
産業廃棄物は以下の流れで処理されます。
1.排出事業者による産業廃棄物の分別・保管
2.保管された産業廃棄物の収集運搬
3.運搬された産業廃棄物の中間処理
4.中間処理を終えた産業廃棄物の最終処分
本記事では一連の流れの中でも重要な3つめの工程、中間処理について解説します。
最終処分との違いや目的、処理方法や中間処理業をするために必要な条件もまとめました。産業廃棄物の中間処理について詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
目次
中間処理とは?
中間処理とは収集運搬された産業廃棄物を最終処分する前に行われる、焼却・粉砕・溶融・脱水などによる減量化や、再利用できるものの選別、埋立前の安定化・無害化などの処置の総称です。
環境省(※)によると、産業廃棄物の総排出量は約3億7,000万トン。そのうち中間処理されるのは約2億9,000万トンと、全体の約78%を占めています。
直接再生利用されるものは約7,700万トンで全体の約21%。直接、最終処分されるものは約420万トンで、全体の1%程度しかありません。
中間処理されることで約2億9,000万トンの産業廃棄物は、約1億6,000万トンまで減量されています。排出された産業廃棄物の量を約55%も減らしているのですから、重要な役割をもっていることが、データからも分かります。
※参考:環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」 (入手日付2023-10-31)

中間処理と最終処分の違い
最終処分とは、中間処理後の残さや、再生処理で再生できなかったものを処理する最終工程のことです。
一方、中間処理は、廃棄物を減量したり、安全化させることによって、最終処分しやすい状態にする工程といえます。冒頭で紹介した流れのように、最終処分の前段階となるのが中間処理です。
中間処理を行う目的
目的の一つは、最終処分にまわすごみの量を減らすことです。減量処理しないで埋め立ててしまうと、すぐに地球上がごみで埋め尽くされてしまうことでしょう。そこで中間処理で減量したり、リサイクルにまわすことで全体の量を減らしています。
また無害化や性質の安定化も重要です。無害化や安定化によって地中に埋めたごみからの汚染物質の流出や、地下水の汚染などを防いで、自然や生活環境への悪影響も抑えられます。
中間処理の工程・方法
中間処理にはさまざまな方法があります。主な中間処理方法は以下のようなものです。
● 焼却
● 粉砕
● 溶融
● 脱水
● 選別
● 安定化
● 無害化
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
焼却
焼却はその名のとおり、ごみを燃やして燃え殻にして、廃棄物を減量化する方法の一つです。焼却処理はごみを燃焼する「焼却炉」と、高温の焼却灰で溶融する「溶融炉」に分けられます。焼却後の燃え殻は、コンクリートやセメント原料の一部としてリサイクルされることもあります。
粉砕
粉砕(破砕)は廃棄物を粉々に砕いて細かくしたり、潰したりして容積を縮小する作業です。破砕する廃棄物の代表的なものは廃プラスチックを含む廃棄物です。破砕すると減容化できるだけでなく、最終処分場への運搬効率を向上させたり、細かく砕くことでリサイクル可能な資源を取り出したりもできます。
溶融
溶融は廃棄物を高温で加熱し可燃物を燃焼させるとともに、1400度以上の高温で加熱して感染性廃棄物や廃石綿などの有害な廃棄物を無害化し、ガラス状の溶融スラグにする技術です。スラグ化すると、路盤材などの土木・建築資材として活用できる資材にもなります。
脱水
脱水は汚泥など大量の水分を含む廃棄物の水を抜くことで、重量や容量を削減する作業です。脱水設備には加圧脱水機と遠心脱水機があります。加圧脱水機は汚泥に圧力をかけて脱水する方法で、遠心脱水機は汚泥に遠心力をかけて水分を分離する方法です。
また熱を利用して乾燥機で水分を蒸発させる脱水方法もあります。汚泥には銅やアルミニウムなどの希少価値がある金属を含んでいることもあり、そうした汚泥は乾燥機で乾かした後に希少金属を回収し、原料としてリサイクルされる場合もあります。
選別
選別とは、種類や目的に合わせて分別する作業のことです。選別は粗選別と手選別の2つに分けられます。まず粗選別で大きさや重さ、長さなどを大まかに分別します。
その後に行われるのが手選別です。手選別は人の手によって選別する方法で、リサイクルが可能なもの、可燃物や不燃物などを細かく選別していきます。選別は効果的な中間処理をするために、重要な役割を果たすものです。
安定化
安定化とは産業廃棄物の性質を、それ以上変化させずに、最終処分で地中に埋めても周囲の環境に影響を及ぼさない状態にする処理です。
中には、酸性・アルカリ性の廃溶液(廃酸・廃アルカリ)のように、生活環境に悪影響を及ぼすものもあります。そうした害のある成分を中和するのも安定化です。
無害化
産業廃棄物には人体に悪影響を及ぼすアスベストやPCB、ダイオキシン類を含んだものもあります。無害化はそれらを含む廃棄物から有害物質を除去したり、分解したりする処理です。無害化したものは、あらためて焼却や溶融処分などが施され、最終処分しやすい状態に処理します。
中間処理が行われる流れ
中間処理の流れは以下のとおりです。
1.計量・検査
2.選別
3.焼却・圧縮などの処理
4.最終処分場へ運搬
中間処理施設に収集運搬された産業廃棄物は、まず計量・検査を行います。重量によって料金を算出するため計量は欠かせません。
次にマニフェストに記載されている品目と合っているか、処理できない危険物が含まれていないかを検査して確認します。
検査が終わったら次は選別です。大まかに選別する粗選別を経て、手選別で可燃物と不燃物、リサイクル可能なものなどを細かく選別していきます。
選別の結果、再利用できないものや可燃物、医療系廃棄物などは、焼却・圧縮・無害化などを行った上で減量化や減容化が行われます。そうした処理を施した上で最終処分場へ送ると、中間処理は終了です。
中間処理施設
中間処理施設はここまで解説してきたような、減量・安定化・無害化を行っている施設で、中間処分場とも呼ばれます。環境省(※)が2023年に公表したデータによると、日本全国にある中間処理施設の数は 19,413件です。
施設には、廃棄物を焼却する「大型高温焼却炉」や、汚泥を脱水する「排水処理施設」、廃酸、廃油、廃アルカリなどを無害化する「化学処理設備」、「破砕設備」や「圧縮設備」などがあり、効率的な減容化・無害化・安定化などの処理が行われています。
※参考:環境省. 「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和3年度実績等)について」 (入手日付2023-09-08)
中間処理業許可を取得する方法
中間処理を事業として営み、一定規模以上の処理施設を設置する場合には、廃棄物処理法の規定により許可が必要です。
許可には14条許可と15条許可の2つがあります。
14条許可とは廃棄物処理法の14条に規定されているもので、中間処理業を事業として営むために必要な許可です。ただし、14条許可は委託を受けた他社の産業廃棄物を処理する場合に必要なもので、廃棄物を自社で運搬・処分する場合に14条許可は必要ありません。
14条許可を受けるには、施設・機材・技術にかかる要件・人的な要件・財産的な要件を全て満たす必要があります。
15条許可とは、廃棄物処理法の15条に規定されているもので、施設の設置に際して必要となる許可です。施設の設置については、14条と異なり、他社から委託されるものであっても自社で処理する場合であっても許可が必要です。
ただし、15条許可が必要になるかどうかは施設の処理規模で異なります。小規模な施設では許可が必要ないこともあります。また許可を受けるに当たっては、立地条件などを考慮して事前に十分な調査を行うことが必須です。
※参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理および清掃に関する法律(第14条・第15条)」(入手日付2023-09-08)
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