間で必ず契約書を取り交わす必要があります。
また、排出事業者は産業廃棄物管理票と呼ばれるマニフェストを自ら収集運搬業者に交付し、厳正な基準のもと産業廃棄物を5年間保管しなければなりません。
廃棄物を業者に引き渡した後、一切関係がないわけではないので注意してください。建設工事の場合、現場で発生した廃棄物の処理責任は元請けが担い、排出事業者についても元請け事業者が該当します。

建設廃棄物処理委託契約書の記載項目
建設廃棄物処理を委託する場合、契約書を作成する必要があります。契約書の記載項目は、廃棄物の処理および清掃に関する法律の施行令において細かな規定があります。
収集運搬の委託契約書および処分委託契約書に共通して記載が必要な項目は次のとおりです。
- 委託が必要な産業廃棄物の種類や数量
- 受託者に対して支払う委託料
- 受託者が許可を得ている事業範囲
- 契約の有効期間
- 以下の適正な処理に必要な情報
- 産業廃棄物の性状や荷姿
- 通常保管下での腐敗や揮発など性状変化の情報
- 他の廃棄物の混合において生じる支障
- JISC0950規定の含有マークの表示に関する事項
- 石綿含有産業廃棄物や水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等が含まれる旨
- その他取扱いに関する事項
- 契約の有効期間内に適正処理に必要な情報(上記6項目)に変更があった場合の情報伝達に関する事項
- 受託業務終了時の委託者に対する報告に関する事項
- 委託契約解除時に処理がなされていない産業廃棄物の取扱い
収集運搬委託契約書にのみ記載が必要な項目は次のとおりです。
- 最終目的地の所在地
- 積替保管(廃棄物を中間処理施設や最終処分場に運ぶまでに、一時的に保管場所で留め置きができる許可)の場合は、保管場所の所在地や、保管する産業廃棄物の種類や保管上限
- 安定5品目の積替保管を行う場合、積替場所で他の廃棄物と混合する可否
安定5品目とは法律で規定された産業廃棄物の20品目のうち、雨風等の影響を受けても性質に変化が生じない安定的な廃棄物を指します。具体的にはがれき類・ゴムくず・廃プラスチック類・ガラス、コンクリート、陶器くず・金属くずが該当します。
処分委託契約書に記載が必要な項目は、次のとおりです。
- 処分もしくは再生場所の所在地、処分方法、施設の処理能力
- (中間処理を委託する場合)最終処分場の所在地、処分方法、施設の処理能力
- 輸入廃棄物の旨
収集運搬と処分の両方の資格を持つ業者に収集から処分まで依頼する場合、契約を一本化できます。ただし契約書には上記で列挙した全ての項目を記載する必要があるので注意してください。
建設廃棄物処理委託契約書の雛形と記載例
産業廃棄物の処理委託契約書にはテンプレートがあるので、フォーマットに必要な箇所を記入するだけで契約に使えます。
東京都のHP内にある「モデル契約書」では書式の入手のほか、記入例も閲覧できて便利です。収集運搬用・処分用・収集運搬処分用に分かれており、自社で必要な契約形態に応じて合わせられます。
この産業廃棄物処理委託契約書をベースにして使いやすく独自にアレンジしたり、任意の項目を設けたりすることも可能です。
中間処分の委託契約の場合、排出場所から中間施設を経て最終処分場に達するまでの一連の動きや処理方法を網羅した図の添付も求められています。
廃棄物処理法においては委託契約書とマニフェスト、処理業者が備える帳簿が密接に連動することで適正な処理を担保します。記入項目に誤字脱字や漏れがないよう十分に注意しましょう。
※参考:東京都環境局「委託契約書」(入手日付2023-06-07)
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委託契約の際の注意点
産業廃棄物処理の委託契約では法律の知識がないまま契約を締結すると、いつのまにか違法行為に該当してしまう恐れがあります。禁止行為である三者間契約と再委託の禁止について解説します。
三者間契約の禁止
原則として排出事業者・収集運搬業者・処分業者の三者間契約は認められません。ただし上述のとおり、収集運搬と処分の両方の資格を持つ業者に対して収集運搬から処理まで一括して委託する場合は契約の一本化は問題ないので混同しないように注意が必要です。
産業廃棄物の収集運搬における三者契約は必ずしも禁止されていませんが、契約の途中で業者の変更・追加が伴う可能性を考慮すると、個別の方が管理しやすいという事情もあります。
再委託の禁止
廃棄物の処理および清掃に関する法律において、産業廃棄物の処理を委託された処理業者は、その産業廃棄物の処理を別の業者に再委託してはいけないと規定されています。
再委託を禁止する理由は、業者が増えることで責任の所在が不明確になり、不適切な処理につながるからです。具体的には、不法投棄や無許可業者の違法行為の危険があります。
また、廃棄物処理法の許可制度の趣旨から外れてしまうのも再委託を禁止する理由の一つです。排出事業者は事業活動で生じた廃棄物を自らの責任で処分する必要があるので、委託先の選定も自分自身で適切な業者か見極めなければなりません。
建設廃棄物の委託契約書についてよくある質問
建設廃棄物の収集運搬・処分を業者に委託するためには契約書の締結が必要です。しかし、契約の手続きが初めてだと何から手を付ければ良いかわからず戸惑ってしまうかもしれません。
契約書の記載項目や雛形・記入例、契約を交わす際の注意点について解説します。
建設廃棄物処理の委託契約書の記載項目は?
産業廃棄物処理委託契約書では、廃棄物処理法の施行令や施行規則で定められた事項を記入する必要があります。必須項目は契約の種類によって分かれていて、収集運搬委託契約・処分委託契約に共通する項目は委託する産業廃棄物の数量や種類などの全8項目です。
加えて収集運搬委託契約書にのみ必要な項目が3つ、処分委託契約に必要な項目が別で3つあります。
産業廃棄物処理委託契約書の雛形・記入例はある?
産業廃棄物処理委託契約書の雛形や記入例は、インターネットで閲覧・ダウンロードできます。書き方は正しいのか、本当に必要な項目は何なのか分からない場合でも、自分一人で疑問を解消できます。
雛形・記入例を確認すれば契約書を一から作成する手間が省けるので、利用を検討してはいかがでしょうか。
産業廃棄物処理委託契約書の際の注意点は?
産業廃棄物処理委託契約書で契約を締結する際の注意点は、三者契約と再委託を行わないことです。三者契約を交わすと即違法となるわけではありませんが、後の契約変更の手間を考慮すると行わない方が無難です。一方、再委託は違法行為なので避ける必要があります。
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