産業廃棄物マニフェストとは?記入例つきで種類別の書き方を徹底解説

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産業廃棄物マニフェスト(以下「マニフェスト」)は、廃棄物が適正に処理されているかどうかを確認するために用いる書類です。産業廃棄物管理票が正式名称で、処理業者へ委託する場合には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)によってマニフェストの交付が義務付けられています。

マニフェストは種類によって伝票や記入の仕方が異なるため、本記事ではマニフェストの書き方を種類別にご紹介します。それぞれの記入例もお伝えするので、記入方法が分からない方は参考にしてみてください。

産業廃棄物マニフェストとは?

産業廃棄物マニフェストとは、排出事業者が委託した廃棄物の流れを把握するために用いる管理伝票のことです。排出事業者にはマニフェストを作成して「委託した産業廃棄物が適正に処理されたか」を確認する義務があります。

マニフェストには、誰がどのような産業廃棄物をどのように処理するかが記載されています。委託を受けた処理業者がマニフェストに業務をいつ完了したかを記載してから排出事業者に返送するのがルールです。排出事業者は返送されてきた伝票によって、産業廃棄物の流れを自ら把握・管理しなければなりません。

なお、マニフェストを発行した排出事業者は、産業廃棄物管理票交付等状況報告書を都道府県知事などに毎年度提出する必要があります。

※参考:e-Gov法令検索(入手日付2023-10-11).


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産業廃棄物マニフェストの種類

媒体で分類すると、マニフェストには複写式伝票を使った紙マニフェストと電子情報を活用する電子マニフェストの2種類があります。紙マニフェストは複写式で、1枚ずつ切り取って使用します。電子マニフェストはオンライン上でやり取りできるシステムです。

電子マニフェストには事務処理が効率化できる、法令を順守しやすい、保管が必要ないなどのメリットがあります。デメリットは利用料がかかる、排出事業者・収集運搬業者・処理業者が全て加入する必要があるなどです。

紙マニフェストには利用に当たり特別な環境設定が必要ない、導入コストが安く直ぐに始められるなどのメリットがあります。ただし記入漏れや紛失のリスクがある、保管・管理に手間がかかるなどの点がデメリットです。

紙マニフェストの場合、記入すべき項目も多いため書類に不備が起きやすいといえます。紙マニフェストで運用する場合は、ここからご紹介する記入例を参考にしてみてください。

産業廃棄物マニフェストの記入例を3つの種類から解説

マニフェストは排出する廃棄物の品目や用途によって、提出すべき書類が異なります。書類は大きく分けると以下の3種類です。

  • 直行用マニフェスト
  • 積替保管用マニフェスト
  • 建設系廃棄物マニフェスト

それぞれの概要と具体的な記入例を、以下で詳しく見ていきましょう。

直行用マニフェストの書き方・記入例

直行用マニフェストとは産業廃棄物を収集運搬・処分する際に必要となる書類のことです。建設系廃棄物に該当しない一般的な産業廃棄物を積替保管を行うことなく中間処理施設や最終処分場もしくはリサイクル施設に直接運ぶ際に使われます。

直行用マニフェストはA票からE票までの7枚綴りです。7枚あるのは収集運搬、処分の度に委託された処理業者に対して控えが発生するためです。処理業者は作業完了後に排出事業者へ報告を兼ねて、マニフェストを送付します。

A票~E票の役割は以下のとおりです。

  • A票:排出事業者の保存用
  • B1票:運搬業者の控え
  • B2票:運搬終了後、運搬業者から排出事業者へ送付
  • C1票:処分業者の控え
  • C2票:処分終了後、処分業者から運搬業者へ送付
  • D票:処分業者から排出事業者へ送付
  • E票:最終処分終了後、処分業者から排出事業者へ送付

次に各項目に記入する内容をご紹介します。

項目名 詳細
交付年月日 マニフェストを交付した日付
事業者 排出事業者の氏名(名称)・住所・電話番号
事業場 排出場所の名称(現場名)・住所・電話番号
産業廃棄物 排出した廃棄物の種類にチェックを入れる
産業廃棄物の名称・数量など 排出する廃棄物の名称・重量・荷姿・処分方法など
中間処理産業廃棄物 委託契約を交わしている場合「委託契約書記載のとおり」にチェック (該当項目がなければ斜線)
運搬受託者 運搬業者、運搬先の事業所の名称・住所・電話番号
処分受託者 処分委託者の名称・住所・電話番号、積替保管がある場合右側に記入
運搬の受託 運搬業者の会社名・作業者名・サインもしくは押印
照合確認 B2票・D票・E票が送付、返送されてきた時の日付

積替保管用マニフェストの書き方・記入例

積替保管用マニフェストは、産業廃棄物を積替・保管を経て中間処理施設や最終処分場もしくはリサイクル施設に運ぶ際に必要な書類で、排出事業者が運搬業者の倉庫で一時的に保管する際や、他の収集運搬業者が積替・運搬する際などに使用されます。

直行用と違うのは、運搬受託者と運搬先の事業場を記入する項目がある点です。積替保管用マニフェストは他の2種類と異なり、B2票・B4票・B6票の3枚のB票が戻ってくる仕組みとなっています。

