廃プラスチック類の流れ(製造~排出~処理・リサイクル)について解説

プラスチックの流れ(製造~排出~処理・リサイクル)について解説

リサイクル法の先陣を切って1997年に施行された「容器包装リサイクル法」は、2000年にはペットボトルに加えプラスチック製容器包装も対象に加えられました。

ご存知のとおり2022年には「プラスチック資源循環促進法」が施行され、プラスチックという素材について包括的に資源循環体制を強化することとなりました。

それではこの間に廃プラスチック類の流れはどう変わって来たのか確認してみましょう。

プラスチックの生産量と排出量の推移

廃プラスチックについては下図のとおりです。
ちなみに廃棄物全体の排出量については、4億トン強で最近は安定しており、産業廃棄物が約9割を占めています。
最終処分量については、減少傾向が続いており、最終処分場の逼迫は大きく緩和されています。

プラスチックの生産量と排出量の推移

※出典:一般社団法人産業環境管理協会「リサイクルデータブック2023」(入手日付2023-09-08)

2021年の樹脂生産量は1,045万トンですが、原油処理量+ナフサ輸入量の6%に過ぎません。原油の多くは、ガソリン・軽油・重油などの燃料として利用されています。
2021年の廃プラスチックの排出量は824万トン、うち産業廃棄物405万トン、一般廃棄物419万トンです。廃プラスチックの排出量は、産業廃棄物と一般廃棄物でほぼ拮抗しています。
製品の軽量化、素材の代替、リサイクルの促進などにより、排出量は減少傾向にあることが確認できます。

それでは、プラスチックの生産・排出・処理(リサイクル)に影響を与えた施策について見て行きましょう。


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容器包装リサイクル

家庭から排出されるごみの容積で約6割、重量で約2~3割、を占める容器包装廃棄物について、リサイクルの促進等により、廃棄物の減量化を図るとともに、資源の有効利用を図るため、1995年6月に制定され、1997年4月から本格施行された法律です。容器包装リサイクル法はあくまで家庭ごみが対象になります。

家庭ごみに占める容器包装廃棄物の割合

※出典:一般社団法人産業環境管理協会「リサイクルデータブック2023」(入手日付2023-09-08)

容器包装リサイクル法の沿革は以下のとおりです。
1997年4月 一部施行(びん、缶、ペットボトルなど)
2000年4月 完全施行(紙製容器包装、プラスチック製容器包装)
2007年4月 改正容器包装リサイクル法 本施行(容器包装廃棄物の排出抑制(リデュース)など)
2008年4月 改正容器包装リサイクル法 完全施行(事業者から市町村に資金を拠出する仕組など)

この頃から個別物品の特性に応じたリサイクル法が施行され、拡大生産者責任が導入されます。
2001年4月 家電リサイクル法
2002年5月 食品リサイクル法
2002年5月 建設リサイクル法
2005年1月 自動車リサイクル法
2013年4月 小型家電リサイクル法

廃プラスチックの輸出

2000年頃から廃プラスチックのうち輸出されるものが急速に増えました。その中にはリサイクルに適さない汚れた廃プラスチックも多く混じっていたため、2017年12月に中国が輸入規制を行い、東南アジア諸国も追随しました。また、2021年1月にはバーゼル法の改正が行われ、基準に合わない廃プラスチックは「規制対象」として、事前に輸入国の同意が必要となりました。廃プラスチックは国内でリサイクルすることが求められているのです。

日本の口別廃プラ輸出量の推移

※参考:ジェトロ「ビジネス短信」(入手日付2023-09-08)

レジ袋有料化

2020年7月にレジ袋有料化が実施されました。これに伴いレジ袋辞退率は一気に上昇しました。

レジ袋辞退率

※出典:日本チェーンストア協会「レジ袋辞退率の推移」(入手日付2023-09-08)

2021年3月にレジ袋辞退率は急上昇し、2022年3月、2023年3月とも80%を超えています。
環境負荷への影響は非常に限定的ですが、啓蒙効果は大きく、我々の意識と行動を変えました。
エコバッグはその前提条件にもよりますが30~50回は利用しないと効果はマイナスなので注意が必要です。

プラスチックの排出~処理(リサイクル)

2021年における「排出から処理」の状況の詳細については下図になります。

プラスチック製品・廃棄物・再資源化フロー図

※出典:一般社団法人産業環境管理協会「リサイクルデータブック2023」(入手日付2023-09-08)

廃プラスチックの有効利用率は年々少しずつ増加しており2021年は87%となりました。内訳はマテリアルリサイクル21%、ケミカルリサイクル4%、サーマルリサイクル62%となっており、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルを合わせても25%でしかありません。サーマルリサイクルは焼却することが前提であり温室効果ガスが発生するため、最近はサーマルリカバリーと呼ばれることも多くなっています。
また、産業廃棄物のほうが、固形燃料/セメント原燃料や再生利用(マテリアルリサイクル)などの有効利用が進んでいます。一方で発電焼却やケミカルリサイクルは一般廃棄物のほうが多くなっています。
現在、ケミカルリサイクルの「原料・モノマー化」によってペットボトルをペットボトルにリサイクルことが進んでいます。

マテリアルリサイクル(177万t)の内訳

下図のとおり、ペットボトルは使用済み製品139万tのうち50万t(約36%)を占めており、リサイクルの優等生なのです。

廃プラスチックの再生利用と使用済品の分野別内訳

リサイクル方法と主なリサイクル製品

全体のイメージは下図が理解しやすいように思います。

プラスチックのリサイクル方法と主なリサイクル製品

おわりに

今回はプラスチックの流れ(製造~排出~処理・リサイクル)とそれに関連する事項について記載してみましたが、とりとめのないコラムになっていたかもしれません。
プラスチックにより我々の生活は便利になったのですが、それが持続可能なのかどうか今問われています。
プラスチック資源循環促進法の施行を受け、今後その流れは大きく変わってくることが予想されますので、各種データをウオッチして行きたいと思います。


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