
事業によって生じた産業廃棄物を取り扱う際、自治体によっては税金を納める必要があります。産業廃棄物の処理にかかる税金が「産業廃棄物税(産廃税)」です。
本記事では、産廃税の仕組みや導入している都道府県、納付方法や納税義務者、非課税となるケースなどを解説します。排出事業者や処分業に携わる方は参考にしてみてください。
目次
産廃税(産業廃棄物税)とは?
産廃税とは産業廃棄物の排出量や処分量に応じて自治体が課す、法定外目的税のことです。
法定外目的税とは地方公共団体(都道府県・市)が課している税のうち、地方税法に定める税目(法定税)以外に、条例を制定して新設できる税金で、目的や用途が明確にされた税のことを指します(※)。
産廃税の目的・用途は、産業廃棄物の発生・排出の抑制、リサイクル率の向上支援、不適正処理の対策強化などです。循環型社会への変革を促進するために制定されている税といえるでしょう。
※出典:総務省 「法定外税」(入手日付2023-10-19)

産廃税(産業廃棄物税)の仕組み
産廃税の有無や課税方式は地方公共団体ごとに異なります。産業廃棄物を出した排出事業者や中間処理業者、最終処分業者のいずれかが納税義務者となり、中間処理施設への搬入時や、最終処分場への搬入時や埋立て時に課税されるのが一般的です。
導入している地方公共団体の多くが設定している税額は、産業廃棄物の最終処分量1トン当たり1,000円です。
税額は搬入された産業廃棄物の重量に税額を乗じて求めます。例えば、重量が1.45トンの場合の税額は1.45✕1,000円で1,450円です。なお、重量が分からないときは、自治体ごとに定められた係数によって体積(立方メートル)を重量(トン)に換算して税額を計算します。
産廃税(産業廃棄物税)の導入自治体
総務省(※)によると産廃税を導入しているのは、2021年度までに27道府県と1市です。
地方公共団体によって「循環資源利用促進税(北海道)」「産業廃棄物減量税(島根県)」「環境未来税(福岡県北九州市)」などと名称が異なる場合もありますが、どれも産廃税と考えてよいでしょう。
地方公共団体によって課税方式も異なります。4種類ある課税方式の詳細は次で解説するので、まずは事業所のある地方公共団体に産廃税があるかどうか、ある場合はどのような課税方式なのかを確認しましょう。
地方公共団体 | 課税方式 |
---|---|
三重県・滋賀県 | 排出事業者申告納付方式 |
北海道・青森県・秋田県・岩手県・宮城県・山形県・ 福島県・新潟県・愛知県・奈良県・京都府・鳥取県・ 島根県・岡山県・広島県・山口県・愛媛県・熊本県・ 沖縄県 | 最終処分業者特別徴収方式 |
北九州市 | 最終処分業者申告納付方式 |
福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・宮崎県・鹿児島県 | 焼却処理・最終処分業者特別徴収方式 |
※参考:総務省「法定外税の実施状況(令和4年度)」
※参考:総務省「法定外税の状況(令和6年4月1日現在)」
産廃税(産業廃棄物税)の課税方式別税率と納税義務者
次に課税方式別に導入自治体・税率・納税義務者の違いを紹介します。
排出事業者申告納付方式
「排出事業者申告納付方式」は、中間処理施設または最終処分場に搬入する排出事業から税を徴収する方式です。排出事業者が自ら税額を申告して、地方公共団体に納めます。
導入自治体 | 税率 | 納税義務者 |
---|---|---|
三重県・滋賀県 | 最終処分施設への搬入:1,000円/t 中間処理施設への搬入:1,000円/t |
排出事業者 |
※出典:総務省. 「法定外税の実施状況(令和3年度)」 (入手日付2023-10-19)
最終処分業者特別徴収方式
「最終処分業者特別徴収方式」は、最終処分場に廃棄物を搬入する排出事業者および中間処理業者から税を徴収する方式です。
最終処分業者が「特別徴収義務者(税を徴収して国に納付する義務のある者)」に指定され、排出事業者または中間処理業者から納付された税金を地方公共団体に申告納付します。
導入自治体 | 税率 | 納税義務者 |
---|---|---|
北海道・青森県・秋田県・岩手県・宮城県・山形県・ 福島県・新潟県・愛知県・奈良県・京都府・鳥取県・ 島根県・岡山県・広島県・山口県・愛媛県・熊本県・ 沖縄県 | 最終処分施設への搬入:1,000円/t | 排出事業者 中間処理業者 |
※出典:総務省. 「法定外税の実施状況(令和4年度)」(入手日付2023-10-19)
最終処分業者申告納付方式
最終処分業者申告納付方式は、福岡県北九州市が「環境未来税」の名称で導入している産廃税に採用されている課税方式です。この方式では最終処分業者が埋め立てられる廃棄物の重量に対する税額を市に納めます。
導入自治体 | 税率 | 納税義務者 |
---|---|---|
福岡県北九州市 | 最終処分施設への搬入:1,000円/t | 最終処分業者 |
※出典:総務省. 「法定外税の実施状況(令和4年度)」(入手日付2023-10-19)
焼却処理・最終処分業者特別徴収方式
「焼却処理・最終処分業者特別徴収方式」は、焼却施設や最終処分場に搬入する排出事業者または中間処理業者から税金を徴収する方式です。
最終処分業者特別徴収方式と同様に、焼却業者や最終処分業者が「特別徴収義務者」となり、排出事業者または中間処理業者から納付された税金を取りまとめて地方公共団体に申告・納付します。
導入自治体 | 税率 | 納税義務者 |
---|---|---|
福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・宮崎県・鹿児島県 | 最終処分施設への搬入:1,000円/t 焼却施設への搬入:800円/t |
排出事業者・ 焼却処理業者 |
※出典:総務省. 「法定外税の実施状況(令和4年度)」(入手日付2023-10-19)
産廃税(産業廃棄物税)が非課税になるケース
産廃税が非課税となるケースもあります。課税されないのは、廃棄物処理の最終的な目的が「リサイクルによる有効活用」であることです。再び原料として利用されたり、熱回収などでエネルギーとなる場合がリサイクルによる有効活用に該当します。
そのため中間処理施設の「再生処理施設」に運ばれる廃棄物には、税を課さない地方公共団体が多くあり、2020年のデータでは、27道府県のうち20道県が特例措置を設けています(※)。
産業廃棄物をリサイクルにつなげると節税になるだけでなく、資源の有効活用や地球環境のためにも役立ちます。なるべくリサイクルや有効活用につなげていくことを考えてみてください。
※参考:福島県. 「全国の産業廃棄物税の概要 資料2-1」(入手日付2023-10-19)
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