食品廃棄物とは?食品ロスの発生量や推移について

食品の製造や調理過程で生じる加工残さや、調理くずである食品廃棄物、まだ食べられる食品の廃棄などのいわゆる食品ロスに該当する廃棄物は、日本のみならず世界中で多く排出されており、深刻な問題を抱えています。食品製造業者は、食品廃棄物や食品ロスの現状、発生量や関連する法律などを詳しく把握しておくことが重要です。

本記事では、食品廃棄物の概要や発生量、関連する法律、再生利用等実施率の推移などを網羅的にご紹介します。

食品廃棄物とは?

食品廃棄物とは、食品の製造・流通・消費過程で生じる不要な食材や残り物です。厳密には、食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)上、以下のように定義されています。

● 食品が食用に供された後に、または食用に供されずに廃棄されたもの
● 二食品の製造、加工または調理の過程において副次的に得られた物品のうち食用に供することができないもの

また食品廃棄物のうち、飼料・肥料に活用できるものは「食品循環資源」とされます。

食品廃棄物は産業廃棄物?

食品廃棄物は、「一般廃棄物」もしくは「産業廃棄物」のいずれかに分類されます。産業廃棄物、一般廃棄物のそれぞれに該当する食品廃棄物の概要を詳しく見ていきましょう。

産業廃棄物に当たる食品廃棄物

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で定義された20種類です。

固形状の菓子・野菜くず・醸造カスのうち、食料品製造業から排出される製造工程により発生したくず(製造工程から発生したくずや出荷前の不良品など)は、動植物性残さに分類されます。

その他、味噌などの泥状のもの、廃食用油などの油状のもの、調味料や飲料などの液状のものはそれぞれ、汚泥、廃油、廃酸・廃アルカリに該当します。

一般廃棄物に当たる食品廃棄物

一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物の総称です。事業活動に伴い排出されるのは、事業系一般廃棄物と呼ばれます。

一般廃棄物に分類される食品廃棄物には、スーパーマーケットや飲食店、物流倉庫などから排出される菓子・野菜くず・醸造カスなどの固形状のものが挙げられます。食料品製造業者から排出されるものであっても、原料として使用したもの以外、例えば社員食堂から発生したくずや出荷後の回収品は一般廃棄物です。

食品ロスの発生量とその内訳

2012年度から2021年度の食品ロスの発生量と、事業系・家庭系の内訳は以下の通りです。

食品ロスの発生量
事業系食品ロスの業種別内訳

出典:環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和3年度)の公表について

令和4年度も発表されており、発生量は家庭系・事業系共に236万トン、合計約472万トンでした。これは2030年度までの半減目標である489万トンを達成しています。

※参考:環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和4年度)の公表について(入手日付2024-08-04)


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食品リサイクル法

食品リサイクル法とは、食品産業に対して食品循環資源の再生利用等を促進するための法律です。食品関連事業者(製造、卸売、外食等)は、食品の売れ残りや製造過程で発生する食品廃棄物を減少させるとともに、食品循環資源を飼料や肥料などの原材料として再生利用することが求められています。

食品循環資源とは、「食品廃棄物であって、飼料・肥料等の原材料となるなど有用なもの」を指します。

食品循環資源の再生利用

食品循環資源の再生利用には、「飼料」「肥料」「油脂・油脂製品」「メタン」「きのこ菌床」「炭化燃料・還元剤」「エタノール」があり、令和3年度推計値における再生利用の内訳は下図の通りです。

食品リサイクル法で規定している用途別の実施量

食品循環資源の再生利用
飼料 肥料 油脂・油脂製品 メタン きのこ菌床 炭化燃料・還元剤 エタノール 合計 千トン
9,023千トン(76%) 1,845千トン(16%) 466千トン(4%) 452千トン(4%) 44千トン(0%) 38千トン(0%) 4千トン(0%) 11,874千トン

※参考:農林水産省「令和3年度食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率 (推計値)」(入手日付2024-08-04)

再生利用等実施率の推移と目標値

食品リサイクル法に基づく「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」で業種別に「再生利用等実施率」が設定されています。これは、その業種全体での達成を目指す目標です。

【計算式】
(発生抑制量+再生利用量+熱回収量×0.95※+減量実施量)÷(発生抑制量+発生量)

発生抑制量+再生利用量+熱回収量×0.95※+減量実施量
発生抑制量+発生量

※熱回収が再生利用に該当するかの議論はありますが、灰分に相当する残さが5%程度であることから0.95を乗じています。

再生利用等実施率の推移および目標値

再生利用等実施率の推移および目標値
2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2024目標
食品産業全体 85% 85% 84% 83% 85% 86% 87%
食品製造業 95% 95% 95% 95% 96% 96% 96% 95%
食品卸売業 60% 65% 67% 62% 64% 68% 70% 75%
食品小売業 47% 49% 51% 51% 51% 56% 55% 60%
外食産業 23% 23% 32% 31% 32% 31% 35% 50%

出典:農林水産省「食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率について

「外食産業」「食品小売業」「食品卸売業」は目標値を達成していないため、改善が求められます。食品廃棄物などの発生量の割合では、外食産業が約9%、食品小売業が約7%、食品卸売業が約1%です。

消費者は家庭での食品ロス削減だけでなく、外食時の「完食」や「持ち帰り」、小売店での「てまえどり」を意識しましょう。

参考:農林水産省「令和3年度食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率 (推計値)」

⾷品廃棄物等多量発⽣事業者の定期報告

前年度の食品廃棄物等の発生量が 100 ㌧以上である食品関連事業者は、毎年度6月末日までに、食品廃棄物等の発生量及び食品循環資源の再生利用の状況等に関して主務大臣に報告(定期報告)しなければなりません。
(FC事業の場合、本部+加盟者の合計で判断します)

2020年6月末提出の定期報告から電子化されており、下記いずれかの方法で提出します。
① 「農林水産省共通申請サービス」のファイルアップロード機能による報告
② 電子メールへのファイル添付による報告

一般廃棄物収集運搬業の許可の特例

広域的な再生利用を促進するため、一般廃棄物の収集運搬業の許可について、下図の特例措置が設けられています。

登録再生利用事業者制度
再生利用事業計画認定制度(法第19条)

出典:農林水産省「食品リサイクル法における廃棄物処理法等の特例

食品廃棄物の発生量および再生利用量 2021年度

食品リサイクル法は、食品関連事業者、すなわち「事業系の廃棄物+有価物」を対象としたものになります。

「事業系の廃棄物+有価物」の発生量(2021年度)は、1,670万トンです。このうち71%にあたる1,187万トンが再生利用されています。

家庭系廃棄物についてはその多くが焼却・埋立されています。食品由来の廃棄物等は2,402万トン、このうち食品ロス(可食部分)523万トン(事業系279万トン・家庭系244万トン)が含まれていると推計されています。

※参考:一般社団法人 産業環境管理協会.https://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2023.pdf ,(入手日付2024-08-04).

おわりに

今回のコラムでは食品廃棄物および食品ロスについて見てきました。食品関連事業者だけではなく、私たちの小さな努力の積み重ねが数字に現れてくる非常に身近なテーマです。
この機会に消費者庁の「[食品ロス削減]食べもののムダをなくそうプロジェクト」などをご確認頂き、出来ることからはじめてみるのはいかがでしょうか。


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