具体的には、積替保管が1回行われる場合は、B2票に加えてB4票が戻ってきます。2回行われる場合はさらにB6票が戻ってきます。

建設系廃棄物マニフェストの書き方・記入例

建設系廃棄物マニフェストとは、建設現場などで生じる産業廃棄物を運搬・処分する際に使われる書類のことです。種類欄に「コンクリートがら」や「アスコンがら」などの項目が設けられており、建設現場で運用しやすい様式となっているのが特徴です。

直行用と同じく7枚綴りで、運搬・処理の工程ごとに収集運搬業者や処分業者に対して控えが発生します。

建設系廃棄物マニフェストの各項目に記入する内容をご紹介します。

項目名 詳細
交付年月日 マニフェストを交付した日付
排出事業者 排出事業者の氏名(名称)・住所・電話番号
排出事業場 排出場所の名称(現場名)・住所・電話番号
産業廃棄物の種類 排出する廃棄物の種類、単位を丸で囲んで数量を記入
中間処理産業廃棄物 委託契約を交わしている場合「委託契約書記載のとおり」にチェック
(該当項目がなければ斜線)
運搬受託者(1) 1つ目の収集運搬業者の住所・氏名(名称)・電話番号、積替保管の有無、運搬車両情報
運搬受託者(2) 2つ目の収集運搬業者の住所・氏名(名称)・電話番号、積替保管の有無、運搬車両情報
運搬先の事業場 運搬先事業所の住所・名称・電話番号・処分方法
処分受託者 処分業者の住所・氏名(名称)・電話番号
積替または保管 積替・保管がある場合は記入
運搬の受託 運搬業者の会社名・作業者名(サインもしくは押印)

産業廃棄物マニフェストを記入する際の2つの注意点

産業廃棄物マニフェストを記入する際には、ここからご紹介する2点にも注意しましょう。

法定記載義務事項に漏れや不備がないか確認する

マニフェストには法定記載事項を漏れなく記入してください。記載が必要な事項は以下のとおりです。

  • 管理票の交付年月日および交付番号
  • 管理票の交付を担当した者の氏名
  • (排出事業者の)氏名または名称および住所
  • 産業廃棄物を排出した事業場の名称および所在地
  • 産業廃棄物の種類
  • 産業廃棄物の数量
  • 産業廃棄物の荷姿
  • 当該産業廃棄物にかかる最終処分を行う場所の所在地
  • 運搬を受託した者の氏名または名称および住所
  • 運搬先の事業場の名称および所在地
  • 処分を受託した者の氏名または名称および住所
  • 処分を受託した者が産業廃棄物の積み替えまたは保管を行う場合には、当該積み替えまたは保管を行う場所の所在地
  • 石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合はその数量

もし漏れがある場合は加筆が必要です。また記入内容を間違えてしまった場合は、斜線で取り消し訂正印を押印して修正します。

既に交付してしまっている場合は、委託先に連絡して修正について相談しましょう。その際はA票〜E票に矛盾が生じないようにしてください。また地域の行政(廃棄物関連部署など)によっては、相談に応じて修正方法を指導してもらえる場合もあるので、確認してみましょう。

※参考:公益社団法人全国産業資源循環連合会(入手日付2023-10-11).

書き方を間違えた際に再発行しない

もし書き方を間違えた際も、再発行はできません。マニフェストは業者に引き渡すと同時に交付するものであるため、後からの再発行は原則できないことになっています。安易に再発行して交付してしまうと二重発行となり、虚偽の交付となってしまう恐れがあるため注意してください。

産業廃棄物マニフェストの違反によって科される罰則

マニフェストを交付しなかったり、虚偽記載があったりした場合、排出事業者および処理業者に刑事処分が科せられます。不交付や虚偽記載、報告義務違反および保存義務違反などの場合の罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。(廃棄物処理法第27条の2)

また不適正な処理が行われた場合、都道府県から措置命令を受けることもあります。(廃棄物処理法第19条の5の1)措置命令に従わないと、5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、その併科に処せられる可能性があるため、注意しましょう。(廃棄物処理法第25条の5)

※参考:e-Gov法令検索(入手日付2023-10-11).

マニフェスト例に関する3つのよくある質問

最後にマニフェスト例に関するよくある質問についてご紹介します。

マニフェスト記入時の数量の書き方は?

記載する数量は、トン・キログラム・立法メートル・リットルなどの単位で記入します。なお、数値は概算値で構いません。

マニフェスト記入時の照合確認の書き方は?

照合確認欄はB2票〜E票の返却日を書いて、期限内に返送されてきたかどうかを確認・記録するための欄です。法的な義務ではありませんが、日付を記載しておくとA票を見るだけで各票の進捗状況が分かって便利です。

複数の廃棄物を回収する場合は種類ごとに交付する必要がある?

複数の廃棄物を回収する場合も、その都度マニフェストを交付しないと廃棄物処理法違反に問われる可能性があります。マニフェストは「引き渡しの都度ごと」「種類ごと」「運搬先ごと」に交付しなければなりません。

※参考:環境省(入手日付2023-10-11).

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